3人の転生者 3人の部隊 ~目指せA級1位~   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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トリオン体の翻訳機能の認識を一部間違っていたので前話修正しました


第十四話 捕虜を懐柔することによりボーダーの戦力を上げようとの試み

「さてと、君たちに少し話さなければならないな。俺は桑原隊隊長の桑原天元、天元と呼んで欲しい、君たちの代表は誰かな」

 

 捕虜となった3人に会話を試みる

 

 トリオン体だと強制翻訳機能で他の国との会話が可能なことを原作知識と研究会での検証で知っているからこそだが

 

「……シロ、この中だと一番年長。階級だと今生身のエイスリンが高いけど、生身だから言葉がわからないから私が答える」

 

「シロだなわかった。まず君たちの目的は何だったんだ?」

 

「玄界の人を可能な限り捕獲もしくはトリオン器官を国に持ち帰ること」

 

「なるほど……亡くなっていた人は?」

 

「艦長代理……艦長は遠征中に病死していて、彼が代理で指揮を取っていた」

 

「そうか。まず玄界では君たちが初めての捕虜となる。人体実験とか命に関わることは我が隊が上層部と掛け合って安全は保障する。可能な限りの自由もできる限り確保しよう」

 

「……捕虜交換とかは」

 

「そもそもボーダーは外交チャンネルが無いからそれは期待しないでくれ。まぁ飯は旨いのは保証するがな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 大規模防衛任務に成功した桑原隊3名は3人の捕虜を引き連れて基地に帰還した

 

 鬼怒田開発室長は近界の遠征艇を鹵獲できたことに大興奮

 

 少し壊れているところに目をつぶって桑原隊を多いに褒め称えた

 

 捕虜の3人はボーダーの訓練用トリガーに換装してもらい、翻訳機能だけのトリオン体で施錠できる部屋に閉じ込めている

 

 中は監視カメラと隠しマイクで音を拾っており、それ以外はベッド、机、椅子があるだけの簡素な部屋であった

 

 捕虜3名は置いておいて、桑原隊は会議室に呼ばれ入室する

 

「桑原隊隊長桑原以下隊員2名参りました」

 

『入れ』

 

 部屋には幹部達(城戸司令、忍田本部長、鬼怒田開発室長、根付メディア対策室長、唐沢外務・営業部長、林藤支部長)他に迅も座っていた

 

「集まったな。これより捕虜の扱いについて意見を求める」

 

「難しい判断ですね。現在ボーダーではトリオン兵を近界民として見るように民間人へ思考誘導しておりますが、近界民が人間であると露呈した場合隊員達からも問題が噴出する可能性がありますなぁ」

 

 まず根付さんがボーダーとしての見解を述べる

 

「今回聞き取り調査で明確にこちらの世界の民間人を狙った攻撃であり、侵略者であることに変わりなかろう。取れるだけの情報を取り次第処分で良いだろう」

 

 続いて鬼怒田さんが口を開く

 

 城戸司令、鬼怒田、根付、唐沢は近界民を絶対許さないぞ主義主張する城戸派であるためやや過激な意見が出る

 

「捕虜故に慎重に扱うべきだ。処分などともっての他だ!」

 

 忍田本部長は玄界の防衛任務を第一としており、防衛が達成するならばあらゆる手段を行使する派閥である

 

「今回の捕虜達を通じて近界民について正規隊員は触れるべきだと俺は思うけどね。相手も人だって、そこから交流や交渉が始まるんじゃない?」

 

 林藤支部長こと玉狛支部は近界民にも良い奴は居るからそういうのとは仲良くしようよ派であり、融和的な意見が出る

 

「正規隊員に情報公開! とんでもない! 近界民に恨みを持っている子が過激な行動に出るぞ!」

 

「せっかく桑原隊が他の隊員にバレないように捕虜を基地に入れたのだ。下手なことになる前に情報だけ抜いて処分だよ処分!」

 

 林藤支部長の意見に根付さんと鬼怒田さんが猛反発

 

 まぁ派閥の思想的に今回の案件は絶対にもめる

 

「桑原隊の意見はどうだ?」

 

 忍田本部長がこちらに話を振る

 

「まず彼女らは1兵士であり、そこまでの情報は得られないでしょう。が、そこそこ使える戦力であることには変わりません。ボーダーは今人手不足ですから懐柔してこちらの戦力に組み込むのが手かと」

 

「それに彼女達は遠征艇に乗って異空間を航行してきました。その技術の情報は多い方が良いのでは?」

 

「お前らも玉狛に賛同するのか」

 

「どちらかというと忍田本部長の意見に近いです。処分するというのはよろしくない。記憶の封印も使える技術が減るので論外、ならば懐柔して仲間に組み込むしかないでしょうに」

 

「どうやって懐柔するつもりだい?」

 

 一言も喋ってなかった唐沢さんが口を開く

 

「まず情報を収集させてください。近界について我々はあまりに知らないので……わかっているのは近界は略奪経済をしないと回らないということくらいでしょうか。物質的な優位性はこちらにあると思うのですよ……まぁ俺らも拷問官や懐柔のプロではないのでやれることしかやれませんが」

