吸血鬼と魔法少女たち ※連載停止   作:眼鏡花

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いやー、…思ったように表現できないこと。
そのうち、サブ投稿で別の作品を投稿してみようかな… by眼花

何でも「東方で今まであんまし見なかったようなキャラ」を求めているようでして。でも、神主に失礼じゃないだろうかとも心配はしていました。
まあ、その時は生暖かい目線で見守り下さい。 by鏡



少女からの招待状

「…むう…どうしたものか。誘いを受けた以上、それを断るのもまた不躾だ。しかし…」

 

 疲れた様な雰囲気を醸し出しながら、ライネスは廃ビルに戻った。その様子を見ていたアモンはライネスの足元にすり寄り、どうしたのかと目で訴えかけた。ライネスはそれに気が付き、「…厄介な事になってしまってね」と、申し訳無さそうにアモンに言った。

 

「ホー…」

 

 アモンは気にしてないと伝える為に頭を横に振った。

 内心では、自分達は手駒、マスターは自分たちを操る存在なのに、何故こんなにも優しく接してくれるのか?と頭を回していた。

 ―――まあ、アモン自身はその答えを既に出しているので、すぐにその考えを打ち切ったが、どうやら癖の様だ。

 ライネスはそれを見て「ありがとう」とだけ返して、アモンに告げる。

 

「アモン。済まないがもう少ししたら六匹全員で私の部屋に来てもらっても構わないか?説明は、その時にしよう。場所は…シグナムとヴィータと名乗った二人と私が会談した部屋だ」

 

 六匹。ベアード、レオ、タイラント、アモン、アジ・ダハーカ、ヘカントンケイルを纏めて表す際の通称であり、ライネスの使い魔の中でも特に屈強であり、他の使い魔には無い、ある共通点があった。

 それは―――魔術を扱えるという事。尤も、タイプ・キメラの三匹に関してはライネス自身が身体を作ったので、ある意味使えて当然だと言える。

 

 但し、使えると言っても、殆どが一芸特化で中には“使う使える以前に条件を満たしたら強制発動”―――しかも、その見かけから言って本当に魔術なのかと疑うような物まである―――という使い魔まで居るのだ。

 

…察しのいい読者の中には、どの使い魔の事を言っているのか大よそ見当は付いている方は居る筈だと思われる。そんな方は、心の中に封じておいてもらいたい。

 

 タイラントは、少し前に使ったがマスターであるライネスと同じ様に水系統の魔術を扱うことが出来る。だが、タイラントは顎の力強さを誇りに思っている節があり、空を泳ぐ以外の為には滅多な事では使いはしない。

 

 他は、その時が来るまでお楽しみに。

 

「ホー」

 

 了解。その様な意味合いを込めてアモンは一鳴きの後、首を縦に振った。

 

 

 

 

 

 

 

 三十分程経過した後、言われた通りの部屋に六匹が集まっていた。ベアードは二本足で立ち、レオは伏せる様に座って、タイラントは眠たそうな目を何度も閉じたり開けたりしながら、アモンはレオと同じ様に伏せ、アジ・ダハーカは三つの顔で、六つの目でベアードを睨みつけ―――ただし、その視線には憎悪などの感情は込められておらず、戦友を見る様な眼をしていた。ベアードもそれに気が付き、一瞬だけ睨んで顔を逸らした―――、へカトンケイルは珍しく胡坐を掻いて、細い腕の群れを全て膝の辺りに乗せていた。

 

「…ふむ。全員集まったようだね。アモンよ、ありがとう」

 

「ホー…」

 

 気にするなというニュアンスを込めた一鳴きだったが、その込められたニュアンスに気が付いたのは他の使い魔達だけであった。

 ライネスは影から椅子を一つ出し、背凭れに自らが身に着けているロングコートを掛け、その椅子に自らも腰かけた。

 

「さて。今君達を集めた理由なのだが…簡単に言えば、食事会に誘われたのだよ」

 

『―――は?』

 

 へカトンケイルが、この場に居合わせた使い魔達の総意を口にした。

 他の使い魔達は言葉に出せないが故に、両目を見開いて驚いていたり、説明を求めるような視線をライネスに送る。

 

「むう…そうだな。タイラントとへカトンケイルはともかく、他の皆は半年程前の事を覚えているだろう。あの時助けた少女らに、あの時の礼をしたいとせがまれてしまってね」

 

「…ホー」

 

『グルル…』

 

「グゥ…」

 

「…」

 

「……」

 

『…はぁ』

 

―――このお人好しめ。

 

