ガンダム水星の魔女、第三期、火星の魔王   作:赤地鎌

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 ゾルダスであるデュオは、火星に残されたメルカーバの遺産を全て相続した。
 しかし、それは…


第37話 火星の魔王の遺産

 

 それは…ラウノが6歳の頃だ。

 ゾルダスは、ラウノがいるプラント、フォボスへ来ていた。

 その目的は…

 

 ゾルダスが

「アライズ博士…この話を…受けてくれないでしょうか?」

 

 ゾルダスが目の前にする人物、アライズ博士は…ラウノの父親でありメルカーバを封印する際にYデータを作った人物であり、メルカーバのコアを作った人物でもある。

 

 アライズ博士は、厳しい顔で

「キミの言う通り…いずれは…封印されたメルカーバが現れる可能性はあるだろうが。それは…百年以上先だ」

 

 ゾルダスが

「オレは、人の善意を信じていません。人の悪意を信頼している。近い内に、必ず…メルカーバを探し出して自分達のモノにしようとする愚か者達は現れる。なら…」

 

 アライズ博士が

「しかし、Yデータがどのように作用したか…詳しいデータが…」

 

 ゾルダスが自分を示して

「ここにあります。オレの中にはYデータの残滓がある。それが偶に、メルカーバのリンクを繋げる。オレを使って新たなYデータを構築してください」

 

 アライズ博士は厳しい顔をするが

「分かった。確かに…メルカーバが復活となれば…また、あの時のようになる。それを防がないといけないな」

 

 ゾルダスは、再びメルカーバが現れた際に、悪用された場合、同じく封印する為のYデータの再構築と複製をアライズ博士に依頼した。

 

 ゾルダスが調節カプセルにいて、Yデータの残滓を抽出する。

 ゾルダスがいる調節カプセルを操作するのは、アルマージロ医師だ。

 

 ゾルダスから抽出したYデータの残滓から、アライズ博士はYデータのデータストームを構築し…そして…偶然だった。

 

 娘ラウノが、そのデータストームに触れて

「なんて事だ…」とアライズ博士は娘に驚愕する。

 ラウノは、ゾルダスと同じくメルカーバに適合する性質を有していた。

 それも、ゾルダスの250以上、300という数値だ。

 

 ラウノが触れてしまったYデータに

「ごめんなさい」

 

 アライズ博士が微笑み

「大丈夫か? どこか…おかしな事に…」

 

 ラウノは首を横に振って

「大丈夫だよ。パパ」

 

 アライズ博士は娘ラウノに

「ラウノ、これは…ちょっと危険なモノなんだ。だから、もう…触れてはいけないよ」

 

 幼いラウノは頷き

「分かった」

 

 この事実を、アライズ博士は妻のユーテル博士だけに伝えて、それ以外は…。

 

 そして、内通者が…ここでYデータを作っていると…

 

 それによって、あのプラント・フォボスでの悲劇が起こってしまった。

 

 ゾルダスは、自分のやった事で多くの被害を生み出し、それに後悔して…

 そして、アライズ博士の娘と妻を助ける為に、ナインハデス社の鉱山作業者として…ラウノとユーテル博士を援助し続けた。

 

 そして、再び運命の糸は…交わってしまった。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 デュオは頭を抱えていた。

 学園の屋上にあるベンチで頭を抱えて

「どうして…こんな事に…」

と、事態を恨んでいた。

 

 悩んでいるデュオの元へ、一人の男性が…

「あの…ゾルダスさんですよね…」

 近づいてきたのは学校の生徒だった。

 

 んん?とデュオは生徒を見て

「う、うむ…まあ、何というか…まあ、そうだけど…」

 

 生徒が

「聞いて欲しいお話があるんです」

 

 デュオと生徒が話をする。

 その内容は、生徒の両親がいるジェターク社の融資をお願いしたい…という。

 デュオも話を聞いている内に、なんで…オレが?と思うも、火星の施設達の所有者、火星の魔王となった事で、莫大な資産を運用できるという事で話を…。

 

 デュオが

「ごめん。オレも…どういう状況か、理解できていない。だから…返答できない」

 

 生徒が頷き

「分かりました。すみません…話を聞いて貰ってありがとうございます」

と、去っていた。

 

 デュオは、屋上から学園内へ入ると、講義が終わって帰る生徒達と交差するが、その全員がデュオを見てヒソヒソと話している。

 

 完全に注目の的にされて気分が良くないデュオ。

 