 

「他の隊員の反発はどうするのかい?」

 

「別に俺達は他の隊員が反発して仲が悪くなっても問題はありません。早急にボーダーの技術や防衛戦力、そして遠征能力が上がるのなら」

 

「遠征能力だって?」

 

「トリガー技術は近界の方が進んでいますから、そっちが略奪してくるのならばこっちからも奪わないと舐められます。玄界も迎撃だけでなく攻撃できる能力があることを示さないと」

 

「君達桑原隊は近界民に恨みを持つ訳でも、ボーダーの防衛第一でも、近界民と仲良くなる欲求も無いように聞こえるが?」

 

「はい、我々の思考はボーダーの『発展』です。忍田本部長の様に防衛重視の思考に近いですが、発展の為なら近界民とも手を組みますし、攻撃もする、それが結果的にボーダーに利益をもたらすなら」

 

「なるほど、研究会もボーダーの発展のために作ったというわけか」

 

「はい、そういうことです。不利益なら容赦なく解体しますがね」

 

「なるほど、城戸司令、私は彼らに今回の捕虜を任せても良いと考えます」

 

「唐沢お前!」

 

「彼らは未来ある若者だ。経験を積ませるには良い機会だと思いませんか? それが成功でも失敗でも」

 

「失敗したときのカバーは我々がやらねばならなくないかね!」

 

「子供の失敗を拭うのが大人でしょ。根付さん」

 

 城戸司令が口を開く

 

「迅、懐柔は上手くいくのか?」

 

「8:2で上手くいきますよ。2を引いてもボーダーの不利益になることはないと断言します」

 

「決まりだ、桑原隊に役目を与える。対近界民の懐柔及び技術収集を目的とした近界研究室を発足させろ。人員の選別の権力も付与する」

 

「ありがとうございます」

 

「代わりに研究会は解散とする。良いな」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「研究会は解散か」

 

 研究会でも影響力があり、口が固いと思われる東さん、風間さん、寺島さんの3名と桑原隊で研究会解体について早急に話し合いが行われた

 

「まぁ派閥になりうる物だから幹部は警戒していたんだろう」

 

「でしょうね」

 

 まず近界民の捕虜取り扱いについてと研究会解体のとこを話すと解体は仕方ないと3名は判断したようだ

 

「代わりに東さんは狙撃隊員の育成に注力したいと言ってませんでしたっけ?」

 

「あぁ、そうだな。あー、そういうことか、研究会解体するから急に狙撃隊員育成の許可が降りた感じか」

 

「風間さんはどうします?」

 

「自分の部隊作りに注力する。欲しい水準の隊員はまだ居ないがな」

 

「俺からいいか? 研究会解体となると研究会で所属していた開発班はどうするんだ?」

 

「東さんの狙撃トリガーの更なる開発を行う班と近界のトリガーの研究を行う班に分割で良いでしょう。寺島さんは技術班に移りたいと聞いていたのでこっち(近界研究室)に来て欲しいですが」

 

「まぁ俺はそれでも構わないが、そこまでの価値が捕虜達に有るのか?」

 

「有る無し関わらず、価値を作ります。最終的に亡命を希望させるように仕向けます」

 

「そんな調子良くいくとは思えないがな」

 

「まぁそういうことをやっていかないとボーダーの発展は難しいわ!」

 

「やらないよりやって後悔した方が良いからな。ボーダーとしては実験にもなるし」

 

「新隊員の育成は研究会所属していたメンバーが自然伝播していくでしょう」

 

「まぁ話はわかった。お前達3人が研究会よりも近界民に価値を持ったのは少々残念だが、それが最終的にボーダーの戦力になるならこっちとしても願ったり叶ったりだ」

 

「人員の引き抜きはどうする?」

 

「とりあえず5人ほど近界民に敵意を向けないスタッフを頂いてそこから再スタートさせます。今回はしっかり部屋を貰ったので上手く行けば幹部待遇か支部を貰えるかもしれないので頑張ります」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 とりあえず天元と元康が研究会から引き抜く人員を整理している間に、淡が捕虜達に食事を届ける

 

 とりあえず米の食文化ではない可能性を考慮して色々な種類のパンを持っていく

 

「うーす、食事を持ってきたよ」

 

「「「……」」」

 

 捕虜達3名はどことなく暗い顔をしている

 

「とりあえずこの部屋から出るのは当面の間は禁止、トイレ、シャワーの使い方はわかるかな」

 

「教わりました」

 

「ここの施設はトリオンで動かないのですね」

 

「そうだねー、電気という別のエネルギーで動いているよ。ささ、パンと紅茶で良いかな?」

 

「パン? ……それが?」

 

「ん? そうだよ。どんなパンが好きかわからないから色々買ってきたよー」

 

 机に並べられる色々なパンの数々

 

 食パン、あんパン、ジャムパン、メロンパン、クロワッサン、白パン、焼そばパン、タマゴサンドに食パン用のジャムやハチミツも持ってきた

 

