3人の転生者 3人の部隊 ~目指せA級1位~   作:星野林(旧ゆっくり霊沙)

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第三十三話 幹部への道

「今回の試合のMVPは柿崎だな」

 

 隊室のベッドに腰を掛けながら桑原隊のメンバーが話す

 

 葵もパイプ椅子を持ってきて話に加わる

 

「でも天元、作戦自体はうまく行っていたよね」

 

「そう、柿崎以外は全て予想の範囲内だった。柿崎が通常弾しか撃てなかったら俺のシールドが間に合っていたから元康の到着まで待つことができた。俺が生きていたら盤面が全て変わるからな」

 

「柿崎の読み勝ちってやつか。まあ、一番俺達の動きを見てきたのは嵐山と柿崎だからな……最後も読み負けたわけだし」

 

「素直に直線上から長距離狙撃で良かったな。確実に仕留めることばかりに目が行った俺が悪いわ」

 

「……で、今回ので合成弾の銃手が使えることが判明したわけだが……どう思う?」

 

「次の最終戦は上位と当たりすぎた反動か俺達はエイスリン達の沢村隊と柴田隊だからな」

 

 次の最終戦の組み合わせは

 

 桑原隊

 沢村隊

 柴田隊

 

 嵐山隊

 太刀川隊

 玉狛第一

 東隊 

 

 弓場隊

 松坂隊

 安藤隊

 

 円道隊

 三好隊

 山本隊

 

 という形となった

 

 ここでA級条件である2位以内は嵐山隊が生存点さえ奪えれば2位通過がほぼ確定であり、たとえ試合において生存点込みで3点だと18点

 

 四つ巴で嵐山隊が1名以外全員倒され、他のチームも倒したとして8点の獲得が必要であり、理論的に取れる点数の最大値は東隊が8点、太刀川隊が9点、玉狛第一が10点であるので嵐山隊をいかに無得点で押さえ、こちらは生存点を取るかの勝負になる

 

 下手に引き分けであれば嵐山隊が勝ち抜けする可能性も高いので引き分け狙いも嵐山隊以外はできない

 

 というかこの試合の組み合わせ的に俺達が散々活躍したから無双されて不当に弱く見られているメンツの洗いだしを上層部がしたいのだろう

 

 総合能力では桑原隊が飛び抜けてしまっているゆえに……

 

 ランク戦は隊員にとってはA級に上がるための試験でも、上層部にとっては戦力を確かめるためのテストであるので戦力の正当な評価ができないのは大問題である

 

 ちなみにであるが、本当にごく僅かに弓場隊が全抜きと生存点を確保した場合にのみ限り2位通過の可能性が残されていた

 

 なのでこの時点で嵐山隊が無双しない限り桑原隊のA級試験行きは確定したことになる

 

「まあ、今回の試合の反省点は驕りだろうな」

 

「驕り?」

 

「不利の状態でどれだけ動けるかを試してまんまと負け筋引いたからこれを驕りと言わないで何になるかな?」

 

「そりゃそうだ」

 

「でも4点獲得したからA級への試験の挑戦権獲得は確実でしょ? おめでとう!」

 

「次の試合はエイスリン達と氏真のところだろ? 正直エイスリン達がどんなに頑張っても今の私達は崩せないよ」

 

「氏真ももったいねーなぁ組む相手を完全に間違えたから実力を出しきれてねぇからな。柴田が年上だから意見があまり言えてないからなぁ……アイツは作戦立案でこそ輝くのに」

 

「あ、皆に報告、忍田本部長から……幹部会議室に集合だそうです」

 

「……何かあるな」

 

 

 

 

 

 

 

 幹部会議室にて桑原隊の面々が入室すると席に座るように促された

 

 そして議題が忍田本部長の号令で始まる

 

「まずは桑原隊A級への試験の資格入手おめでとう」

 

「「「「ありがとうございます」」」」

 

「今回呼んだのは君達の意見も聞きたいからだ……支部についてだ」

 

「支部ですか?」

 

「ああ、毎日本部まで来るには距離的に遠い人も居るからな。そこで警戒区域近辺に現在ある広報用のブースを発展させて建物を買い取って支部にしようという話が出ていてね」

 

