例えば、そうだな、ここに四角い部屋があってだな、そこで君は所謂拷問を受けていたんだ。覚えているかな?いない?…そう、ならそれでもいい。うん、いいんだ。それよりも、君はそうやって随分痛い目に遭って、それからあっこで、そ、そうそう、あっこで。あっこで焼かれた訳だ。うん。大丈夫、心配しないで。私が傍にいるよ。もう大丈夫だよ。ここまで暮ればもう安心さ。君を裏切ることはしないよ。神様の為のお金だーっとか言って、随分貯め込んだツケが来ちゃったみたいだねぇ~…でも、ごめんね、嬉しかったよ。庇ってくれて。くっく~…にしても、その髭どうにかならないのかな?似合わない?うんっ!全ッ然っ似合わない!うん。折角の男前がダイナシだよ。そ、だからほら、こうやって…あ、ちょ、動かないで?斬れちゃうから。うん、よろしい。…くく、騎士の剣で剃髪とは、異端というか冒涜的というか…あぁ、よし、剃れたよ。肌荒れしちゃうと悪いから、後で蜂蜜でも塗り込んであげましょう。…あぁ、でもその前に、コレ、この傷…遺っちゃったんだね。ふふ…違うか、私が望んだことなのか…火傷の痕が、腕に足にと奔っているね…痛い?痒いかな?…そう、気にならないなら好かった。あぁ、消えない。消せない。私が、消させないのか…。そのままで、いてくれるの?そっか、ありがとう。…記憶は、流石に戻らなくって安心したよ。そっか、私の君への想いが偽物じゃなくって安心したんだよ。でも、もしかしたら願ってたかもしれないけど。思い出してしまえって、ね。痛いこと、苦しいこと、戸惑い嘆き荒ぶ君に、君に陵辱されると言うのも…いいや、言いっこなしだ。ごめん。悪い部分が出てきちゃったよ…苦しくない?痛くない?悲しくない?…うん、わたしも…私もだよ。君のお陰。…ふふ、呪いのこと?うん、蒔いてきた。って言っても、私は寛大だからね。一息に、だよ。一息に呑み干してきたよ。貫いて焼いて、断ち切ってきたよ。後世に遺るような何者かになりたいって願望が、無かったと言ったら嘘になるけど、もう今は微塵もないかな。寧ろ、全部全部塗りつぶしておいたくらいさ。後腐れなく、グサ~っと。書き換えるのは美しくないからね。ただ暗然と、虚空に消えてなくなってしまえばいい。だから、上書きしただけだよ。何もなかった。私達の痛みと悲しみも、奴らの痛みと悲しみも。どっちもどっちってことにしといてあげた。そういうコトにしておくよ。…あんまり、気を揉んでると疲れるからね。気に掛け続けるのも馬鹿らしい。痛みも怒りも悲しみも恨みも…全部全部、私と君が平らげたってことで。…え?許す?いやいやいやいや…ナイわ。それは。私、別に許した訳じゃないんで~。ただ、これから君と過ごす時間に、その中に少しでも過去の遺物とか、嫌な思い出を持ち込みたくないだけなんで~。なんで~、うん…そう、君が好きだから。ただそれだけだよ。今こうして、ここに居るのも。君の隣を選んだのも。女の体になってまで復讐完遂するとか、正気じゃないって自分でも思ったけど。迷いも何もなかったなぁ~…ま、まぁまぁ、そこまで変でもないよ?私、総長にまでなった男だよ?今は女だけど…だからさ、考えてもみてよ、伊達に人を呪い殺せるほど狂ってないって。…いや、まぁ呪いは呪いでも、悪魔って言うよりはもっと質の悪ぅ~い何かだけど。あぁっと、要するに私は変わってないってコト!君と一緒に居た時とおんなじ。これまでも、これからもキモイくらいに狂信が決まってるジャックだよ。昔から変わらず、今までは二股に近かったからね、これからはずっと一途だから安心して?クックックッ…今度は私が君を魔性の美貌で惑わす側になるんだから…覚悟しておくんだね?ふふ…うん、そうだよ…今更言ってもアレだけど、君に惑わされて、その誘惑に負けそうになったから修道士に…そういう側面もあったってだけ!…そ、それが全てじゃないし。でも、うん…今度はその必要もないもんね。うふふ…最後に勝ったのは異端っていうのも、中々に毒が効いててイ~イ感じ、案外悪くないかもよ?