ガンダム水星の魔女、第三期、火星の魔王   作:赤地鎌

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 これにて、終わりです。
 この作品は、ガンダム、水星の魔女を作って頂いたスタッフ並びにサンライズ様に捧げます。
 


第38話 最終回 進み続ける

 

 GUDAMエクス…メルカーバの事件後に作られた特別なGUDAMだ。

 メルカーバが惑星を支配する程の生産能力と兵器群体を持つなら。

 このGUDAMエクスは、全く真逆の発想で作られた。

 メルカーバが戦略惑星兵器なら、GUDAMエクスは戦術惑星兵器だ。

 たった一機で、メルカーバを破壊する事を念頭に作られた破壊専属のMSでありGUDAMだ。

 その力は、一撃でプラント級の宇宙建造物を破壊できる。

 それを何度も連射可能だ。

 

 まさに最強の破壊兵器でもある。

 

 全身が漆黒の装甲で覆われていて、その装甲の全てが重力、電磁的エネルギー、パーメット粒子のエネルギーといった全てのエネルギーを吸収する。

 それを蓄える特殊なコンデンサー、エネルギー貯蓄炉は、デュオが持つアーマードでしか起動しない。

 デュオの…ゾルダスのアーマードは、メルカーバと接触した事で変移進化して、未知のアーマードとなっていた。

 

 つまり、このGUDAMエクスは、ゾルダスが乗ってこそ力を発揮する機体なのだ。

 

 こんな強大なMSをゾルダスに与えて管理させていた。

 

 それは、ゾルダスが一人で火星統一連合を破壊できる力を有している証でもあったが…。

 そのゾルダスは、左遷されたプラントで…火星を困らせる大型隕石を破壊する任務を真っ当していた。

 ゾルダスは、火星を支配するつもりも…壊すつもりもなかった。

 どんなに巨大な力を得ても、所詮は…使いよう。

 良きにつかれば良きに回る。

 悪しきに使えば、潰される。

 それを身をもって知っているゾルダスは、火星を破壊の戦火に包む気は一切無かった。

 何より、メルカーバの中にあったルグスムーンの怨念達の声を聞いて、二度と彼らのような…。

 巨大な力を持たせても、任務を全うし続けるゾルダスに、火星統一連合の上層部は…扱いを決めかねていた。

 このまま、ゾルダスを主軸として決起が起こるかもしれないリスクを抱えていたが。

 ゾルダスはその誘いの全てを拒否し続けていた。

 

そのゾルダスが、争いを好まない。そういう場から遠ざかる事をしているのを知った火星統一連合の上層部は、後々に…とある計画を遂行する為に水面下で動いていた。

 それが、あの十数年後の火星の魔王の遺産だ。

 時間が経過して、そして時期が来たら…。

 その前にゾルダスは行方をくらませて、ゾルダスしか扱えないGUDAMエクスは封印処置されて、今も火星の軍事プラントの奥深くで眠っている。

 

 ゾルダスにとっては、二度と乗る事はないだろう…。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 デュオは、学園の調理実習室を借りて料理をしていた。

 用意しているのは、三段重ねのお重の三つ。

 お重の豪華な料理をデュオは用意して

「よし…」

と、三段重ねのお重の三つ完成さえて、小型の保存庫へ入れた。

 

 それをドアから隠れて見ているのはゾフィアとノディア、ティアナとラウノの四人だ。

 ゾフィアが

「プラント・クエタに持って行くお弁当、完成した!」

 

 デュオが

「おお…完成したぞ」

 

 ゾフィアが嬉しそうな顔で

「付いたら食べるの、楽しみ!!!」

 

 ノディアが

「ゾフィア…欲張って、他の人の分を食べないでよ」

 

 ゾフィアは

「分かっているって!」

 

 デュオが手作りしたお弁当達を乗せた小型の保存庫をデュオが押して

「そろそろ、時間だ。行くぞ」

と、四人の元へ来る。

 

 ラウノが「うん」と、ティアナが「ええ…」と答えた。

 

 なんか、元気が無い二人にデュオが

「どうしたんだ? 何か…元気が無いぞ」

 

 ラウノが

「う、うん。まあ、色々と…」

 

 デュオが

「体調が悪いなら…こっちで休養しても…」

 

 ティアナが微笑み

「何でも無いの…本当に…」

 

「そ、そうか…」とデュオは頷く。

 

 デュオ達、デュオ、ラウノとティアナ、ヘレナ、ゾフィアとノディアの六人は、イオスが操縦する実働部隊エリシアの時に使っていた宇宙戦艦ペガサスに乗って、プラント・クエタへ向かう。