 六匹の使い魔達は皆、その結論に達した。このメンバーの中で一番新しいタイラントでさえも、内心「ああ、マスターの良くて悪い所か…」等と思い、最も古株であるベアードは「またか…」と顔があったのならこれでもかと言うほど疲れた顔をして居ただろうとすぐに判断できるくらいには呆れていた。

 

 レオは「まあ、良い事をしたのだから寧ろ称えるべきか?」と考えだし、アジ・ダハーカは「…確か、この国の言葉で『馬鹿は死んでも治らない』っていう言葉が在ったな…」と遠い目をし、アモンとへカトンケイルはもう色々と諦めだしている。

 ―――と、そこまで考えて。

 ここに居る六匹に等しく、嫌な予感が襲い掛かった。

 

『マスター…一応確認するけどさ。どうしてボク達にまでそういう話が来るのかな?』

 

 再び、代表としてヘカトンケイルがライネスに問う。だが、へカトンケイルは早々に諦めた様な顔を、アモンは上げていた頭を完全に下ろし、各使い魔達もそんなへカトンケイルとアモンを見て殆ど諦めていた。

 

「…その際に、「あの時に一緒に居た動物達も一緒に連れて来て欲しい」とせがまれてしまってね。如何したものかと考えていたのだよ」

 

 ―――だが、その言葉を聞いて全ての使い魔が意外そうな顔をした。

 使い魔達が危惧していたのは、ライネスの悪い癖と言うべきだろうか。本人が別に魔術の秘蔵とかをあまり気にしない為、ライネス本人からすれば「使い魔達と仲良くしてほしい」という、ある種の親心から来るものだ。

 使い魔達も、それは嬉しいと思っている。

 だが、それが空気を読まずに、何時起こってもおかしくないのだから質が悪い。

 

「それで、ベアード、レオ、アモン、アジ・ダハーカ。君達は参加したい。お前達の分の食事も用意するとの事だよ。へカトンケイルとタイラントも同様だ。…どうする?」

 

『…ちょっと待って。皆と相談するから』

 

 へカトンケイルはそう言って、頭全体に付いている夥しい数の目を全て閉じ、何かに集中しだした。

 

 

 

 

<さて皆。皆はどうしたい?>

 

 へカトンケイルが念話で他の使い魔達に問いかけた。ライネスにも聞こえてはいるが、どの様な事を話しているかまでは分からないのだ。

 

<儂は参加するとしよう。それに、あの娘達とは面識があるしのう。頼まれたからには、断るのは、なあ…>

 

<…?ベアード、何かあったの?>

 

<オレもベアードに賛成だな。あんな凄惨な場を作り出したのにも関わらず、その上でオレ達を呼んだのだという風に考えるのならば、尚更断るわけにはいかない>

 

<まあのぅ…>

 

<…相当エグイ事を仕出かしたことは良く分かったよ>

 

 ベアードは何かを気にする様に語尾を濁らせ、レオがそれについての補足を触れる程度にしながら自らも賛同した。

 

<オイゴラクソ猫!俺様は別にそんな事はしてねえ!したのはベアードとてめえ位だろうが!>

 

<…ほう。よく言った。人間一人頭から丸呑みにした馬鹿爬虫類の分際でよく言った>

 

<<………―――表ぇ出ろ!>>

 

 アジ・ダハーカが喧嘩を売り出し、レオがそれを買い、口喧嘩為らぬ念喧嘩を繰り広げ、早くも実力行使も止まない状態が出来上がってしまった。二匹とも相当気の短い様だ。売り文句に買い文句とはよく言った物である。

 

<喧嘩は良くないよー。面倒臭いし、唯怪我するだけからねー>

 

<タイラントの言う通りだ。喧嘩は止めろ。レオ、アジ・ダハーカ。話が進まなくなるだろう。それとも、マスターを困らせたいのか?>

 

<…すまない、頭に血が上っていた。…すまなかった、アジ・ダハーカ>

 

<…こっちも悪かったな>

 

 極めて怠そうに、何と言うか、見てくれと念話での声が一番噛みあっていない―――イメージ的には全く持って文句は無いのだが―――タイラントが二匹に呼びかけ、アモンもマスターの存在を会話の内容に混ぜる事によって、二匹の喧嘩を鎮めて見せた。

 

<ふう、また大変な事になる所だったよ。アモン、ありがとう>

 

<何、私もこういった事にはお前程では無いが、直面しているからな。それに、話が進まなくなるのも事実だ。それで、アジ・ダハーカ、タイラント、へカトンケイル…君達はどうする?私は参加しようと思う>

 

