3人の転生者 3人の部隊 ~目指せA級1位~   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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第三十一話 ロイドコアの解析と焼肉屋での近界研究室のメンバーとの会話

 第3ラウンドが終わった時点で上層部から残り試合数の通達があり、残り2試合で今季B級ランク戦は終了とするとのこと

 

 現在の桑原隊得点が22点、他の最高点が10点なので2試合で13点取らなければ桑原隊を抜くことができない

 

 さらに難しいのが今まで桑原隊が全員落ちた事がないことであり、生存点獲得がとにかく難しいのである

 

 更にトリオン量による暴力で市街地Dはショッピングモール大爆発のようにやろうと思えばマップを破壊できることが証明されてしまった

 

 他の隊からしたら市街地Bの学校や小規模なショッピングモールも危険である

 

 穴熊作戦ができないというのはとにかく辛い

 

 しかも他の部隊と結託して集団戦にしようとすれば淡の自爆で大量ベイルアウトが確定してしまう

 

「ここから考えられる俺達の勝ち筋は絶対条件が桑原隊を孤立させること、できれば2対1の状態に各自持ち込む」

 

「でもそれって太刀川さんレベルが3人居るってことでしょ?」

 

「ああ、次の試合で桑原隊は生存点を与えなければ1位通過は確実だ」

 

「役割的にはうち(太刀川隊)と似ているんだよなぁ。武田さんが狙撃手ができる烏丸と思えば」

 

「いや、流石に無理がありませんか出水さん」

 

「お前ら隊長を差し置いて作戦を考えるなよ……」

 

「でも~太刀川さんそういうの苦手じゃ~ん」

 

 オペレーターの国近にまで言われる太刀川部隊最年長者の太刀川である

 

 太刀川隊のメンバーは太刀川の強さは疑いようがないのはわかっているが、強さ以外は反面教師としか見ていない戦闘狂のダメ人間である

 

「というか桑原隊は2点でも奪えば最終戦が四つ巴でもほぼ抜かす事が不可能になりますよね」

 

「次の四つ巴が実質最終戦か」

 

「もう考えられる思考が2つでしょ。上位のチームほどわかってるのが桑原隊と戦うか避けるかの二択だ。うちには太刀川さんが居るから太刀川さんは1人を引き付けることは可能、俺と烏丸で結城さんを押さえられるか……で、前回の試合で全く読めなくなった武田さんのポジションよ。近接特化タイプになったら太刀川さんクラスがもう1人、狙撃手タイプでも東さんとほぼ同格が居ると考えるとなると」

 

「うちの部隊では完全体の桑原隊を抑えるのは難しいですね」

 

「他の部隊を誘導はできないかな~」

 

「次の試合がうちと桑原隊、嵐山隊と玉狛第一だったよな?」

 

「合ってます太刀川さん、桑原隊以外10点で横並びなので……」

 

 考えられるのは10点組が桑原隊に完敗した場合、下の組に居る東隊と弓場隊に捲られる可能性があることだ

 

 消極的作戦なら桑原隊を避けて先に6点確保という作戦も無くは無いが現実的ではない

 

 となるとやはり桑原隊に点を取らせないためには初動で桑原隊を倒すしかない

 

「出水さん、桑原隊の隊員と1対1なら何分持ちこたえられますか?」

 

「……守りに徹して5分だな」

 

「……戦いましょう。消極的にいっても敗けですから」

 

 烏丸は腹を括った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ロイドと呼ばれるトリオン兵から摘出したコアの解析が完了し、使い道を鬼怒田は考えていた

 

「10体鹵獲したロイドのうち7体が本部開発室、玉狛に2つ、近界研究室に1つか、色々な素材になるがこの素材は量産ができんからな。慎重に使う必要がある」

 

 ロイドのコアは10人分のトリオン器官を融合して作られており、地球での……いや、ボーダーでの量産は不可能であった

 

 それ故にロイドコアは貴重な素材であり、何よりトリオンを生み出すという特異性を持っていた

 

 量的にはトリオン量は10程度であるが生み出すというのに価値がある

 