 そこへ

「火星の魔王さん! 調子はどう?」

と、ミオリネが話し掛けてきた。

 

 デュオが嫌そうな顔で

「全く良い気分じゃない」

 

 ミオリネが

「ちょっと、話があるんだけど…いい?」

 

 デュオが呆れ気味に

「投資しろって話か?」

 

 ミオリネがハッキリと

「ええ…それと、アンタが今後扱うであろう。火星の魔王の資産の問題をね」

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 デュオは、ミオリネと共に理事長室へ来ると、そこにはグエルがいて

「どうも…ゾルダスさん。自分は、ジェターク社のCEOグエル・ジェタークです。よろしくお願いします」

と、握手を向けるも、デュオが握手をしないで

「知っている。最初の決闘の時に立会をしてくれたろう」

と、次に部屋の中央、理事長室の机にエルノラと何時ものキーホルダー席にいるエリクトにスレッタもいた。

 

 エルノラが

「さっそくだけど…アナタが所有する事になった火星の遺産についてだけど…」

 

 デュオが腕を組み壁に背中を預けて

「どうも、こうも…何かする気は一切ないんだけど…」

 

 エリクトがキーホルダーの体の目を光らせて

「まあまあ、とにかく、知って置いても損はないでしょう」

と、理事長室の中央にデータの立体画面を投影して

「ゾルダスが所有する事になった火星の遺産なんだけど。今の所…火星を今まで通り維持管理して動いてはいる。今まで所有者がいなかったから、全力で動けなかった」

 

 デュオが

「火星の遺産であるメルカーバの施設達には、どのくらいの生産力がある?」

 

 エリクトが

「火星を潤沢に維持するには、火星地表の施設の30%程度で十分なんだ」

 

 デュオがはぁ?という顔で

「今は、何て言った? 火星を維持するに、地表の施設の30%だけで、十分って」

 

 エリクトが目を点滅させて

「そう。今までは弱運転くらいだったけど。デュオが所有者となった事で本気で動かせる。本気なって動かしたら。火星は200年はパーメット粒子が使いたい放題になるね」

 

 デュオが頭を抱えて

「そんな膨大な…生産力があったのか…」

 

 ミオリネが

「これは、あくまでも火星の地表にある施設だけよ」

 

 デュオが渋い顔をして

「待て…他にあるのか…?」

 

 エリクトが

「火星の宇宙域には、これの数万倍近い施設が自己維持程度の未稼働状態で浮かんでいる。その火星宇宙域の施設もデュオが所有者となった事で、本格稼働する」

 立体画面に火星が映り、その宇宙域にある衛星生産施設のマーキングが無数に出る。

 そして、エリクトが

「火星の遺産施設が全部、通常稼働した場合、パーメット粒子の取引価格は90%下落するよ」

 

 デュオの頭が痛くなる。

 

 グエルが

「このアドステラ時代を支えるパーメット粒子は、宇宙でしか取れないからベネリットグループのような宇宙企業が裕福になってしまう。無論、それを生成するエネルギー炉はあるも、採掘される量に比べれば少量だ。でも、火星にある生成エネルギー炉は…」

 

 エルノラが

「メルカーバが残したパーメット粒子だけを生成する生成エネルギー炉の生産能力は、今までの生成エネルギー炉の比ではないわ。パーメット粒子は、様々な物質に浸透融和して、独自の回路生成する。それによって、どんな物質もパーメット粒子が付加されれば、高性能な回路機器に変わる。素材としての性質を残しつつ高性能な回路機器になるパーメット粒子は、まさに宇宙時代を切り開いた存在でもある。そのパーメット粒子は、重力化では存在が難しい。重力と相互作用して反発する性質がある故に、惑星重力下では存在できず、無重力である大型隕石といった宇宙を漂う物質の中にしか存在できない」

 

 スレッタが

「だから、パーメット粒子がある宇宙と地球、惑星で格差が…」

 

 エリクトが

「パーメット粒子を人工的に生成する方法はある。それが生成エネルギー炉なんだけど、今までの生成エネルギー炉の生産能力は僅か、でもそれに革命が起きた。メルカーバのお陰によってね。メルカーバが作り出す超高性能生成エネルギー炉は、従来の数百倍のパーメット粒子を生成する。メルカーバの事件の影響で、その遺産施設達は本来の動きをしていない」

 

 ミオリネが

「そこで、アンタが所有者となった事で、本格稼働するようになった。そこから生まれる資産の額は幾らだと思う」

 

 デュオが

「知るかよ…」

 

