ガンダム水星の魔女、第三期、火星の魔王   作:赤地鎌

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 オックスアースの残党を退け、そして…デュオの過去が…


第36話 証

 

 二十年前の火星、あの日、あの時、あの最悪が訪れた日。+

 

 ゾルダスは、特殊なスーツに身を包んでいた。

 ナノマシンで構築された端末のスーツに身を包み、とある特別なMSに乗り込む。

 そのMSは後々、火星の有人兵器で当たり前になるGUDAMのひな形である。

 

 火星最初のGUDAMアイギスにゾルダスが乗り込む。

 コクピットにゾロアスが入ると、入口に

「やあ…」

と、フリディットがいた。

 フリディットは、テレイア将軍が降格した事で、将軍になった。

 

 フリディットがゾルダスに

「この計画をもって火星は…平和になるだろう。その要になるキミは…どんな気分だね?」

 フリディットは、ゾルダスがコアとなって起動するメルカーバが火星の武力を全て管理するシステムに希望を見いだしていた。

 このメルカーバを生み出す為に、多くの火星の人々の力が集結している。

 無論、ノートレット博士も入っている。

 

 長きにわたる火星の混乱は、話し合いでは決着が不能となり、火星統一連合が出来上がっても、各地で細かな勢力が残って小競り合いが起こっている。

 それを全て制圧する兵器、戦略惑星兵器メルカーバ。

 圧倒的な兵器群と無限にエネルギーを生み出す完全真空相転移炉、パーフェクトゼロによって、膨大なパーメット粒子を生成、宇宙空間にある様々な物質を取り込んで、生成したパーメット粒子によって様々な素材に変えて、無限に近い兵器を生み出す。

 惑星を支配できる兵器。

 

 無論、それを扱うのは火星統一連合であって、様々なコントロールシステムを有している。

 暴走した…なんて想定はしてない。

 メルカーバに意思はない、命令された事を実行する機械であって生命ではない。

 道具でしかない。道具は人が使わないとゴミである。

 

 フリディット達、火星統一連合のトップは…これで長い争いが終わると確信している。

 

 ゾルダスはフリディットを睨み見て

「オレは…お前達がやった事を忘れない。ルグスムーンには、数多くの亡き仲間達の記憶がある…それが、お前達のやった事を忘れないだろう」

 

 フリディットが

「だたの、メモリーデータストームに何が出来るんだ? それにキミもここにいる事自体、私達と同じだろう。人の上に立つ権力を欲している」

 

 ゾルダスは冷たい目で

「オレは…亡くなった仲間達と共に、火星が…平和になるのを信じて戦った。だが、それは結局、お前等…権力を持つ連中の欲望を叶えているに過ぎなかった」

 

 フリディットがフンと鼻で笑い

「その権力にお前は、負けたんだ。だから、メルカーバを動かすキーとしての役割を与えられた。そういう事だ」

 

 ゾルダスが冷たい笑みで

「忘れるな、お前等が自らの権力と欲で振るった結果を、オレ達は忘れていない。ルグスムーンで見ているぞ」

 

 フリディットが離れて

「死人に何ができる」

 

 ゾルダスを乗せたGUDAMアイギスは、予定通り飛翔して宇宙にあるメルカーバへ近づく。

 全長百キロ、平均的なプラントの数十倍も巨大な十字を背負う駒形の惑星戦略惑星兵器メルカーバ。

 その中枢へゾルダスがいるGUDAMアイギスは到着、そのコアである巨大なシステムにドッキング。

 

 ゾルダスが乗るコクピットが変貌する。

 ゾルダスを乗せた席が真っ直ぐとなり、それにゾルダスは張り付いたまま伸びる。

 それは棺のような感じになり、ゾルダスを立てる。

 まるでダイヤモンドの棺のようにゾルダスを装置の壁が包み、ゾルダスを接続コアとしてメルカーバの起動が始まった。

 

 メルカーバは、赤いパーメット粒子を噴出して起動する。

 

 それに火星統一連合は沸いた。

 

 システムは、メルカーバを掌握して全てが順調だった。

 だが…

 

 メルカーバの兵器群を動かすシステム、ルグスムーンが暴走、メルカーバを乗っ取ってしまった。

 そして、メルカーバが火星を攻撃する。

 無限の兵器群と、膨大なエネルギーの前に、火星は四日で落ちた。

 そして、メルカーバが火星を支配した。

 

 メルカーバに生まれた意思が告げる

「我々は、忘れない。お前達の愚かさを…」

 