 暗に一番の苦労人はお前だと言いながら―――聞かされた側は内心『君も苦労してるんだね…』と苦笑いしながら―――自らも食事会に参加する旨を周囲に伝えるアモン。

 

<じゃあねー、僕も行くよー。ご飯は食べなくても大丈夫だけどー、偶には食べたいしねー>

 

<お前の頭は食う事か寝る事か戦う事だけかっての…俺様も行くぜ。実際、俺様もあの場に居たからな>

 

<アジ・ダハーカ…それ、君が言えた義理じゃないと思うんだけどなぁ…。…ボクは残るよ>

 

<何故じゃ、ヘカトンケイル。こういう誘いを受けたら、参加して返すのが礼儀じゃろうて>

 

<うん、それはよく理解してるよ。でもね―――>

 

<<<?>>>

 

<…そういう事か>

 

<あー、成程ねー>

 

 ヘカトンケイルは言葉を区切り、アモンとタイラントはヘカトンケイルが何を言わんとしているか気が付いたとばかりに納得の言葉を口にした。

 

<―――ボクかアモンが居なかったら、他の使い魔(皆)のまとめ役は誰がやるの?>

 

<<<……あ>>>

 

 そう。こういう事だ。

 使い魔達のまとめ役は、基本的にアモンかヘカトンケイルが請け負っている。その請け負っている二匹がどちらもこの場を離れてしまうとなると、もしかしたらこのビルから悪戯心から抜け出そうと考える名無しの使い魔達も居るのだ。

 

<んー、でもねーヘカトンケイルー?その心配は必要無いと思うよー?>

 

<え?どうして?>

 

 だが、ヘカトンケイルの言い分に異を唱えたのは、タイラントだ。

 他の使い魔達もタイラントの意見に注目しているようだ。

 

<だってー僕達全員で脅せばいいじゃーん。外には絶対出るなよー?出たらー、―――肉片一つ残らず食っちまうぞ―――ってねー>

 

<<<<<……………>>>>>

 

 さらりと、恐ろしい事を口にした。一部の発言において念話の声が全く別人の様に変わっていたが、これがどちらも本質的には無邪気で、それで居てどちらも素なのだから更に増して恐ろしい。

 

<じゃ、じゃあ、ボクも参加させてもらうよ…じゃあ、そろそろマスターに伝えなきゃね>

 

 

 

『―――マスター、ここに居る全員で行くことになったけど、大丈夫?』

 

「問題あるまいよ。ああ、それと。忘れない内に伝えておこう。食事会の実施日だが―――四日後の夜に行うそうだ。忘れないでくれたまえ」

 

 ヘカトンケイルがライネスに伝え、ライネスがそれを聞いた直後、食事会の日程について語った。

 

『了解。…マスター、確認したいんだけどいいかな?』

 

「何かね、ヘカトンケイル?」

 

 ヘカトンケイルに、迷う様な、悩む様な素振りをしてから、ライネスに聞いた。

 

『ここはマスターの魔術で強化してあるからともかく、マスターが助けたって言う少女達はお金持ちの家なんだよね?そうしたらさ…』

 

「お前がそこに居たらその重さで床を突き破り、弁償する様な事には為らないか?という事かね?」

 

『…そういう事』

 

 ヘカトンケイルの意見にライネスは少し黙り、「それならばお前の体の何処かに『PEORTH』を書き込んだ魔法陣を張り付けるかね?」と聞いた。

 

『…それって意味あるの?』

 

 ヘカトンケイルがそう尋ねると、ライネスは半ば考え込む様に語った。

 

「恐らくは大丈夫だろう。ヘカトンケイル、お前の重さを周囲の物体から『秘密』にしてしまえば、或いはと考えたのだがね…何、方法は当日までに考えればいい。影は最終手段としよう」

 

 つまり、何が言いたかったのかといえば。―――

 『その物体はヘカトンケイルの重さを知らない』のだから、『床が重さが掛かっている事に気が付いていない状態』を作り上げればいい。

 ―――と訳の分からない屁理屈の様な言い分だが、そういう訳だ。

 

「では、話し合いはこれで終わりだ。各自、見張りに戻ってくれたまえ。私はヘカトンケイルに掛ける魔術を考えているよ」

 

 ライネスが言葉をかけ、六匹の使い魔はぞろぞろと部屋から出て行った。

 それを見届けたライネスは、影から机と白紙に羽ペン、黒インクを取り出し、ヘカトンケイルに掛ける魔術を考える作業に没頭した。

 

 

 

 

 




今回、文字数が少なくてすみません、誤字脱字・ここはこうした方が良い等のご指摘があれば、よろしくお願いします。

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