織斑一夏はテロリスト ―『お父さん』と呼ぶんじゃねぇ―   作:久木タカムラ

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二か月ぶりの更新……覚えている人はいるかしら……。


039. 『混ぜるな危険』リターンズ

 赤の他人(秋姉)に道を教えていただけ――と目がヤヴァイお姉様を納得させるのに十分。

 お近付きの印に女将の景子さんを口説こうとして姉に拷問され、再起動を果たすのに九分。

 曲がり角で待ち構えていた秋姉からもレバーに一撃頂き、復活の呪文を入力するのに七分。

 お嬢さん方の大半が海に突撃かましているであろうその時、私は人気のなくなった廊下の片隅でひっそりと、通り過ぎる仲居さん達に怪しまれながら燃えないゴミのようになっていた訳だ。

 そんな毎度の事はどうでも良いとして。

 

「……小父様、こんなところで一体何を?」

 

 危機的状況は現在も続いていた。

 何か知らんけどオルコット嬢が怒ってらっしゃるっぽい。ぽいぽい。

 青いビキニの上下に薄手のパーカーを羽織った若者らしいスタイルだけど、雑誌の表紙を飾っただけあって腕を組む姿は一流のモデルのようだ。目が据わってなければもっと良かったのに。

 

「何って聞かれりゃあ……裏口や窓の配置なんかを外から確認してただけでございますが?」

 

 嘘偽りはない。強いて言うなら習慣だ。

 大まかな構造や非常口の場所は旅館の案内図で知る事ができるけれども、私が確認しているのはそれ以外の侵入、あるいは逃走に使われる可能性がある『出入口』の類だ。まあ――東南アジアに潜伏してた時のボロっちいホテルとかならまだしも、花月荘に限っては一時期毎年のように訪れていたため必要ないと言えば必要ないのだが。

 これはあくまで保険。

 何処ぞの国家が私目当てで余計なちょっかい出してくるかも知れんし、女の子達を守るためなら労力を惜しむ理由もない。ただし少年、テメーはダメだ。こちらについても理由は特にない。

 

「小父様、もう一度お聞きします。女子更衣室の窓の前で(・・・・・・・・・・)……一体何をしていらしたのですか?」

 

 どうやら発見された場所が最悪だったらしい。あれは絶対勘違いしてらっしゃる。

 彼女のあの目……養豚場のブタでも見るかのように冷たい目だ……残酷な目だ……『かわいそうだけど、明日の朝にはお肉屋さんの店先にならぶ運命なのね』って感じの。

 返答を間違えたら死ぬな。いや、死ぬね! 冗談抜きで! だってもうブルー・ティアーズ全機展開済みで今にもビームぶっ放しそうだしね! 白衣が穴だらけになっちゃう!

 

「あいや、いやいやいや待たれいオルコット嬢殿。誤解、誤解でござるよ? 某は女人の着替えを覗くような外道では断じてござらぬ! ほら某ってばもう立派な大人だし? 二十歳にもならない発育の良い女の子の着替えになんか微塵も興味ないでござる!」

「……先ほど山田先生が更衣室に入るのを見ましたが?」

「マジで!? …………あ゙」

 

 イカン、壁の向こうに広がる桃源郷を想像してついつい紳士メーターが振り切ってしまった。

 オルコット嬢の顔を見れば、両頬を熟れたアッポーのようにぷっくり膨らませて不機嫌を前面に押し出していた。あら可愛い。

 

「……ヒドイですわ」

「はい?」

「ヒドイですわあんまりですわ生殺しですわ不平等ですわ! わたくしにだって乙女のプライドがあると言うのに――ただでさえ山田先生と小父様は寮でも同じ部屋なのですから、こんな時くらいわたくしの事も見てくださいまし!!」

「ふむ、具体的には?」

「水着が似合ってるとか誉めてもらいたいですわ!」

 

 あ、そんなんで良いの?