 それはルグスムーンに保管された一億二千万人のメモリーデータストーム体達の言葉、呪いだった。

 メルカーバの中で火星の人類を支配する意思が生まれ、それを実行した。

 

 それから数か月後に、メルカーバを封印する為に火星のプラントに再びメルカーバを作った者達が集結して、メルカーバを封印するYデータという特別なデータストームを作り出して、それをメルカーバのコアに打ち込む事でメルカーバは停止、そして…何処かへ消えてしまった。

 

 その後の火星は、このメルカーバが残した遺産によって維持される事になった。

 皮肉も支配を拒絶した存在の力によって、火星は維持されるしかない。

 火星統一連合が無力であると…いう証を抱えつつ、火星は今日まで来た。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 そして、現在…。

 

 フリディットを始め、多くの将校や上級士官、並びに火星統一連合の関係者、火星の行政関係者が集まる会議でフリディットが

「この決議に対して、反対をする者は?」

 

 その問いに会議いる全員が沈黙である。

 

 フリディットがとある書類がある端末に触れて

「では、全員の一致をもって、この議会提案を可決する」

と、次々と会議の参加者がその端末に署名をする。

 

 フリディットの隣にいる政府の議長が

「これで…少しは…争いが起こるのが…」

 

 フリディットが

「例え、拒否した…としても…その建前によって火星は維持されます」

 

 議長が

「結局の所、我々は地球を出る前の時代から変わっていない…そういう事か…」

 

 フリディットが

「ええ…人類が変わるまでには、まだまだ…時間と歴史が足らないのです」

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 デュオは…面倒な顔をしていた。

 目の前には、ラウノとティアナがいる。

 いや、それ以外のメンバーもいる。

 ここは、デュオ達のGUDAMが置かれている格納庫であり、株式会社ガンダムの社屋の一つだ。

 デュオは苦虫を潰したように渋い顔をして

「なんで、オレの元カノの話を暴露するに、大人数なんだ?」

 

 ラウノとティアナの左右、後ろには株式会社ガンダムの社員であり仲間の女性陣がいる。

 その女性陣とは…

 

「どうも…よろしく」とアリヤ

「もの凄く興味があります」と興奮気味のリリッケ

「あはは…なんでだろうね…」とニカ

「ど、どうも…」とお辞儀するスレッタ 

 

 デュオは頭を抱える。

「どうして、オレは、こんな沢山な人達に、オレの恥ずかしい過去の恋愛遍歴を話さんといかんのだ?」

 

 アリヤが

「今後の為に、経験ある人生の先輩から話を聞きたいのです」

 

 デュオが頭を抱えて

「オレには大層な恋愛歴なんてないぞ。二人だけだ…」

と、指二本を立てる。

 

 ラウノが

「一人は…ヘレナさんの…」

 

「ああ…」とデュオはぶっきらぼうに答える。

 

 リリッケが

「もう一人はミオリネさんの…お母さん!」

 

 デュオは頭を抱えて「ああ…そうだよ」と

 

 ティアナが

「今、繋がりがないって事は別れたんだよね。どうして?」

 

 デュオは面倒な顔で、説明する。

 テレイア将軍と別れたのは、完全に愛想が尽きた…という話から。

 火星連合軍時代に、テレイアは出世頭であり、デュオはゾルダスとして戦場を渡っていた。テレイアの立てる作戦にゾルダスが必ずいて、そして…成果を上げた。

 最初は、良かった。

 だが、段々と作戦が無謀になっていって…仲間の犠牲者が増えて…そして、最後の大きな勢力の艦隊を粉砕するという無茶な命令で、完全に終わった。

 自分を道具程度に思っているのが分かって、お別れした。

 

 デュオが

「つまり、出世の為にオレは利用されたに過ぎないのさ」

 

 それを聞いてラウノとスレッタは悲しい顔になり、スレッタが

「それは…違うと思います」

 

 デュオが

「どうして?」

 

 スレッタが俯き気味から真っ直ぐとデュオを見て

「ゾルダスさん…いえ、デュオさんの力を信じていたから…だから…」

 

 デュオが

「信じる信じないは、お互いの気持ちの問題だ。オレの気持ちが冷めたんだよ。スレッタさん。アンタはそう思うかもしれないけど、オレは思わなかった。それだけさ」

 

 ティアナが

「ノートレット博士の方は? どういう切っ掛け?」

 

 デュオは説明する。

 元々、アーマード融合率90%の自分の調節にノートレット博士が関わっていた。何となく話す事が多くなって、そこから自然と…。

 だが、メルカーバの事件後に、お互いの環境が変わった。

 ゾルダスは、火星統一連合で厄介な存在となり、遠くの火星衛星基地へ左遷、ノートレットは火星のプラントと関わる事が多くなり、そのプラントの人達がノートレットにゾルダスとの付き合いは…危険と…。

