3人の転生者 3人の部隊 ~目指せA級1位~   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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第二十六話 人製トリオン兵

 玉狛支部にてクローニンが迅に言われて新型トリオン兵の解析を行っていた

 

「どこ製のトリオン兵だ? 控えめに言って最悪のトリオン兵だぞ」

 

「どういう点がだ?」

 

 解析の協力をしている林藤支部長がクローニンに聞く

 

「人型の部分が人の皮でできている。トリオン器官を抜かれた死体を更にトリオン兵の素材にしてやがる」

 

「な……マジか」

 

「たぶん迅が解析してほしかったのはこのコアだろうな。心臓の代わりにコアが複数の役割を行っている……大きさと繋ぎめからして10人近くのトリオン器官が使われているな」

 

「となると今回の侵攻に10体確認されたから最低100人分の人がこの醜悪なトリオン兵に改造されていると」

 

「そうだ……が、生体工学がこちらより進んでいる国かもしれない。普通の国ならこんなコストパフォーマンスの悪いトリオン兵は作らないからな……と、コイツらイルガー並みの自爆装置も付いていたのか。トリオン抜き取った桑原隊はファインプレーだな」

 

「おいおい、殺意高すぎだろ」

 

「……でも得られる情報は多そうです」

 

「迅はこのトリオン兵がクローニンが解析することで良い未来に繋がると言っていたが……」

 

「……やれやれ、迅も人使いが荒いな。頑張ってみますよ」

 

「すまんな」

 

「林藤殿にはお世話になってますからこれぐらいなんともないですよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 近界の文字で書かれた型番から開発室は新型トリオン兵をロイドと命名し、解析が進められていた

 

「鬼怒田室長、これヤバイですわ。トリオンだけでなく人の皮や臓物を使うことで外皮のトリオン量を抑えて、砲撃を強化する試作機って感じかもしれません」

 

「その割には砲撃の威力は低かったと桑原隊から報告があったが?」

 

「実験機の段階でこちらにダメージが与えられれば良し、ダメなら更なる改良をという運用かもしれませんね」

 

「コイツから得られそうなのはトリオン器官の接合技術くらいか?」

 

「トリオンとトリオンを繋げる技術ですか……面白いですね」

 

「でもこんなものを作るような国だ。ろくな場所ではなかろう」

 

「全くですよ。クローニンチーフによればこれを作るのに10人もの人間が使われているとのことで」

 

「ただでさえ近界の人口は少ないのにそんなことをすれば枯渇すると思うがな」

 

「クローン技術でも持ってる可能性がありませんか?」

 

「まさか、こちらでもクローン技術はあれど、母体から同じ個体を生ませる段階でSFみたいに培養液から出来上がるみたいなのでなければコストに見合わないぞ」

 

「ですよねー……となると他には政敵や奴隷階級、敵国の捕虜から作るとかですかね」

 

「近界の情勢など今はどうでも良い。我々の仕事はこの醜悪なトリオン兵をどう活かすかだ。渡辺副室長」

 

「了解しました」

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、では今回の試合の反省をしようか」

 

 翌日、東隊室ではログを確認しながら反省会が行われていた

 

「反省も何もメテオラ大爆発はどうしようもなくない?」

 

「加古、それだけでは反省にならないだろ」

 

「真っ先に落ちた二宮君は反省点が沢山あるんじゃない?」

 

「はい、二人とも揉めない……次からオペレーターの私はトリオン反応を先に表示すれば置き玉の警戒はできるようになると思うわ」

 

「ただあれをやると結城さん本人もただでは済まないので有利な立場ではやらないと思うんですよ」

 

「三輪の意見に賛成だ。結城の性格的に自身が不利になれば迷わず自爆するが、それ以外だと恐らく使ってこない」

 

「今回の場合は初めから結城は包囲されている盤面だったから合流を諦めて罠の設置に時間を割いていた。今回のメテオラの陣を回避する方法はその範囲外からメテオラやハウンドで陣を吹き飛ばせばいい。上手く行けば自身が置いたメテオラが連鎖爆発して結城を倒せるかもしれない。その為には月見の情報が鍵になるだろう」

 

「わかりました。東さん」

 

「俺も次桑原隊に当たる様なら結城を最大限警戒する。他にはメテオラの陣から釣り出せば良い。相手の有利な場所で戦う必要は無い」

 

「落ち着いて考えると対策は色々ありますね」

 

「ただ奴らには超長距離を当てられる武田がいるが?」

 

「自分が落とされて根に持ってるの? 二宮」

 

「……」

 

「武田さんの超長距離射撃は何か制約があると思うわ。距離延長でそこまで威力は出ないとか……あ、だからフルアタックの二宮さんを狙ったのでは?」

 

「月見、たぶんそうだ。恐らく視覚の共有もされていた可能性も高い」

 

「桑原や結城の視覚内に居るのは危険か」

 

