火星の戦争で使われる無人兵器戦艦デューン・スポーンの出現に困惑する。
そして、そこに…彼が乗ったGUDAMギアントが…
「お願い! 娘を…ラウノを守って」
と、男の目の前で涙する女性。
ラウノの母親であるペールナ博士だ。
男は、とあるGUDAMのコクピットに乗っていた。
男なら、このGUDAMを絶対に操縦できる。
このGUDAMに備わっている…とあるデータの正当な…
男、デュオ・ゼルウス(仮)…デュオは鋭い顔をして、ユーテル博士を見つめていた。
「何の因果か…」
と、デュオは苦々しく口にする。
ユーテル博士は涙して微笑みながら
「本当に…ごめんなさい。そして…ありがとう」
と、男の本当の名前を口にして、男が乗るGUDAMのコクピットから離れる。
GUDAMがある格納庫は無重力になっていて、ゆっくりとペールナ博士が離れると、爆炎がGUDAMを包む。
デュオの乗ったGUDAMのハッチが閉じて、コクピット全体に外の風景が投影される。
デュオは慎重に息を吐いて飲み込み
「GUDAMギアント、出る!」
デュオが乗るGUDAMギアントは漆黒の巨大なGUDAMだ。
その全長は三十メートルにもなり、十五メートル級のMSの倍の大きさだ。
爆炎に包まれる格納庫を進むGUDAMギアント。
壊れていく格納庫は動かない。
それを突き破るGUDAMギアント
轟音と共に、木星のエウロパにあるプラントの内部へ出る。
現れたGUDAMギアントに待ち構えていた火星の量産型の武装切り替えGUDAM達が待ち構えていた。
その部隊長である男、ブシードが
「出たぞ! 全員…武装を解除!」
巨大なGUDAMギアントに狙いを定めるが…
ヴォオオオオオオ
GUDAMギアントが生き物のように吠える。
周囲の量子エネルギーを吸収する様は、まるで生きているようだ。
量産武装切り替えGUDAMアフェドに乗るブシードが苦々しい顔で
「これが…Yデータから作られた…バケモノ」
GUDAMギアントが背中にある鉄の翼を広げる。
三十メートルの巨体が更に大きくなり四十メートル級になる。
黒く巨大なGUDAMギアントの威圧をヒシヒシと受け取るブシードの部隊。
ブシードが
「攻撃! 開始ーーーー」
GUDAMアフェド達のグラビトンビームがGUDAMギアントへ襲いかかる。
漆黒の透明なエネルギー、重力波がGUDAMギアントへ襲いかかるも、それ以上の重力波をGUDAMギアントは放ち相殺する。
そして、プラントの出口へ飛び立つ。
それを阻止しようとGUDAMアフェド達が向かうも、四十メートル級の巨体に似合わない俊敏さでGUDAMアフェド達を弾き飛ばす。
そして、開かれた外部の巨大ハッチから、GUDAMギアントが飛び出す。
そこにはメタンの氷の惑星エウロパと巨大な木星が見えた。
GUDAMギアントの操縦者であるデュオは、目標を設置する。
向かう先は、地球だ。
GUDAMギアントは自身を箱形の形状に変形させて、亜光速航行モードへ。
そして、空間を振動、歪ませて亜光速で飛んでいった。
あっという間に、木星を離れてるGUDAMギアント
GUDAMギアントのコクピットで、操縦者のデュオが一枚の映像が入った端末を取り出す。そこには、幼い頃のラウノが映っていた。
デュオは厳しい顔で
「本当に、何の因果か…」
デュオを乗せたGUDAMギアントは、地球へ向かうのであった。
◇◇◇◇◇
そして、GUDAMギアントが到着した頃。
ラウノとティアナが乗るGUDAMケラノスの頭上から、火星の無人兵器戦艦デューン・スポーンが落ちてくる。
GUDAMケラノスのコクピットでラウノの膝の上にいるティアナが
「どういう事? なんで…火星の兵器が…?」
ラウノはGUDAMケラノスが、降下してくるデューン・スポーンから信号を受けたのを知って
「そんな、探査識別レーダーって…」
ティアナがラウノに
「え? 何があったの?」
ラウノが厳しい顔で
「火星統合軍にいたオジさんから聞いた事があるんです。デューン・スポーンには、機体の識別を調べて敵か味方か?を判別する個体識別レーダー波があって、まずは…それを使って互いの敵、味方を判別して行動するって…でも…」
ティアナがつばを飲み込み
「でも…?」
ラウノが厳しい顔で
「探査識別レーダーは…攻撃する機体だけを調べるって」