 プラント・クエタには、ラウノの母親であるユーテル博士がいて、GUDAMケラノスとGUDAMギアントの強化改修が行われる。

 無論、宇宙戦艦ペガサスには、GUDAMのケラノスとギアント、ゼファーダとゼオラスも載っている。

 

 ゼファーダとゼオラスは護衛用だが…問題はないだろう…と。

 

 プラント・クエタに宇宙戦艦ペガサスが到着する。

 

 操縦していたイオスが繋がるコネクト端末を外して

「ついたぞ」

 

 プラント・クエタの港に入った後、GUDAMケラノスとギアントの運搬が始まり、運ばれていく。

 

 港を歩いて行くラウノとティアナ、その後にデュオ、ヘレナとゾフィアとノディアが続く。

 ラウノが、ケラノスとギアントが運搬されるカーゴを横に

「お母さん!」

 

 ユーテル博士が

「ラウノ」

 

 ラウノは母親に抱き付いた。

 

 ユーテルが娘のラウノを抱き締めて

「ごめんね。ラウノ…色々と…」

 

 ラウノも母親ユーテルを抱き締めて

「いいの。母さんが無事で良かった」

 

 そのユーテル博士の後ろにテレイアがいる。

 ヘレナが「母さん」とテレイアに近づく。

 デュオも向かい「よう…」と

 

 テレイアが笑み

「久しぶりね。通信機越しでないので会うなんて…」

 

 デュオが持って来たお弁当達の保存庫を見て

「積もる話でもあるから、食べながら…話そう」

 

 テレイアが微笑み

「アナタの料理、食べるのも久しぶりだわ」

 

 イオスは、その情景を宇宙戦艦ペガサスのブリッジから見ていた。

 イオスは、まだ、色々とやる仕事があったので、ブリッジに残っていた。

「さて、帰りの燃料補給と…航路の確認やら、武装のチェックとか…」

と、イオスは端末と自分を繋いで作業を開始する。

 その作業中にメールが届く。

 宛先は、自分を作ったナインハデス社だ。

「なんだ?」

と、イオスはメールを開くと、そこには…

 

 もし、緊急事態が起こった場合の支援物資を用意した。

 と、座標データが添付されている。

 場所は、プラント・クエタから少し離れた宙域だ。

 

 イオスが「ええ…緊急事態?」と訝しい顔をした。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 デュオ達は、地球の風景が見える広場で作ってきた弁当のお重を広げた。

 

 デュオ、ラウノとティアナ、ゾフィアとノディア、ヘレナとテレイアにペールナの皆がデュオの作ったお弁当を食べて談笑していた。

 

 ヘレナが…デュオと母親のテレイアが結婚したら…どうなっていたんだろう?の問いかけに、デュオは笑いながら

「オレは、口ばかりの理屈野郎だから、テレイアをケンカになって離婚していたと思うぜ」

 

 それにテレイアが笑って

「確かに…」

 

 デュオとテレイアは結ばれなかった。だからこそ、お互いが対等な関係でいられる。

 男女で気があって、結ばれたとしても上手く行く事は無いのだ。

 良い距離感でテレイアとデュオが…そしてヘレナもいる。

 そんな、三人を見てラウノとティアナが俯き加減だ。

 

 母親ユーテルが

「どうしたのラウノ?」

 

 ラウノが

「う、うん。ちょっとね」

 

 母親ユーテルが、もしかして…と感づいてしまった。

 

 その後、食事会は楽しく終わって、母親ユーテルがラウノとティアナに

「ラウノ、ティアナさん。デュオ…と話した方が良いかもしれないわ」

 

 ラウノとティアナが少し戸惑い気味に、ティアナが

「でも…」

 

 ユーテルが二人の肩を持ち

「言葉にしないと分からない事って多いのよ。分かって欲しい、察して欲しいだけじゃあ、伝わらないわよ」

 

 ラウノとティアナは「うん」と頷いて勇気を貰う。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 デュオは、プラント・クエタの執務室へ来ると、そこにはデュオン会長とデリングの二人がいた。

 デュオン会長が

「生で顔を見られて嬉しいよ」

 

 デュオが客席のソファーに座って

「で、オレに何を聞きたい?」

 

 同じく客席のソファーに座るデリングが

「お前は、火星の魔王の遺産をどうするつもりだ?」

 執務室の机にいるデュオン会長をデュオを見つめる。

 

 デュオは

「全く決まっていない。まあ、精々…オレに関係する連中に配るくらいかなぁ…」

 

 デュオン会長が

「一生、遊んで暮らしても使い切れないぞ」

 

 デュオが

「酒飲んで、どんちゃん騒ぎして、遊びまくって、それに何の意味がある? 無駄だろう。だったら、誰の後押しや…誰かを救う方に使う事が一番の使い道だ」

 

 デリングが

「それでお前は、満足か?」

 