「視覚外からどうやって倒すかね」

 

「色々考えるともしかして一番倒しやすいの桑原隊長ですか?」

 

「いや、そう思わせて次の試合に淡から天元の方に敵を集めるのが作戦かもしれないな。そして、天元は切り替えがサイドエフェクトでとても上手い。切り替えを上手く使うことで第三の攻撃ができるんだとか」

 

「それって弧月のオンオフも使ってくるってことですよね?」

 

「そうだ。例えば弧月で斬り合っていたところにアステロイドが飛んできてシールド張った瞬間に大玉アステロイドが飛んできてシールドを破壊し、流れるようにバイパーを発射するなんてことがほぼロス無くできるらしい」

 

「でも今回の試合ではしていませんよね?」

 

「だから今回はその札を伏せたんだ。次の試合の布石の為にな」

 

「……桑原達は俺達の1手先を見据えた行動をしていたということか」

 

 二宮の言葉に桑原隊と自分達との差を感じてしまう東隊だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 次のラウンドに向けて桑原隊のメンバーは準備をしていた

 

「トリオン兵の解析もそうですが、こんなの寺島さんに作ってもらいたいんですが」

 

 天元が差し出した提案書はワイヤーのトリガー……原作ではスパイダーと呼ばれ、玉狛第二の三雲隊長が多用していたトリガーである

 

「ワイヤーを張るだけのトリガーか?」

 

「先端を鋭利にして発射することで壁に食い込ませたり、メテオラの起爆装置にしたりできればいいのですが」

 

「純粋なサポート特化のトリガーか、山際さん、俺は良い案だと思うのですが」

 

「そうだね、企画書を見る感じトリオン量が少ない人でも扱えるのが良いね」

 

「お願いできますか?」

 

「もちろんやろう」

 

 こうしてスパイダーの開発が近界研究室で始まるのだった

 

 

 

 

 

 

 エイスリン達は着実にポイントを獲得していた

 

 大勝はしないが、こつこつと点数を取ることと、スコーピオンを使った多彩な攻撃を行うエイスリン、突撃銃で中距離から点数をもぎ取るシロ、狙撃訓練で存在感を出しつつあるカクラと入隊から1ヶ月、そろそろB級に上がれるかなーといったところに位置していた

 

 当然部隊の勧誘が連日来ていたが、エイスリン達は3人とオペレーターで部隊を作りたいと公言したことで少しは静かになったが……

 

 オペレーター選びで難航していた

 

 エイスリン達が近界民と知っても大丈夫かつ、口の堅い隊員でなければならない

 

 このことを室長である天元は葵を連れて忍田本部長と根付さんにランク戦の無い平日に相談しに行っていた

 

「2月から戦力化まで約8カ月取れる情報も取り切ったし、即応できる隊員と考えればよいか?」

 

「根付さん、また嫌味ですか?」

 

「桑原君、ボーダーの士気を考えているこちらとしては近界民の隊員などボーダーの根底を揺るがす存在でもあるんだよ。広報として彼女たちの情報の取り扱いは悩みの種だよ……まったく」

 

「で、今回の話はエイスリン達のオペレーターを誰にするかだったね」

 

「ええ、いい隊員はいないでしょうか」

 

「大空隊員は誰が良いとかはないのかい?」

 

「沢村さんはダメでしょうか」

 

「沢村隊員か……部隊は組んでいないし、最近はオペレーターへの仕事を兼任していたが……」

 

「沢村はB級隊員じゃないか! 戦力が低下するのでは?」

 

「根付さんの意見はもっともですが、近界民に敵意を抱いていないかつ性格的にエイスリン達を引っ張ってくれるオペレーターが良いと思いまして……オペレーターの隊長という前例作りを兼ねてどうか……」

 

「オペレーターの隊長?」

 

「それは俺が説明します。今は戦闘員が隊長をしていますが、後方から的確に指示できる人物ならオペレーターでも隊長ができるのではないかと思っています。トリオン量が少ない人でも部隊運用に貢献できるとなれば人材に幅ができますし」

 

「ボーダーのさらなる拡張を見据えてか……」

 

「はい」

 

「未来の人員の為に……か、では私から沢村には伝えてみよう」

 

「忍田本部長よろしいのですか!」

 

「ボーダーはまだまだ人手不足ですし、沢村ならエイスリン達を防衛任務で前線指揮ができます。監視の意味を込めるとなかなか良い人選だと思いますが」

 

「……戦力は低下しないか、いや、こちらとしては上の都合で戦闘員からオペレーターに強制的に回されたという形にしないのならば別に……文句はない」

 

「決まりですね」

 

 こうして葵の提案でエイスリン達は沢村隊員の指揮下に入ることが決まった

 

 沢村隊員は彼女たちを隊長兼オペレーターとして引っ張っていくこととなるのだった

 

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