ガンダム水星の魔女、第三期、火星の魔王   作:赤地鎌

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 ついに決闘の火蓋が切られた。
 火星で誕生したGUDAM同士の決闘。
 それは…


第29話 決闘

 

 決闘当日が来た。

 ラウノは、GUDAMケラノスの操縦席で深呼吸している。

 そこへティアナが来て、操縦席のドアに立ち

「大丈夫って言っても緊張するか…」

 

 ラウノがパイロットスーツのヘルメットを持って不安げに笑み

「はい…」

 

 ティアナがラウノの両頬を挟んで

「ラウノなら、やれる。大丈夫。これがおまじない」

と、ラウノの額にキスをした。

 

 ラウノは驚きと共に笑顔になり

「ありがとうございます」

 

 ティアナが操縦席から出て

「じゃあ、私…ちゃんと最後まで見ているから…」

 

「はい!」とラウノは元気よく答えてヘルメットを被りGUDAMケラノスを動かす。

 GUDAMケラノスはMSの移動カーゴに乗せられて決闘の場、試験区域へ移動する。

 

 デュオの方は、のんきにGUDAMギアントの操縦席で食事していた。

 通信でティアナが

「そんなに食べていたら…決闘の時に吐くわよ」

 

 デュオは簡易な軽食を口にしながら

「心配するな。戦う時は、何時も腹ごしらえをしている。戦闘中にお腹が減って動けなくなのは困るからな」

 

 ティアナが

「でも、一度くらい、戦闘中に吐いた事はあるでしょう?」

 

 デュオは真剣な目で

「そんな事はなかった」

 

 ティアナが「強がり」と呆れ笑いをした。

 

 GUDAMギアントは三十メートルと巨大なので、MS用のカーゴに乗せる事は出来ず、自ら飛んで試験区域へ移動した。

 

 到着した場所は、廃墟の都市部だった。

 廃墟の都市遺産を利用しての試験区域だ。

 

 オデッセウス学園の中央ホールでは、スレッタとミオリネ、ティアナがいて…更にジェターク社CEOのグエル・ジェタークがいた。

 

 立派な大人になったグエルが

「久しいな決闘なんて」

 

 ミオリネが

「ええ…まさか、またこうしてやれるなんて思いもしなかった」

 

 そこへ、イオスが来て

「遅れて申し訳ない」

と、イオスが来る頃に、火星の実験実働部隊エリシアのGUDAMを乗せた三つのMSの移動カーゴが試験区域へ到着する。

 

 MSのカーゴから、GUDAMゼファーダのゾフィア、GUDAMゼオラスのノディア、GUDAMゼルドスのガジタールが出てくる。

 

 両腕に砲身を備えるゼファーダ。

 右手に二連ガトリングと左手に可変ソードのゼオラス。

 様々な武装コンテナを背負うゼルドス。

 三者三様のGUDAM達がいる。

 

 対するラウノ達は、軽装で小型ビーム砲を持つラウノのGUDAMケラノス

 通常のMSの倍もある三十メートルの巨体を持つGUDAMギアント

 武装の数は少ない。

 

 ゾフィアが

「ラウノっち。楽しませて貰うよ」

と、舌なめずりする。

 

 ラウノは厳しい顔をするも

「私も負けませんから」

 

 ゾフィアが「へぇ…」と少し笑う。

 

 実際、実戦経験や戦闘経験は、圧倒的に実験実働部隊エリシアの方が上だ。

 後は…あのGUDAMギアントにいる男デュオがどれ程の実力か…。

 火星統一連合の軍属から抜けて十年以上だ。腕は…歳月と共に衰える。

 

 だが、ガジタールが

「ゾフィア、ノディア、あの男だけには気をつけろ」

 

 ノディアが

「前線にいたのは十年以上前でしょう。心配しすぎでは?」

 

 ガジタールが

「アイツは特別だ」

 

 そして、決闘の口上が始まる。

 口上を行うのは、グエル・ジェタークだ。

「では、決闘の宣言を行う。両者! 名乗りを」

 

 ラウノが

「LP051、ラウノ・ユーテル」

 

 デュオが

「ええ…そのガーディアン、デュオ・ゼルウス」

 

 ゾフィアが

「火星の実験実働部隊エリシアの隊員、ゾフィア・ローネ」

 