 ミオリネが

「ベネリットグループが100回も買い叩かれるくらいの資産が生産されるわ」

 

 デュオが呆れつつ

「なんだよ。それ…で? オレに何をしろって? 何もやる気はないぞ」

 

 スレッタが

「私達に投資をしてくれないでしょうか?」

 

 デュオが「はぁ?」という顔だ。

 

 グエルが

「五年前、ベネリットグループは解散して地球に資産を売却しましたが…結局は、元の木阿弥、元に戻り…再び地球と宇宙で格差が拡大しつつある。どんなに資産を配ってもそれを生かす手段を持っていなければ…何も…」

 

 ミオリネが

「グループを解散して、持っていた資産を配っても、それは全体が集まっていた砂の塊を平らに広げただけ、広がった砂は何かの傾きが作用すれば…また、元の砂山に戻る。それが社会の、世の中の仕組み」

 

 スレッタが

「地球と宇宙との格差を無くすには、全体の総量を上げるしかない。でも、それには時間が…そして、それを良いとしない人達もいて…」

 

 ミオリネが

「そこで、アンタが現れた。全体の総量を上げられる生産を持つアンタが…」

 

 グエルが

「ミオリネ、その態度…ゾルダスさんに失礼だぞ」

 

 ミオリネが

「コイツは、このぐらいハッキリ言わんと言い返されるのよ!」

とグエルに、グエルは全くという呆れた顔をする。

 そして、ミオリネがデュオに近づき

「アンタは、どうせ、面倒だから何もしないつもりでしょうが…。それを…良しとしない連中は多い。アンタの事を貶めて利用するか…。弱味を握って…利用する連中が絶対に現れるわ」

 

 デュオが溜息を漏らして

「その前に、お前等に利用されろって事か?」

 

 ミオリネが

「少なくとも私は、アンタに対してハッキリ言う。ウソを並べる連中より、マシなはずよ。そうでしょう?」

 スレッタがミオリネの言葉に呆れた笑みをする。

 

 はぁ…とデュオは溜息を漏らして

「そうやって正直に言う所…母親のノートレット博士とそっくりで、そうやって堂々と言う所は、父親のデリングそっくりだ」

 

 エルノラが

「アナタがそうなる前から、この子達とアナタは知り合っている。だから、それを信じてみない」

 

 デュオが頭を振って

「少し、考えさてくれ」

 

 ミオリネが

「悩んでいる間にも、アンタを狙おうとする輩は増えて行くわよ」

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 学園の公園のベンチにデュオは座って「はぁぁぁぁ…」と長い溜息を吐く。

 色々と説明されたが、全く自覚が無い。

 未だにウソだろう…と思っている。

「どうしよう…」

 四十代にして、まさか…信じられない天文学的な大金の問題で悩む。

 逆にお金がなくて悩む事には慣れているのに、資産があり過ぎて悩むなんて、生きている内にそんな事に出会うなんて…一欠片も思わなかった。

「はぁぁぁぁ」

と、溜息ばかりのデュオにブシードが来た。

「よう…」

 

 苛立った顔でデュオはブシードを見て

「やってくれたな」

 

 ブシードが笑み

「言ったはずだぞ。オレ達は覚悟を見せるってな」

と、言って隣に座り

「これから…どうするつもりだ?」

 

 デュオは頭を荒く掻いて

「分からん。全く判断できない。どうするべきか?の考えも浮かばない」

 

 ブシードが

「好きなだけ贅沢をしていいんだぞ。プラントを一つ購入して、そこで贅沢に生活をして…」

 

 デュオは苛立ち気味に

「そんな無駄をして何になる」

 

 ブシードが笑み

「だろうね。お前は…そういう人間だ。贅沢や無駄が出来ない。昔からそうだ」

 

 デュオが

「なんか、分からん。いきなりこんな事になって…分からんとしか言えない」

 

 ブシードが

「じゃあ、お前の持ったその遺産の資産を使って、ティアナ・テュールとラウノ・ユーテルの望みでも叶えてやればいいじゃないか」

 

 デュオが静かに目を閉じて

「そうだな。それも良いかもしれん。その為にやるのも…悪くないか…」

と、立ち上がり

「ブシード、ヘレナは、どこに?」

 

 ブシードが

「今は、多分、自分の機体の調節をしているだろう」

 

 デュオが「じゃあ、呼びに行くか…」

 

 ◇◇◇◇◇

 

 デュオは、自分達のGUDAMがある格納庫にヘレナ、ティアナ、ラウノの三人を呼び出して、彼女達を前に話をする。

 