 デュオは皮肉に笑み

「満足じゃあねぇ。本当は、オレ達のような犠牲を生み出した連中、これからそれをする連中を全員…地獄へ墜としたいと思っている」

 

 デュオン会長が目を閉じて開けて

「復讐か…お前達、アーマードの戦士達をルグスムーンへ変えた者達の…」

 

 デュオは嘲笑い

「そうさ、復讐したい。でも…それじゃあ…世の中は、オレ達のような犠牲者を生み出す時代に逆戻りだ。それじゃあ、ダメだ。過去は変えられない。過去に戻っても止まるだけ、未来なら一歩進める。それだけさ」

 

 デリングとデュオン会長が顔を合わせて、デリングが

「そうか、それがお前の考えなんだな」

 

 デュオン会長が

「お前が下手な事をして世の中が混乱しないようには、口を出すつもりだ」

 

 デュオが肩をすくめて

「分かっているよ。こんな超絶大金、オレの手には余る。相談には乗ってくれよ」

 

 デリングがフンと笑みとデュオン会長は静かに笑む。

 

 デュオが両手を見つめて

「でも…どうしても…ケリを付けないといけない事は…出てくるかもな」

 

 デュオン会長が

「火星統一連合だが…妙な動きがある。気をつけろよ」

 

 デュオン会長とデリングは、デュオの真意を確認すると、各々の宇宙船で帰っていった。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 デュオは一人、外が見える場所で呆然と佇んでいると、ラウノとティアナが来た。

「どうした?」

と、ラウノとティアナを見る。

 

 ラウノとティアナが視線を泳がせて、ラウノが

「私とティアナ…寂しいんだ」

 

 デュオは「え?」と困惑して

「オレ、何か…ヤバい事したのか? だったら謝る。すまん」

 

 ティアナが

「違うの、デュオが悪い訳じゃあ無いの。何て言うか…」

 

 デュオが二人に近づき

「ああ…すまん。オレ、鈍感だから…教えて欲しい。オレの何が…悪かったんだ」

 

 ラウノとティアナ、ラウノがデュオの右側、ティアナがデュオの左側へ抱き付く。

 

「えええ? えええ」とデュオは青ざめる。

 

 デュオに抱き付きながらラウノが

「デュオ、私達に触れてくれなかったから…」

 

 デュオに抱き付くティアナが

「私達ってそんなに距離がある関係なの?」

 

 ラウノが

「ヘレナの事があって、私達…凄く寂しくて、モヤモヤして…それで」

 

 デュオが「ああ…」と声を漏らして、二人を抱き締めて

「ごめんな。気付いてやれなくて…ごめん」

 

 ティアナが

「もっとデュオに…踏み込んでみたい。ダメ?」

 

 デュオが困った顔で

「ごめんな。こういう事には慣れていなくて…だから、二人とも…正直に話してくれ。オレは…どんな事になっても二人を嫌いになるなんて、無いから…」

 

『うん』と、ラウノとティアナは頷いた。

 

 デュオは

「何ともお互いに不器用だな…」

 

 その後、三人は、プラント・クエタにあるショップで、同じキーホルダーを買った。

 ブサイクなようで可愛いキーホルダーをお揃いで三人分。

 

 デュオが

「これ、かわいいか?」

 

 ラウノが

「これがいいの!!!」

 

 ティアナも

「そう、これがいい!!!」

 

 デュオは笑み

「まあ、いいか…」

 

 三人は、通路を進んでGUDAMケラノスとギアントがある格納庫へ向かっていた。

 

 その途中、デュオが人とぶつかる。

「失礼」とぶつかった人が謝って去るが

「待て!」

 デュオが右手の甲を見せる。

「どういうつもりだ? オレは…アーマードのナノマシンと融合しているから分かるが…信号を放つナノマシンを付けたな」

 

 ぶつかった男が懐から銃を取り出してデュオに発砲した。

 デュオは、ラウノとティアナを後ろに隠して、発砲された銃弾から二人を守る。

 

 デュオの体はアーマード融合率90%だ。皮膚が鋼鉄より柔軟で強固だ。

 銃弾の弾丸がデュオの体に当たって潰れるも貫通しない。

 

 近くにいたプラント・クエタの警備員が発砲した男へ電磁ショックガンを発射して、男が痺れた。

 

 男が痺れながら

「火星の魔王…め…お前は…火星に戦乱を…起こす…」

 

 ラウノとティアナが怯えていると、デュオが二人に振り向いて

「大丈夫か?」

 

 ティアナがラウノと抱き付き、ティアナが

「何が…」

 

 警報が鳴り響く。

 

 デュオは二人の肩を持ち

「まさか…」

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 デュオに信号を発進するナノマシンが付く数時間前。

 

