俺はオレとなって悪の道を突き進む   作:プロトタイプ・ゼロ

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どうも皆さん。お久しぶりですね。


第二話「グリーンの決意・マグマ団」

 

 

 

 

 

 

 かつてトキワジムのジムリーダーを努めていたサカキが行方不明となったことで、オレはトキワジムのジムリーダーに就任した。と言っても実力ならレッドのほうが上なんだが、その本人が「面倒」の一言でチャンピオン・ワタルからの誘いを一蹴しやがったことで、その次に強いオレに話がやってきた。

 

 正直な話そこまで興味はなかった。オレはレッドと違い直感的にポケモンの全力を出せるような才能なんてないし、リーフのようになぜか様々なポケモンに好かれやすいわけでもねぇ。そして、マト。アイツのようにあらゆるポケモンに対する知識や戦術があるわけでもない。

 

 結局のところ、オレにあったのは地道な努力だけだった。いつもはオレのほうが一歩先を行っていたと思っていたのに、瞬く間にレッドに追いつかれた。

 

 爺さんからゼニガメを貰ってカメックスに進化してレッドよりも先にチャンピオンになったのにもかかわらず、最後はレッドのリザードンとオレのカメックスが一騎打ちし、そして負けた。かなり悔しかった。負けたことなんていくらでもある。その度に戦い方を変えて勝ってきた。なのに、レッドにはもう勝てる未来が見えなくなっちまった。

 

 リーフはポケモントレーナーではあるが、レッドの無口とは違い気が弱い。だがその好かれやすい体質により、彼女の手持ちが常に最大限の力を発揮してくる。本当に意味わかんねぇ。

 

 オレが負けてレッドがチャンピオンになったあと、すぐにマトが現れた。

 

「まだ席は……貰えるのかな?」

 

 今までで見たこともない不敵な笑みを浮かべて、モンスターボールを構えるマトは何処か危なげな雰囲気しかなかった。

 

 レッドとマトが対決するのを横でしか見れなかった。マトは当時トキワジムのジムリーダーだったサカキから貰ったらしいニドランの最終進化系であるニドキングを出し、レッドはいつもどおりピカチュウを先行として選んだ。

 

 勝負は一瞬だった。ピカチュウの放った電光石火をニドキングが耐えきりそして捕まえたあと、地面に思いっきり叩きつけた。ニドキングはじめんタイプだから電気技が無効化される。それはレッドも知ってるからか外れやすい鋼技のアイアンテールじゃなくノーマル技の電光石火を選んだ。それが悪手だった。

 

 ピカチュウは特殊技を放つ方が強い。だから物理技である電光石火では防御面に優れているニドキングにはそこまで効果はない。それだったらまだアイアンテールのほうがいいかもしれないが、アイアンテールは何かと外れやすい傾向があるためここぞというときしかレッドも使わない。

 

 たった一撃。その一撃でピカチュウはダウンした。これには基本的に無表情なレッドも驚愕を隠せなかったみたいで、慌てた様子でピカチュウのそばによった。

 

 対するマトはその結果がまるで当たり前かのように笑っていた。普段なら浮かべることさえないであろう邪悪な笑みだった。思わずゾッとした。

 

「どうしたレッド? 次を出しなよ?」

 

 マトはそういうもののレッドはポケモンを出さない。というかもう出せない。

 

「なんだ、つまらないな」

 

 マトは残念そうに呟くとチャンピオンの座る王座に向かう。実質マトの勝利と言っても過言ではないからな。

 

 もしかしたらこのときからマトは壊れていたのかもしれない。王座に座ったマトが後にロケット団の幹部(本人は未だに下っ端だと言っている)だと知り、オレは驚きのあまり言葉が出なかった。

 

 爺さんから話を聞いた時、隣りにいたリーフだって涙を流してたな。そういや、リーフのやつ、マトのこと好きだったもんな。そりゃ悲しいか。

 

 時々マトは爺さんに相談に乗ってもらっていたらしい。どうしてもオレたちに勝てないこと、ポケモンとうまく連携できないこと、様々なことを聞いた。そして、どれだけアイツの中で闇が広がっていたのかも。

 

「オレは……何をしていたんだ!」

 

 レッドとサカキの真剣勝負のときもオレは見ているだけしかできなかった。

 

 何もできなかった。サカキが行方不明になってトキワジムに就任してからも、どうしてもジムリーダーとして活動するのもできなくて、そんな時にヤマブキの地下に行ってみたら本当にただの偶然だが、マトと再開した。

 

 赤いRが背中に書かれた真っ黒のレザージャケットを着たマトがいた。いつもの帽子を深く被り髪の毛も目元が見えないぐらい長くなっていた。

 

「マト……」

 

「グリーン、か。久しぶりだね」

 

 アイツは昔と変わらない笑みを浮かべてオレを見る。

 

「君がこんな場所にいるなんて珍しいね」

 

「お互い様だろ」

 

 懐かしい会話。マトがいなくなってまだ数日なのに何年も会ってなかったかのように会話が進んだ。

 

「……ロケット団に入ってたんだな」

 

「うん、そうだよ。素晴らしいところだよロケット団は。サカキ様のところにいればオレはどこまでも強くなれる。サカキ様のおかげなんだよ、オレがここまで強くなれたのは」

 

「狂ってやがる……アイツは……アイツらは!! 人のポケモンを盗んで、殺したりする悪党だろうがっ!!」

 

 思わず怒鳴り散らしてしまった。こんなマトはもう見たくなかった。だから、

 

「オレが止めてやるっ!! お前の目を覚まさせてやるっ!!」

 

「わかってないな……君じゃオレには勝てないよ」

 

 お互いモンスターボールを取り出して勝負を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……はっ! はぁはぁ……クソ! はぁ、はぁ……ここは?」

 

 気がつけばオレはどこかの部屋で寝ていた。

 

 桃色のどこか甘い匂いがする。一体誰の部屋なんだ?