ティアナが青ざめて
「つまり、私達が…敵って認識されたの?」
ラウノが頷き
「おそらく…でも、ありえない、それじゃあ無差別に攻撃するって事ですよ。火星では民間や識別不能な存在は、攻撃対象にしないって…」
ティアナが
「私が、どうして…お爺様のいる火星に戻りたいって思った理由はなんだと思う?」
ラウノがティアナを見つめて…
「どういう理由ですか?」
ティアナが
「五年前の第三次火星大戦の時に使われた無人兵器戦艦デューン・スポーンが…流出して…テロリストに使われているの。それで、お爺様のいる火星プラント群が…大変な事になっているから…」
ラウノが
「じゃあ、アレって…テロリストが差し向けた…」
ティアナが頷き
「ええ…その可能性が高いわ」
◇◇◇◇◇
地球へ降下したGUDAMギアントを追っているGUDAMゼファーダのゾフィアが
「ねぇ…ノディア…アレ…デューン・スポーンだよね」
隣に並ぶGUDAMゼオラスのノディアが
「ええ…間違いないわ。なんで…ここに」
二人のGUDAMに敵対の識別として、探査識別レーダーが放たれた。
ゾフィアが
「ウソでしょう! こっちを敵と認識しやがった!」
ノディアが
「そんな、個体識別レーダーもなしで?」
二人のGUDAMの後ろにGUDAMゼルドスのガジタールが来て
「こちらが個体識別レーダーを放ったが…あのデューン・スポーンの個体識別はNOデータとなった」
ノディアが苦い顔で
「まさか、例のテロリスト達に渡った!」
ガジタールが
「その可能性が高い」
三人の通信に指揮官のイオスが
「今、あのデューン・スポーンについて確認したが…我らの統合軍から回答は…そんなバカな!だ」
ゾフィアが
「ウソでしょう! 目標を追跡中にテロリストのデューン・スポーンと遭遇でしかも…」
ノディアが
「その目標がデューン・スポーンへ向かっている」
デューン・スポーンが戦闘モードへ移行する。
おそらく、目標であるGUDAMギアントも敵と認識したのだろう。
デューン・スポーンの筒型の前と後ろが開き、そこから十メートルサイズの無人MSであるノード達がが放出される。
その数、数十機だ。
ゾフィアが
「マズいマズい! 戦う気満々になっちゃった!」
ノディアが
「別の機体が地上から来る」
ガジタールが
「どうする? イオス」
通信のイオスが
「作戦変更、目標の確保からデューン・スポーンの被害を防ぐ方へ回る。目標の確保以上に、今回のデューン・スポーンが地球に被害を与えた場合、最悪は…」
ノディアが
「火星と地球との戦火の拡大…」
ゾフィアとノディアが嫌な顔をして、ガジタールがサングラスを押さえる。
ゾフィアが
「じゃあ、目標のGUDAMギアントと協力って事も!」
イオスが
「可能なら…」
ゾフィアが
「ノディア!」
ノディアが
「ええ、行くよ」
ゾフィアとノディアのGUDAMが昇ってくるラウノ達のGUDAMへ向かう。
ゾフィアが
「私達は、あの昇ってくる機体と合流、ガジタールは」
ガジタールが
「GUDAMギアントと通信を繋げて協力を仰ぐ」
イオスが
「作戦変更! これより、テロリストが使用したであろうデューン・スポーンの被害を防ぐ!」
◇◇◇◇◇
地球へ地上へ降りていくGUDAMギアントを通り過ぎて行くGUDAMゼオラスとGUDAMゼファーダにデュオは気付き、GUDAMゼルドスがGUDAMギアントに並んで
「こちらは、火星統合軍、実験実働部隊である。汝に協力を仰ぎたい」
GUDAMギアントに乗っているデュオが自分達の上にいるデューン・スポーンを見て
「アレのデューン・スポーンの破壊か?」
ガジタールが
「そうだ。あのデューン・スポーンは」
デュオが
「おそらく、テロリスト、オックスアースの残党が使っているのだろう」
ガジタールが
「理解が早くて助かる。なので…」
デュオが
「任せろ…いい案がある」
◇◇◇◇◇
ラウノ達は自分達より上にいるデューン・スポーンに困惑していると、二人が乗るGUDAMケラノスにGUDAMゼファーダとGUDAMゼオラスが来て
「そこの所属不明機って…GUDAMケラノス?」
通信の声にラウノが
「その声…もしかして、火星統合軍の実験実働部隊エリシアの…ノディアさん?」
そしてGUDAMゼファーダのゾフィアが
「お、ひさし! その声、ラウノっちじゃん」
