例えばこんなゲマトリアの日常   作:スカイブルーホワイトヘアー

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ホシノと売店

 

ホシノ「えっと…水と軽く食べるものを…」

 

黒服「おやホシノ、こんな所にいたのですか。この寂れた場所は何ですか?」

 

ホシノ「あ、黒服さん。ここは学校の売店ですよ。とはいえ品数は少ないし補充もほとんどされてませんが…」

 

黒服「売店でしたか。……ふむ、ここも改装するとしましょう」

 

ホシノ「売店をですか?今は私一人しか居ませんし改装する必要なんて…」

 

黒服「そのホシノが大事だから改装するのです。そんな期限が切れた缶を食べさせるわけにはいきません。本日中には終わらせますので」

 

ホシノ「黒服さんがそこまで言うなら…」

 

黒服さんは私の返事を聞いた後何処かへ電話を掛けていた。聞き耳を立てたが「マエストロ、ケーキ」という単語だけしか鮮明に聞き取れなかった。

 

黒服「これで品数は問題ないでしょう。あとは内装を綺麗にしましょうか。私は期限が切れている缶等を処分しますのでホシノは棚の埃を落としておいてください。埃を吸わないようにマスクも用意しました」

 

ホシノ「ありがとうございます。それにしても黒服さんっていつも用意周到ですよね」

 

黒服「大人ですからね」

 

ホシノ「へぇ…大人って凄いんですね」

 

黒服「それはどうでしょう…」

 

そこからはいつも通りの作業だ。内装をチリひとつ残さず綺麗にする。所々に蜘蛛の巣が貼ってあったり買おうとしていた水も腐っていたりと散々だったが何とか終えた。

 

ホシノ「終わりましたね」

 

黒服「はい。思っていたよりも時間が掛かってしまいましたが」

 

ホシノ「ですが肝心の品物が全て腐っていたとは…」

 

黒服「冷房すらない環境でしたからね。水もまさか5年前に期限が切れたものしかないとは思いませんでしたよ」

 

ホシノ「蛇口から出る水があそこまで美味しいとは思いませんでした」

 

黒服「品物に関しては明日届くので本日の作業は終わりましょう。ホシノも家で休んでくださいね」

 

ホシノ「分かりました」

 

ーーー次の日 アビドス売店

 

ホシノ「………何ですかこれ」

 

朝売店を覗いてみるととんでもない事になっていた。数百種類程のペットボトル飲料水、最新作の商品まで取り揃えた菓子パン、注文をしてから作成し出来立ての料理を食べられるイートインコーナー、ショーケースに並んだお洒落なデザート。まるで売店ではなくカフェのような空間になっていた。

 

黒服「おやホシノ、おはようございます。新しい売店は気に入っていただけましたか?」

 

ホシノ「黒服さん…何ですかこの売店みたいな空間は…面影が全くないのですが…」

 

黒服「昨日知り合いに依頼したのです。生徒の為に売店を改装したいと。意外そうな返事はされましたが快く引き受けていただけまして。不自由がないものになっていると思います」

 

ホシノ「ですが…このラインナップだと私一人では食べ切れません…」

 

黒服「そこは問題ありません。各商品はそれぞれ引換券のようなものでして会計後に工場から転送されてくるといった具合になっているので期限切れになる事はありません」

 

ホシノ「そんな技術があったんですね…」

 

黒服「他にも色々説明は受けましたが……とりあえずは安心な食事を摂る事が出来るとだけ覚えておけば大丈夫です」

 

ホシノ「試しに買ってみても…あれ?黒服さん、これ値段が書いてませんが…」

 

黒服「ああ…ホシノから金を取る気はありません。ご自由にお使いください」

 

ホシノ「えっ…なんか怪しいですね」

 

黒服「強いて言うならホシノは今まで頑張ってきたのですからこれくらいは許されてもいいと私なりのご褒美と受け取っていただければと」

 

ホシノ「…怪しいですが…せっかくのご厚意ですので…」

 

緑茶のボトルとコロッケパンの引換券を手に取りレジにスキャンさせると数秒後に転送されてきた。未知の技術に疑問が浮かんだものの食べてみると普通に美味しい。

 

黒服「今後はここを自由に使って貰って構いませんよ。万全の状態で訓練を行った方が効率も良くなりますし」

 

ホシノ「分かりました。ありがとうございます……あの、ここまでしてもらって言うことではないのですが……黒服さん、これはやりすぎなような気がします。明らかにこの学園に適した売店ではないような…」

 

黒服「生徒が快適に過ごせるなら何も問題ではありません。それに私たちが今後行っていく活動は学園の復興でもあります。であればいずれこの売店も学園に適したものになっていくのではないでしょうか」

 

ホシノ「こじつけな気もしますがあながち間違ってはいないのかも…?」

 

黒服「どのみちいずれ改装は必要でした。それが前倒しになっただけの話です。……話しているうちに訓練の時間になりましたね。それを食べ終えたら訓練室に来てください。私は先に行って待っていますので」

 

ホシノ「あっ…はい。すぐ行きます」

 

訓練室に向かって歩いていく黒服の背中を眺める。見た目は怪しいけれど悪い大人ではないのかもしれない。でも過保護すぎる人だな…と苦笑しながらも手に持っているコロッケパンを頬張った。




体調を崩したので更新ペースが落ちるかもしれないです。
申し訳ございません。
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