俺はオレとなって悪の道を突き進む   作:プロトタイプ・ゼロ

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さぁ、続きをどうぞ


第一章・ホウエン地方編
第二話「お前をオレはゆ’’る’’さ’’ん’’」


 

 

「なんだぁお前は?」

 

 黒いバンダナを頭に巻き青と白の島縞模様の服を着た男――アクア団の下っ端が困惑してるのを無視してオレはモンスターボールを取り出す。

 

 せっかくカガリとのデート(案内です)を邪魔してくれおったな貴様!! 楽には帰さんからな!!

 

「あぁ? まぁ何でもいいや! テメェのポケモンもよこせや!」

 

 その言い方から他の誰かからもポケモンを既に奪っているのだろう……。

 

 うぜぇ……うぜぇうぜぇうぜぇうぜぇうぜぇうぜぇうぜぇうぜぇうぜぇうぜぇ!!

 

「オラ、役に立てよポチエナ!」

 

 現れたのはかみつきポケモンのポチエナだった。それもレベル8。

 

(えっ……よっっっっっっっっっわ!?)

 

 なにこのチュートリアルで戦う悪の組織の下っ端感のある奴は……流石のオレも唖然としてしまったぞ。

 

 カガリを庇うように前に出て構えたモンスターボールを投げる。

 

「ニッドォ!!」

 

 モンスターボールからはオレの一番の相棒たるニドキングが現れた。

 

「はっ……!? なんだそのポケモン!?」

 

 そうか。ニドキングはまだホウエン地方では確認されてないのか。確かにカントー地方でもニドキングを所有してる人ってごく一部だったしあの時は進化方法さえ知られていないポケモンが多かったからなぁ。

 

 そういうことならオレのニドキングを知らない理由に納得がいくが……なんか腹立つな。

 

「ニドキング……叫べ」

 

「ニッドオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!」

 

 腹の底から出されたニドキングの咆哮に周りにいた人たちが次々と倒れていく。一部倒れなかった人もいたが別にいいか。

 

 ニドキングの大咆哮により先程まで威嚇しまくっていたポチエナは萎縮し、そしてパタリと倒れて気絶した。

 

「なっ……!? つ、使えねぇポケモンだなぁ!!」

 

 アクア団の下っ端は最初こそ恐怖に怯えていたもののポチエナが倒れたのを見て顔を怒りに染め、その足でポチエナを蹴り上げた。

 

「は……!?」

 

「……酷い、事、する」

 

 オレとニドキングの睨み、カガリの文句に下っ端ゲスた笑みを浮かべる。

 

「使えねぇポケモンが悪いんだよ」

 

 下っ端は冷や汗をかきまくりながら肩に下げていたバッグを投げつけると、まるで疾風のごとく逃げ出した。逃げ出す際に「覚えておけよぉーー!!」と三下みたいなことを言って。

 

 アイツいつか殺してやる!!

 

 投げつけられたバッグを手に気絶したまま放置されてしまったポチエナの側による。そして、オレのカバンからスプレータイプの傷薬を取り出す。

 

 いくら敵対組織となるアクア団が使っていたとはいえ、悪いのはトレーナーである下っ端であってポチエナではない。それだけは……その考え方だけは崩してはならない。だからこそオレはポチエナを助ける。その命を散らしたりはしない。

 

 ポチエナは近づくオレに……そして、傷薬の痛みに恨みがましい瞳を見せる。おそらくトレーナーだったあの下っ端に相当痛めつけられていたのだろう。恨みのこもった眼をしても決して拒んだりしないのは「痛み」による躾によるものだろう。

 

「痛いだろう……だが、今は我慢してくれ。必ず助けるから」

 

 なぜニドキングに咆哮するだけを命じたか、それはポチエナが既に負っていたこの大量の傷だ。先程も言った通りあの下っ端に相当痛めつけられたのが目にわかるほど……わかってしまうほどに傷がつけられている。

 

 隣でカガリが「……酷い」と言うほどには。まぁ、正直な話マグマ団もアクア団と酷さ的にはそう変わらないのだが……。

 