「ヘレナ、お前を娘として認知する」

と、デュオがヘレナに言う。

 

「え!」とヘレナは驚愕する。

 

 ティアナとラウノは困惑する。

 

 更にデュオが

「ティアナ、ラウノ、ヘレナ。もし、オレが死んだ場合、もしくは、オレがこの遺産を継承不能になった場合、オレの遺産…そう、火星の魔王を三人に引き継いで貰う」

 

「ええええええ!」と彼女達三人は驚きの声を放つ。

 

 デュオが淡々と

「つまりだ。三人がオレの後継になるって事だ。そうなれば…この火星の魔王の資産を三人が使う事が出来る」

 

 ティアナが困惑の顔で

「ど、どうして…そんな事を?」

 

 デュオが真剣な顔で

「オレは、オレの為に資産を使うなら、そんなにいらない。むしろ、不必要だ。だが、オレはオレが大切に思う人の為なら…幾らでも使いたい。だから、おれは…お前達の為にこの資産を使いたい。それだけだ」

 

 彼女達三人は、呆然とするも、デュオが自分達を大切に思っているという気持ちを聞いて、すこし恥ずかしくもあり、照れくさくなる。

 

 ラウノが照れながら

「いいの?」

 

 デュオは頷き

「ああ…オレが三人の為にそうしたい。それは真実であり、自分の願いだ」

 

 ヘレナとティアナは恥ずかしい感じで、ラウノはもじもじとしてしまう。

 

 三人ともデュオが予想していない反応に

「あれ? 迷惑だった?」

と、デュオが訪ねる。

 

 ティアナが首を激しく降り

「そ、そんな事はないわ。ねぇ…ラウノ、ヘレナ」

と、両脇にいる二人を見る。

「う、うん」

と、ラウノとヘレナは頷く。

 

 デュオは安心して

「そうか…じゃあ、オレの本心を言う。オレはラウノ、ティアナ、ヘレナを愛している。それだけが真実だ」

と、優しく微笑みかける。

 それは娘を思う父性や、妹を思いやる家族としての兄が出ていた。

 

 ヘレナは父親としての愛情を感じ、ラウノとティアナは…違う感情があって頬が赤くなってしまった。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 そして、デュオは行動を開始して、まずは… 

「ラウノっち、ティアっち」

と、ゾフィアがラウノとティアナに飛びついた。

 そこへノディアも来て

「ラウノさん、ティアナさん、今日から同僚になりますんでよろしくお願いします」

 

 ティアナが

「敬語は必要ないわ、ノディア」

 

 ノディアが微笑み

「ええ…そうね」

 

 実働部隊エリシアは、ラウノとティアナを合わせて、特別私設部隊エリシアになり、ティアナの望みであるメルカーバの平和利用を推進する機関になった。

 ゾフィアとノディアは、それの護衛であり、技術開発におけるテストパイロットに抜擢された。

 それを遠くから見ているガジタールとイオスとデュオ。

 ガジタールは、彼女達四人の護衛として火星統一連合から派遣に、イオスはそのまま情報技術顧問としてデュオと彼女達のサポートとなった。

 

 デュオがイオスに

「イオス、ミオリネ代表との…」

 

 イオスが溜息を漏らして

「ああ…何とかシャディク・ゼネリとは違うって認めて貰って、謝罪も受けましたよ。それと…シャディク・ゼネリと関わりがあった彼女達とも話をして…」

 

 デュオが

「そうか…」

 

 ◇◇◇◇◇

 

「ごめんなさい」

と、ミオリネはイオスに謝罪して収まる。

 自分がシャディク・ゼネリに拘っていたのを…ミオリネが理解して、それを押し付けていたのが分かると、つきまといは終わった。

 

 シャディク・ゼネリを関わりがあった彼女達、ザビーナ、レネ、イリーシャ、メイジー、エオナの五人は、シャディク・ゼネリの記憶、メモリーデータストームを持つイオスから死刑になるまでのシャディクの事を聞いた。

 死刑になる前に、シャディク・ゼネリは、自分をガンダムの被検体として提供した。

 その実験によってシャディク・ゼネリは重度のパーメット汚染を受けて…記憶が全てメモリーデータストームとなり保存された。

 その後、直ぐに処置されて…

 何を思っていたか?は、イオスは分からない…と。

 でも、最後にミオリネや、彼女達五人、地球が良くなるだろう…と希望を抱いて…。

 

 ザビーナが

「私達は臆病だった。もっとシャディクと…深く関わっていたら。こんな事には…」

 

