単刀直入に言うわ、どうすりゃ俺っちが初投稿って信じてもらえるんや?
ならば、垢消ししろ。
天究星がそうしたように。
「うらァ!」
殴りかかってくる不良の金属バットを頭で受け止める。
「あァ?」
違和感に気付いた不良がバットを訝しげに見るが、ほぼ直角に曲がったそれを果たしてバットと呼べるものだろうか。
胴体に本気の蹴りをお見舞いしてバットとお揃いにしてやると、間抜けな声を挙げながらすっ飛んでいった。
「あー、しんど……」
肩で息をする。蘇生されたばかりで流石にこの連戦は厳しい。疲労困憊だ。
何故かお行儀良くトーナメントみたいに挑みかかってくるが、どちらかと言えば全員にかかって来られる方が良い。この状況はキツい。なんとか逃げようにも、あまりにギャラリーが多過ぎる。必ず誰かに逃走した方向を見破られるだろう。全員殴り倒すか、どうにかして姿をくらまさなければ。
「次……次は、誰?」
「次は私達」
声のした方を見やる。あの服装には見覚えがある、アレは確か……アリウスの……そう、錠前サオリと似た服装だ、という事はアリウススクワッドか?物憂げな子に仮面の子、そしておどおどした子。
「……私が言う事じゃないとは思うけど、君達ってゲヘナにいて良いんだっけ?」
「良くないですね……」
「だからさっさと片付ける」
その言葉と共に不意打ちで放たれたミサイルを跳躍して回避する。そのついでに投げナイフを引き抜き、着地と同時に──
「まずこっち!」
対物ライフルを構えていた緑髪の子目掛けて投げ放つ。ちょうど放たれた弾丸を逸らす事に成功はしたが、当たらなかったとなればプラマイゼロだ。
隙を見て寄ってきた仮面の子に撃たれるが、見るに所詮はSMG、防御するよりもそのまま突っ込んで……
「うっ!?」
信じられない程痛い。なんだこの火力、どんな改造をしてるんだ?思わずパーカーの裾を盾になんとか防ぐが、露出している手の甲が激痛に襲われ続けている。当然、他二人がそんな隙を見逃してくれる訳も無い。横っ面にミサイルが突き刺さり、思い切り吹き飛ばされる。電柱に当たってなんとか勢いは止まったが、かなり酷く打ち付けられた。痛い。
大言壮語でもなんでもなく、この三人は確実に私を素早く、完璧に倒すつもりでいる。そしてそれは充分に可能だろう。
「痛ぁ……」
電柱にもたれながらなんとか立ち上がる。かなりの難敵だ、格が違う。なりふり構わず本気を出せば二人までならなんとかなるだろうが、どうシミュレートしても残り一人に打ち倒される。
ふと、上を見上げる。そういえば……試してみる価値はあるかも知れない。もう一本投げナイフを取り出し、目当てのモノへと放った。
◇◇◇
「な!?」
逃亡生活を続ける中で時折、不可解な事をしだす連中に出くわす事はあった。変なポーズを取るヒーローを自称する全身タイツの連中だの、突然何もない所を爆破したり掘削したりする連中だの。だが今回のは流石に……意味が分からない。目の前で、時崎タキが千切れた電線を、そのまま体に突き刺したのだ。
「姫離れて、感電するかも」
困惑し切った頭ではそんなありきたりな指示しか出せない。まさか自害でもするつもりなのか?それにしては直前までの態度が妙なような……考えても分からない。単なる自傷行為では無い事は分かるのだが。
攻めあぐね、ヒヨリに目配せをしようと視線を向ける。
「え?」
時崎タキが、何故かヒヨリの首を掴んで持ち上げている。
「……」
ヒヨリのヘイローが消えている、あの一瞬で気絶させられた?一体何が起きた?瞬きの間に再び時崎タキが消える。
「こっち」
肩に手を置かれ、反射的に離れようとするが、激痛が全身を襲う。筋肉が乱雑に収縮して触れた手を跳ね除けられず、なす術なく蹴り飛ばされる。
「ぐ……なに今の……」
「色々あってね」
ダメだ、立ち上がれない。まだ筋肉が痙攣している。なんとか顔を上げるが、上げない方が良かったかも知れない。目の前には踵落としの体勢を取る時崎タキがいた。