 それでも悪の組織と言っても幹部クラスになれば自分の手持ちを大事にするやつはいる。ロケット団幹部の変装が得意なラムダだって、あれこれ手持ちに文句は言っても決して手放したりはしなかったからな。

 

 それにサカキ様もそうだ。悪の組織のトップとして常に下っ端たちの模範でいようとしてくださるあの方も、自分の手持ちを痛めつけることなんてしない。まぁ、実力主義過ぎてポケモンのほうがついていけないことがたまにあったりはするが……。

 

 話がかなり逸れたが、つまり悪の組織だからといってポケモンを大事にしないわけではないのだ。じゃなければメガシンカとかできないからな。

 

「よし、簡単な治療は施したな。あとはポケモンセンターに送ってくるよ」

 

「私も……行く。当事者、として……行く」

 

 着いてきてくれるのは正直嬉しいが大丈夫なのか?

 

「……ありがとう」

 

 オレはそっと微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お待ちしました! ポチエナは元気になりましたよ」

 

 ポケモンセンターのジョーイさんが台に乗ったポチエナを連れてくる。ポチエナはすっかり元気になったようで台から飛び降りると勢いよくオレの胸元に飛び込んできた。

 

 先程までの敵意剥き出しだったとは思えないほど懐いてる。なんだろう……ポチエナが可愛く思えてきた。

 

「ポチエナ、元気になった……よかった」

 

「あぁ、もうあんなクズに使われなくてすむ」

 

 ポチエナを降ろしポケモンセンターを後にする。すると何故かポチエナが着いてきた。

 

「どうした? 君はもう自由の身だよ?」

 

「わふ?」

 

「いや、そんな『何言ってんだ?』みたいに首を傾げなくても……」

 

 困ったな。どうすりゃいいんだ。

 

「もしかして……君に着いて行きたんじゃ、ないの、かな?」

 

 ちょこんと首を傾げながらカガリがそう言ってくる。それはそうとその傾げるカガリさん可愛いっすね。

 

「あー、オレと一緒に行きたいのか?」

 

「ワン!」

 

 もはや鳴き声犬だぞポチエナ。お前の鳴き声どうした……???

 

「ま、まぁ……来たいなら別に拒むつもりはないけど」

 

 心配なのは既にあの下っ端のポケモンであるポチエナをオレのモンスターボールに入れることができるのか、だ。

 

 ものは試しとばかりにカバンから取り出したモンスターボールを当ててみる。これでボール登録されていたらオレのモンスターボールは何も反応しないはずなんだが……

 

 カチンっ!

 

 ポチエナ、ゲットできてしまったよ。なんで????

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜カントー地方・ロケット団アジト〜〜

 

「そう言えばマトに支給していたモンスターボールに、他人のポケモンをゲットできる機能がついているのを説明し忘れていたような……まぁ、あの子は賢い。そのうち自分で気づくだろう」

 

 ボスの部屋で書類を眺めていたサカキはふとホウエン地方に送り出した最強の下っ端のことを考えた。彼に送ったモンスターボールのことも。

 

「来ましたぜサカキ様」

 

「ラムダか……では、要件を伝えよう」

 

 コンコンとノックの音が響き、サカキが入るように促すとボスの部屋が開き変装の達人ラムダが入ってくる。

 

「君にやってもらいたいことがある。マトのいるホウエン地方に赴き、彼を裏側から援護してもらいたい」

 

「そりゃ別に構いませんが……あのクソガキにそんな援護なんて必要ですかね?」

 

「確かに彼は実力だけならこの私をも軽く超えるほどにはある……彼自身が私のことを崇拝するあまり抑えてしまっているようだが。まぁ、それはいい。ラムダ、キミも知っての通り彼は――マトは天然だ」

 

 神妙な顔をしながら言い出した言葉にラムダは一瞬硬直した。

 

「あー……」

 

 そして思い出した。否思い出してしまった。

 

 マトの天然さを。その誰よりも遥か上へ行く最強のトレーナーが、実は天然であることを。

 