 イオスが

「でも、仕方ないと思いますよ。私は学習したシャディク・ゼネリの記憶からですが…彼は、人と深く繋がる事を煩わしいと思っていた。そう思っていたからこそ、人とぶつかって、でも関わる。ミオリネ代表が自分にないモノを持っているとして憧れ恋をしていたんでしょう。相当にシャディク・ゼネリの記憶ではミオリネ代表が美化されていますが…」

と、イオスが渋い顔をして

「しかし、出会ってみれば…とんでもない暴走車で…あああ」

と、頭を抱える。

「本当に、ミオリネ代表の何処が良かったんだ? 記憶って美化されるので恐ろしいですね」

 

 それを聞いて彼女達五人は笑ってしまう。

 目の前にいるのは、間違いなくシャディクではない…と。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 デュオは、ヘレナを通じてテレイアが作ったガーディアンという組織の融資も取り付けた。

 テレイアが

「ありがとう。シロウ」

 

 通信のデュオが

「代わりに頼みがある。ヘレナとラウノとティアナを守ってくれ」

 

 テレイアが頷き

「分かったわ」

 

 ◇◇◇◇◇

 

 そして、今度は、ティアナの祖父であるデュオン会長と通信で話す。

 デュオン会長が

「なるほど、ティアナのやる。メルカーバの平和利用を増進させる為の組織の運営と管理を我々、火星のプラントがやるという事だな」

 

 デュオが頷き

「ああ…頼めますか? デュオン会長」

 

 デュオン会長は微笑み

「良いだろう。やろう。その考えに間違いはないからな」

 

 デュオが頭を下げて

「お願いします」

 

 ◇◇◇◇◇

 

 今度は、地球側のミオリネ達への投資を行う。

 ミオリネの会社である医療ガンド技術会社、株式会社ガンダムへの投資、そして…地球開発と復興の投資を取り付ける。

 地球の復興と開発への投資は、ミオリネが構築した医療ガンド技術の繋がりが主軸となり、今後…火星の魔王の遺産による投資は、争いではなく。医療と生活の拡充、社会福祉をメインとした場合に使われるように確約した。

 

 そして、ベネリットグループ、宇宙では…どうしても武力開発が外せない。

 このまま、再び宇宙に力が集まった場合、あの戦争シェアリングが復活してしまうが…それをデュオは

「では、決闘という方法を使った代理闘争を提案します」

 

 つまり、戦争ではなく。

 MSの決闘という代理闘争によって戦争シェアリングの回避を行うと…。

 その決闘の代理闘争による報酬は、火星の魔王の膨大な資産を賞金にするという、大きなうまみを用意した。

 まさに、このMS決闘による闘争に勝てば、一発でグループ内でトップになれる程の賞金が手に入る。

 これにより、地球でも技術会社が立ち上がってMS決闘に勝てば一攫千金という、一つの指標も構築できる。

 善し悪しはあるだろうが、戦争による被害を無くすとするなら、妥協点ではある。

 

 デュオが所有者となった火星の魔王の遺産によって火星、地球、木星、地球圏といった経済圏の連携が行われる。

 

 デュオは、何とか方々に頭を下げて終わったのは…半月後だった。

「我ながら急いでやったわ」

と、ヘトヘトに疲れてしまった。

 

 そして、最後の仕上げ

 火星統一連合のフリディット将軍に通信を繋げる。

「よう…」

と、デュオは通信画面のフリディットへ

 

 フリディットは笑み

「キミの遺言、確かに受け取った。まあ、アーマード融合率90%のキミが簡単に死ぬとは思えないが…。一応、大事な事でもある」

 

 フリディットは、デュオの遺言のデータを見せる。

 

 シロウ・アマガ

 ゾルダスである個人が、死亡ならび、火星の魔王の遺産を継承できない法的、かつ、事情の問題が生じた場合、以下の三名に火星の魔王の遺産を継承させる。

 ヘレナ・アスレシア

 ティアナ・テュール

 ラウノ・ユーテル

 三名が火星の魔王の遺産を継承する。

 

 その補佐として

 木星と火星の連合防衛組織ガーディアン

 火星圏プラントのテュール・グループ

 地球の株式会社ガンダム

 火星統一連合並びに火星政府

 以下、四者が運営管理の補佐をする。

 最後にデュオの、ゾルダスとしての署名が

 

 それにデュオは

「どうだ?」

 

 フリディットは

「キミは昔から、こういう証明書類に関して無難な事をする。問題ない。同じ遺言は?」

 