 プラント・クエタから離れた宙域にオックスアースの残党の宇宙戦艦二隻がいた。

 その宇宙戦艦にいるソロモンが鋭い顔をしていると、ブリッジの隊員が

「隊長、来ました」

 

 オックスアースの残党の二隻へ向かって二十隻もの宇宙戦艦が近づく。

 それは、火星統一連合から離反した艦隊だった。

 

 その艦隊が、オックスアースの残党の宇宙戦艦に通信で

「汝達の名を借りて遂行する。よろしいかな?」

 

 ブリッジにいるソロモンは首を振って、隊員が頷き

「了解です。これより合同作戦を開始します」

 

 艦隊から通信で

「感謝する」

 

 ブリッジで隊員が「ソロモン隊長…」と見つめる。

 

 ソロモンは

「どうせ、オレ達に押し付けて…後始末するだろうが…その前に…」

 

 隊員達が頷き「了解です」と答えた。

 

 こうして、オックスアースの残党と離反した艦隊がプラント・クエタへ向かった。

 

 ◇◇◇◇◇

 

 そして、警報が鳴り響くプラント・クエタ。

 

 デュオは鋭い顔をして、ラウノとティアナの二人を守るように肩に手を置く。

 ラウノが

「一体、何が…」

 

 ティアナが正面にいるデュオを見つめて

「デュオ…これ…」

 

 デュオが苦しそうに目を閉じ

「やっぱり、こうなったか…」

と、予感を口にする。

 

 ラウノの端末にヘレナの応答が、ラウノが出て

「どうしたの? ヘレナ」

 

 通信のヘレナが焦った様子で

「ラウノ! ティアナ! このプラント・クエタに向かって…所属不明の艦隊が迫っているわ」

 

 デュオがその通信に顔を見せ

「それは、火星統一連合の特徴がある艦隊だろう」

 

 ヘレナが厳しい顔をして

「ええ…その通りよ。父さん」

 

 デュオは痛そうに頭を振り

「予想はしていた。オレがこうなった場合、絶対に…それが気に入らない連中は出てくる…と」

 

 ティアナが

「まさか…前に言っていた反乱者達…」

 

 デュオが頷き、通信のヘレナに

「ヘレナ…今、どこにいる?」

 

 通信のヘレナが

「GUDAMケラノスとギアントを改修している格納庫へ通じる通路に…」

 

 デュオが二人を見て

「合流する。まだ、GUDAMに乗った方が…生存率は高い」

 

「うん」とラウノとティアナは頷く。

 

 デュオ、ラウノ、ティアナは通路を進みヘレナいる場所を目指す。

 

 その最中、艦隊から出撃したMSの軍勢がプラント・クエタへ迫る。

 

 その中にオックスアースの残党もいた。

 オックスアースの残党の頭領ソロモンもMSで出る。

 

 艦隊の部隊と共に、プラント・クエタに駐留するベネリットグループの部隊を交戦する。

 

 ソロモン達、オックスアースの残党は…宇宙港へ向かい、宇宙戦艦を破壊していく。

 

 宇宙戦艦ペガサスから護衛として来たゾフィアとノディアがGUDAMで出撃する。

 

 一方的な戦場のゼファーダのゾフィアが

「うわぁ…ヒドい」

 

 ゼオラスのノディアが

「私達は、自分達の宇宙戦艦の死守だけをするよ! ゾフィア!」

 

 ゾフィアが

「はいな!」

 

 イオスは、宇宙戦艦ペガサスの通信で

「こちらは、ペガサス。現在、プラント・クエタにて何者かの襲撃を受けている。救援を!」

 

 通信に

「こちらは、ベネリットグループのドミニコス隊だ。今からそちらへ向かう。何とか持ちこたえてくれ!」

 

 イオスが声を荒げて

「何とか持ちこたえてくれって! ムリだ! 相手は!」

と、叫んだ瞬間、目の前にオックスアースの残党のMS部隊が…

 

「クソ!」とゾフィアが、ノディアと共にGUDAMで応戦するが、オックスアースの残党のMSは高速で動き、ゼファーダとゼオラスを蹴り飛ばす。

「うあああああ」とゾフィアとノディアが叫び、宇宙戦艦ペガサスの後ろにある隔壁に二人が乗るゼファーダとゼオラスが衝突して埋まる。

 

 イオスがいるブリッジにオックスアースの残党のMSの主砲が向けられる。

 それを向けたのは、ソロモンだ。

「悪いな…」

と、ソロモンが告げて引き金を引こうとしたが…

 

 ナインハデス社のウォルターが通信で

「良いんですか? そのブリッジにいる人物、アナタの息子の記憶を持って生まれた存在ですよ」

 

