ガンダム水星の魔女、第三期、火星の魔王   作:赤地鎌

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後々の戦い、そして、デリングとミオリネ達に起こった過去…


第35話 争いと記憶

 

 二十数年前…

 ナノマシンの調節カプセルの中に二十代のゾルダスがいた。

 ゾルダスがいる調節カプセルの他に多くのカプセルが並び、その中に人が浮かんでいる。

 その光景が永遠のように広がる施設。

 

 ゾルダスの調節が終わってナノマシンの調節カプセルの蓋が開いて、病人服のゾルダスが体を起こすと…

「調子はどう?」

 

 プラチナブロンドの女性、ミオリネの母親であるノートレット博士が顔を見せる。

 

 ゾルダスは首を解し

「ああ…感覚に問題ない」

 

 ノートレット博士は持っている端末を見て苦しそうな顔で

「ナンバー99、シロウ君、キミはアーマードのマシンナーのナノマシンとデータストームの元であるパーメットの親和性が桁違いに高いわ。そのせいで…アナタの体は…」

 

 ゾルダスは肩を解しながら

「問題ない、アーマード融合率30%を超えても…大丈夫だ」

 

 ノートレット博士が

「ごめんなさい。男性であるアナタは、アーマード融合率30%を超えると生殖による子孫を残す事が…」

 

 ゾルダスが

「気にしてない。どうで、何処にでもいる世界のたった一つの点だ。オレ一人が子孫を残せなくなったとしても…世界は回る。問題ない」

 

 ノートレット博士が悲しげに

「彼女は、テレイア将軍との事は…どうするの?」

 

 ゾルダスが

「次の任務は、敵対する火星解放軍の艦隊殲滅だ。それに…勝て…言っていた。多分、それで、融合率は90%を超えるだろう。もう…どうでもいい。テレイア将軍にとって愛は自分の手段を行使する為の詭弁だ。知った事か…」

 

 ノートレット博士が悲しげに

「ごめんなさい。私達が…プラントの管理者や、火星の統治者の関係者が、その位置にいる私達が…もっとしっかりしていたら…」

 

 ゾルダスが

「なってしまった事は仕方ない。過去は変えられない。そして、未来が最悪だと決定していても…進むしかない。それが生きるって事なのさノートレット博士。まあ、お偉いさんの家系であるアンタには…」

と、フッと笑み

「ごめん、ヒドい事を言った」

 

 ノートレット博士は笑み

「良いのよ。それをいう権利は、アナタ達にあるわ。アナタ達を兵器として改造し運用し、その死後までも…利用する外道だから」

 

 ゾルダスが手を振って

「それでも、ノートレット博士はオレ達に良くしてくれた。アンタの幸せを願っているよ」

 

 

 それから数年後、とある一団が火星統一連合へ顔合わせをした。

 それは…デリング達、カテドラルの一団だ。

 

 カテドラルのトップのデリングとその部下のラジャンに若き痩せているケナンジと他の部下達だ。

 

 その一団が通る通路の壁にゾルダスが背を預けていた。

 

 デリングがゾルダスを見て

「キミは…」

 

 ゾルダスがデリングを見て

「お前は必ず破綻する。デリング総統…」

 

 失礼な物言いにケナンジが飛びかかろうとしたのをラジャンが止める。

 

 デリングが

「ほう…その理由は?」

 

 ゾルダスが

「問題の根幹は、ガンドARMの技術じゃあない。人間の愚かさだ。それをガンドが原因、ガンダムが元凶というスケープゴートをしている限り、絶対に問題は解決しない」

 

 デリングがフンと傲慢に鼻を鳴らし

「それが、火星の英雄としての限界か?」

 

 ケナンジが驚きを見せてラジャンは静かだ。

 

 ゾルダスが怪しく笑み

「いいや、老婆心からだよ。火星は…先を行っている。お前等の未来が火星だ。だから、予言してやる。絶対にお前等はどん詰まりになる。そして、火星のメルカーバのような結末を迎える」

 

 そこへ「ゾルダス!」とノートレット博士が来た。

 

