3人の転生者 3人の部隊 ~目指せA級1位~   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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第十五話 研究会が解散するということは過激派のメンバーが解き放たれるということ

 捕虜になった私達は玄界の食事やトリオンを使わない技術に大いに驚いた

 

 まず食事だが、祖国では稀にしか食べられない肉料理は単純なステーキだけでも硬くなく、口の中で柔らかく嚙み切ることができたり、多くのスパイスに感動した

 

 米というものも食べてみたが、シロとカクラは米を気に入り、調理のやり方を教わっていた

 

 そこで渡された炊飯器という機械を渡されたが、調理器具だけでも玄界の技術力の高さを感じた

 

 祖国でも軍用食やトリオン技術は他国に比べ平均くらい、食料やトリオン製品を加工することで貿易をし、他の食品や原料を輸入していたと思うが、玄界もトリオン技術が無いだけで、それを代用する技術はしっかりあり……というより豊かさは凌駕していた

 

 私達を捕まえた桑原隊は箱型の機械を持ち込んで、わたし達の言語を解析したり、逆にこちらの文字を教えたりしてくれた

 

「なんで私達に言語を教えるの?」

 

 シロやカクラは下等国民出身なので自分の名前しか書けない

 

 教育という物自体が特権階級の専有物であり、それを捕虜の私達に教えることをエイスリンは理解できなかった

 

「いつまでも捕虜というわけにはいかないだろ。働いてお金貰わないと好きな物買えないし、こっちの世界の常識を教える為にもこちらの文字を覚えてもらわないと」

 

「トリオン体を切って、生身同士でも会話できないと困るだろ? こっちとしても捕虜の教育プログラムの実験を兼ねているから気にしなくていいぞ」

 

「文字が読めると楽しいことが沢山だよー」

 

 とのことだった

 

 とりあえず私達の国のオリクト語を私が紙に書き出す

 

「この紙……すべすべだし、真っ白」

 

「高いんじゃ?」

 

「玄界ではこの程度の紙なら使い捨てだ。ペンもトリオン染料じゃないが、しっかり書けるぞ」

 

「……」

 

 きゅきゅっと紙に母国語を書いていく

 

「数字も書いてくれ」

 

 別の紙に数字も書いていく

 

「……ギリシャ語に近いか?」

 

「とりあえず24文字で母音子音の法則性のある文字だね」

 

「まあ翻訳が効いているから話す言葉はわかるからこっちの言語を覚えるのは楽だろうね」

 

 とりあえず彼らに敵意が彼らに無いことはわかった

 

 誠意には誠意で答えないと……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんで研究会が解散するんですか!」

 

 研究会解散の裏事情を知らない三輪は東に突っかかった

 

「リーダーだった桑原隊の3人が別の仕事を城戸司令から命令されたからだ……て言っても納得しないよな」

 

「上手く行っていた研究会を解体してまでやるようなことなんですか?」

 

「三輪はこのまま研究会が拡張していくのが望ましいって主張してたよな」

 

「はい、そうすれば使える隊員が増え、近界民を倒す確率が上がりますから」

 

「……俺も全部が全部言える立場じゃないが、一番の問題は派閥だな」

 

「派閥ですか」

 

「そうだ。研究会は超党派であった。ボーダーの新隊員育成を根底に置き、思考の垣根を越えた協力関係にあった。ただこれが拡大するとどこかで歪みが出てくる。桑原隊の3人も適切な時期に解体する方がボーダーの為とも言っていたからな」

 

「でも今じゃないでしょうに! 新隊員の勧誘をして教育をいざって時に」

 

「まぁそれ以上の急題が出てきたってのもあるが、桑原隊の3人は3ヶ月の間に新隊員のカリキュラムをちゃんと作り、研究会のメンバーに授けた。研究会という枠組みは無くなるが、得た知識とボーダーという枠組みが無くなった訳じゃない。それに上層部は組織の固定化を嫌う傾向があることがわかったからな」

 

「組織の固定化?」

 

「なぜランク戦を推奨しているか……今は始まってないB級ランク戦もだがボーダーは変化に強い組織にしようとしている。強さも勿論大切だが、これと言った正解を用意したくないんだ。三輪わかるか?」

 

「正解があった方が早く実力をつけられるのでは?」

 

「それもそうだが、もしボーダーがじゃんけんで言うところのグーの隊員を沢山育てるとしよう。進行してきた敵がチョキなら良いが、パーの相手であればこちらはなにもできずに完敗する可能性もある。ボーダーは戦術に幅を持たせたいんだよ。だから1つの正解を求めるのは危ないんだ。研究会に所属していた場合、桑原隊という正解に皆飛び付いてしまう可能性を上層部は危惧したと推測できる」