「まず3つは壊れた大型遠征艇のトリオン供給源にすれば長距離航行が可能になる。残り4つ……防衛用の基地シールドの補助動力にするのが最適か? うむむ、渡辺どう思う」

 

「どうもこうもないですよ。近界にはトリオン器官を体外に摘出しても生きた状態で活用できる技術を持っていることが今回の件で判明しましたから……こちらとの技術格差は我々が思っている以上ですよ。もしかしたら本当に培養液から人を生み出す技術を持っていても不思議じゃありませんよ。それかトリオン量の遺伝の法則でも判明しているのか」

 

「トリオン工学だけでなく遺伝子工学や生体学で負けていると?」

 

「近界は倫理観よりも効率を重視したんでしょう。エイスリン達の何でしたっけ? あぁ、そうそう、オリクトだ。オリクトも政体はとにもかくにもトリオン技術だけは先に進んでいました。階級的貴族制という技術伝播が遅い政体でそれということは、もっと効率的な考えの下で動いている国があってもおかしくは無いでしょう」

 

「しかも近界は常時戦争中に近いですからね。技術者も死に物狂いで開発しますし」

 

「まぁ開発速度はこちらにはコンピューターがあるから開発速度で負けるということは無いだろうが」

 

「甘いですよ鬼怒田さん。トリオン技術を持ってすればパソコンの代用的な演算装置は開発できると思われますよ。純トリオン物質で演算装置ができないか俺自身が試していますし」

 

「むう、できるとなると厄介だな」

 

「いや、こちらのスパコンまではいかなくても初期のパソコン程度の演算装置は必ず持っているはずです。トリオン兵なんてオートで動いているのですからそれを統括する機械が無いのは不自然です」

 

「たく、我々が思っている以上に近界の技術は進んでいるか」

 

 国ではなく一軍事会社程度の人員と開発能力で戦えている現状、近界を圧倒するには国のバックアップがあった方が良いのは確かであるが、万が一軍事転用された場合戦争の在り方が一変する危険及び戦略物資のトリオンである

 

「国政もガタついて国家運営や国防意識も諸外国頼りの今の政権には頼れない、我々がやはり戦うしかないですね」

 

「それには金も人材も足りん。深夜帯はゲート抑制装置を開発したお陰で23時から7時までの8時間は安全な時間が確保できたが……それ以上はエネルギーが持たんからな」

 

「ゲートの緊急遮断のサブバッテリーに今回のロイドコアを使っては?」

 

「……確かにそれにエネルギーを回すのはアリだな……」

 

 鬼怒田は考え続ける

 

 全てはボーダーと離れて暮らす家族の為に

 

 

 

 

 

 

 

 エイスリン達は神妙な顔で初のお給料を受け取っていた

 

「エイスリン、シロ、カクラお疲れ様、はい、B級での防衛任務のお給料だよ」

 

「「「わーい!」」」

 

 封筒を室長の桑原から受け取ると中のお札を数える

 

「えっと前に貰った1万円札が20枚! 五千円札と千円札が1枚ずつ……20万6千円?」

 

「うん、そうなるね」

 

「あれ? 15万円前後って言ってなかったけ?」

 

 これにはカラクリがあり、エイスリン達にはボーダーから2万円の支援金が支払われており、それプラス学業で早朝や昼頃の防衛任務を積極的に引き受けているため他よりも給料が高くなっていた

 

 ちなみにオペレーターの沢村も20万円にプラス口止め料として5万円が支払われており25万円貰っていた

 

 桑原隊の4人は給料を均等割しているためオペレーターの葵も完全に同じで防衛任務の頻度が減ったので12万円程だが近界研究室の特別手当てとして5万円と今月はロイドの鹵獲で追加で2万円支払われており手取り19万円程の給料を貰っていた

 

 ちなみに近界研究室で一番手取りが多いのは技術リーダーの山際さんで手取り30万円程貰っていた

 

「お金があれば基本何でも買えるよ。何か買いたい物はある?」

 

「缶詰め食べたい! フルーツ缶!」

 

「私は生のフルーツが食べたいなぁ」

 

「私ゲームで遊びたい! ポ○モン! やりたい! 皆でポケ○ンやろうよ! この前発売されたブラック? ホワイト? だっけそれやりたい」

 