 ノートレット博士が「すいません」とデリングの元へ来る。

 

 デリング達がノートレット博士の先導で進み始めると、デリングがゾルダスの通過途中で

「私からも言って置こう。私達はお前達のような愚行は絶対にしない。所詮、敗者の寝言をいくら聞かせても無意味だ。装置の一つして何も出来なかった無能の英雄、火星の魔王とは違う」

と、デリングはゾルダスに言い残して去っていた。

 

 ゾルダスは怪しく笑ったまま

「傲慢のツケは…ヒドい事になるぜ」

 

 そして、ここから数年後、デリング達、カテドラルは完全に閉塞した。

 ガンダムが消えて、そのガンダムが呪いであり禁忌であるという幻が組織を維持する理由になり、ベネリットグループも、地球圏も、何もかも進まない状態へ落ち込み。

 ジワリジワリと自分達の首を絞める結果となり。

 その不満によって、デリング達の本拠地であるプラントでテロが起こり、デリングは最愛の妻ノートレットを無くした。

 デリングは、大切な家族を守れなかった呪いによって、娘のミオリネから愛される事、愛す事が、自分にとって相応しくないとして…娘ミオリネを遠ざけた。

 デリングは…罰して欲しいという思いを抱えて、それを娘のミオリネに任せてしまった。

 自分は、愛される価値がない人間であり、罰を受けるべきだ。

 娘ミオリネに嫌悪される事で…その罪悪感を…。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 現在、ゾルダスであるデュオが乗るGUDAMケラノス・ギアントと、その機体を操縦するラウノとティアナの二人。

 

 ティアナが左にいるデュオに

「どうするの?」

 

 デュオがズームされるオックスアースの残党の部隊を見る。

 宇宙戦艦は二隻、無人兵器達が大量に乗るデューン・スポーンは四隻。

 かなりの大部隊だ。

 

 デュオが渋い顔をしていると…

「ラウノっち、ティアっち」

と、ゾフィアとノディアにガジタールの三人のGUDAMがGUDAMケラノス・ギアントの周囲に到着する。

 そして、その後方には、イオスが操縦する宇宙船艦が近づき、イオスが宇宙戦艦とリンクして、無人操縦のMSを使って宙域で負けて浮かぶアレウスの女性陣のGUDAMアフェドを回収する。

 

 GUDAMケラノス・ギアントの一団に残りのブシードの部隊も来て、ブシードが

「これは、決闘どころではないな」

 

 デュオが

「ラウノとティアナ」

 

 前の席にいるラウノと、デュオの右の操縦席にいるティアナが、簡易席にいるデュオを見る。

 

 デュオが

「無人機を放出するデューン・スポーンを優先的に叩く。他の有人機は無視」

 

 ラウノが

「でも、他の有人機のMSが襲ってきたら…」

 

 ゾフィアが

「その露払いは、アタシ達がやるよ!」

 

 ラウノがゾフィアの通信画面を見つめるとノディアが

「無論、殺人はしません。行動不能にするだけです。重力駆動のGUDAMなら可能です」

 

 ブシードが

「総員、重力エネルギー装備で対応、有人機は頭部、腕、足、背面の推進スラスターの破壊で航行不能にするだけだ」

 

 デュオが

「ラウノ、ティアナ…お前達は人殺しになんてなるな、いや、させない。その力をGUDAMケラノス・ギアントは持っている。大丈夫だ」

 

 ラウノとティアナはお互いに頷き合い

「分かった」とラウノ

「デュオを信じる」とティアナ

 

 デュオが

「デューン・スポーンを破壊するには、エネルギーが必要だ! Yデータを使ってメルカーバから重力エネルギーをチャージさせるぞ」

 ラウノとティアナがいる操縦席にYデータ認証のセッティング画面が上がってくる。

 それにラウノとティアナが

「Yデータ認証」

と、同時にタッチした瞬間、遙か宇宙の彼方から重力エネルギーのビームが届く。

 

 ”Yデータ認証確認、メルカーバより、エネルギー供給を開始します。”

