3人の転生者 3人の部隊 ~目指せA級1位~ 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
研究会解散という話題は瞬く間にボーダーの中で噂となった
研究会所属していた隊員が次々に正規隊員へと上がっていたので、新規加入したい隊員は戦闘員のみならずたくさん存在していたのだが、研究会解散で宙ぶらりんになる人材が続出
そこに狙撃トリガーだけながら研究会の後継の狙撃トリガー研究会を東さんが発足させ、ふらついていた隊員がこぞって参加を表明した
東さんはボーダー上層部に狙撃手は通常のC級ランク戦ではB級に上がるやり方とは別種にしたほうが良いと提言し、それが聞き入れられ狙撃手は狙撃手だけの合同訓練を開き、訓練の成績上位15%を3週連続で取った場合B級に昇格するという通達が根付さんにより行われた
狙撃手は忍耐力と練習量がものをいうので、なーなーな気持ちで狙撃手を目指したものはどんどん脱落していき、上澄みだけが残っていく
教官の東さんもやる気のある人にはアドバイスをしていき、アドバイスを受けた新隊員が正規隊員に上がるのは今しばらく後のことであった
桑原隊の隊室に集まった転生者3人は捕虜の報告書を書きながら話をしていた
「正規隊員になるスピードは原作とほぼ同じくらいかもしれないけど、トリオン技術の進歩は早くなっていると思う」
「原作ではいないオリクトの捕虜を得れたのは大きい」
「大型遠征艇と新種のトリガー技術に開発室は大いに活気づいているらしいね」
「解析の結果変形技術や伸ばしが得られそうと言っていたから旋空と幻踊がこの時期にできる可能性がでてきたね」
「スコーピオンの開発難易度も短縮したんじゃない? というかスコーピオンができたから幻踊ができたのに、幻踊ができたからスコーピオンができるとは……」
「多少の開発順の差は出るだろう。ボーダーの進歩、発展が目的の俺らにとって早く開発されることの方が重要だからな」
「技術班拡張できない? 今回の研究会の解散で東さんとこっちで研究会の開発班を分割した感じになったから、人員の不足で開発速度は低下、これを何とかするには開発班の人員増強か近界から持ってくる必要があるよね」
「俺たちの影響力の増大も考えないと……」
「エイスリン達を戦闘員もしくはトリオン技師にできれば万々歳なんだが」
「愛国心を捨てさせる必要があるからな……シロとカクラは最下層の階級出身だから捨てさせるのは楽だけど、リーダーのエイスリンには家族もいるしな……」
「食事や文化汚染させるしかないだろ。元康、彼女たちのトリオン量は?」
「エイスリンが7、シロが10、カクラが6」
「それで遠征艇が動かせるのか?」
「トリオンの備蓄技術があったらしい。ただ俺の砲撃でそれが破損してしまいパニックになったと言っていたな」
「あとはモブ隊員から引き上げか」
「カリキュラムは作ったけど使われるかな?」
「研究会に所属していた隊員から広がっていくだろう。それに合成弾が前回の防衛任務でばれなかったな」
「せっかくお披露目したと思ったのにねー」
「まあそれ以上の捕虜と遠征艇拿捕というインパクトがあったからな」
「まあでもこれで近界についての情報を研究と称して集めることができるのと、部署だから予算もでるからいろいろと好都合」
「近界での貿易について聞きたいな通貨とかこちら側から何が売れるかとか」
「過激派が聞いたら憤慨しそうだね。一見融和策に見えるから」
「しゃあない、過激派から文句言われないくらい実績残さないとまずは」
「だねー」
「そうだな」
天元は意見をまとめ、今後どのように動くかを決めていくのであった
2月に入り、新隊員でも僅か1ヶ月で正規隊員に上がった二宮と影浦、スナイパーとして頭角を現した佐鳥などボーダーの戦力が上がってきているのが分かる
寺島のように戦闘員から技術スタッフに回る人材もいたが、ボーダーという組織は順調に成長していた
一方桑原隊率いる近界研究室でも面白いことが行われていた
「革命!」
「「「ぐわー!」」」
トランプである
レクリエーションとして技術者達や嵐山、柿崎、葵先輩含めトランプゲーム大会を開催
最強はサイドエフェクトで手札が全て把握できてしまう淡だったため、淡だけはゲームに参加せずにレポートを作成していた