「チッ……」
立ち上がろうと力を込めてみるが、変な部分にしか力が入らない。まずい。
「させない」
けたたましい銃声。アツコのインターセプトが入った。離れるよう言っておいたのが功を奏した、が。
「……痛いなぁ」
撃たれた事には何のリアクションも取らず、時崎タキがゆっくりと姫の方を向く。
「ミサキから離れて」
「アツコ……!」
無謀だ、こんな奴相手に一人でなんて。
「代わりに相手してくれるなら良いよ?中指の爪はいつもちゃんと手入れしてあるから」
「下品」
連続する銃声、バク転で離れていく時崎タキ。痙攣は収まったが、まだ体の芯が痛む。アツコに助け起こされてなんとか立ち上がる。
「……離脱する?これ以上は厳しそう」
「そうだね、まずヒヨリを回収しないと……」
見立てが甘かった。ヘリからあんな方法の脱出をしているのを確認した時点で中断すべきだった。聖園ミカ程の脅威は感じないが、それでも舐めてかかっていい相手では無かった。5億は諦めて……
「風紀委員が来たぞ!」
……離脱する理由が増えた。
◇◇◇
ゲヘナ風紀委員会。無秩序としか言いようの無いゲヘナにおいて、唯一の治安維持組織。間違いなく、強い。特にあの委員長、空崎ヒナ。彼女に勝てる存在はキヴォトス広しと言えどそうはいない。
「逃がすな、捕まえろ!」
だが、今回はいないようだ。褐色の子、そしてその他の風紀委員。個人特定を避ける為の規則があるのか、褐色の子以外は全く同じ制服の子ばかりだ。だが散り散りになって逃げようとした連中の半数以上はその子達に捕まった。舐めてかかる訳にはいかないだろう。
「時崎タキか?」
「いや、人違いなんで帰らせてくれると」
そそくさと離れようとした所、ライフルのストックに着いているスパイクを腹に押し付けられ、止められる。
「なら確認が必要だな?学生証は?」
「落としちゃって再発行待ちです」
ふん、と鼻を鳴らす褐色の子。周囲をゆっくり、グルグルと回る彼女を軽く目で追いながら適当に言い訳を並べ立てているが、かなり無理がある、まずいぞ。
「とりあえず、捕縛だ」
ライフルの銃口がこちらを向く。それと同時に腕を使わずに側転し、発射される弾丸をなんとかかわす。
「あっ……ぶな!」
「どういう反応速度してるんだ、おまえ……」
若干引かれているのを感じるが、こんな状況下で温存だのなんだのと考えていられない。確か、ゲヘナ風紀委員のスナイパーと言えば、そう、名前は銀鏡イオリ。かなりの実力者である事に疑いの余地は無い。
もちろんまともに相手をする余裕なんて無い。切れる手札は切って、この場を抜け出す事を優先して考えるべきだ。閃光弾を取り出す。
「目ェ眩め!」
躊躇なく地面に叩きつけ、それと同時に近くの街灯目掛けてジャンプ、そして街灯を蹴って建物の上まで跳ぶ。まるで忍者めいた移動、これで見失うだろう、そう思って風紀委員達の方を確認する。
「!?」
無意識に振るったナイフに強い衝撃と甲高い金属音。銀鏡イオリがこちらを見ている。撃たれたのを一拍遅れて知覚し、更に一拍遅れてそれを自分が弾いたのを理解した。
「……」
わずかな時間の内に思考を巡らせる。お互い困惑しているが、やるべき事は分かっている。前へ向き直り、走り出す。
「逃がすか!」
再度放たれた銃弾を一瞬姿勢を低くして避ける。ライフル弾はやはり速い。だが見えない程じゃない。止まって見える、とまでは行かないが、見切る事は可能だ。
「お返し!」
何本か取り出した投げナイフを一本ずつ投げつける、が、銃で普通に弾かれてしまった。スナイパーライフルをまるで棍棒のように扱うとは。
とにかく今は足を止めなければ良い。多分。
お久しぶりです。ここ数ヶ月リンバスにハマっておりサラジネをひたすら歌う機械になっていました。心身の状態は良くありませんがなんとかやっています。高評価とかしてくださるととても嬉しいです。
まだ進退を決めてはいません。
(コラボイベントで貯蓄が)ばくはつする!ばくはつする!