「彼は確かに、実力『だけ』なら私を超える……だが、彼のその天然さが時にその実力を邪魔してしまう。君には彼がホウエン地方での任務を完了しカントー地方に帰ってくるまでの間、休暇期間として扱い監視してもらいたい……主に天然でやらかさないようにな」

 

「かしこまりました!!」

 

 いつもならいやらしい笑みを浮かべることの多いラムダが、それはそれは非常に珍しいことに真面目な顔をしながら頷き急いで部屋をあとにした。おそらくホウエン地方に向かうための準備に向かったのだろう。

 

 一人だけとなった部屋の中でサカキはため息を漏らした。

 

(マトの連れてくるロケット団の新入りは大体女が多い……ホウエン地方で天然を発揮してしまわないかが気になるところだ。アレでかなり鈍感だからなぁ……)

 

 今からでも胃が痛くなってきた。サカキは誰もいないのにも関わらずキョロキョロと周りを確認し本当に誰もいないのがわかると、机の引き出しから胃薬を取り出した。

 

 どうやら、相当やられているようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜ホウエン地方・カイナシティ〜〜

 

 

 

 新たにポチエナを手持ちに加えたオレは流石にこのパーティーじゃ目立つなと思い、ポチエナを除きニドキング以外の残りをパソコンを使ってアジトに送り込んだ。代わりとしてまだ使ってないオレのモンスターボールを80個程送ってもらい、なぜかわからないがとある猫型ロボットのポケット並に四次元空間ができてしまっているカバンの中に詰め込む。

 

 アレから迷惑をかけたお詫びとしてカガリにご飯を奢った。彼女は「気にしなくていい」と言ってくれたが、こればかりは譲れなかった。というかオレがカガリと一緒にご飯を食べたかった。その事を遠まわし(オレ自身はその時遠まわしに言ってることに気づいていない)に言うとカガリの頬が赤く染まったことが謎だったな。

 

 その後カガリから「ついてきて欲しいところがある」と言われ、彼女に手を引かれながら着いていく。まぁ、どこに連れて行こうとしてるのかは大体予想できるけどね。

 

「ここ……」

 

 そこは予想していた通りマグマ団のアジトだった。ゲームと違う点があるとすれば建物だったことだろうか。なにかの研究所みたいな建物は、ところどころ赤くちゃんと見ないとわからないがマグマ団のイニシャルである「M」の字があった。

 

 それもカイナシティから少し離れた場所に。なんでここにアジト建てたし。

 

 カガリに着いていくこと数分。その間に中にいるおそらく下っ端であろう人たちからかなりジロジロと見られていたのがわかった。まぁそうだろうな。カガリはマグマ団でも人気のある幹部だ。見た目良し性格……まぁうん、よしの彼女と一緒にいるオレのことが気に食わないんだろう。

 

「リーダーマツブサ、強い人……見つけてきた」

 

「ほう……入りたまえ」

 

 少し大きめな扉の前でカガリが声をかけると中からそんな声が。カガリが扉を開けて入っていくためオレもついていく。

 

「ふむ……カガリの言う強い人とは君のことか」

 

 机の上にある大量の資料を一つ一つ丁寧に処理しながらチラリとこちらに視線を向けるマツブサ。まるでオレの価値を確かめているかのように見ている。

 

 赤い髪にキーストーンの埋め込まれたメガネ……カガリを見たときからわかっていたが、やはりこの世界はメガシンカのある世界だったか。

 

 いやオレの活動範囲がほぼカントー地方とジョウト地方だったから気付けなかったのかもしれない。

 

「なるほど……相当場を踏んでいると見る。実力も申し分ないだろう。だが、タダで入れてやるわけにも行かぬ」

 

 そう言うとマツブサは処理した資料を置き立ち上がる。

 

「訓練場に着たまえ。そこで詳しい実力を図るとしよう。場所はまだわからないだろうし、カガリよ、彼を案内してやってくれ」

 

「わかった……」

 

 実力か……どうやって図るのかはわからないがやるからには本気でやるとしようか。

 

 

 




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