 じゃあご要望にお応えして男らしく――

 

「オルコット嬢……今すぐここで押し倒したいくらい似合ってるぞ」

「はうあっ!?」

 

 軽く抱き寄せて耳元で囁いたらオルコット嬢が爆発した。この子もリア充だったのか。

 フードを思い切り引っ張って顔を覆い隠し、しゃがみ込んでうーうー悶えるお嬢様。イギリスの妖精にこんなのがいたような、いなかったような。一家に一匹ぷちオルコット、五個ぐらい重ねた空き箱の上に乗って頑張ってネクタイとか結んでくれます。グラグラ揺れるからハラハラします。

 にしてもさぁ……そんなに照れるくらいなら誉めてとか言わなきゃ良いだろうに。将来悪い男に引っ掛かりそうねぇこのお嬢さんってば。

 …………ああ、私か。

 

「いーぃくぅーんっ!!」

「今度は何よ……」

 

 私を『いーくん』などと呼ぶ人間は一人しかいない。

 オーバーヒート中のオルコット嬢を放置して、喜びに満ち溢れた声っつーかヌーの大移動じみた足音のする方へ視線を移せば――もうもうと土煙を上げ、邪魔な木々を重機の如く薙ぎ倒しながらこちらに走り迫るたばちゃんの姿があった。

 

「いぃぃぃぃぃいくぅうううううんんんんっ!!!」

「たぁあああばちゅわあああああんんんんっ!!!」

 

 両手を広げ、相撲でも取るみたいに真正面から抱き合う――が、勢いに押し負けそのまま地面を転がっていき、一際太い木にぶつかってようやく止まる。

 うーん、大型ブルドーザーでも相手にしてる気分だぜ。

 

「いーくんいーくんいーくんいーくんっ!!」

「たばちゃんたばちゃんたばちゃんたばちゃんっ!!」

 

 互いに頬を密着させて上下にスリスリ。

 ソフトボール大のタンコブができて医者に診せたら即刻手術な後頭部とか、タイヤ跡に土汚れも追加されて可哀想な見た目になってる白衣とか、結構悲惨だけどまあいっかー。ほっぺも赤ん坊に負けないくらいプニプニもち肌だしー、おっぱい柔らかくて申し分ないしー、ぐへへへへ。

 

「――なななな何をしているんですの小父様!? 篠ノ之博士も!」

 

 あ、オルコット嬢が復活した。

 

「何って、生いーくんを堪能してるんだよ? 頬擦りずりずりずり~」

「私はまあ、親愛の証みたいな? あ、怒られるから織斑先生には内緒ね。ずりずりずりずり」

「怒られるのがイヤなら最初からしないでください! 篠ノ之博士わたくしと交代――じゃなくてふしだら、そう破廉恥ですわ! はーなーれーてー!!」

 

 何処かの風紀委員のような台詞を叫びながら、オルコット嬢は私とたばちゃんを引き剥がそうと躍起になる。わーお、前後からマシュマロにサンドされて極楽だぜー……とか言うから未来で凰に睨まれちまうんだよなぁ。ちなみに凰のおっぱいも大好きです。あれはわしが育てた。

 

 閑話休題。

 

 言うまでもなく、離れてと要求されて素直に従うたばちゃんではない。

 意地でも手放すもんかと抱き締めは強くなる一方で、合金製の強化骨格が悲鳴を上げる。そしてオルコット嬢よ、お前さんも張り合ってブルー・ティアーズ展開したまま私の首を引っこ抜こうとするんじゃあない。レゴブロックの人形じゃねぇんだぞ私は。

 

「ぶー……何さ金髪! お前だっていっつもいーくんに引っ付いてエロい顔してるクセに!」

「え、エロっ!? そんな顔してませんわ!?」

「いーやしてたね! 証拠ならあるじょ!」

 

 たばちゃんのメカウサミミから光が放たれ、更衣室の外壁一面に何かが映し出される。

 それは何時の間に録画しやがったのか――白衣を着たスタイリッシュでダンディな超イケメンを後ろから抱き締めて、眉尻やら口角やら、表情をこれでもかと緩め切って夢心地なオルコット嬢の衝撃映像だった。うーむ、あと十秒もあれば熟睡しちまいそうな感じだなコレ。この辺のユルさはうーちゃんと大差ない。

 

「いぎゃあああああああああっ!!?」

 

 女子が上げちゃアカン系な絶叫が響き、五筋のレーザーとミサイルが映像を焼き消す。

 当然ながら一般の旅館の外壁がBT兵器の攻撃に耐えられる訳もなく、シルバニアファミリーの家みたいに更衣室の中が丸見えになっちまった。ちなみに山田先生はもういなかった。チッ。