他にもスピードや七並べ、ポーカー、ブラックジャックなどのルールを教えることで娯楽を楽しんでもらう
「ルールを覚えればカード1つでいろいろな遊びができるのですね!」
「玄界では遊びが沢山あるよ。文字を覚えればもっといろいろな遊びができるんだよ」
捕虜3人は目をキラキラさせて新しく覚えたトランプで遊ぶ
「近界には娯楽はないのか?」
「娯楽……娯楽?」
「楽しいことって言えばいいか?」
「楽なことはあっても楽しいことはなかったかな?」
「柿崎、娯楽という言葉がわからないくらいには下級国民出身のシロとカクラは生きるのに必死でした。上級国民は自分が作ったトリオン兵を戦わせるのを娯楽としていましたが、中級の私も楽しいことは食事くらいでした」
「……すごい世界だな」
「近界は戦争が多発しているって本当か?」
「ええ、いま私たちは15歳ですが、大きな戦争を2回経験しています。どれも半年ほどで和平になりましたが」
「日常的に戦争があるということか」
「去年にこちらの世界を大規模侵攻した国ってどこなんだ?」
「本国上層部は知っていると思いますが、下っ端の私たちは玄界はいまが攻め時としか言われてないので……」
「近界ってもしかしていろいろあるのか?」
「玄界を中心にいろいろな国がありますね」
「嵐山、その質問は俺が答えよう」
「桑原師匠」
「簡単にいうと宇宙にある星々の関係だな。こちらの世界を太陽とし、その周りを近界の星々が回っている。で、星々が近づいたら遠征艇で異空間をいどうして侵攻するらしい。貿易とかも星々が近づいたら行うらしい」
「なるほどです! ん、ということはその星々の周回データがあればどこの国が攻めてくるかわかって……もしかして国ごとにトリオン兵でしたっけ、それも違うのですか?」
「違うよ。私達の国は神の国と呼ばれる国のトリオン兵の劣化コピーのヘミキオン(熊擬き)がわが国独自のトリオン兵だね」
「熊みたいなのいただろ、あれだ。そもそも国によってトリガーの種類も違ってくるぞ」
「へえーいろいろあるんすね」
「まあこっちのトリガーは基本弱いがな」
「「まじっすか」」
「トリガー技術が未発達だからな。あれだ、近界はシャーマン中戦車くらいが平均くらいなところ、こっちは豆戦車で戦っているくらい違う」
「それじゃあ相手にならないんじゃ……」
「それを何とか穴埋めするのもこの近界研究室の仕事だ」
「そういえば天元はどうして私を倒せた、倒し方を分かったのですか?わが国でも量産は難しいけど強力なノーマルトリガーだと技術部のお父さんが太鼓判を押すトリガーだったのですが」
「エイスリンのトリガーってどんなのですか?」
「トリオンを吸収するトリガーだな、トリオンを使った攻撃を無力化する」
「めちゃくちゃ強いじゃないですか」
「トリオンを使った攻撃ほぼ無効ってことですか?」
「そうだな。まあ最初は遠隔操作されていると思ってコアか受信機を探した。トリオン量のごり押しでバイパーを全方位から打ち込むことで吸収が間に合わない攻撃も考えたが……」
「私が使っていたショゴスは自身の1.5倍のトリオン量をぶつけられたらキャパオーバーで攻撃が通ります」
「まあ、でも俺はその限界が分からないから、物理攻撃に切り替えた。トリオンが吸収されても物質的攻撃は効くんじゃないかとな」
「え?トリオン体だと物質的攻撃は効かないんじゃ」
「柿崎頭柔らかくしろ、ダメージは与えられなくてもひるませたり、物質的範囲攻撃で生き埋めにしたりして動きを封じ、トリオン切れを狙って撃破に切り替えたら、中に人がいることがわかったから、近くの標識でフルスイングして装甲から中身を吐き出させた」
「玄界が物質世界なことを忘れていました。近界だと建造物もトリオン製のこともあるので……」
「装甲のトリガーというのは珍しいが、機動力が奪われるから機動防御のボーダーに合っているかというと違う気がするが、トリオンを吸収するという性質は研究されるだろうな」
「んー知略で負けましたか」
「まあでも捕虜になって正解だと思うよ。少なくとも飢える心配はないと思うし」
「玄界美味しい物たくさん! 幸せ!」
「ん、私もそう思う」
「もう3人とも可愛いよ~」
「淡大げさ」
「だってー」
「あはは……とりあえずあと2ヶ月はこんな感じでゲームしたり文字の勉強をしながら近界の常識を教えてほしい、あ、嵐山と柿崎はチーム作る構成考えておけよ。正規隊員なんだから今度は教える立場になるんだから」
