その後特別棟にある調理室に行き食事をとる
暦は食後一人で調理室に残りティータイム
俺は紅茶を飲み干し片づけた後図書館に戻る。しかし、先に戻っていたはずの高橋がトイレから出てきた。手にはを水の入ったペットボトル握って顔は少し白かった。
「大丈夫か高橋?気分が悪いのか?」
俺は高橋の背中をさすりながら聞いた。
「うん…少し吐いちゃっただけだよ…」
それを聞いて俺はさっき食べたのを思い出す。食べたのはサラダ、パン、ステーキ。それで俺は今更ながら気づく。人の死体とかを見てまだ二日もたっていないのに目に付いたというだけで肉を選んでいた。完全にミスチョイスだ。そして俺自身それを思うと少し吐き気がきた。しかし、なんとか抑え込む。ここで吐くともう肉が食べれなくなりそうだし精神的に潰されてしまいそうだ。
「本田君大丈夫?汗すごいよ?」
高橋は心配そうに見ている。まぁ、先に俺が心配していたのにいきなり汗が異常に出ていたら心配されるか…
「あぁ、もらいゲロしそうだった。もう大丈夫だ。」
俺は高橋に強がりながらそう言った。本当は強がる必要はないと思うけどなぜかこいつの前ではあまり弱さを見せたくないと思った。そして二人で図書館に戻った。
「あら、高橋さんに暦さんお戻りですか。私のいないところでお二人は何をしていたんですか~?」
「なにめっちゃニヤつきながら聞いてんだよ!なにもしてないよ!変な妄想してんじゃね!」
「いえ、私は腐ってないので変な妄想なんかしてませんよ~自意識過剰ですね暦さんは~」
「あっそ…」
まったく、未由は本当に何考えてるかわからないから相手するのは疲れる。高橋もどう反応していいのかわからなく苦笑している。とりあえず俺は近くにある本棚から本を取り出し読み始める。それを見て未由は手元にあった本を読みはじめ高橋も本を探し始めた。
それから時間は刻一刻と経って行った。暦と未由は自分の座る机に何冊も本を積み不動の構え。高橋は何冊か本を持ってきて読んだりたまに立って図書館内を歩き回っている。そして6時間は経った。時刻は4時。
俺は4冊目の本を読み終わりすこし伸びをして時計を見た。時間は4時だった。けど、今は確か朝の4時だ。未だに窓のシャッターが下ろされているということはまだ全員出たわけではないということだろう。それとも今後ずっと下げているのか…今はまだアキに聞かなくてもいいだろう。その後未由のほうを見るとまだ本を読んでいて、高橋はいつの間にか持っている乾パンを食べていた。それを見て俺はお腹が空いてきた。
「俺、調理室で何か食べようと思うけど行くか?」
とりあえず二人に聞いてみる。未由は待っていましたといわんばかりに本を閉じ立ち上がった。高橋は今現在乾パン食べているが付いて来るようだ。図書館の扉を開け短い渡り廊下を通りHR棟のほうに行く。そして特別等と繋がっている大きい渡り廊下に行こうとした時、一瞬気付かなかったがHR棟の一番奥に人影、四人目の生存者と思われる人影があった。遠すぎて誰かはわからない。まぁ、見ても分からないけど。俺たち三人は話し合い近づくことにした。見た感じ、体格は高校1年生にしてはでかく男ということは分かった。だが、右手には何かを引きずっている。そいつも少しずつこちらに向かってきている。しかし、近づいていくことによってやっとわかってくることがある。まず、相手はなんと先生だった。名前はわからないけど。そして、先生の顔はなにも知らない俺がわかるぐらいに頬は痩せこけていて瞳に光がない。口からは涎が滴っている。そして引きずっているのは血で濡れた刀だった。ここまで来てやっと気付いた明確な狂気と殺気。俺がそれを感じたとき初めて気づいた。
生存者全員が未由たちと同じ味方と言うわけではない。いや、むしろ敵であることに。
先生は既に刀を構えこちらに突っ込んできた。そして俺の左隣にいた高橋の左腕を切り裂いてきた。更に高橋の次に俺を斬りかかろうとしていたから直ぐに高橋を引き寄せ後ろに引いた。
「よおガキども!生きてたんだな。先生はとても嬉しいよ。」