「ささ、どうぞどうぞ」

 

「……柔らかい」

 

 食パンを渡したらエイスリンがそう言った

 

「君達の国のパンとは違うかな?」

 

「もっと黒くて固いくてゴワゴワしているのが殆どで、白いパンは上級国民しか食べられない」

 

「上級国民? 食べながらでいいから教えて欲しいな」

 

 3人は食パンを何も付けずに頬張りながら少しずつ国について教えてくれた

 

 絶対王政下のフランスに近く、聖職者が居ないのと上級、中級、下級国民の3階級に大雑把に分けられているらしい

 

 士農工商みたく職の自由が無いみたいなことは無いらしいが、上の階級に上がるには軍で活躍するしかないのだとか

 

「まぁ今回の任務失敗で私達の家族共々下級国民落ちは必然ですがね」

 

「それは運が無かったとしか……」

 

「そもそも玄界にこの様な組織があるという情報は無かったのですが」

 

「まぁそうだね。できてから半年しか経ってないもの」

 

「え? 半年?」

 

「そう、半年。トリオンの事を知って半年で近界民の攻撃を撃退できるようになった」

 

「ははは、完敗じゃないですか……我が国は500年も積み上げてきたのに……それを半年で……」

 

「エイスリン、このパン甘い」

 

「あー、メロンパンだね。中にカスタードクリームが入っていて美味しいでしょ」

 

「……甘い物なんて祖国だと上級国民か中級でも誕生日や記念日じゃないと食べられないです……玄界ではこれを普通に食べられるの?」

 

「そうだね。私のお給料でもこのメロンパンを250個は買うことができるね」

 

「これを100個単位で……」

 

「もっとも私達はパンじゃなくて米を良く食べるけどね」

 

「米? 米ってなんですか?」

 

「次の食事の時に持ってくるよ。それまでのお楽しみってことで」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(原作知識で空閑が玄界の食事は美味しいって話をしていたのがあったから近界では玄界よりも食事が不味いと思ったから食事による懐柔を行ってみたけど……どうやら当たりっぽいね)

 

 最初は恐る恐るって感じだったけど、美味しいとわかると3人はガッツき始めた

 

「淡、このパンはなんていうパンなの?」

 

「それはクロワッサンだよ」

 

「これは?」

 

「ジャムパン。こっちはクリームパン」

 

「全部柔らかい! もちもちしてる!」

 

「シロとカクラは下級国民出身なんだっけ?」

 

「うん。上級国民の農園で働いていて、検査を受けてトリガー使えるトリオン量だから兵士にされた」

 

「玄界には上級国民とかの階級は無いの?」

 

「昔はあったよ。でも今は無いね。王様は居るけどその人も権威だけで実権は無いんだ。国は国民から選ばれた政治家って人達が操ってるから、国民の意見を無視できないんだ」

 

「国民が政治をするってこと?」

 

「そう。貴族とかの特権では無いね」

 

「不思議な国ね玄界って」

 

「トリオンも使えない野蛮な国が玄界って教えられてきたけど……玄界の方が話を聞くと豊かそう」

 

「まぁ今後も色々教えるし、そっちの情報も教えてよ」

 

「また食事くれる?」

 

「勿論」

 

「……わかった。少しだけ信用する」

 

「ありがとうエイスリン」

 

 

 

 

 

 

 

 

「どう思う? シロ、カクラ」

 

「まだわからないけどパンは美味しかったし……こっちのトイレやシャワーはトリオンを使わないのに水が流れる」

 

「ベッドもふかふか! 貴族様みたい!」

 

「玄界は物質が消えないから豊かなのかな?」

 

「うーん? 1兵士の私達じゃわからないよ」

 

「でも毎日あれくらい美味しい食事が出たら嬉しいかも」

 

「そうだねカクラ」

 

「トリオン体でいるとお腹が減りにくいから美味しい食事をいっぱい食べられるようにトリオン体じゃない方が良いかも?」

 

「食べて寝てだと太るかな?」

 

「太ってみたいねー」

 

「ガリガリだしね、私達本体だと」

 

「ねぇみてみて! シャワールームにこんなボトルが!」

 

「これは? 石鹸?」

 

「いい匂い。石鹸っていうの? これが?」

 

「石鹸初めて見た!」

 

「いや、私も初めて見るけど、石鹸は液体じゃなくて固体だったはず……」

 

「淡が来たら聞いてみようよ!」

 

「あとトイレのウォシュレットだっけ? あれも凄いねびっくりしちゃった」

 

「……もしかしてトリオン以外の技術って玄界の方が凄いのかな?」

 

「話が本当なら半年で私達を倒せるくらいに成長したってことでしょ? 本当にありえるの?」

 

「わからない。わからないけど私達が捕まったのは事実だから……」

 

「国に帰っても責任取らされるからなぁ」

 

「最悪処刑と考えると脱出しても未来が無いし……おとなしくするのが一番」

 

「「うん」」

 

 

 

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