例えばこんなゲマトリアの日常 作:スカイブルーホワイトヘアー
午後6時
ノノミ「先生……浴衣が似合いますね」
黒服「何故か分かりませんが自分でもしっくりきます」
ノノミ「うまく言えませんが大人って感じです」
黒服「ノノミの浴衣も似合いますよ。上品な雰囲気が貴女に合っています」
ノノミ「そんな褒め方をされると照れちゃいます♪」
黒服「部屋着とは思えないくらいですよ」
ノノミ「そんなに気に入ってもらえるなんて念入りに準備した甲斐がありました♪」
黒服「もうやることもないでしょうし読書でもしながら過ごすとでも……」
ノノミ「ふっふっふ……実はあと1つだけあるんです☆」
黒服「そんな気はしていましたよ」
ノノミ「というわけでベランダに行きましょう♪」
ーーー
黒服「夏とはいえ夜は少々冷えますね」
ノノミ「ですね」
黒服「……寒いからって抱きついたりしないでくださいね」
ノノミ「先手を打たれてしまいました……」
黒服「それで……もう空は完全に暗くなっていますが何があるんです?」
ノノミ「もう少ししたら始まりますよ」
黒服「……成程。締めには良いものですね」
轟音と共に空に一輪の花が咲く。その数秒の輝きで人々を魅了する夏の風物詩。『花火』。神秘の欠片も感じないそれから何故か目が離せなくなっていた。
黒服「悪くないサプライズですよ」
ノノミ「ありがとうございます♪」
ーーー
ノノミ「………」
1つ、また1つと空に浮かんだ花火が暗闇に溶けていく姿を見るたびに嫌でも考えてしまう。
ノノミ「(今日が……終わってしまうのですね)」
望むべきではなかった、望んではいけなかった、そんな夢のような時間があと少しで終わる。嫌だ。終わってほしくない。そんな願いも虚しく時は刻まれていく。
ノノミ「(今日はとても楽しい1日でした。……それなのにどうしてこんなにも胸が張り裂けそうなのでしょう)」
『黒服先生はホシノ先輩のことが好きなのですか?応援しますね☆』
ノノミ「(……違う)」
『ホシノ先輩と末永くお幸せに♪」
ノノミ「(違う……本当は私だって……)」
自分すらも騙してきた感情が、想いが溢れてしまう。今まで必死に抑えてきたそれを言葉にしてしまいそうになる。
ノノミ「(……伝えたい。この想いを、今日が終わる前に)」
結果は目に見えている。それでも伝えるなら今日しかない。どうせ今日という日が終わってしまうのならば後悔しないように、と。
ーーー
ノノミ「花火……終わっちゃいましたね」
黒服「実に有意義な時間でした」
ノノミ「ですね。……あの、先生」
黒服「言わずとも理解していますよ。話があるのでしょう?」
ノノミ「……どうしてその事を?」
黒服「寂しそうな表情で花火を見つめるノノミの横顔を見たので」
ノノミ「顔に出ちゃってましたか……恥ずかしいですね」
黒服「今更恥ずかしがらなくてもいいのですよ。……さて、室内に戻って聞くとしましょうか」
ノノミ「……はい」