”メルカーバより重力エネルギー供給、充填率120、130、150…200、臨界点突破”

 

 エネルギー充填完了の音声が操縦席に響く。

 

 ラウノが

「ティアナ、行くよ!」

 ティアナが

「ええ!」

 

 GUDAMケラノス・ギアントを先頭に一団はオックスアースの残党へ向かう。

 

 GUDAMケラノス・ギアントは亜光速の早さでデューン・スポーン達に接近すると、強力な重力砲を発射して、デューン・スポーンの二隻を破壊。

 

 その後、ブシードのアレウス部隊が宇宙戦艦から発進したMSの相手をするが、発進されたMSに生体反応はない。

 ブシードが

「これは…データストーム兵士か…」

 そう、オックスアースの残党が使っているMSはデータストームの記憶、メモリーデータストームの残滓によって人が操縦するような動きで戦っている。

 だが、所詮は記憶をコピーしただけの紛い物。

 アレウスには及ばない。

 MSは大破する。

 

 そして、ゾフィアとノディアにガジタールの三人は、GUDAMケラノス・ギアントの護衛として続き、デューン・スポーンから放たれる無人兵器MS達を破壊する。

 

 GUDAMケラノス・ギアントは、次のデューン・スポーン二隻を破壊すると、放出された無人兵器達は、宇宙戦艦の制御となり戦うが…結果は、火を見るより明らかだ。

 

 有人である宇宙戦艦にいるソロモンが

「撤退する」

 

 ブリッジにいる兵士達が「了解」と告げると、無数の閃光ミサイルや攪乱ミサイルを発射して、デュオ達を攪乱。その間に逃亡した。

 

 遠くへ逃げるオックスアースの残党の宇宙戦艦二隻。

 

 ティアナが

「どうする?」

 

 隣にいるデュオが

「追跡するな、それは…あっちの仕事だ」

と、後方から迫るドミニコス隊の艦隊を見る。

 

 そう、テロリストの追跡と逮捕は、彼らの仕事なのだ。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 二日後、デュオはオデッセウス学園の地球学園部分のベンチに座って、とある人物…いや、ドミニコス隊のケナンジから質問を受けていた。

 

 ケナンジが

「つまり…アナタ達は決闘している途中で、オックスアースの残党に遭遇した…と」

 

 デュオがうんざりした顔で

「そうだ。何度も言っているだろうが…報告書にもそう書いてあるし、聞くなよ」

 

 ケナンジが

「いえ…色々と…おかしな部分がありましてね」

 

 デュオが

「おかしな部分って、どこだよ」

 

 ケナンジが細い目で

「どうして、アナタ方が重要なYデータを持っていると…オックスアースの残党が知っていたの?」

 

 デュオが

「多分、オレが木星からGUDAMギアントを持ち出す時の混乱で知ったんだろうよ。その程度の力はあるだろうが。いや、もしかしたら…」

 

 ケナンジが

「もしかしたら…」

 

 デュオが怪しい笑みで

「ティアナのメルカーバを平和利用するってのを気に入らない連中がいて、オックスアースの残党に…」

 

 ケナンジが呆れつつ

「そうですか。つまり、内通者は他に多くいると…」

 

 デュオがベンチに背を大きく預けて

「ああ…数え切れないくらい、いるだろうよ」

 

 ケナンジが

「分かりました。ですが…アナタの疑いが晴れた訳ではありませんから」

 

 デュオが呆れた顔で

「どうして、オレが疑われるんだよ」

 

 ケナンジが

「アナタには空白の十年がある。火星統一連合から出奔して十年…アナタは木星で鉱山作業者として生きてきた…と言っていましたね」

 

 デュオが

「ああ…そうだが。経歴に間違いはないだろう。務めていた会社のデータにも、ちゃんと残っているぞ」

 

 ケナンジが

「それが偽装だったら?」

 

 デュオがフンと鼻息を荒げて

「昔は、真っ直ぐとした熱血だったのに、オレと同じく大人として穢れちまったなぁ…ケナンジ隊長さん」

 