先生は粘着質な声でそう言った。聞く限り微塵も嬉しくないくせに。斬られた高橋はうめき声をあげている。傷を見たがどうやら腕、それも動脈の近くを斬られたようだ。傷口から血が溢れ出てくる。
「おうおうおう!無様だなぁ!同じガキ殺して先行殺して出てきたのにいつまでも仲良しこよしのおままごとか。生ぬるいなぁ。」
俺は心のどこかで勝手にこう考えていた。以前から知っている未由、戦意のない高橋、二人を見て教室から出てきた人と『一緒に』と考えていた。けど、誰も『教室から出たら終わり』とは言ってない。そう、今は殺し合いの最中。けど、相手から見れば甘すぎるけど、俺は殺し合いの最中でも一緒に行動してくれる未由と高橋は守りたい。
「未由、高橋の治療を頼む。」
未由はなにも言わずに首を縦に振り高橋を図書館の方に連れて行った。
「カッコいいね~!なに、仲間を守るナイト様にでもなったつもりかな本田暦君。確か、君は他のガキと違って静かな読書家で成績もそれなりに高い。田中のじじいも君のことをたまに話してたりするよ。」
一瞬、田中先生の名前が出たとき背中に鳥肌がたった。
「あんなガキ思いのじじいはこの学校にはいねーからなぁ。ほとんどの先行がなにがしらの問題点があったり既に問題起こしているようなやつばっかだから周りから浮いていたぜ。滑稽だったよ!」
俺は田中先生がばかにされていることに怒りを覚えた。
「で~も~、君はそんな心優しい田中のじじいを殺して出てきた。まるで飼い犬に手じゃなくて首を噛み千切られるようにガキに殺されてやんの!愉快だぜ!」
先生はその後高笑いし始めた。それが口火となり俺は我慢できなくなり目の前の存在に刃と殺意を向ける。
「おしゃべりが過ぎるぞデブ。」
だが、先生は何一つ自分のテンションを変えなかった。
「ん~。今先生のことをデブて言ったのか?あっちゃ~、最近運動してなかったからなぁ。」
相手は挑発をあっさり受け入れた。ふざけた奴だ。俺は相手のことなど考えずに怒りに身を任せナイフで攻撃を始める。しかし、相手は俺のナイフを腕を組ながら余裕を持って約1mぐらいで避けている。しかもその間、自分の腹のことをぶつぶつぼやいていた。少しずつ図書館から離れ反対側の壁の近くになった時、明らかに周りの空気が変わってきた。
「じゃぁ、ちょ~と運動しないとな」
その言葉は明らかにさっきまでのふざけた粘着質な声と違い全ての殺意が乗った言葉。そして言葉以上の凶器の刀を横に振りかざしてきた。しかも片手で。刀はアニメや漫画ではほとんどが片手で扱ったり二刀流なんかしていることが多い。でも、刀は鍛えられた鋼鉄の塊だから普通だったらそんな芸当は不可能。少なくとも、俺では無理だ。だが、目の前の相手は刀をナイフと同じ感覚で横に振っている。つまり、尋常じゃないほどの筋力があると言える。立場は一気に逆転。いや、まず逆転とかなにもない。最初から相手の独壇場。俺は相手から見ればただのひ弱な道化師。目の前で虚しくナイフをでたらめに振っていただけだ。対して、相手はリーチ、威力、速さが全て上。直撃すれば即死。ナイフで防ぐものならナイフは粉々に砕かれる。銃に至っては射たせてくれないだろう。
「はは!どーだどーだ!先生は強いだろ。ま、この学校だと俺が一番強いからな。確か、白々木の担任の貝畑はただのせこいことしかできない親の脛をかじるケツの青いガキだったなあ。高橋の担任の灰島先生。あの人は良い女だ。凛々しく強い眼差し。何にも屈しない精神。いやー、一回は抱いてみたかったぜぇ。」
相手は自分が有利を確信しているか、少し動きを遅くして今は関係ない未由と高橋の担任の話をし始めた。
「貝畑は前はそれなり良い学校の先行やっていたけど問題起こしてニートになったし、灰島先生はガキのイタズラに呆れてやめちまったらしいんだよな。まぁ、かく言う俺はちょっと生徒に愛情を注ぎすぎちまっただけなのこのザマだ。今回も慌てる皆をなだねようとしたら出れたしな。」
なだねる・・・愛情を注ぐ・・・コイツにとって殺したり暴力することが愛情なのかよ・・・!