 

「研究会が拡張しても出来上がるのは桑原隊のコピーだけと?」

 

「劣化も付くがな。彼ら彼女の3人は大規模侵攻前から近界民に襲われそうになった過去があり、それからがむしゃらに鍛えていたらしい。頭も体も……10年単位でやったのがあの強さだ。しかも3人は神童と言われるくらい頭が良い。強烈な成功者を前に真似しないのは勿体ないが、それはボーダーの望むべき進化ではない」

 

「なるほど……では桑原隊が今やるべきこととは?」

 

「近界研究室……それが新しく発足した部署の名前だ」

 

「近界!? 近界民の研究をすると!?」

 

「そう言うことだ」

 

「それでは玉狛の融和と変わり無いのでは!?」

 

「落ち着け三輪、近界の優れたトリガーを研究して新しいトリガーを作ったりするのが目的だ。玉狛の融和とは違う」

 

「しかし」

 

「部署発足で今桑原隊は忙しいが、落ち着いたら顔出してみろ。詳しく話を聞いた方がいいだろ」

 

「……わかりました。東さんありがとうございます」

 

「なーに……そうだ三輪、俺新しく部隊を作るが三輪も入るか?」

 

「よろしいので?」

 

「前々から構想していたんだよ。前衛は動ける三輪がちょうど良い。あとは噂の新人達を引っ張ってくるとするよ」

 

「わかりました。部隊発足まで腕を磨いておきます」

 

「頼むぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「嵐山、柿崎ちょっと来い」

 

「桑原師匠なんですか?」

 

「真面目な話だ」

 

「「?」」

 

 桑原は桑原隊の隊室に嵐山と柿崎、それに葵先輩を呼んだ

 

「大空先輩もですか?」

 

「うん、天元君に呼ばれてね」

 

「なんの話すかね?」

 

「呼んだ桑原師匠はどっか寄ってから戻るって言われましたが」

 

 隊室の扉が開く

 

「すまん、資料を持ってきててな。まず3人に直接関係あることは研究会が解散となった」

 

「「「ええ!?」」

 

「どういうことですか!」

 

「今から説明するから落ち着け柿崎……が、まずは質問だ。ボーダーは近界民を白くて目玉みたいなのがコアの怪物をイメージしていると思うが……人の様な近界民……いや、人と同じ近界民がいたらどうする?」

 

「どうするって……攻撃してくるなら倒すしかないんじゃないですか? 近界民は敵だし。そりゃ戸惑いますが」

 

「柿崎はそうか、嵐山は?」

 

「家族や町が狙われているのなら俺は容赦しません。が、対話を求める相手だった場合は判断に悩みます」

 

「葵先輩は?」

 

「うーん、近界民なんでしょ? 普通の目玉みたいなのとは違うとなると……ごめん、私も判断は難しいと思う」

 

「……そうか。この前の大規模防衛任務の時、葵先輩に情報を遮断していた時間があったでしょ」

 

「あったねそう言えば」

 

「実は人間の近界民を捕虜にすることに成功した。これが彼女達の写真だ」

 

「「「え!?」」」

 

 天元は鞄から写真を取り出す

 

「1人は外人ポイですが、残りの2人は日本人の顔立ちですね」

 

「金髪、白髪、茶髪……俺らと同じ年くらいですかね」

 

「本当にこれが近界民なの?」

 

「桑原隊の3名は前々から怪物のような近界民はロボットの様な兵器ではないかと仮定していてね……今回の捕虜で確定したよ。ボーダーは情報操作を行って近界民=怪物の印象を持たせたかった」

 

「なぜ?」

 

「怪物から国を守るという話と人と人が争うのでは話が違うからですか?」

 

「そうだ。3人は比較的近界民に対して恨みが少ないと判断して話しているが、間違っても近界民排除過激派に話すなよ……俺たちはその捕らえた捕虜をボーダーに有益な存在にするのが仕事だ」

 

「近界民を寝返らせる!? 可能なのですか!!」

 

「不可能じゃないだろう。人間だし、会話もトリオン体になれば可能だからな」

 

「師匠たちは近界民を寝返らせる仕事をするから研究会を解体するってことですか?」

 

「まあそういうこと、3人に話したのは新たに発足した近界民研究室に誘うためだ。戦っている敵ってやつを知りたくないか?」

 

「知らないよりはまあ……」

 

「俺知りたいです」

 

「桑原隊が活動しているのにオペレーターの私だけハブられるのは嫌」

 

「了解了解、じゃあ明日顔合わせと行こう」

 

「「「はい」」」

 

 

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