 恥ずかしさで泣き出しそうなオルコット嬢と、立体映像まで駆使して弄ぶたばちゃん――傍から見れば完全にいじめられっ子といじめっ子の図である。

 

「小父様の馬鹿ーっ!!」

「あ、悪いの私ッスか?」

 

 でもって、縄張り争いに負けた猫みたいに逃げ出すオルコット嬢。

 の○太くんみたいな噴水涙を流して虹を描く彼女の背を眺め、

 

「うーさっさっさっさっ、勝ったぜ!!」

 

 元凶の兎は高らかに笑うのだった。

 

「大人気ねぇなぁオイ」

「大人の毛なら生えてるぜぃ。か、確認してみる……?」

「とてもアダルティで魅力的なお誘いではありますが、織斑先生にバレたら殺されるのでそいつはまたの機会に取っておきましょう」

 

 だからパンツ脱ごうとすんなや。スカートは穿いたままとか非常にマーベラス。裾を咥えながらもじもじ恥らうのも高得点。男のロマンだ。もう一度言う。男のルォメェンだ。

 まあ、それはそれとして。

 

「たばちゃんや、可愛い妹ちゃんを探さなくていいのかね? 何か頼まれてたんじゃねぇの?」

「おっとそうだったそうだった、早く箒ちゃんもハグハグすりすり揉み揉みせねば! ご存知かねいーくん、この二ヶ月で箒ちゃんのおっぱいが三センチも大きくなった事を! ヒャッハー、もう我慢できねぇ! 今行くじぇー箒ちゃん! I want to caress my sister's breasts!!」

 

 街中だったら職質どころかタイーホ確定な叫びを上げ、ウサミミをヘリのように高速回転させて飛び去るたばちゃん。下からだと白地にニンジン柄のおパンツが再び丸見えになるんだが……このアングルも素晴らしいので両手を合わせて拝んでおくとしよう。ありがたやありがたや。

 美少女と美女がいなくなり、残されたのは役割を果たせなくなった元更衣室と中年が一人。

 

「…………私としちゃあ、行方知れずなはずの姉が胸のサイズを知っていて、しかもそれを勝手に暴露されている篠ノ之が不憫で仕方ねぇよ」

 

 と言うか、後片付けとか修理とかって私がせにゃならんのだろうか。

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 

「さあ始まりました名付けて『ポロリもあるよ! おにゃのこだらけの水上大運動会』! 進行を務めるのは私、篠ノ之束! そして解説は――!」

「……無理矢理ここに座らされた通りすがりの旅行者です」

「もーテンション低いなあオーちゃんは! そんなんじゃ夏が逃げてっちゃうよ!?」

「オーちゃん言うな。つーかアンタと同じテンションでいられる奴なんてそうそういねぇだろ」

 

 水着に着替えた一夏を待ち受けていたのは、右腕を振り回してやけにフィーバーしてらっしゃるファースト幼馴染の姉と、頭痛に苛まれていそうな表情の知らない金髪美女だった。

 何なのだ。何なのだろうかこれは。

 確かに奇人1号(遭遇率:ツチノコレベル)とはさっき会ったばかりだから、ビーチにいる事に関してはさほど驚かないけども――白い簡易テントまで建てて司会者っぽく振舞っているとなれば流石にワケがワカラン。

 水上大運動会って何? 隣の椅子に座っているのはどちら様?

 状況を飲み込めない一夏ら生徒一同の事など気にも留めず、マッドなウサギ姉さんは場の流れをぐいぐい押し進めていく。この様子じゃあ、唯一の抑止力である我が姉こと鬼教官がやって来ても止まりはしないだろう。

 

「えー、今からちょっと殺し合いを――じゃなかった、いくつか競技を行ってもらうよん。詳しいルールは競技毎に説明するから省いちゃうけどー、上位入賞者にはちゃんとゴージャスなご褒美も用意しちゃってるから気張れよ野郎共コラーッ! ヒーハー!!」

「野郎共って、今此処には俺しか男がいないんですけど……?」

 

 もうあの人のキャラが掴み切れない。もはや躁状態を言っても良い。

 