「支部にどこまで権限を与えるかで難航しているのだよ。玉狛支部みたいなのがポコポコ出てきても困るからな」

 

 この場に玉狛支部の林藤支部長は居ない

 

 本来支部増設の話ならば居ないとおかしいと思うのだが

 

「玉狛支部と本部は思考が違いすぎるからな、もう少し本部の方針を詰めないと彼は呼べませんよ」

 

 根付さんが言う

 

「今回桑原隊を呼んだ方が良いと思ったのは君達の近界研究室を評価しての事だ。室長達を呼ばないのはおかしな話だからね」

 

「唐沢さんの期待に応えられるかわかりませんが、支部を増やすことに懸念点なのは本部の指示に従うかどうかですか? 玉狛みたいに別の派閥が出きるのは避けたいということですよね」

 

「そうだ」

 

「ならこういうのはどうでしょうか」

 

 支部の設立条件を部隊として切り分け、常駐戦力として最低B級1部隊と支部長として監督権限のある大人と事務員

 

 技術スタッフ等の独自トリガー作成は既に権限を与えている玉狛以外は原則禁止(支部部隊がA級の場合のみ可)

 

「そもそも支部を増やしたい理由は本部だけでは警戒範囲全域を迅速に防衛できないからなので戦力はある程度は必要になるでしょう。なので最低1部隊とします。そしてC級からB級に、B級からA級に上がるための試験は本部のみで行うとすれば本部とのパワーバランスの維持も出来るでしょう」

 

 支部についての話し合いは30分ほど続き、次の話題に移る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「桑原隊の意見は8割ほどこちらの意見と合致していましたな」

 

「支部の部隊数制限とかの意見が出ると思ったが、やはりあ奴らの根底にあるのはボーダーの拡張なのだろうな」

 

「本部が強ければ良いという感じでもなかったですな。パワーバランスの話が出ましたが、制限ではなく本部に技術班を置くことで開発リソースを集中させる意図もあるかと……鬼怒田さんはどう思いますかね」

 

「わし的には技術者のリソースを集中させ、相乗効果で新人技術者の育成も行わせるという意図も感じられた。技術者の人員が少なすぎるからな。まだまだマンパワーがこっちは足りとらん」

 

「それを見越しての大学側へのトリオン工学の研究依頼でしょうに……」

 

「技術者は高いですからねぇ。今でもボーダー予算結構カツカツなんですから」

 

「唐沢なんとかせい!」

 

「全く他人事だからって……なんとかしますがね」

 

 今回の会議へ桑原隊を入れたのは彼らを幹部候補として見ていたからである

 

「幹部候補として彼らは合格ですかね?」

 

「結城は指揮官タイプだな。後々は私の副官として育てたい」

 

 忍田本部長がそう言う

 

「わしは桑原を推す」

 

「私もです。彼はバランス感覚が良い。意見調整……いや、人事部として輝く人材だ。顔立ちも良いのでメディア対策室に欲しい。無理なら内部の予算調整をする部署でも輝く人材だ」

 

 鬼怒田と根付は桑原を推す

 

「司令官としては武田くんですね。城戸司令とはタイプが違いますが彼にはカリスマがある」

 

「唐沢、結城や桑原も司令官足り得る器だとわしは思うが?」

 

「彼は創業者ではなく2代目に必要な器があると言う話ですよ鬼怒田さん」

 

「創成と守成の話か?」

 

 創業者は創成する能力が必要であり、二代目は守り発展させる能力が高い方が組織は上手く行くという法則がある

 

「我々は城戸司令というカリスマがありますが、戦闘員からの桑原隊の信頼は絶大です。今は隊長の桑原が矢面に立ってますが纏める力は武田くんの方が高い様に感じます。城戸司令はどう思いますか?」

 

「……彼らはまだ本当の戦場を経験していない。遠征を乗り越えることができたら本物だ。忍田本部長、根付メディア対策室長、唐沢営業部長、正式にA級に上がった後、桑原隊の3名と大空オペレーターを幹部候補生として鍛えろ」

 

「「「はっ!」」」

 

「話は以上だ。解散とする」

 

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