 ノディアが

「同じく、ノディア・ルノー」

 

 ガジタールが

「同じく、ガジタール・マフィリア」

 

 グエルが

「双方、魂の代償をリーブラに」

 グエルの口上は

「決闘者は、ラウノ・ユーテル、デュオ・ゼルウス 対 エリシア部隊のゾフィア・ローネ、ノディア・ルノー、ガジタール・マフィリア

 場所は、特別試験区域、12番

 両者、共に賭けの対象はYデータで良いか?」

 

 ゾフィアが

「はいはい、ついでにデュオ・ゼルウスをアタシ達の仲間にって」

 

 グエルが

「だ、そうだが…」

 

 デュオは

「別に構わない。負ける事はない」

 

 ゾフィアがイラッとして

「言うじゃん。その顔、真っ青に染めてやる」

 

「はいはい」とデュオは淡々と答える。

 

 グエルが

「では、双方の賭けの対象が決まったという事で

 双方の合意の元、決闘を執り行う。立会人はジェターク社CEOグエル・ジェタークが務める。

 決闘は、2対3の集団戦

 勝敗は、双方のパイロットが戦闘継続不能、もしくはMSが戦闘不能になった事で決する。

 両者、向顔」

 

 互いの顔を映し合う。

 ラウノが

「ええ…勝敗はモビルスーツの性能で決まらず…」

 

 ノディアが

「操縦者のワザのみで決まらず」

 

 全員が

「ただ、結果のみが真実」

 

 立会人グエルが

「フィックス・リリース」

 

 決闘が開始された。

 

 この戦いは、関係者全てに生中継されていた。

 その中で、火星の軍属のブシードが若い部下と見ていて

「この戦い、目を離すなよ」

 

 両者のGUDAMが動く。

 

 GUDAMケラノスが先に攻撃をする。

 右手に持つビーム砲を発射して牽制する。

 

 それにGUDAMゼファーダとGUDAMゼオラスが重力シールドを展開して守る。

 重力シールドによってビームの光線は曲がり背面に消える。

 

 ゾフィアが

「へぇ…牽制とは、ラウノっち、少しは戦い方を学んだじゃん」

 

 ラウノが牽制しつつ、巨体のGUDAMギアントが出る。

 GUDAMギアントの背面にある円錐の翼達が分離して、GUDAMケラノスの周囲を周回する。

 GUDAMケラノスとGUDAMギアントから飛び出したビット達がリンクして、ケラノスの攻撃をアシストする。

 ケラノスがビーム砲を重力波砲に変えて、リンクしたビット達を反射台にして攻撃する。

 様々な方向から来る重力波のビーム。

 だが、それでもゼファーダ、ゼオラス、ゼルドスは回避する。

 

 それを見ているグエルが

「相当なパイロット達だな」

 

 スレッタが

「ええ…操縦テクニックはかなりですよ。それに使い慣れた機体…」

 

 ミオリネが

「かたやあの子達は、最近…乗った機体」

 

 ティアナが両手を握り合わせて小声で

「がんばって…ラウノ、デュオ」

 

 戦いは続く。

 ゼファーダ、ゼオラス、ゼルドスは見事な連携を見せる。

 ゼオラスが切り込みつつ連射ガトリング

 そこの空いた穴へゼファーダが入り、ゼオラスとゼファーダのコンビネーション。

 遠距離から様々なミサイルで追撃するゼルドス。

 

 その攻撃にケラノスとギアントは回避するしか…

「隙が無い」とラウノが漏らす。

 ラウノの技量も相当だ。

 これだけの波状攻撃を回避している。並のパイロットなら追い詰められて…。

 

 ギアントにいるデュオが

「なるほど…こういうタイプか…」

 

 ラウノが

「どうしますか?」

 

 デュオがギアントを止める。

 

「はぁぁぁぁ! 諦めちゃった!」

と、ゾフィアがゼファーダで追撃する。

 

 デュオが息を吸って吐いて

「久しぶりの感覚だ。荒れるぞ」

 ギアントが空間中の量子エネルギーを呼吸するように吸収し、全身にエネルギーが広がる電子回路を明滅させる。

 

 ガジタールが

「ゾフィア!」

 

 その後、とんでもない動きが始まる。

 