「カクラはゲーム好きだもんね」

 

「架空の世界なのが良い! 私○ケモンマスターになりたい! サトシとピカチュー可愛くて好き!」

 

「おじさん達ポケモン強いぞ~」

 

「負けないもん!」

 

 エイスリン達は数日後に沢村の監督下で外出をし、電気屋でDSをゲットしたりスーパーで各々好きな物を買ったりした

 

 玄界の物質的豊かさや娯楽の多さに驚きながら三門市内を巡り、最後に焼肉屋で桑原達と合流して食事会となった

 

「お肉! お肉!」

 

「本当に玄界は豊かですね……こんなに質の良いお肉が食べれる日が来るなんて思いませんでしたよ」

 

「日本も豊かになったのはここ50年くらいだからな。昔というか戦時中は酷かったらしいからな」

 

「戦争は技術は発展するかもしれないけど豊かにはなれないからねぇ。一時的に豊かになってもそれは略奪による物だし」

 

「耳が痛い……」

 

「オリクトに残してきた親や兄弟には悪いと思うけど今思ったら玄界の偵察もろくにしないで攻めた上層部が悪いし、責任を全部下に押し付けるのもどうかと思う……て考えられるようになったね」

 

「まぁ考える余裕も無かったんだから仕方がないさ。ほい、焼けたぞ」

 

「ありがとう天元! でも不思議だね。生まれた国が違うし、敵対していた者同士なのに今は同じ食卓で同じ組織に所属して戦友になるなんて」

 

「まぁ俺達も最初は捕虜を取れるなんて思っていなかったからな」

 

「プハァーやっぱりビールが旨い!」

 

「沢村さん飲みますねぇ」

 

「大空ちゃん(葵)もあと2年で飲める様になるんだから~早くこっちに来なさいよ~」

 

「あはは」

 

「……お酒かぁ。上官達が飲んでいたっけ……飲まないとやってられないって愚痴ってたな」

 

「エイスリン、オリクトの事なんか考えるだけ不幸になるから今を楽しもうよ! ご飯にお肉を包んで食べれば~うん! 美味しい!」

 

「そうだねカクラ! ああもう! カクラは可愛いなぁ!」

 

 ワシャワシャとカクラの頭を撫でるエイスリン

 

「くすぐったいよぉ!」

 

「火の近くで暴れないのー」

 

「「はーい!」」

 

「噛みきれない……」

 

「壺カルビが噛みきれないとはお子ちゃまだねぇ、シロ~」

 

「……淡はよくそんなに食べられるね」

 

「そう? 食べれば食べるほど大きくなれるよ」

 

「胸も背も?」

 

「そうそう!」

 

「ふーん……あむ」

 

「お前ら肉ばっかりじゃなくて野菜も食べろ! おじさんが野菜全部食べちゃうぞー」

 

 沢村が突っ込む

 

「そういえば何で桑原は自分の事をおじさんって言うの?」

 

「あー、淡と元康がバカやった時の尻拭いをしていたのと俺老け顔でしょ。なんかおじさんってのがしっくり来まして」

 

「そう? 私から見たら好青年に見えるけどなぁ」

 

「ありがとうございます沢村さん」

 

「でも忍田本部長が1番カッコ良いなぁ」

 

「相変わらずすね忍田本部長好きは」

 

「だって……仕事ができてかっこよくて守ってくれそうじゃない。頼りになる男性って凄く素敵じゃない?」

 

「それはそう! 私も大規模侵攻の時に元康君が手を引いて守ってくれたので惚れ直したからなぁ」

 

「は、恥ずかしいなぁ」

 

「でもチーム内で彼氏彼女がイチャイチャしていると他2人は居づらくないの?」

 

 沢村が淡と天元に質問する

 

「そうでもないですよ? 確かにイチャイチャしているのを見て若いなぁとは思いますけど」

 

「まぁ生徒会時代から関係性はこんな感じでしたし」

 

「生徒会?」

 

「エイスリン達にはわからないか、学校の中にも組合みたいなのがあるんだよ。今度詳しく教えてあげるね」

 

 焼肉屋で門限ギリギリまで食べて話して飲むのだった

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