 ケナンジが溜息を漏らして

「誰だって若い頃のように純粋ではいられませんから…」

と、自分の右腕を押さえた。

 

 デュオがそれを見て

「まだ、ファントムペイン…幻肢痛に苛まれるのか? 仲間を殺したあの時の事を思い出して…」

 

 ケナンジが強く息を吐き出して

「話は、ここで終わりです。また…お話しましょう」

と、去って行く。

 

 デュオは上を見上げて「ダリーー」と呟いた後、ベンチの脇にある林からイオスが飛び出した。

 葉っぱが頭に乗っているイオスがシーと指を立てた。

 

「え?」と首を傾げるデュオ。

 

 デュオの公園の奥から探査ヘリポッドに乗ったハロ達を連れたミオリネが来て、その気配を察してイオスは草陰に隠れる。

 

 呆然とするデュオにミオリネが来て

「ねぇ…ここにシャディクのヤツが来ていない?」

 

 デュオが、ええ…と困惑な顔で

「いや、その…ケナンジ隊長ならいたぜ」

 

 ミオリネが苛立ち気味に

「アイツ…どこに行ったのよ…」

 

 デュオが

「どうしたんですか? ミオリネ代表…」

 

 ミオリネが

「アイツは間違いなくシャディクなのよ。問い詰めて…自白させてやる!」

 

 デュオは顔を引きつらせる。

 うわぁ…ご執心で…

 そう思いつつ

「その一途な所…母親のノートレット博士と同じだね」

 

 ミオリネがデュオにロックオンして

「どういう意味?」

 

 デュオが得意げな顔で

「ああ…そういう意味だよ。ノートレット博士とオレ、つき合っていたんだよ」

 

「ははははははぁぁぁぁぁ」とミオリネは驚きの声を上げる。

 

 その間にイオスは逃げて行く。

 

 イオスがデュオが生け贄になってくれたお陰で難を逃れた。

「後で…お礼を言うか…」

と、イオスが自分達のスペースへ戻ろうとすると…

「あの…」

と、イオスの後ろから声を掛けた人物がいた。

 イオスが振り向くと、そこには…かつてシャディクと懇意にしていた五人の彼女達がいた。

 ザビーナを先頭にレネとエナオ、イリーシャにメイジーが

 

 イオスが彼女達を見て

「あの…私はシャディクでは…」

 

 ザビーナが頷き

「分かっています。だから、お話を聞かせてください。アナタは…シャディクの記憶をメモリーデータストームを持っていると聞いて」

 

 イオスがメガネを押さえて

「ミオリネ代表のようにしないなら…」

 

 ザビーナが頷き

「お約束します」

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 デュオが公園のベンチに座ってミオリネから襟を掴まれている。

 身長差でちょうど良い位置にミオリネの襟首つかみがある。

 

 ミオリネが鋭い顔で

「アンタ…母さんとなんだったのよ…」

 

 デュオがニヤニヤと笑み

「そりゃあ、大人の男女の付き合いさ。元カレってヤツ」

 

 ミオリネの襟首つかみの力が強くなる。

「何時から…」

 

 デュオはそのままで

「二十年前かなぁ…。オレが別の女と破局して、その後、ノートレット博士とつき合ったのさ」

 

「はぁ…」とミオリネが殺気を伴った視線を向ける。

 

 その姿は、昔のノートレット博士とそっくりだ。

 デュオが笑みで

「本当に母娘ってのは恐ろしいな、その顔…その詰め方、母親そっくりだ」

 

 ミオリネが襟首から手を離して

「で、それを言ってアンタは…どうするつもりよ」

 

 デュオが

「イオスはシャディクじゃあねぇ」

 

 ミオリネは溜息を漏らして

「なるほど、アンタが囮になって逃がしたのね」

 

 デュオが淡々と

「シャディク・ゼネリは死んだ。イオスは、その記憶を学習に使った人工生命体だ。似ている所があるからって同じじゃあない。ミオリネ代表と、オレが知っている母親のノートレット博士のようにな」

 