 ゾルダスもそれを知って、このままノートレットが自分の元にいたら…潰されるかもしれないと予感して、別れた。

 その後、デリングとノートレットが出会って…ミオリネがいる。

 

 デュオが

「お互いの立場が違えば…一緒にいる事は難しくなる。大人ってそんなもんさ。祝福されない結びつきより、祝福される結びつきの方が…いい」

 

 リリッケが

「なんか、ワクワクするような話ってないですね」

 

 デュオが

「当たり前だろう。人と人の付き合いなんだ。恋愛小説みたいな事なんて無いんだよ」

 

 アリヤが

「その後、誰かと…」

 

 デュオはキッパリと

「ない。オレの特別な女性経験は、二人だけだ」

 

 甘酸っぱい話を期待していたリリッケは、酸っぱくて苦い話にテンションが下がり

「そうなんだ…はぁ…」

 

 ニカが

「じゃあ、もし…今後、好きになる人が現れたら、デュオさんはどうするの?」

 

 デュオは

「別に…好きな人が現れたとしても、相手に合わせて、過ごすだけさ。自分の一方的な好意ってのは、相手を恐怖させる。相手に好きですって伝えたとしても、それがお互いにお互いの信頼が成り立っていないで、告白されても…気持ち悪いだけだろう」

 

 正論が飛んできて、集まった女性達が、う…と説教っぽく感じる。

 

 デュオが

「いいか、自分の好意を相手に押し付けるってのは、ストーカーって犯罪者と同レベルだ。好きな相手がいるなら、その相手をちゃんと見て、相手に合わせて、お互いに信頼を構築しろ。一方通行の思いほど、気持ち悪い事はないぞ」

 

 リリッケとアリヤの二人には、説教に聞こえる。

 スレッタとラウノとティアナには、大事な話として聞こえる。

 ニカは、そんな事もあるよね…と。

 

 デュオが渋い顔をして

「いかん、年を取ると説教臭くなってダメだわ」

 

 ラウノが

「そう言えば、デュオって何歳なの?」

 

 デュオが

「四十五だ。この学園のエルノラ理事長のちょっと下くらいだ」

 

 スレッタが

「お母さんと…近いんですね」

 

 デュオが「まあな…」と答えた。

 

 甘酸っぱい恋愛話ではなく、人生の先輩からの訓示となった事にリリッケとアリヤは詰まらないと漏らすも、ラウノとティアナにスレッタには、良い話であった。

 

 話が終わった後にティアナがデュオの手を取り

「来て欲しい所があるんだけど」

 

 デュオが

「どこへ?」

 

 ティアナが

「アレウスの所よ」

 

 デュオが困惑気味に

「なんで?」

 

 ティアナが悲しい顔で

「私、やっぱりヘレナさんの事…あんなヒドい事のままにして置けない。だから…」

と、デュオを引っ張るもデュオはアーマード融合率90%の人間重機だ。動かすなんてムリなので、ティアナは自分で自分を引っ張ってしまう。

 大きな重機を動かそうとする駄々っ子になるティアナに

「オレは、あのままでいい」

と、ティアナが力尽きるまで待つ。

 だが、その背をラウノが押す

「私も、ティアナと同じです。あのままじゃあ、ダメです」

 動く筈もない…ではない、動いた。

 

 デュオは押されて

「おい、ラウノ、お前は…オレのアーマードを持っているんだから、お前が力を加えるとオレは並の人間以下に力が抑えられるんだ。止めろ!」

 

 それを聞いてティアナがラウノに加勢すると、動かない壁のようだったデュオが軽々と動き、引っ張られていった。

 

「止めろーーーーー」

と、デュオは叫ぶも、ラウノとティアナに連れられてアレウスがいる格納庫へ来る。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 叫びながら来る一団、ラウノとティアナにデュオの三人がアレウスのいる格納庫へ来た。

 格納庫内に並ぶGUDAMアフェド達を前に、騒がしいラウノ達の元へアレウスの女性陣が集まる。

 全員が嫌な顔をしている。

 

 ラウノが「ヘレナさん」と呼びかける。

 

 ヘレナが「何?」と答える。

 

 ラウノがデュオの背中を押して

「さあ、デュオ、話して…」

 

「えええ…」とデュオは困惑してヘレナを前にする。

 