 

「私の部屋よ、なにか文句でも?」

 

「あ? あーナツメさん?」

 

 椅子に座って本でも読んでいたのか相変わらず睨みつけているかのような目をちらっと向けてくる。

 

「エスパーポケモン達が騒がしいからなにかあったのか確認しに来たら、アンタがボロボロになって倒れてるんだもの。流石の私も驚いたわ」

 

 ナツメさんが読んでいた本を閉じ、ベッドに腰掛けるとオレの額に手を当てた。

 

「もう熱はないみたいね。アンタ、もう3日も寝ていたのよ?」

 

「3日だと!? ぐ、ぐうぅ……っ!!」

 

「ほら、急に起き上がらないの。体力は回復したみたいだけど傷は治ってないんだから」

 

 痛みのあまり顔をしかめてまたベッドに横になる。くそ……情けない。

 

「一体何があったのよ? アンタがボロボロになるなんて早々ないわよね?」

 

「そうかもな……マトの野郎、全く容赦がなかった。こりゃあ爺さんの言っていたロケット団幹部ってのも本当かもしれねぇ」

 

「マトに会ったの?」

 

「あぁ、ヤマブキの地下でな」

 

 次に会ったとき、絶対にお前を止めてやるからなマトッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜ホウエン地方・マグマ団アジト〜〜

 

 

 マグマ団アジトの奥に作られた訓練場。そこでオレとマツブサは対峙していた。

 

「ルールは一対一。アイテムの使用、持ち物は無しだ。それと念のため言っておくがメガシンカもなしだ。君が私に勝てれば入団を認めよう」

 

 マツブサはモンスターボールからバグーダを取り出した。さてさてレベルは……

 

 バグーダ レベル68

 

 ガチじゃねぇか!! テメェ、これでどうやって勝てっていうんだゴラァ!!

 

 いや勝てるけれど!! ニドキングなら余裕だけれども!!

 

 普通ならこんなの勝てねぇぞ!?

 

 俺は無言でモンスターボールを取り出し放り投げる。

 

 ボールから現れ重々しい音とともに降り立つ相棒。バグーダを見た瞬間、敵であることを認識したのかいつものように咆哮をあげる。

 

「ふむ、ニドキングか……随分と珍しいな」

 

「そりゃあこっちだと早々見ないだろうしな」

 

「ククッ……楽しいバトルになりそうだ」

 

 なお、バトルは一瞬で終わった。うん、言いたいことはわかる。オレのニドキングが強すぎたんだ。ごめん。

 

「まさか、これほどの実力者とは……君はどこから来たのかね?」

 

「……カントー地方だ」

 

「カントー地方……あぁ、あの噂に聞く魔境か」

 

 いやまぁ……うん。間違っちゃいないけどさ。多分カントーよりも魔境な地方なんていくらでもあるよ? 多分だけど。

 

 マツブサはズレ落ちた眼鏡をもとに戻し、手を後ろで組むと何事もなかったかのようにこっちに歩いてくる。

 

「おめでとう。君は試練に打ち勝ち新たなるマグマ団の一員となった」

 

「……どうも」

 

 オレこいつ苦手かも。いきなり勝たせないように高レベル出してくる試験官がどこにいんだよ。あ、ここか。

 

「しばらくはカガリと共に任務につきたまえ。期待しているぞ」

 

 ギリギリと肩に置いた手に力を加えながらニッコリ笑うマツブサ。そんなに嫌ならホムラとかいただろうに。アイツの顔見た瞬間殴るかもしれないけど。

 

「……おめでとう。リーダーマツブサが、自分からテストするの、初めてかも」

 

 マジで言ってます? やっぱり勝たせる気、なかっただろ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜〜シロガネ山・頂上〜〜

 

 

 ビュウゥゥと風が舞う。それに伴いあられとともに雪が落ちる。

 

 シロガネ山。それはカントー地方とジョウト地方の境目に存在する、最も強いポケモン達がいる修行の場だ。セキエイリーグのチャンピオンに認められたトレーナーのみが、さらなる強さを求めてやってくる。

 

 だが、それは……シロガネ山の麓辺りまでの話であり、それが頂上となれば話は別だ。シロガネ山は頂上に近づけば近づくほどポケモンの強さが大きくなる。言わばほとんどのトレーナーは麓付近にいるポケモンを相手にして心が折れているのだ。

 

 そんな魔境と呼ばれるカントー地方でも更に魔境と呼ぶのにふさわしいシロガネ山の頂上に、一人の少年が佇んでいる。

 

「……」

 

 少年はマイナスを超えた気温の世界で、半袖という自殺志願者なのかと疑わしくなるような格好をしている。

 

「よぅ、レッド!」

 

 レッド……そう呼ばれた少年は、後ろから声をかけてきた存在に振り向く。

 

「……グリーン」

 

「相変わらず寒そうな格好だな」

 

「……そう、かな」

 

 グリーンの本気の問いかけに首を傾げる。それを見てグリーンの頬が引き攣った。マジか、と。

 

「本当ならもっと話したいこともあったが、それよりも大事な話がある」

 

「……大事な話?」

 

「マトについて、だ」

 

 その瞬間、レッドの雰囲気が変わった。先程までのただの少年から放たれているとは思えない、強者としての覇気。

 

「わかった。小屋に行こうか」

 

 レッドは動いたのを見て、グリーンもその場を引き返した。シロガネ山の麓にある小屋を目指して。

 

 

 

 

 




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