3人の転生者 3人の部隊 ~目指せA級1位~ 作:星野林(旧ゆっくり霊沙)
第二十三話 B級ランク戦に向けて
9月の新隊員入隊式は50名の新隊員が加入となった
このころになると三門市単体でのトリオン能力が高い人の人材が枯渇してきているとも考えられた
ボーダーもイメージ向上や安くない費用を支払いテレビ広告をしたりと工夫しているが大規模侵攻の時間の経過とともに熱意が落ち着いてきてもいた
勿論まだまだ近界民を絶対に許さないぞ派が最大派閥であることはかわりないが……
今回の入隊式及び新隊員の説明会にはエイスリン達のこともあるので桑原隊も説明スタッフとして参加した
メインは嵐山隊が引き受けている
忍田本部長の新隊員に向けた挨拶が終わり、入隊の説明にはいるが……
「ねえ、外人がいるよ」
「あの子可愛いな」
「どこ中かな?」
「髪真っ白だねあの子」
「本当だ」
白人系のエイスリンと白髪のシロはどうしても目立つ
いまは入隊式の最中なのでこそこそ話程度だが、そのうちボーダー全体に広がっていくだろう
根付さん辺りは言わんこっちゃないと言いそうだ
「さて、入隊おめでとう! 新隊員へのボーダーの説明を担当する嵐山隊隊長の嵐山だ。君たちには先ほど事前のアンケートに従いトリガーを支給させてもらった」
嵐山の説明が続いていくが、5月ごろからの変化として原作の空閑が入隊するときと同じ事前に見込みのある隊員へのポイントの付与が始まった
これにより一律1000点スタートではなくなり、正規隊員への昇格が早まるだろう
ただエイスリン達は1000点スタートからだが……
嵐山による説明が終わり、佐鳥と元康は狙撃手希望の隊員を率いて別のフロアに向かい、他のメンバーは毎度おなじみの仮想戦闘室にて仮想トリオン兵と戦ってもらう
『記録 1分56秒』
40名近くの隊員が戦闘室でそれぞれ戦うが、エイスリン達に事前にアドバイスをしていた
「最初のトリオン兵との戦闘訓練は2分くらいで倒すように心掛けろ」
「なんで?」
「目立つからだ、下手に好タイムを出すとエイスリンやシロは見るからに日本人じゃないから変な噂が広まるとこっちも火消しに回らないといけないからな。実力を偽るのは最初だけで、その後に始まるランク戦は普通に戦っていいから」
「わかった天元」
「はーい」
という会話があり、エイスリンとシロはそれぞれ2分10秒と1分30秒でクリアーした
「あれ? シロやエイスリンがこのタイムか?」
「目立つからな、俺が少しアドバイスをした」
「桑原師匠がですか」
「柿崎、ほかによさそうなのはいるか?」
「今季の新隊員は不作かもしれませんね。正規隊員にあがるのが早い奴も何人かいそうですが、エイスリン達以外これといった人物は……」
「1月組が良すぎたな」
「そういえば新人王なる制度を武田師匠が提案し、それが通ったと聞きましたが」
「柿崎、情報仕入れるのが早いな……新隊員のモチベーションを上げるためにな」
「えっと、新隊員のなかで一番ポイントを次の新隊員が入ってくるまでに稼いだ隊員が新人王でしたっけ?」
「ああ、隊員の拍付けにもなるからな。……あと入隊した隊員の平均も新人王から測れるからな」
「そうなんすか?」
「新人王がB級で燻ぶればその時入隊の隊員全体の評価も下がるから必死になるだろ」
「う、うわ……」
「今年から採用になるから、柿崎達1期生は対象外だ。2期生からで、初代新人王は二宮、2代目新人王は……弓場だな。神田と競っているが、弓場の勝ち越しだな」
「弓場といえば、新人王を争った神田、王子、蔵内と部隊作りましたね」
「狙撃手はいないがバランスは良い部隊だな」
「そういえば来月にB級ランク戦が始まりますが、説明とかありますよね」
「上層部に呼ばれて、隊員視点からルールの最終確認してっから今週中に説明があるぞ」
「おお、ようやくっすか」
「A級から固定給になるし求められる役割が増えるからな。精鋭の選定は大事だろ」
「そうですね……うわ……師匠達と争うのか……」
「日和るなよ柿崎、基礎はできているんだから、あとは応用だ。お前なりの解答を俺たちに見せてみろ」