 ソロモンの体がこわばる。

「ん…」

と、ソロモンは唸った次に、宇宙戦艦ペガサスの背部へ回って推進エンジンだけを破壊して去って行った。

 

 ブリッジにいたイオスは「助かった…」とその場に腰を抜かす。

 その後、宇宙戦艦ペガサスの状態をチェックして

「クソ、推進機関を…だが、重力推進は…まだ」

 そして、悩み…とあるメールをデュオに送信する。

 それはナインハデス社から来た。あのメールだ。

自分達は、助けに行けないから、もしもの…。

 

 デュオは、移動中にメールを受け取り

「イオス? はぁ? ナインハデス社? 救援物資?」

と、立ち止まってしまう。

 

 ラウノとティアナも止まり、ティアナが

「早く、行こう!」

 

「ああ…すまん」とデュオはメールの座標を見て首を傾げた。

 

 デュオとラウノとティアナの三人は移動して、外が見える大きな窓の通路へ来ると、そこにヘレナが

「みんな!」

 

 四人が合流した頃には外に見える風景は戦場だった。

 

 ティアナが

「ヘレナ!」

 

 ヘレナは

「三人とも近くに宇宙服を置いてある場所があるから、直ぐに」

 

 大きな窓にMSが出現した。

 そのMSが窓に向かって銃器を発砲する。

 

 デュオはラウノを抱えて、ティアナとヘレナを別の通路へ蹴る。

 

 窓が破壊されて、内部の気圧が下がり、緊急隔壁が降りる。

 

 ティアナとヘレナは、別の通路に入ったと同時に隔壁が下がって助かる。

 

 デュオはラウノをしっかりと抱えたまま、別の通路の角を掴みラウノを抱えて通路の角へ入った瞬間、そこの隔壁が閉じて助かる。

 

 デュオは腕の中にいるラウノに

「大丈夫か?」

 

 ラウノが震えて

「はぁああ…怖い」

 

 デュオは優しくラウノを抱えて

「大丈夫だ。オレがいる。何とかなる」

 

 ラウノは震えながら頷き、デュオの通信にヘレナが

「大丈夫! 父さん! ラウノ!」

 

 ヘレナの通信にはティアナもいた。

 

 デュオは

「二人は無事か?」

 

 ティアナが

「何とか…」

 

 デュオが

「二人は…そこの通路じゃあ…」

 

 ヘレナが

「格納庫へ行くには…遠回りになる」

 

 デュオがルートを検索して

「オレとラウノの方が近いな…ヘレナ、ティアナ、二人は宇宙戦艦ペガサスへ向かえ。オレ達はケラノスとギアントに向かう」

 

 ティアナが

「気をつけてね」

 

 デュオが頷き

「大丈夫だ。何とかなる」

 

 そして、デュオとラウノは宇宙服を探して一人分しかない。

 デュオはそれをラウノに着させて

「オレは、真空で放射線まみれの宇宙でも平気だ。こういう時にアーマード融合率90%が有利に働くなんて皮肉だ」

 

 ラウノは宇宙服を着ながら

「私は30%だから…でも、デュオと同じになったら」

 

 そこへデュオが額を小突いて

「止めておけ。わざわざ、兵器になんてなるな。ラウノは人殺しの道具なんかじゃあない」

 

 ラウノは「うん」と頷く。

 

 デュオとラウノは近道をする為に、隔壁を開けて破壊された通路を飛ぶ。

 デュオは、アーマード融合率90%の兵器なので真空の宇宙でも平然と移動できる。

 デュオが先に進み、ラウノが続き、通路の脇にある隔壁扉から通路に入って、先を進む。

 

 二人は格納庫の近くまで来たが…そこに敵の兵士達が陣取っていた。

 ケラノスとギアントの元へ来ると予想して待ち構えていた。

 

「ああ…」とデュオは呆れる。

 ラウノは

「どうしよう…」

 

 デュオが

「ここにいろ。直ぐに終わる」

と、デュオが飛び出す。

 

 敵の兵士が

「いたぞ! 火星の魔王め!」

 ライフルを連射するが、デュオは目元を守るように腕を組み突っ込む。

 

 普通ならライフル銃の連射で人はズタズタだが、デュオは違う。

 アーマード融合率90%という人間兵器だ。

 ライフルの弾がデュオに当たった瞬間に潰れて弾かれる。

 

 デュオが迫り驚愕する敵兵士達、そこへデュオがケリや正手を放って敵兵士達を吹き飛ばし制圧した。

 

 それを隠れて見ていたラウノが

「凄い…」

 

 ラウノの後ろから

「ラウノ!」

と、母親ユーテルが声を掛ける。

 

 ユーテルはテレイアと数名の部下と共に宇宙服を着て武装していた。

 

