兎使いの死神さん   作:モツ汁

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【続】兎との出会い

 

 私は今、超のつくレアモンスター《ラグー・ラビット》と遭遇している。幸運なことに《隠蔽》を使っていた私は、まだ相手には気付かれていない。このまま《投剣スキル》で仕留めたいところだが、生憎私はまだ《投剣スキル》を取得していなかった。

 

 私は現在LV32、《スキルスロット》は6つ。《両手斧》《隠蔽》《軽業》《疾走》《料理》あと例外のエクストラスキル《体術》がある。どうして《料理》を序盤にとってしまったんだい私は。

 

 ......でも仕方ない事だったのだ。今まで倹約と称して毎日の食事を売価一コルの黒パンだけで済ませていたのだ。

 

 多少はパンの上にクリームを塗るなどの工夫をしたり、物足りなくなったらNPCプレイヤーの料理屋に突撃などをした。だが、下層のNPCプレイヤーの料理は美味しいといえるものではなく満足できなかった。もっと美味しいものが食べたい。そんな気持ちの中での倹約生活を半年近く続けていた結果。

 

 そしてついに私の限界が来た。

 

 LV30に達し、スキルスロットが一つ増加した私は真っ先に《料理》スキルをスロットに叩き込んだ。そのあと食材に使えそうなモンスターを根こそぎ倒し回り、街で売っている食材を片っ端からかき集め、拠点にしている宿にとじこもった。そのあと《料理》スキルを三日三晩徹夜続きで鍛えはじめた。《睡眠》など、美味しいものを食べるためには我慢できる。鍛えなきゃ(使命感)。

 

 

 メッセージを送っても反応が無いことに気が付いたメイス使いの友人が私が止まっている宿へと突撃。ひたすら料理を作り続ける私を強制的に寝かせるために頭をメイスで思いっきりぶん殴ったのは余談である。

 

 

 

 無駄な回想を振り払い、目の前でのんきに食事中の《ラグー・ラビット》を見た。相変わらずパンは口に加えたままである。食べる余裕がないのだ。

 距離は......およそ五メートルくらい。ラグー・ラビットの逃げ足の速さからして気付かれたら逃げられる。こちらは《隠蔽》が発動している。近づいて接近で仕留めるしかない。

 決心した私は息を殺し慎重にラグー・ラビットへ近づいてった。こちらを向いていないときにゆっくりと近づく。四メートル.......三メートル....あと.....二メートル...。視線下側の《隠蔽率》を見るといまだに75%と高数値の《隠蔽率》を維持していた。だてに《隠蔽》を完全習得しているわけではない。直視し続けられない限りはばれない。

 残りの距離が一メートルを切り両手斧の攻撃範囲に入った。   ―――っいける!! 

 

 私は《隠蔽》を解除し両手斧を降り下ろそう――と思った瞬間。私はラグー・ラビットと目があった。つぶらな瞳が私の姿をじっと見つめていた。私たちは暫しの間、互いに見つめ合っていた。

 とりあえずだ、落ち着け私.....斧を降り下ろせば済む事だろう......何を躊躇っているんだ私は.....でもこの兎さん....

 

 とても可愛らしい 

 

 私は無意識に両手斧を背中に納めた。何故か逃げ出さないラグー・ラビットの目の前にしゃがみこんでみる。木葉に紛れる灰緑色の毛皮、体長以上に長く伸びた耳。とても愛嬌がある顔だ。じっとこちらを見てくるので、口に加えたままだった食べかけのサンドイッチの野菜を与えてみた。ラグー・ラビットは、警戒する事なく私の手の中の野菜を食べ始める。もっさもっさと野菜を咀嚼する音が響く中、私の視界中央に半透明のメッセージが出現した。

 

 

【《ラグー・ラビット》の飼い馴らしに成功しました。】

 

 

 食材目当てで襲いかかったはずなのにテイムに成功してしまった。ただでさえテイムは珍しい。しかもあの超レアモンスターの《ラグー・ラビット》だ。少しばかり今後の問題ができてしまった事に頭を悩ませたが、テイム嬉しさでその悩みは一瞬で霧散した。

 私はラグー・ラビットを優しく両手で持ち上げ告げた。

 

「お前さんの名前はラビィ!これからよろしくたのむよ!」

「きゅる!」

 

 1年以上付き合うことになる相棒の誕生の瞬間だった。

 

 

 

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