「はい!」
新隊員の説明会が終わり、エイスリン達は無事にボーダーに入ることができた
これにより日本への亡命が完了したことを意味する
国に帰ったら殺されるか奴隷にされる
玄界でも身分を隠さないと敵意を向けられる
国を捨てるという決意は並々ならぬ気持ちが必要だが、彼女たちは難しい選択を選んでくれた
一応ボーダーの基地内は移動制限は解除され、住んでいるエリアにキッチンやパソコンの使用も許可された
外出も三門市内に限り、事前にどこに行くかの手続きと同行者が必要になるが、許可され、買い物をすることができるようになった
あとボーダーとして食事と寝床はそのまま提供され、1人2万円の生活費もお給料とは別に3年間支給してくれることにもなった
ボーダーを辞めることなく、長期間働いてくれる人材なので手厚く保護するほうが良いと城戸派の幹部を説得するのは骨が折れたが、やる価値は十分にあった
「迅、お前の見えた未来の中で何番目くらいに最適だったか?」
「おじさん、そうだな……最適な未来だよ。まあ彼女たちに関しては3つしか未来が枝分かれしてなかったからそこまで難しくないけどな」
ぼんち揚げを食いながら迅は天元の問いかけに答える
「最悪は何だったんだ?」
「司令官の人物が生きていた場合、彼女たちは降伏が許されなかったから、徹底抗戦して戦死する未来と、城戸派が強硬策にでて処分する未来だな……彼女たちの未来は今日をもって固定したと思っていいぞ」
「そうか……で、話はそれだけじゃないんだろ」
迅に呼ばれた立場の天元は抹茶ラテを飲みながら迅の本題の方を聞く
「次攻めてくるトリオン兵を何とか鹵獲してほしい。多ければ多いほどいい」
「鹵獲か……多少傷ついても?」
「手足を切り落とすくらいなら全然いい、コアさえ無事ならな」
「未来にどう影響する?」
「おじさんに嫁ができる」
「……はは、なんだそりゃ」
「まだその未来は未確定だが、よりよい未来に必要でな。トリオン兵を捕えたら玉狛に回してくれ、クローニンしか適切に加工できないからな」
「……まあいいや、で、俺に嫁さんができて、お前が見えている最悪の未来はどれくらい減る?」
「1割は良い未来に動く」
「そうか……じゃあおじさん頑張らないとな」
抹茶ラテを飲み終えた天元は席を立つ
「策謀は楽しいか? 迅」
「まーね」
B級ランク戦についてのデバック作業が終わり、各部隊の隊長とオペレーターが講堂に集められ、10月に控えたランク戦についての説明が行われた
まず最初のB級ランク戦なので部隊開設順で暫定順位が割り振られることから話は始まった
ちなみに説明は忍田本部長がおこなっている
「まず、B級ランク戦では三つ巴か四つ巴による点数の奪い合いをしてもらう」
「試合の点数に応じて各試合集計され、合計点数が高い順に上位、中位、下位とグループ分けされる」
「試合は毎試合グループ内で行われ、最終的に上位2部隊はA級への挑戦権を得ることができる。今回は初回のため、A級足りえるかのテスト後にA級へ昇格になるが、以後はA級部隊との戦闘結果で決まっていくと思ってくれ」
「では具体的なルールについて説明する」
・部隊の人数は最低オペレーターと戦闘員を含めた2人から戦闘員4人、オペレーター1人の5人までとする
・事前準備期間に限り部隊の隊員の加入を認める
試合当日の加入は認められない
・事故、病気、家庭の事情により隊員が当日ランク戦に来られない欠場の場合部隊人数が最低を下回らない限りランク戦は続行される
・ランク戦当日に大規模な防衛任務が発生した場合、当日のランク戦は中止となり、速やかに防衛任務に従事すること
・1人倒すごとに1点、最後まで生き残ると2点、トリオン漏洩でベイルアウトした者はその隊員にもっとも大きいダメージを与えた隊員に点数が入る
・1試合の制限時間は45分から60分、戦うステージの広さで変動する
制限時間を超えた場合生存点は与えられない
・ステージの選択権は暫定順位が低い部隊が選ぶ権利を得るが、初回に限りくじ引にて決定する
・ベイルアウトは自分の半径60メートル以内に敵部隊の隊員が存在する場合自発的にベイルアウトすることはできない