「ほにゃらば早速第一競技! まずは軽ーく泳いでみよっか! 200メートル先に浮かべといたあのブイを折り返して、最初に砂浜に戻って来た子が勝ちだよー! さあGOGO!!」

 

 パンパンパンパンッ、とスターターピストルを撃ち鳴らすトリガーハッピー束さん。バカ○ンに出てくる乱射魔警官かアンタは。どちらかってーと逮捕される側だろ。

 しかしながら『さあ!』と言われても、頭上に疑問符な一夏や少女らがスタートラインに素直に整列できるはずもなく、互いに顔を見合わせて困惑するばかり。

 さもありなん――遊ぶ気満々だったのにいきなりこんな珍騒動に巻き込まれたのだから。

 だが……、

 

「あ、そうそう。言い忘れてたご褒美の内容だけど……頑張った子には束さんやいっくんが何でもお願い聞いてあげちゃうよん?」

 

 その一言で場がシン――と静まり返った。

 

「篠ノ之博士、何でもって……何でも?」

「文字通りも文字通り、な・ん・で・も、だよ? ギャルのパンティーをくれとかー、大金持ちになりたいとかー、世界征服も……まあできない事はないかなー? 他にはそうだねー……」

 

 そこで言葉を区切り、ちらりと一夏の顔を見て、

 

 

 

 

「例えば、誰にも邪魔されずにいっくんとデートできる権利とか?」

 

 

 

 

 耳を塞ぐ暇もなく一夏は吹き飛ばされた。

 音を超えた音によって精神的に、主に鼓膜が吹き飛ばされた。油断していた金髪のおねーさんも椅子ごと後ろにひっくり返ってしまっている。

 途切れそうになる意識の片隅で思い出すのは、入学直後の頃、姉が威圧的な自己紹介をした際のクラスメイト達の異常な興奮具合。ああ恐ろしや恐ろしや――女子の歓声とはソニックブームさえ引き起こす兵器だと言うのか。戦闘機か何かかよキミ達は。

 

「ちょっ、ちょっと待ちなさいよ! 一夏とデ、デートって…………鈍感でスケベで朴念仁で女の気持ちなんか分かってくれないこの馬鹿にそんな事できるワケないでしょ!?」

 

 ああ鈴よ、いつもなら口うるさいと思うお前の声もまるで小川のせせらぎのようだ。名誉毀損で訴えたら勝てそうな感じではあるけど。スケベなのは自分じゃなくて先生の方だと思う。

 

「ふふーん、できなくてもしてもらうよん♪ こぉれを見よ!!」

 

 胸の谷間に指を突っ込んで取り出したのは、チケットくらいの大きさの紙切れ。

 それはどうやら黄色の画用紙らしく、美女の谷間汗でも吸ったのかよれよれで、水性マジックで書いたと思しき文字も少しばかり滲んでいた。

 だが、そんな事はさほど重要ではない。

 問題は書いてある文章、その内容だ。

 

 ――『おねがいなんでも間いてあげる巻(たばねおねえちゃん専角) おりむら一か』

 

 …………多分、精一杯背伸びしたくて漢字で書いてみたのだろうけど、恥ずかしいくらい盛大に間違っている。コンバット越前と越前リョーマくらい違う。

 そう言えば昔、肩叩き券っぽいノリでプレゼントした覚えがあるようなないような――とにかくこの状況でそれを出されたという事は、つまり今になって使われようとしている訳で。

 

「にゅっふっふー、いっくんは約束を破ったりしないよねぇ? 男の子だもんにぇ?」

 

 悪魔の契約書を再び挟み入れ、深い谷間を強調させながら指を舐めるインモラルラビット。

 

「いや、まあそれは…………はい」

「簡単に懐柔されてんじゃないわよエロ一夏!!」

「あげちゃった物はしょうがないだろ!?」

 

 ご丁寧に小さく『きかん・むきげん』と書いてあるため無効とも言えないし。

 決して、おねえたまの大人の色気に屈したのではない。ないったらない。

 海パンでのデストロイモードは前屈みで誤魔化せるレベルを超えてしまっている。最悪の場合は熱された砂浜にうつ伏せになる覚悟だが、そうなったら未来創造器官がヒートエンドのお陀仏だ。