 ミオリネが黙ると

「そこで何をしている」

と、デリングが護衛を連れて来た。

 

 ミオリネがデリングを見て

「いいえ、何でもありません。ベネリット議長」

と、言って去っていた。

 

 デュオがデリングに

「いい加減に娘に本当の事を話したらどうだ?」

 

 デリングがデュオの隣に座って、護衛達を外し、デリングとデュオが二人でベンチに座る。

 

 デリングが

「あの時は…世話になった」

 

 ◇◇◇◇◇

 

 それは昔の話である。

 

 ミオリネが幼い頃、ミオリネ達がいたベネリットグループの本社プラントがテロリストに襲撃された。

 襲撃したテロリストは、ベネリットグループの傘下にあるドミニコス隊の一部だ。

 

 デリング達がやっていたガンダム排斥は、行き詰まった。

 ガンダムという危険な存在さえ無くせば上手く行くと…。

 だが、それは新たな争いの火種となった。

 オックスアースの解体、それに伴う闇への技術流出。

 そして、オックスアースが押さえていた地球の武力の暴走。

 全てが最悪に回り出して…デリング達に牙を剥いた。

 

 デリング達の内部に裏切り者が現れて…

 

「止めろーーーーーー」

と、叫びMSを操縦するケナンジ

 ケナンジが操縦するMSベギルベウは、破壊したかつての仲間達の血で汚れて行く。

 そして、目の前にはケナンジが愛した女性が乗る…ガンダムがいた。

 

 彼女が

「ケナンジ、これじゃあ…何も変わらない。諸悪の根源は…デリングなのよ」

 

 ケナンジが

「アルテイス、止めて…オレは…キミを…」

 

 彼女がアルテイスが

「ケナンジ…誰かが変えないと…もっと世界は悪くなる」

と、ガンダムを走らせる。

 

 ケナンジがリンク遮断のビットを飛ばして止めようとするが、間に合わず…ケナンジは彼女のガンダムのコクピットを…

 

 ケナンジの右腕、彼女を殺す操作をした右手に彼女を殺した感覚が…そして

「う、うおおおうごるううううう」

と、ケナンジは絶望のあまり嘔吐して気絶した。

 

 

 別の頃、デリングは幼いミオリネを抱えて走っていた。

「パパ、ママ」

と、ミオリネは怯える。

 デリングの隣を走る母ノートレットが

「大丈夫よ、ミオリネ」

 

 デリングがミオリネを脱出する戦艦に預けると、戦艦を誘導している兵士が

「これ以上は…後の戦艦に!」

 

 デリングがミオリネの頬を撫で

「ミオリネ、父さんと母さんは、必ず追いつく。先に行きなさい」

 

「うん」とミオリネは先に脱出した。

 

 残されたデリングとノートレットは、次の脱出の宇宙戦艦を待っていると、プラント内を捜索するテロリストのMSがデリング達を見つけた。

「いたぞ!」

と、テロリストのMSはデリング達がいる港を攻撃する。

 

 デリングは、ノートレットの手を取り必死に逃げる。

 そして、MSが置かれた格納庫へ逃れる。

 

 ノートレットがMS達を見上げて

「アナタ、約束して…どちらか…一人が生き残った方がミオリネを…」

 

 デリングが

「ダメだ! キミが…生き残るんだ! 私は…ここで」

 

 ノートレットが肩を掴むデリングの手を払い

「約束よ、アナタ」

と、デリングの頬にキスをして、MSへ乗る。

 

「ノートレット!!!!!」とデリングの叫びが響く。

 

 ノートレットはMSで出撃する。

 

 デリングは、作業用MSで逃げる。

 

「どっちだ?」とテロリスト達が困惑する。

 そして

「あの戦闘用のMSに乗った方がデリングだ!」

と、ノートレットの方を追跡する。

 

 デリングが涙しながら

「うあああああああ、ノートレット!!!!!」

 自分が情けなく生き残ってしまった。

 

 ノートレットは応戦する。

「来なさい! こっちよ」

と、MSの銃器を発砲する。

 

