例えばこんなゲマトリアの日常   作:スカイブルーホワイトヘアー

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待たせすぎるのも申し訳ないと思うので少々早いですが前編を投稿します


小鳥遊は流れ星に願いを込める・前編

「あら、これは珍しいお客様ですね。箱舟の図書館へようこそ。……ええ、言わなくても分かっていますよ。貴方が求めているのはこのお話でしょう?さあ、こちらをどうぞ」

 

彼女?から差し出された本にはタイトルがなかった。

 

 

今夜は星がよく見える。手を伸ばせば掴めるかも、だなんて前の自分なら考えもしなかっただろう。これも先輩の影響だろう。

 

「あっ……流れ星」

 

夜空からこぼれ落ちるように1つの流れ星が視界に映る。そういえば流れ星が消えてしまう前に願いを言うと叶うって先輩が言っていた事を思い出した。

 

「行方不明の先輩が帰ってきますように」

 

そう願いを込めた言葉を紡ぎ終わる前に流れ星は儚く消えてしまった。

 

「……今日はもう帰ろう」

 

月明かりに照らされて1人の少女は歩み始める。その先にあるのは希望か、絶望か。この時点では誰にも分からないだろう。

 

彼女の名前は小鳥遊ホシノ。アビドス高等学校の数少ない生徒であり生徒副会長である。大事なものを無くしてしまった彼女は夜の見回りをして探し回っている。しかし数週間探しても見つかる兆しすら見えず途方に暮れている。

 

「何処に行ってしまったんです、先輩」

 

その答えは返ってくる事はなく夜の闇に消えていった。

 

ーーー

 

仮眠から目覚めて1人部屋の中で情報をまとめている。一通り捜索して分かった事が2つある。

 

・自治区外には目撃情報がない

・自治区内の人が密集している場所にも目撃情報がない

 

これが分かったところで無駄ではある。何故なら残っている場所というのは砂漠。何よりも広大で体力を奪われる死を象徴するような場所。そんなところに向かって帰ってこないのであれば間違いなく……

 

「……いや、まだそうと決まった訳じゃない。準備をしたら向かってみよう」

 

彼女はいつも通り1人で向かう。そこに先輩が居ると信じて。

 

ーーー

 

「相変わらず暑い……先輩を連れ帰ったらこんなところになんて2度と来ない」

 

彼女はとても暑がりで寒がりだ。それでも誰かの為には行動する。根がとても優しい子なのだ。とはいえその相手は先輩しか居ないのだが。

 

「……少し休憩しようかな」

 

日陰を見つけたので座り込んで休息を取る。不測の事態に備えておく為にもコンディションはなるべく整えておきたい。

 

「本当にこんなところに先輩はいるのかな……」

 

もし居なかったら……そんな考えが過るのも仕方がない。頭では既に理解しているのだ。先輩が既に帰らぬ人となっている事を。それでも僅かな望みに賭けてしまうのは自分の心が弱いが故だろう。

 

「そろそろ行こう」

 

そう呟いて立ち上がった直後謎の雄叫びのようなものが遠くから聞こえてくる。視界に映ったのは巨大な機械の蛇を相手にする見覚えのある姿。

 

「……まさか。本当に砂漠に……?」

 

一瞬しか見えなかったがあの後ろ姿は間違いなく……そんな焦りからか体力の事を考えずに走り出してしまった。

 

ーーー

 

「はあっ……はぁっ……!?」

 

至近距離に行くと機械の蛇を破壊したのであろう先輩のような人間と黒いスーツを着た大人が居た。

 

「素晴らしい。擬似的に神々の力を覚醒させるとこんなにも力を引き出せるとは……おや、貴女は……」

 

不気味な顔をこちらに向けて不適な笑みを浮かべる大人。その隣に居るのはやはり失踪した筈の先輩だった。無機質な機械のような表情でこちらを見てくる。

 

「暁のホルス……もし貴女で実験が出来たらとても捗りそうですね」

 

「先輩に何をした。返答次第では命はないと思え」

 

「死にかけていたので実験の道具に使っただけですよ。……最も次にこうなるのは貴女ですがね」

 

「……殺す」 

 

怒りに身を任せて黒い男に近づいてショットガンを放った。しかしその弾が命中する事はなく金属に弾かれたような音がした。……先輩が盾で守ったようだ。

 

「どいてください!どうしてそんな奴を守るんですか!」

 

「言ったでしょう?実験の道具に使ったと。今の彼女は私の操り人形。意識などありません」

 

「………」

 

それを裏付けるように先輩は私に向かって発砲をする。間一髪で避けたが掠ったようで頰から血が垂れていた。

 

「……やるしかない」

 

彼女は目の前にいる人を救うべく身構えた。

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