 ラウノが「お母さん」と近づく。

 

 テレイアがデュオのした事を見て

「ここが制圧されたから…武装して来たのに」

 

 デュオが戻って来て

「活躍の場が奪われて残念だったな」

 

 テレイアが浮かんでる敵兵士達に元へ来て

「殺してしまった?」

 

 デュオが笑み

「気絶しただけだ。まあ…肋骨の一本や二本はヒビが入っているかもな」

 

 テレイアが

「ガーディアンの仲間に応援を頼んだんだけど、宇宙議会連合が…足止めしていて…」

 

 デュオが舌打ちして

「宇宙議会連合も絡んでいるのかよ」

 

 ユーテルが

「どうする? ベネリットグループの応援が来るまで持ちこたえる?」

 

 デュオが考えていると、イオスから通信が入り

「デュオ、そっちの状況は?」

 

 デュオが通信で

「ああ…問題が山積みだ」

 

 イオスが

「こっちは、自分とノディアにゾフィアも何とか無事だ。戦艦ペガサスなんだが…後部の推進機関をやられただけで、重力推進機関は無事だ。後…メールは…」

 

 デュオが

「見た。ナインハデス社…一応は味方らしいな。さて…どうしたモノか…」

と、デュオは考えて自分の右手を見つめ

「オレの右手に信号発信のナノマシンが付着している」

 

 それにテレイアが

「じゃあ、シロウを狙っているって事?」

 

 デュオが

「オレがここから出れば、連中は追ってくるだろう」

 

 ラウノが

「デュオを一人で行かせるの? ダメ! そんなの、絶対にダメ!」

 

 デュオが

「ラウノ、聞いてくれ。オレとラウノでケラノスとギアントで出る。そして…ティアナとヘレナを回収して、重力推進で亜光速まで加速して逃げる。ユーテル博士とテレイアは、宇宙戦艦ペガサスに向かって…部隊が消えたら、退去。どうだ?」

 

 テレイアとユーテルは戸惑っているが、ラウノが

「それにしょう。私、がんばるから」

 

 ユーテルが項垂れて

「だそうよ。ゾルダスさん。娘を…」

 

 デュオは頷き

「分かっている。必ず守る」

 

 ◇◇◇◇◇

 

 GUDAMケラノスとギアントは、ドッキングして出撃する。

 ケラノスは、今までのノーマルな感じから様々なフィンが付いた羽衣を纏った天女のような様相である。

 ギアントは、下部上部に鋭い剣のようなファンネルフィンを備えて、スラスターが大型に強化、更に様々な武装パックの背部が備わる。

 

 機械天女のケラノスと、動く要塞鎧のようなギアントがドッキング。

 

 そこへ、無数の敵性MS達が来る。

 

 GUDAMケラノスギアント改に無数のレーザー光線や質量弾を放つも、ギアントパーツのファンネルフィンが飛び出してシールドになる。

 

 GUDAMケラノスギアント改の複座の前席にいるラウノが

「行くよ。デュオ…」

 

 後部座席のデュオが頷き

「ああ…行くぞ」

 

 GUDAMケラノスギアント改の背部にあるスラスター達が火を噴いて、目の前にいる敵性MS達へ突貫する。

 五機もあった敵性MS達が吹き飛ばされて、外の宇宙へ出る。

 

 戦場の外へ出るGUDAMケラノスギアント改。

 

 ラウノが

「デュオ、殺さないけど…」

 デュオが

「ああ…任せる!」

 

 GUDAMケラノスギアント改のファンネルフィン達が無数に広がって

「ここから出て行けーーーー」

と、ラウノが叫ぶ。

 ギアントパーツにあった巨大な砲身を両手に握るケラノス部分。

 その巨大砲身と、ギアントパーツにある砲身に背部パックの全てが開き、一斉の拡散攻撃が噴火した。

 

 無数の重力砲にミサイル、ファンネルフィン達が重力砲のエネルギーを反射して、敵性MSの頭部や脚部、腕を破壊して戦闘不能にする。

 

 粗方、片づくとラウノがGUDAMケラノスギアント改に備わる探査システムにアクセスして、ヘレナとティアナの位置を探し

「いた!」

と、そこへ向かう。

 

 

 ティアナとヘレナは、所々が破壊されて迂回に次ぐ迂回で移動していた。

 そこへ内部に侵入した敵性MSに見つかって、銃器が発砲される。

「あぶない!」

と、ティアナがヘレナを庇った。

 

 破壊が終わった後、ヘレナは無事だが、ティアナが腹部に破片を受けて宇宙服の上から出血する。

 