 そして、テロリストのMSがノートレットが乗るMSを追い詰めて

「諸悪の根源! 消えろ!!」

と、ノートレットのMSへ突撃する。

 MSの刃がノートレットのMSのコクピットへ

「ミオリネ…」

 

 そこへテロリストのMSを両断する黒が飛ぶ。

 ゾルダスが乗るGUDAMエクスだ。

 黒き大天使のGUDAMエクスがテロリスト達のMSを粉砕、そして、ノートレットのMSを貫くMSを粉砕する。

 

 GUDAMエクスがノートレットのMSへ降りて、ゾルダスがコクピットへ向かい

「大丈夫かぁぁぁ」

 ゾルダスはアーマード融合率90%を超えている。

 重機のように壊れたコクピットの鋼鉄を剥ぎ取り、操縦席にいるノートレットを見て

「ノートレット! しっかりしろ」

 

 ノートレットはゾルダスに

「ああ…シロウ、お願い…夫に、ミオリネに…私は…愛してるって…」

と、告げて天に召された。

 

 ゾルダスが項垂れて涙した後、悪鬼羅刹の顔になり

「殺してやる」

 

 ゾルダスが全力を持って、テロリスト全員を始末した。

 

 その頃には、火星のプラントや宇宙議会連合の部隊が到着した。

 デリングは、デュオン会長の火星のプラント軍に保護されて、事態が収まった後に。

 冷たくなったノートレットと宇宙戦艦で再会した。

 そして、この事態を引き起こした地球、オックスアースの残党へ宣戦布告し、一掃したが…地球の不安定が加速して、それを押さえる為に戦争シェアリングという方法が成り立つ。

 地球は、ベネリットグループの為にずっと戦い続ける犠牲の生け贄になってしまった。

 宇宙には平和と繁栄を、地球には争いと絶望を。

 

 デリング達は、その呪いから動けなくなってしまった。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 そして、現在

デリングとベンチに座るゾルダス…デュオが

「お前…いい加減に娘に自分を罰して貰うは、止めろ」

 

 デリングが

「ダメだ。私は…私を許せない。ノートレットを失った原因は、全て私にある。だから…ミオリネには、このダメな私を罰する権利がある」

 

 デュオが

「それって、結局、自分を罰してくれるから安心するっていう、アホな自己満足だぞ」

 

 デリングが両手を見て

「それでも、私は娘に愛される価値はない。本当ならノートレットが生き残るべきだった。私があの時、殺されるはずだった。それを…」

 

 デュオが

「お前は、相変わらず、頑固バカだなぁ…だから、行き詰まるって言ったんだよ」

 

 デリングが空を見上げ

「もし、ノートレットが私でなくお前を選んでいたら…」

 

 デュオがバカにしたように笑み

「バカだなぁ…過去を、あ…でもない、こうでもないって思うなんて無駄さ。過去を振り返っても悔やんでも前に進まない。過去には止まるだけ、未来は進める。どんなに絶望な先があっても、一歩進めば変わる」

 

 デリングが笑み

「ノートレットの言葉だな。過去は止まるだけ、未来は一歩進める」

 

 ゾルダスが…デュオが笑み

「そう、過去は止まるだけ、未来は一歩進める」

 

 デリングが微笑む。

 

 デュオが

「だからよ。未来へ踏み出してみろよ。父親として…」

 

 デリングがベンチを立ち

「昔話をして楽しかった。またな…ゾルダス」

 

 デリングが護衛を連れて去って行く。

 

 そして、デュオもベンチを立ち木陰を見ると

「お嬢ちゃん。話そうぜ。どうして、アンタの父親が…ああ…なったのかを」

と、隠れていたミオリネを見下ろす。

 

 ミオリネは少し恨めしそうにデュオを見上げて

「良いわよ。たっぷりと聞かせて貰うから」

 

 デュオが鼻で笑って

「その偉そうな顔、父親そっくりだぜ」

 

 ミオリネは、学園のレストランでデュオからノートレットが亡くなった時の話を聞くのであった。

 

 

  

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