「わ、わかりました」
「はい」
「よろしい」
こうして近界研究室は桑原隊3人が中心になりながら、将来遠征に必要な知識を蓄えていくことになるのだった
武田家では子供たちの説得に親が折れる形で弟妹達がボーダーの試験を受ける許可が下りた
「兄さんがボーナスで40万持ってきたのが大きかったね」
この前の大規模防衛任務で50万を戦闘員が受け取ったが、隊の方針で各自10万ずつオペレーターの葵にも配られたため40万がボーナスとして家に報告していた
他にも正規隊員になってから毎月5万家に入れていたのも説得に大いに役立った
「いままでさんざん元康のようになれって言ってきたのにボーダーに関してはなかなか首を縦に振らないの」
「兄さんと天元兄さん、淡姉さんに葵さんまでいるからボーダーの方が安全なのにな」
「兄さんから見て僕たち正規隊員になれると思う? 忖度抜きに教えてほしい」
「すぐには無理だと思うが、1年しっかり訓練すればなれると思うぞ……そうだ、せっかくだから適正トリガーを調べてみるか」
「そんなのあるの?」
「春夏あるぞ……と言っても性格診断に近いがな」
元康は紙を取り出し文字を書いていく
「はい、これをはいかいいえで進んでいけ3人はこれを極めてみたいなのはないんだろ?」
「うん」
「そうね」
「そう」
「ならやってみろ」
~3分後~
「「「できた」」」
「拝見」
「まず夏海からだが、近接が向いているな、弧月っていう刀のトリガーがあるからそれを入隊試験のときに聞かれたら選ぶといい。正規隊員になったら銃トリガーを試してみろ、面白いぞ」
「春夏も弧月だな、2人は竹刀で入隊まで素振りをしろ、中学になって辞めたが、小学校までやってたんだから素振りくらいはできるだろ?」
「氏真は狙撃トリガーが向いていそうだな。近接の適性もあるが……開発予定の新トリガーの方があっていそうだな。氏真は近中遠全部できる隊員を目指してみろ」
ちなみにトリオン量は全員2ずつ成長し、夏海と春夏が6、氏真が7だ
トリガーを使っていけばさらなる成長も期待できる
「全員が隊員になったら葵を加えた武田家関係者で1部隊作る予定だからよろしく」
「ええ!天元兄さんのチームがいいよ」
「バカ兄と一緒!?」
「僕はそれの方がやりやすくていいけど」
「じゃあA級上位を取れたら解散しても良いぞ。取れたらな」
「ぜってーとってやる!」
「天元兄さんと組むために」
「その頃には天元兄さん彼女できてそうじゃない?」
「「いや────!!」」
「頑張れ~悩める乙女たちよ」
「兄さんも葵さんに捨てられるなよ」
「大丈夫だ氏真。氏真も恋愛してみろ、イケメンなんだから……楽しいぞ」
「はーい」
開発室では鬼怒田室長が遠征艇の解析を行っていた
旧ボーダーから引き継いだ遠征艇もあったが、トリオン兵400体以上、確保した人員やその人員用の食糧などを入れておくための部屋がついた大型遠征艇はボーダーにとって解析のやりがいがある物であった
「地下ドックに搬入してから3日、やはり近界の技術は凄まじいな」
「そうですね鬼怒田室長、ただこれを動かすにはトリオン総量200は必要ですよ」
「そのためのトリオンタンクだろうがそれが破損しているからな。クローニンが修理をしているが、国が違うから規格や中身が違うと嘆いておったな」
「まずは小型遠征艇を作れるようにならないとですね」
「遠征艇はその国の技術の結晶だからな、玄界でも作れることを証明し、逆侵攻を行なえるようにせねば」
「相変わらず過激ですね」
「いままでやられっぱなしだったんだ。我々ボーダーが反撃して何が悪い」
「悪くはないですが、俺は機械とトリオンの融合の方が面白いですけどね。遠征艇も艦内に発電室作って艦内の電力だけでも供給できるハイブリッド構造にしたいですが」
「渡辺、それでは遠征中に補給ができんだろう」
「まあトリオンと現代科学の融合が俺の今のトレンドなんで」
「まったく、俺が声かけたのもあれだが、国立大学教授の職を蹴ってくるとは思わなかったぞ」
「鬼怒田室長だって研究所辞めてまでボーダーに入ったくせに」
「……まったく大学の頃から変わっとらんなお前は」
「鬼怒田先輩もでしょ」
「来年には小型でも遠征艇を完成させるぞ」
「予算は」
「唐沢が取ってくるわい」
「了解です。技術者の意地をみせますよ」
「頼むぞ渡辺副室長」