 ヘレナが「ティアナ!」と出血を押さえる。

 そこへ、無情にもトドメの銃器を向ける敵性MSだが、その横顔にGUDAMケラノスギアント改のパンチが入って吹き飛び、ファンネルフィン達によって両手足に頭を切断されて戦闘不能になる。

 

 GUDAMケラノスギアント改が重傷のティアナとヘレナの元へ来て、コクピットが開き、ラウノとデュオが出て、ラウノが

「ティアナ! ヘレナ!」

 

 ヘレナが

「ティアナが!」

 

 戦闘不能になった敵性MSのパイロットがハッチを開けて銃を向ける。

「この火星を滅ぼす魔王どもめ!」

 

 デュオが近くに浮かぶ破片を手にして、剛速球でパイロットへ投げ、パイロットの額に衝突して仰け反る。

「気絶してろ! ボケ!」

と、デュオは叫び、重傷のティアナの元へ来る。

 

 出血するティアナにラウノが

「どうしよう…」

 

 デュオが渋い顔をして

「なら…こうするしかない」

と、右手の宇宙服の手袋と袖を外して右手を露出させると、そこへ治療ナノマシンの液体をかける。そして、それをデュオのナノマシン、アーマードで侵食変換して、ティアナの傷口に当てる。

 ティアナは薄くなる意識の中で理解した。

 ラウノが小さい頃に助かったように同じ事をデュオはする。

 

 デュオの全身が赤い電子回路模様に明滅する。

 デュオのアーマードのナノマシンが、ティアナの触れている傷口から入り込み、ティアナのキズを塞ぎ出血を止めるも…破片が残っている。

 一時的な処置だ。

 

 デュオが

「出血は止まったが…急ぎの治療が必要だ」

 

 そこへ、テレイアの通信が入り

「シロウ、聞こえている? ガーディアンの仲間がやっと動けたけど、月周辺にいるの」

 

 デュオが通信に

「分かった。オレ達はそっちへ向かう」

と、ティアナを優しく抱えて

「ラウノ、ヘレナ、行くぞ。急いでティアナを…」

 

 ラウノとヘレナ頷いた。

 

 四人を乗せたGUDAMケラノスギアント改は、外に出て逃亡する。

 

 だが、敵のGUDAMアフェド達がGUDAMケラノスギアント改に向かう。GUDAMアフェド達の背面には、GUDAMケラノスのデータから作られた亜光速用のバックパックがあった。

 

 それを見たデュオは

「マズい、追いつかれる…」

 そして、考えて

「ヘレナ」

と、抱えるティアナをヘレナに渡して操縦席に座らせる。

 

 ヘレナが青ざめて

「父さん、まさか…」

 

 デュオが右手をかざして

「連中は、オレに信号発信のナノマシンを付けた。オレが出れば…お前達は助かる」

 

 ヘレナの腕にいるティアナが青い顔で

「あ、ダメ…だ…」

 

 デュオがティアナの顔を撫でて

「大丈夫だ。ギアントのバックパックには別の小型MSが付いている。それに乗って…」

 

 ラウノが震えながら

「必ず…帰ってくるなら…」

 

 デュオは微笑み

「必ず帰ってくる。約束だヘレナ、ティアナ、ラウノ…」

と、告げて背部へ繋がる通路へ行く。

 

 デュオは、ギアントパーツの一つである軽量MSに乗って、GUDAMケラノスギアント改から離れた。

 

 ラウノは、涙しながら

「重力推進、開始!」

 GUDAMケラノスギアント改は、亜光速へ突入して加速する。

 デュオがいるMSを残して。

 

 追跡していたGUDAMアフェド達は、デュオがいる軽量MSへ向かい、デュオは

「こっちだぁぁぁぁぁぁ!」

 軽量MSの推力を全開にして、とある場所へ向かう。

 あのナインハデス社の救援物資がある座標へ。

 

 GUDAMアフェド達の攻撃を回避しつつデュオは向かう。

 そして、座標データの場所へ来る。

 

 何も…ない。

「クソ!」

と、デュオが厳しい顔をする。

 

 そして、無数のMSとGUDAMアフェド達、更に艦隊が…。

 

 デュオの軽量MSは両手にビームしかない。

 

 絶望的状況。

 

 そこへ、重力推進の急停止による衝撃波を放つ大きなカーゴが到着する。

「うおおおおお!」

 デュオは、急いでその飛んできた大型カーゴへ向かう。

 

 その最中、乗ってきた軽量MSは破壊され、デュオはコクピットから飛び出して、大型カーゴのハッチ部分へ掴まる。

 そして、そこから内部へ入ると、そこには…あの禍々しいGUDAMザダルスが。

 

 それにデュオは乗り、GUDAMザダルスが起動すると同時にメッセージが入る。

 

 ナインハデス社のウォルターだ。

「到着が遅れた事に謝罪いたします。存分に、お使いください」

 