 ギアントが消えた。

 

「え?」とゾフィアが困惑する。

 その瞬間に、三十メートルの巨体がゾフィアのゼファーダの前に来て蹴りを放った。

 

 ゼファーダがギアントの蹴りを受けて飛ぶ。

 

「ゾフィア!!!」

 ノディアが叫ぶ。

 ノディアがゼオラスのガトリングを向けるが、ギアントがそれが自分に放たれる寸前に全て回避して、ゼオラスに急接近して、ゼオラスの腹部に蹴りを放つ。

 

 ゼファーダとゼオラスが吹き飛び、ガジタールがゼルドスから膨大な数のミサイルを放つ。

 360度、全方位から迫るミサイルの全ては三十メートルの巨体が軽やかに避けて、ゼルドスへ迫り

「この!」

と回復したゾフィアがギアントの後ろに攻撃するが、それが放つ瞬間に回避される。

 

「クソクソ」

と、ノディアも回復して波状攻撃をする。

 

 その全ての攻撃が放つ寸前に回避される。

 自分達の乗っているGUDAMの倍もある巨体のギアントが、まるで飛ぶ鳥の如く軽やかに回避する。

 ギアントが、空中で稲妻のように、鳥の急降下の如く、全ての攻撃を回避する。

 三十メートルの巨体がしていい動きではない。

 

 そして、ゼファーダとゼオラスにギアントが迫り、正手と蹴りを放って吹き飛ばす。

 そして、ゼルドスへ迫り腹部に蹴りを放って飛ばす。

 

 その光景を見ていた立会人達。

 グエルが

「な、何だ…あの動き…」

 

 スレッタが

「MSの動きじゃあない」

 

 

ゾフィアが

「クソクソ! このデタラメがぁぁぁっぁあ!」

 

 攻撃してもギアントは回避する。

 ゾフィアの乗るゼファーダより倍も大きな巨体が風や羽の如く攻撃を避ける。

 それに

 

「落ちろぉぉぉぉぉぉ!」

と、ノディアも

 

 ゼファーダとゼオラスの攻撃の二つを持ってしても回避して、ギアントはゼファーダの前に来ると全身の金属の躯体が筋肉隆起のように膨らみ、腹部に正手を放つ。

 ゼファーダは砲弾の如く飛び、廃墟のビルへ。

 

「お前!!!!」

と、ノディアが叫び苛烈に攻撃するも、その全てを避けてギアントがノディアのゼルドスへ来て、同じく金属の躯体が筋肉隆起のようになって蹴りを放つと、ゼルドスが飛び、ゼファーダのいる廃墟ビルへ消えた。

 

 ラウノは、あっという間に落ちた二人を見て

「ウソ…」

 

 ガジタールは冷静だ。

 ゼルドスの背面にある武装コンテナから無数の攻撃を放って距離を取って攻撃する。

 膨大な数のミサイルや、浮遊地雷達をギアントは回避しつつゼルドスに迫るが。

 

 ゼルドスは腹部にある拡散重力波砲を放って距離を離す。

 

 デュオが

「ラウノ…」

 

 ラウノが

「はい!」

と、ラウノが乗るケラノスは、ビット達を従えてギアントの加勢に加わる。

 

 迫る巨体のギアントと、ビット達の連携攻撃に晒されたゼルドスに勝敗はない。

 呆気なく重力波の攻撃を受けて倒れた。

 

 勝者が…確定した。

 ラウノとデュオだ。

 

 最初は、エリシアの部隊が優勢だったのに、あっという間に戦況はラウノ達に傾いた…いや、圧勝に…。

 

 

 火星で決闘の生中継を見ていたブシードが同じホールにいる若手の部下達に

「見たか? あれが…火星の魔王と言われた男の戦いだ。二十年前の第二次火星大戦で、唯一肉体を持って生き残ったマシンナーの男、それがアイツだ。火星ではアイツを一騎当千ではなく、一機万軍としている。アイツ一人で、火星の艦隊の一つは潰された」

 

 若手の部下の一人が

「魔王と呼ばれた伝説の戦士は、今も…健在という事ですか…」

 

 ブシードが憎々しい笑みで

「ああ…伝説は…まだ、風化しちゃあいねぇって事だ」  

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