 ヘレナが鋭い顔でデュオの顔を見上げる。

 デュオは渋い顔の後。

「すまなかった。謝罪する」

と、頭を下げた。

 

 ヘレナは驚く目を見開く。

 

 デュオは真剣な顔で

「前回の時、キミを傷つける発言、申し訳なかった。自分も大人げなかった…と思っている」

 

 ヘレナが少し溜息をして

「母さん…と話してくれますか?」

 

 デュオが、んん…と唸って

「ああ…分かったよ。話そう」

 

 

 こうして、ヘレナの案内でアレウスの宇宙戦艦の艦内へ入り、通信室へデュオ、ラウノ、ティアナの三人が来る。

 ヘレナが通信を繋げて

「母さん」

と、呼び出すと通信画面のテレイアの顔が出た。

 

 通信画面のテレイアが

「ああ…ヘレナ。どうしたの? は…」

 

 テレイアの通信画面には、ラウノとティアナ、そして…デュオが

 

 デュオが

「久しぶり…ですね。テレイア…将軍、ではないか…」

 

 テレイアが苦笑して

「ええ…そうね。久しぶりねシロウ」

 

 その後、デュオとテレイアが沈黙していると、デュオの左脇にいるティアナがデュオの脇を小突くもダメージがないから、右脇にいるラウノが小突くと、「う!」とデュオにダメージが入った。

 

 痛そうにデュオは右脇を押さえて

「ラウノ、だから…お前が攻撃すると、オレに響くんだよ…」

 

 小娘達にいいように遊ばれるデュオを見てテレイアが

「ははは…情けないわよ」

と、笑う。

 

 デュオが笑み

「ああ…そうさ。おれは…大した人間じゃあない」

 

 テレイアが

「ごめんなさい。私、バカだったわ。自分の理想や理論で全て上手く行くって思っていた。でも…それって傲慢だったわ。アナタに愛想を尽かされても仕方なかった」

 

 デュオも

「オレも若くてダメだった。もう少し…話せば…」

 

 テレイアが笑み

「本当にお互いに若くて未熟だったわ」

 

 デュオは頷き

「そうだったなぁ…」

 

 テレイアが

「今は…何をしているの?」

 

 デュオが両脇のラウノとティアナを見て

「この二人を…育てている」

 

 テレイアが

「もしかして、ティアナ・テュールさんと、ラウノ・ユーテルさん?」

 

 デュオが頷き

「ああ…二人のメルカーバを…平和利用したいって願いを叶える為に…」

 

 テレイアがラウノを見つめ

「ラウノさん。後で通信コードを送るわ。お母さんのユーテル博士と連絡を取って」

 

 ラウノが喜びに目を輝かせ

「お母さん、無事なんですね!」

 

 テレイアが頷き

「私達の組織、防衛を主軸とした火星と木星の複合組織ガーディアンが保護したわ」

 

 デュオが

「おいおい、一般事務員じゃあないのか?」

 

 テレイアが

「私が、一般事務員だけをやっているだけだと思ったの? メルカーバの事件の後、火星統一連合や、木星の連合軍に縛られない。人命救助の組織を作るに奔走したわよ。そのお陰で…シロウ、アナタも救えたわ」

 

 デュオが笑み

「あのメルカーバへ突撃した連中が…ガーディアンってヤツか」

 

 テレイアが自信ありげに笑み

「ええ…そうよ」

 

 デュオが驚きの笑みで

「流石、テレイアだ。スゲー…オレには…ムリだな」

 

 テレイアが

「シロウ…アナタも来ない? アナタの力を…」

 

 デュオが悲しい笑みで

「もう疲れた。人殺しもしたくない。誰から奪うのも、壊すのも、もうやりたくない。次の世代は、人殺しの戦争っていう犯罪がない時代に生きて欲しい」

 

 その言葉をラウノとティアナは聞いて、デュオを見つめる。

 戦争という悲しい悲劇を経験した世代の…本気の気持ちを知る。

 

 デュオが真剣な目で

「戦争は呪いだ。勝った方も負けた方も…ツラいツラい、悲劇を背負い…それが百年先も続く。それが分かっているのに…オレ達は…バカだったのさ。そのバカだった記憶を見習って次の世代、ラウノとティアナの世代には…それが…ないようにして欲しい」

 

 テレイアも真剣な目で

「そうね。私も…そうよ。ヘレナの時代には…戦争なんて消えて欲しいわ」

 

 デュオが微笑みながら

「最初、テレイアと会うってなったら…ケンカになると思ったのに…お互いに年を取ったなぁ」

 

 テレイアも微笑み

「悪くない年の取り方よ」

 