 GUDAMザダルスが入ったカーゴが爆発する。

 

 そして、GUDAMザダルスが動きです。

 両肩に巨大な蛇腹関節を持つ三対の手、漆黒の翼、背面に無数のファンネルミサイル達。 魔王の如きGUDAMが動き出した。

 

 敵対するMS達がGUDAMザダルスに攻撃を放つ、エネルギー砲は全てGUDAMザダルスの漆黒の装甲に吸収される。

 そう、GUDAMザダルスはGUDAMエクスと同じ、エネルギー吸収装甲が備わっている。

 質量弾は? GUDAMザダルスが推進機関とする黒い翼の重力エネルギーで軌道が曲げられて全てが外れる。

 

 デュオが残酷で冷徹な顔で

「聞こえるか? 逃げるなら…見逃す」

 

 艦隊への最後通告だ。

 

 だが

「キサマは! 火星を滅ぼす魔王! 断じて許しがたい! ここで終わらせる」

 

 デュオが鋭い視線で

「そうかい、じゃあ…死んでも文句は無いな」

と、GUDAMザダルスを走らせる。

 

 反乱の艦隊の全てのエネルギー攻撃を吸収しつつGUDAMザダルスが迫る。

 そして、GUDAMザダルスが中央部の人型の部分の両手に巨大なエネルギーの斧を握る。

 

 そこからは、一方的な鏖殺が始まった。

 

 攻撃するMSやGUDAMアフェド達が、蛇腹関節を持つ巨大な手達によって破壊される。

 握りつぶされる、手の平にあるエネルギー砲によって貫かれる。

 そのエネルギー砲は巨大で、一撃で数十機のMSを貫く。

 GUDAMザダルスが戦艦に迫ると、刃を巨大化させたエネルギー斧で戦艦を真っ二つにした。

 GUDAMザダルスは次々を戦艦を両断して破壊しつつ、そのMSやGUDAMアフェド達を破壊していく。

 

 それを遠くで見ているソロモン達は、ブリッジにいるソロモンが

「撤退する」

と、オックスアースの残党は全力で逃亡した。

 

 それをデュオは見ていた。

 撤退するオックスアースの残党は見逃した。

 逃げるなら見逃すの通りに…。

 

 だが、反乱者達は逃げなかった。

 宇宙艦隊の一つが、GUDAMザダルスのデュオによって壊滅した。

 

 その後、ナインハデス社のプラント式宇宙戦艦が来て、GUDAMザダルスを回収と同時にデュオが乗る宇宙艦を用意してくれた。

 

 宇宙に浮かぶGUDAMザダルスの前に宇宙艦が来て、その宇宙艦のハッチが開き、そこへデュオが乗ると、そこにウォルターがいた。

 

 ウォルターが

「では…これにて…」

と、ウォルターがGUDAMザダルスへ入り操縦してナインハデス社のプラント式宇宙戦艦へ入れた後、プラント式宇宙戦艦は移動を開始した。

 

 デュオは、宇宙艦を操縦して月周辺、ラウノ達が向かった場所へ。

 

 

 ◇◇◇◇◇

 

 この事件は、正体不明の艦隊による襲撃とされて、未だに多くの謎が残るという形になったが…火星統一連合の上層部は知っていた。

 正体不明の艦隊は、消息不明という事にして、全滅した事が伏せられた。

 

 デュオは、月の近くにあるプラントの病院にいた。

 事件から一週間後、ティアナが入院していた。

 

 ベッドにいるティアナ、その脇にいるデュオとラウノにヘレナ。

 

 ティアナがデュオに微笑み

「ありがとうね。デュオ」

 

 デュオは苦しそうな顔で

「すまない。オレのアーマードを入れる事でしか…」

 

 ティアナがニンマリと笑み

「これで、私もラウノと対等になったわね」

 

 そう、ティアナもラウノと同じくデュオのアーマードが入った。

 

 ラウノはデュオの脇腹をつまみ、嫉妬の…

 

 デュオは呆れた顔をする。

 

 ヘレナが

「あら、父さん、モテ期ね」

 

 デュオは額を抱えて

「オレは、ロリコンじゃあねぇ…」

 

 色々な事を踏みながら時間は掛かるだろうが、前に進み続けるのであった。

 

 

           ガンダム 水星の魔女 火星の魔王 終      




 これにて、この二次創作は終幕です。
 この小説は、水星の魔女を作ってくれた水星の魔女のスタッフとサンライズ様に
 感謝を込めて作成しました。
 
 新たなガンダムを作ってくれた方々に感謝を込めて

 もし、この続きが族編として採用されたなら、これは水星の魔女とそのスタッフ、サンライズ様に捧げます。
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