 そんな事態は絶対に避けなければ。

 

「ほらほらボサっとしてていいのかな? スタートの合図は……もう鳴ってるよ?」

 

 博士の言葉を受け、真っ先に動いたのは鈴だった。

 未だ混乱の中にある女子達の間をネズミ花火の如く走り抜け、戦場と化してしまった大海原へと身を躍らせる。おお速い速い、やっぱり胸部装甲の凹凸が少な――もとい、身体が綺麗な流線形を描いているだけはある。水の抵抗がなさそうだなぁ。

 

「一位はもらったー!!」

「あ、おい鈴、準備運動――」

「ああっ!? 凰さん抜け駆けはズルいわよ!?」

「追えぃ、皆の者追うのじゃー!!」

 

 何だかんだ言いつつ、お祭り騒ぎが大好きなIS学園のお嬢さん達。

 その上ご褒美(という名の人身御供(おりむらいちか))があるとなれば盛り上がらない理由はない。

 遠ざかる鈴の背中を追って海に突撃する光景を眺めていると、エサを取るために大群で飛び込むペンギンのイメージが頭に浮かんだ。とすると自分はイワシかアジか。

 

「あ、ちなみにいっくんは参加不可ね? 自分が優勝してうやむやにしようとか考えてそうだし」

「ハハハ、マサカソンナ事チットモ考エテマセンヨー?」

 

 景品扱いからはどう足掻いても逃げられないらしい。

 もうできる事と言えば、優勝した誰かが無難なお願いをしてくれるのを祈るくらい――

 

「お、織斑君! 大変だよ凰さんが溺れてるっ!」

「へっ?」

 

 浜辺に残った女子の一人が切羽詰った声で沖を指差す。

 そちらを見れば、折り返し地点のブイを目前にバシャバシャともがく鈴の姿があった。

 

「――っ、あの馬鹿!!」

 

 筋肉を十分に解さないまま泳いだのだから当然の帰結ではある。

 かと言って自業自得と放置したら手遅れになりかねない。

 助けに行こうと慌てて海に入る一夏の耳に、

 

「ねえ見て! 海の向こうから何か来てる!」

「鮫!? 救助船!?」

「いえ違うわ! あれは――!」

 

 

 

 

「ふははははははっ! イルカに乗った中年!!」

 

 

 

 

「「「スミス先生だー!?」」」

「わっほーい! いーくんカッチョイイぜー!!」

「いやカッコイイかアレ……」

 

 奇人2号、満を持してご登場。

 カリビアンなパイレーツのコスプレをして、背中からは『第三黒真珠丸』と達筆で書かれた旗をたなびかせ、イルカ型サーフボードに乗って沈みつつある鈴へと滑り寄る。

 その途中でバランスを崩して見事な空中三回転を披露し、かと思えばそのまま異常なスピードで水面を突っ走り、何処からか取り出した巨大なたも(・・)網で少女を海中より助け上げた。

 

「おチビー! 獲ったどー!!」

 

 声高らかに釣果を掲げる中年。

 たも網から足と尻だけ出して目を回しているセカンド幼馴染が、縁日で運悪く掬われてしまった金魚のように見えてしまい、一夏はそっと同情の涙を拭うのだった。

 だから準備運動をしろと言ったのに……。




そんな訳でいよいよ海です。
福音が出るまでそりゃハッチャけますとも、ええ。

今回のリクエストは、

 ヌシカンさんより、

・「ヒャッハー、我慢できねぇ!」(北斗の拳)

 久遠♪さんより、

・「あ…あの女の目……… 養豚場のブタでもみるかのように冷たい目だ…残酷な目だ… 「かわいそうだけど、あしたの朝にはお肉屋さんの店先にならぶ運命なのね」 ってかんじの!」(ジョジョシリーズ)

 F.S.さんより、

・「死ぬな。いや、死ぬね!」(とんねるず)

 ホワイトリバーさんより、

・ジャック・スパロウのコス

 Tomaharkさんより、

・アダルトサマーがイルカ型のサーフボードでサーフィンしながら、「イルカに乗った中年!」と言いながら登場(GTO 沖縄臨海学校の鬼塚登場シーン)

 神薙之尊さんより、

・アダルトサマーの水上走り

 でした。

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