・B級ランク戦での活躍に応じて個人ランク戦のポイントも増減される
「質問がないようなので暫定順位を発表する」
暫定順位
1位玉狛第一
2位桑原隊
3位東隊
4位太刀川隊
~上位~
5位嵐山隊
6位三好隊
7位安藤隊
8位山本隊
~中位~
9位円道隊
10位松坂隊
11位柴田隊
12位弓場隊
~下位~
切りよく12部隊
今回は全チーム四つ巴戦であり、上位はくじ引きの結果東隊がステージの選択権を獲得した
「それでは各員の健闘を祈る!」
忍田本部長の言葉で〆られた
いつものエイスリン達の部屋ではなく桑原隊の隊室で作戦会議が行われた
「とりあえずいま完成しているステージが市街地A、B、C、D、河川敷A、工業地帯ですね。天元隊長、淡ちゃん、元康君……は覚えているか」
「一応確認で、市街地Aはごくごく普通の市街地で、ところどころにあるビルとマンションがあるくらいで、特に警戒すべきところはないな」
「市街地Bは人口密集地で道が細い、大型スーパーや学校、小型のショッピングモールなど広い場所もあるけど狙撃手は厳しいマップだね」
「市街地Cは斜面のある高低差のある場所だから上を取った部隊による射撃戦が有利なマップだな」
「市街地Dは大型ショッピングモールがある小さいステージで、ショッピングモールの階層による上下に分断されるからレーダーが分かりずらいのが特徴かな」
「河川敷Aはマップ中央に大きな川があり、大きな橋で東西を繋げているステージだね」
「最後に工業地帯は比較的小さめのマップに工場が沢山詰め込まれている感じで、基本室内は移動できないから近距離での射撃戦になりがち、射手より銃手の方が取り回し的に有利かも」
「さてここから東さんはどこを選んでくるかな」
「射線が通らない市街地Bは二宮、加古の射手の持ち味を消すからね」
「でも私達を意識したらここぶつけて私達の強みを消してくるんじゃない?」
「そしたら近接戦で圧倒するだけだろ。ただ近接戦だけだと太刀川と小南先輩がいるからな」
「これけっこう難しいんじゃ……」
東隊の隊室でも日曜日に控えたランク戦に向けた作戦会議が行われていた
「難しいわね」
「……どの部隊も全員がエース級で、太刀川隊だけが狙撃手がいません。射撃戦が有利なマップを選択すべきじゃないですか東さん」
「……二宮はどう思うか?」
「市街地A」
「なんでよ」
「加古逆に考えろ、うちの強みは中長距離の射撃戦だ。それにうちの部隊が戦闘員が4人いる人数的有利もある。ピーキーな市街地Cや射線が通り辛い工業地帯は捨て、分断による各個撃破の可能性の高い河川敷も無しだ。となると市街地AかDしかなくなり、俺はAの方が良いと判断した……東さんどうですか」
「うん、俺の考えとも合致している。それでいこう」
「となるといかに合流するかね」
「太刀川、小南、結城の3名をいかに早く処理するかも考えないとな」
「太刀川さんどうします今回の試合」
「ん、うーん……生存点は考えなくていい」
「といいますと?」
「相打ちでもいいからいかに序盤に点数を取るかだ。烏丸、お前俺ら全員で完全状態の桑原隊に勝てるか?」
「無理じゃないですかね」
「そういうことだ出水、生存性度外視で3点取れれば万々歳、最初はそれでいい、最後に1位を取っていれば良いんだからな」
「「はい」」
「迅あんた今からでもこっちに戻りなさいよ」
「無茶言うなって小南、俺に師匠の形見手放せっていうのかよ」
「うぐぐ」
「でも小南ちゃんが迅君が戻ってこないときついって弱音を言うなんてね」
「1対1なら負けないわよ。ただ1対1じゃないと勝てない相手が5人もいるから問題なのよ。レイジさんは東さんを押さえてないとダメじゃない。となると私が打撃を与えるとしたら乱戦に持ち込ませるしかないのよ。迅がいればその乱戦が有利になるってわけ」
「うーんじゃあすこしアドバイスだ」
「何? 予知したの」
「結城は囲んだ時が一番怖いぞ」
「?」
「じゃ、俺はこれで、実力派エリート迅、防衛任務に行ってきます」
「あ、ちょっと!!」
各陣営が動く中、時間が進んでいく