例えばこんなゲマトリアの日常 作:スカイブルーホワイトヘアー
いつも以上に雑なので許せる方だけ読んで下さい
ゲヘナ学園の旧校舎。1番奥の教室に放置されて
汚れきったピアノが置いてあった。
風紀委員長の空崎ヒナは偶然にもそれを見つけ
ある人へ演奏を届ける為に夜な夜な練習をして
いるのだとか。そして今日も仕事を終えて一人
ピアノの練習をしていた。
「(……ここのフレーズは出来た。次は……)」
持ち歩いている楽譜に目を通しながら一息ついた
刹那、窓の外から気配を感じた。前に蹴散らした
不良達が復讐しにきたのかもしれない。
「……誰?」
「おや、気づかれてしまいましたか」
それは赤くて大きくて、見た目はとても
怖いけれど優しい雰囲気のする人。
ゲヘナのマークがついた腕章?を身につけて
いるのが気になるけれど……
「失礼、私はただ美しい音色に惹かれた
一人の大人です。宜しければこのまま
ここで聞いていてもいいでしょうか?」
「……まあいいけど」
「ありがとうございます。貴女はいつも
この時間に弾いてるのですか?」
「うん。日中は忙しいから」
「それはまた……随分と頑張るのですね。
やはり先生の為にですか?」
「……どうしてそれを?」
「勘ですよ」
「……勘?」
「ええ、勘です」
「……馬鹿にしてる?」
「いえむしろ愛して……何でもありません。
それより眼に隈が出来てますよ。そろそろ休んで
明日に備えた方が良いと思います」
「そうしたいけど……私には時間がないの。
本番まで数日しか……」
「……なるほど。ではこうしましょう。今日は
帰って休み、明日の朝にピアノの練習をする。
短期間で上達するにはこうするのが1番早いです」
「でも日中は風紀委員の仕事があるし……」
「大丈夫です。私に任せてください。それでは
また明日の朝にお会いしましょう」
紅い大人はそう言い終えると指を鳴らす。
直後瞼が重くなってそのまま意識を手放した。
目が覚めるとそこは自室のベッドの上。
時刻は午前5時、いつもの目覚める時間。
軽く身体を伸ばしてから身支度をしようとベッド
を降りてゆっくりと歩いて着替えを取ろうとする
最中、机に置かれている軽食とメモ用紙の存在に
気づき不審ながらもそれを読んでみた。
『おはようございます。……まあ、貴女の事です
朝の5時頃に起きているのでしょう。さて、昨日
伝えたようにこれを読んだらピアノがある部屋に
来てくださいね。当然軽食を食べてからです。
普段からコンビニ弁当で済ませているという
事は既に理解しております。今の貴女に不足した
栄養を補えるように用意しましたのでご賞味
ください。それと間違っても風紀委員室には
行ってはいけませんからね。ではお待ちしてます』
「……昨日のあれ、夢じゃなかったんだ」
朧げに覚えていた昨日の記憶。それは紅い大人と
出会った、それだけの記憶。彼女は一体何者なの
だろうか。……でも悪い人ではないと思うので
試しにメモに従ってみてもいいのかもしれない。
珍しくモモトークの通知も来ていないので少し
寄り道する程度なら問題はないだろう。
ーーー
早朝にピアノ室に行くとそこには猫と戯れる
紅い大人の姿があった。戯れあっている……
ように見えて猫にボコボコにされているのが
気になったけれどこちらに気づくと猫を軽く撫で
昨日と変わらない表情で一言、
「待っていましたよ」と言ってくれた。
……何故かその一言で心が暖かくなったような、
そんな感覚がした。
「多分少ししか練習出来ないけど、聴いてほしい」
「ええ。楽しみにしていますよ」
少しだけ震える指先を意識しないように鍵盤に
優しく触れていく。一音、また一音と部屋に反響
する音を奏でていくにつれて少しずつ自身の上達
を感じていた。
「一旦止めてください」
「?」
「もう練習は充分でしょう。次は貴女の想いを
音に乗せて演奏してください」
「想いを……?」
「はい。誰に何を伝えたいかを強く意識して
音に乗せてみましょう。大丈夫、貴女になら
出来ますよ」
「……そこまで言うなら」
想いを音に込めて演奏……私の場合なら……
先生に感謝を伝えたい。私の演奏で……
それならここはこっちの音の方がいいかな。
……後は歌にも乗せたいな。それから……
……ああ、想いを載せるってこういう事なんだ。
それからというのも数時間の間演奏を続けて
いたようで気がついたら陽が傾きかけている頃
になっていた。
「……ごめん。つい演奏に夢中になってた。
……あれ?いない……」
いつの間にか紅い大人は居なくなっており、
彼女が座っていた椅子の上にはメモがあった。
『貴女の想い、聴かせていただきましたよ。
この世の何よりも美しい音色でした。
その想いが大切な人に届く事を祈っています』
……行っちゃったんだ。……ありがとう。
貴女のような大人が居ること、忘れないよ。
ーーー
「というですね、私と本編ヒナが絡む美しい話を
是非ゲマ本編でやってほしいんですよ」
「なるほどーじゃあ没で」
「何故ですか!!」
「ベア先生だけ本編世界出禁なんで……」
「そんな理不尽な!!私だってヒナサンドという
夢があると言うのに!!」
「悲しいけど没にします」
「諦めませんからね!!私は!!いずれヒナに
挟まれて寝る夢を叶えますから!!」