ティアナが
「知り合い?」
ラウノが
「ええ…このGUDAMケラノスは…色んな重力推進装置の実験機でしたから…それで…」
ゾフィアが
「重力推進実験機であるケラノスには、武装なんてないでしょう! 下がって!」
ラウノがティアナを見て
「ティアナさん…」
ラウノの膝の上にいるティアナが頷き
「今回は…これで…次にお願い」
ラウノは頷き
「ゾフィアさん、ノディアさん、あのデューン・スポーンって」
ノディアが
「テロリストが寄越した厄介事!」
ゾフィアが
「アタシ等は、戦闘用だから! ラウノっちは逃げて、周辺避難、よろしく!」
ラウノが
「はい、お願いします」
と、GUDAMケラノスを下げようとしたが…突然にGUDAMケラノスの操縦が奪われる。
「え!」
と、困惑するラウノの前に認証ディスプレイが現れて、ドッキングの説明を始める。
GUDAMケラノスはラウノの意に反して上昇、GUDAMギアントと合体を始める。
ティアナが
「な、何! 何が起こっているの!」
三十メートルの巨体のGUDAMギアントが変形を開始する。
それにGUDAMケラノスが対応して、GUDAMギアントが台座のように変形して、そこへGUDAMケラノスが合体する。
その様は、まるでガンダム・デンドロビウムのようだ。
ラウノがいるコクピットの背面が開いて別のコクピットと合体する。
ラウノとティアナがいるコクピットが複座の大きなコクピットになり、二人のいる席の上にデュオがいるコクピットが合体して、上下の二連の席になる。
デュオが
「ラウノ・ユーテルだな…ん?」
デュオは直ぐに操縦しているラウノを見るが、そのラウノが膝で抱えているティアナを見て
「おい、ラウノ…その膝の上にいるヤツは…誰だ?」
ティアナが
「あの…ティアナ・テュールと申します」
デュオが
「ティアナ・テュール? お前! まさか…火星のプラントを総括するデュオン会長の孫娘か!」
ティアナが頷き
「はい、その通りです」
デュオは困惑の顔をしていると、ラウノが
「アナタは…」
デュオは感慨深い顔で
「ペールナ博士からキミを守るように依頼された…そう…デュオ・ゼルウスだ」
ラウノが驚きの顔で
「母さんが…」
デュオは
「諸々の事情は、後で説明するとして、今は…アレを…何とかする」
と、デューン・スポーンを見る。
ラウノが
「何とかするって、どうやって?」
ラウノの目の前にある認証ディスプレイが、とある文言を点滅させるYDaTa
「え? これは…」
デュオが
「Yデータの認証をしてくれ」
ラウノが認証ディスプレイに触れて
「こうですか?」
二連の複座の画面達に膨大な数の文字や数字が浮かんでは消えて
音声で
”Yデータ認証確認、メルカーバより、エネルギー供給を開始します。”
外では
「な、なに?」とゾフィアが混乱して、ノディアが厳しい顔だ。
デューン・スポーンが来た遙か上から、緑色の淡い光の柱が合体したGUDAMケラノスとギアントの元へ届く。
淡い緑の光に包まれたケラノスの合体GUDAMは、その緑の光を吸収する。
それは、高密度に圧縮された重力エネルギーだった。
GUDAMケラノスの二連の複座に音声が入る。
”メルカーバより重力エネルギー供給、充填率120、130、150…200、臨界点突破”
ラウノの操縦席の画面にサーチマークが灯る。
デュオが
「それを、デューン・スポーンへ合わせろ」
ラウノは言われるまま操縦して、合体したGUDAMケラノスを上にいるデューン・スポーンへ向ける。
デューン・スポーンをサーチマークがロックする。
デュオが「撃て」と…
ラウノは言われるまま、発射をした。
合体したGUDAMケラノスから臨界を突破した重力エネルギー波が発射される。
空間を歪める透明な黒の津波が、デューン・スポーンを包み込むと、デューン・スポーンが展開したノードの無人兵器達も呑み込んで、超圧縮重力に圧殺された。
その威力にラウノとディアナは青ざめる。
二人の上後ろの複座にいるデュオが
「これがペールナ博士が博士がキミを守る為に託した力だ」
破壊されて赤熱するデューン・スポーン流星群を上に、合体したGUDAMケラノスがいた。
その威力に、ゾフィアとノディアは言葉を失う。
その全体を見ていたイオスが
「これが…火星の魔王が残した遺産、Yデータの力か…」