 デュオが

「ガーディアンのテレイア、火星プラントのデュオン会長、株式会社ガンダムのミオリネ代表に渡した」

 

 フリディットが

「無難。我々の方も明日にでも了承するだろう」

 

 デュオが

「そうか…じゃあ、よろしく頼む」

 

 フリディットが

「最初は、こうなった場合、キミは無視して宙に浮いたままで混乱すると思ったが…やる気になってくれて、嬉しいよ」

 

 デュオが目を細めて

「そうだな。オレも自分がこうなるなんて…思わなかった。これも年を取ったからもしれない」

 

 フリディットが

「そんな優しく、しっかりとした年の取り方をしたキミが羨ましいよ。まあ、ともかく心配は無用だ」

と、通信が終わった。

 

 デュオは天井を見上げて

「後は…どう、裏で…」

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 地球議会連合の議長である、あの男、ユース・ティニアスがとある人物と話をしていた。

「火星の魔王の遺産…アレは、マズいんだよねぇ…」

 

 通信する相手は、裏仕事の傭兵を斡旋する業者だ。

「つまり、ゾルダスと…その遺産継承者の三人を…」

 

 ユースが

「ゾルダスだけにして欲しい。残りのもしもの場合の三人は、こちらが法的な根拠を持ち出して…抑えつつ、地球で繋がった者達を懐柔して…」

 

 斡旋する業者が

「なるほど、ジワリジワリと吸い潰しつつ、混乱を…か」

 

 ユースが

「そういう事さ」

 

 斡旋する業者が

「分かった。手配しよう」

 

 ユースが

「あと、火星の魔王の遺産を気に入らない火星統一連合の内部の者達がいるから、ソイツらも使ってやってくれ」

 

 斡旋する業者が

「時期は、ゾルダスがGUDAMケラノスとギアントを改修する月近隣のプラントに来た時に…」

 

 ユースが

「その方が我々も色々と妨害ができるからね。よろしく頼むよ」

 

 斡旋する業者が

「了解した」

と、通信を終えた。

 

 ユースが

「全く、前にベネリットグループを壊そうとして、ヴィム・ジェタークを利用しようとしたが…失敗した。今度は、外部からの襲撃であり、繋がりはない。バレずに済むだろう。シャディク・ゼネリの時もそうだが、上手く立ち回らないと…ね」

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 斡旋する業者であるナインハデス社の紳士、ウォルターが別の通信で

「だ、そうだ…ソロモン」

 

 通信にいるオックスアースの残党のソロモンが怒りの顔で

「あの男…」

 

 ウォルターが

「そちらの兵士に出撃を願いたい。同時に、君達の敵対していた火星統一連合の反乱者も加わるが…」

 

 ソロモンが

「精々、利用させて貰うとしよう」

と、通信を終えた。

 

 ウォルターが次に通信を繋げる。

 顔は出ない音声だけの通信で

「という事になりました。ナインズ様…」

 

 ナインズと呼ばれた人物の音声は変えられていて

「そうか…火星統一連合の方は?」

 

 ウォルターが

「反乱者に関しては、放置しています」

 

 ナインズは

「おそらくだが、反乱をワザと起こさせて、一掃する。フォボスのプラントの事件を処理したのと同じを…」

 

 ウォルターが

「では、ナインズ様の通りに、後始末に用意したGUDAMザダルスを…」

 

 ナインズが

「ああ…頼む」

と、通信が終わった。

 

 ウォルターが別の画面を映す。

 そこには、全長が三十メートル級の巨大なMSがある。

 全身が黒く、背中には漆黒の翼が伸び、両肩には蛇腹の関節を持つ巨大な三対の手、その手の大きさは胴体と同等で、手の平にエネルギー砲の口が付いている。

 脚部は、膨大な数のスラスターが合体していて、背面には無数のファンネルミサイルのコンテナがある。

 禍々しい悪魔のようなGUDAMザダルス

 ウォルターが

「まさに、魔王だな」




次の第38話でラストです。
実は、続きを考えています。
でも、この作品は、水星の魔女を作ってくれた。
水星の魔女のスタッフ
水星の魔女の監督 ⼩林 寛様、大河内一楼様
サンライズ様に感謝を込めて作った作品です。
もし、この作品がサンライズ様の目に止まって
族編の作成に関わらせて貰えるなら、この作品は、サンライズ様
並びに、ガンダムに捧げます。

ここまで読んでいただけた方々へ、面白かったら大いに宣伝してください。
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