 不思議な感覚だ。いがみ合う憎み合うでない、懐かしさだけが…。これが時間が解決するという事なのだろう。二十年という時間は、それ程に長いという事だ。

 

 テレイアが

「もし、何か…困った事があったら何時でも相談して、シロウ」

 

 デュオが

「オレよりも、この二人の事を頼みたい」

と、ラウノとティアナを見る。

 

 テレイアが頷き

「分かった。でも、自分の事を大事にしてねシロウ。アナタは…誰かの為に自分を犠牲にする。それは…犠牲を貰った方にとってもツラい呪いになるから」

 

 デュオが

「分かったよ。ありがとう。テレイア…」

 

 テレイアも

「ええ…こちらこそ、ありがとうシロウ」

 

 こうして、通信が終わってヘレナは、満足そうだった。

 

 その後、テレイアからラウノの母親が保護されているプラントの通信コードを受け取り、ラウノが通信を開き

 

「ラウノ!」と無事な母親、ペールナ博士が

 

 ラウノが嬉しくて目元に涙を浮かべ

「お母さん」

 

 ペールナ博士が無事な娘に安心して

「良かった。四日前にラウノがいる学園へオックスアースの残党の大部隊が来たって聞いて…」

 

 ラウノが隣にいるデュオの手を握り

「デュオのお陰で…何とかなったよ」

 

 ペールナがデュオを見つめて

「ありがとう。ゾルダス」

 

 デュオは笑み

「今は、デュオ・ゼルウスだ」

 

 ペールナがフフ…と笑って

「そうだったわね」

 

 ラウノは

「お母さん、体は? どこか?」

 

 ペールナが力こぶを作って

「全然、しぶとく生き残って元気よ。近いうちにラウノ達と合流するから」

 

 ラウノが

「学園に来るの?」

 

 ペールナが

「いいえ、月にあるプラントで、GUDAMケラノスとギアントの強化改修をするわ。そこに私や私の仲間達も来るの。ティアナさん。後々、デュオン会長から…」

 

 ティアナが微笑み

「はい、分かりました」

 

 ペールナがラウノに微笑みながら

「そういう事だから。月のプラントで会いましょうラウノ…」

 

 ラウノは嬉しそうに

「うん。分かった」

 

 ペールナが次にデュオを見つめて

「ええ、デュオでいい?」

 

 デュオは頷き

「ああ…構わない」

 

 ペールナが真剣な顔で

「大変な事になったわよ。火星で…」

 

 その話を聞いたデュオが驚愕に顔を変えて、急いでブシードがいる士官の個室へ向かう。

 ノックもなくデュオがブシードがいる部屋に入り

「どういう事だぁぁぁぁぁぁ!」

 

 ブシードは書類の仕事を淡々として

「ああ…来たか…」

 デュオが来る事を予測していた。

 

 デュオが作業するブシードの机を叩き、人の体重より重い高級な机が激しく上下する。 デュオが怒りの顔で

「なんで、そんな事になった!」

 

 ブシードは淡々と

「火星統一連合及び、火星政府、並びに火星のカンパニー達の一致を持って、そうなった」

 

 ブシードの襟をデュオは荒く掴み、ブシードを引き寄せて

「オレを罠にはめたな!」

 

 同時刻、火星の全てのネットワークニュース並びに、報道メディアが、火星全域へ、とある事が可決された事を発表した。

 

「火星統一連合並びに、火星政府は、火星に存在するメルカーバの遺産全ての所有権をゾルダス氏に譲渡するという誓約書にサインしました。

 これによって、今まで所在が未定となっていたメルカーバの遺産達は、ゾルダス氏の財産となり、それによって税や法的管理、運営が成される事になり、より円滑な活用が進むと同時に、ゾルダス氏には、個人票にて、火星統一連合並びに、火星政府の様々な政策や作戦、活動に関して、拒否権を行使する事が可能になり…実質、火星統一連合のトップになる事が決定しました」 

 

 その報道は、地球圏にも届き

 学園の巨大画面や、端末達に、その趣旨がニュースとして流れる。

 

 ラウノとティアナは、それをゾフィアとノディアがいる実働部隊エリシアの格納庫で、ゾフィアとノディアの二人と共に立体画面で見ていた。

 

 ゾフィアが驚きで

「すげーー 一夜にして大金持ちじゃん。デュオ…」

 

 ノディアが嫌そうな顔で

「そんな程度で済めば…良いんですけどね…」

 

 ラウノとティアナは不安そうな顔だ。

 デュオは、ゾルダスとして…火星の支配者になったという証が交付された。

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