「てめぇにとって暴力が愛情かよ!生徒に手を出すなんてあんた狂ってるぜ。」
「ん~、狂ってる?俺からすればお前らの方が狂ってると思うぜ?だって極限状態の殺し合いの最中、のんきに危険とも思わずに調理室でごはん食ったりよ。普通だったら教室の乾パンと水を選ぶぜ?」
俺はそれを聞いて自分でもわかっていた。リスクの少ない自分の教室で調達できるならそっちを選ぶ。けど、未由が…いや、それは言い訳だ。実際は半分無意識に自分の教室に行こうとしなかった。
「あ、ごっめーん、そりゃ入れないよな。なんせ、教室は
俺が考えていたことを言葉にされ怒り、それと胸の辺りに何かがグサリと刺さるような痛みが走り顔をゆがめる。相手はその一瞬の気付き口が歪んだ。俺もそのことに気付きすぐに刀を回避した。もし気付かなかったら今頃死んでいた。
「お前もその死体の仲間にしてやるぜ。受け取れよ、先生の『思いやり』をよ!」
相手はまた横に刀を振り迫ってきた。俺は後ろに避けながらさっき聞いたことを心で整理落ち着こうとしている。しかし、避けている途中、いきなり何かに滑ってしまった。それはぬめり気のある赤い液体。そう、これは高橋の血だ。最悪なことに俺はそれですべりバランスを崩して床に倒れかける。相手は今まで見たこと無いほどの悪意、殺意、歓喜などを含んだ邪悪な笑顔を浮かべて、
「じゃあな!」
刀を俺めがけ振り下ろした。俺は体重を無理やり横ずらし転がるように回避をする。その時ほんの少しだけ服の袖が切られる。相手の刀はとんでもない威力だったようで少し床に食い込んでいる。その隙に切られた袖をちぎりシューズの裏をふき取る。相手は刀を抜くこうとしているから少しでも距離をとろうとする。だが、その瞬間ナイフが飛んできた。そして飛んできたナイフは俺の後ろの図書館のドアに当たり床に落ちる。
「おいおい、敵前逃亡かいナイト様。恥ずかしくないのかよ。」
投げられたナイフに一瞬気が行ってしまい相手に時間を与えてしまった。刀を抜きまたこちらに向ける。
「あいにく、そんな言葉にはつれねぇよ・・・」
「へ~、でも、もう逃げ場は無いんじゃないかな?護るべき民に力を借りるの?真っ先に逃げるべき女とけが人に!!」
ぐ・・・もはや後数mで図書館の出入り口。もう避け続けることは不可能。どうする・・・
「そういえば、田中のじじぃについてまだ言ってなかったな。」
・・・!なぜこのタイミングで田中先生を話題に上げてくる。『普通なら』殺しにかかるのに・・・
「じじぃはなぁ、自分のいた学校のガキの身代わりになったんだぜ。なんの身代わりだと思う?それはな、人殺しの身代わりになったんだよ!」
・・・!俺はそれを聞いて思考が一瞬止まった。人殺しの身代わり。いや、実際田中先生が殺したわけじゃない。落ち着くんだ。
「ふふふ、じじぃのことを言うとすぐに動きが止まって面白いなぁ!どれ!もっと話してやろうか!」
まるでおもちゃで遊ぶように俺の心をもてあそびやがって・・・だが、動きが止まることが分かっているのに何故まだ殺さない。強者ゆえの余裕なのか。いや、待てよ。もしかしたら違うんじゃないのか。
(まず、相手は「極限状態の殺し合い」と自分で言っている。なら、殺されるリスクを減らすために自分が有利なときにもう殺しにかかってもいいはず。少なくとも俺は既に3回以上は殺されてもおかしくなかった状況にいた。弱者をいたぶる目的にしてもこっちは銃を持っている。あっちは見た限り刀とナイフだけだ。服のふくらみ等を隅々まで見ていたわけじゃないから断定は出来ないが俺が見た限り銃を持っていなそうだ。俺が全力で走って距離を取って銃を連射したらどうするつもりだったのだろうか。だが、今は逃げる距離が無いから銃は撃たせてくれないと考えるしかない。この状況になることを確信しているかのようだ)
「オラオラ!足が止まっているぞ!俺をもっと楽しませてくれよ!」
相手はこちらが止まったりすると刀を振ってくる。しかし、最初に比べて振る頻度が減ってきている。まるで追い込むよう。だが、なぜ追い込もうとするのか。それが謎だ。何かのこだわりを持っているならそれを逆手にとればもしかしたら時間が稼げるか?今相手は俺が逃げて必死になることを楽しんでいると考えるならさっきみたいにナイフで攻撃すればまた余裕で攻撃をかわすはず、だが、相手の気まぐれで殺されるかもしれない。それでも今はやるしかない。最悪腕を掴まれるのを防ぐため刀を持っている右手のほうを狙う。
「・・・!」
気合の掛け声とかは発さず俺はまた相手に切りかかる。
「おぉ、まだ抵抗するか。これは予想以上に楽しめそうだ。」
ビンゴ!相手は俺の攻撃を防いだり腕を掴もうとせず、また1m以上余裕をもって避けている。
(この状況になることを予想済み。これはこだわりもそうだけど、恐らく確実性。完全に自身に対する危険がなくなったときに殺そうとしたのだろう。そして、このナイフの避け方も不自然だ。ナイフのリーチは俺の腕も含めても約70cmぐらいなのに余裕を持って避ける。反撃をしないのならその考えもありなのか・・・それとも別のなにかがあるのか・・・)
床が赤い所まで来た。そこで相手は少し動きが止まった。
「なるほど、さっき転んだのを俺にもやらせようとしていたのか。けど!そんなのバレバレなんだよ!」
さっきと同じでまた刀を振ってきた。たぶん、もう今みたいにまたこちらが攻撃しても下がることは無いだろう。つまり、ここが最後。ドアまで来たら俺は確実に殺される。
(もし、別の何かがあるとしたら・・・先端恐怖症?後、先を読むことに長けていることぐらいか・・・どれもいまいちだな。いや、待てよ。限りなく0、か細く、己の願望しかない理、雀の涙もいいところ。だけど、もしかしたらの可能性・・・極限状態の殺し合いなのに自身のこだわり、安全を確保しての戦闘、何手先も読む洞察力、余裕を持ちながらの回避。さらに、戦闘中に関係ない話。これらにもし、自分の本心を隠すためだとしたら・・・もしかしたら、相手の心の奥深くは「臆病」、自分が殺される未来を恐れているんじゃないか・・・!もし、本当に臆病な本心だとしたら・・・ドアの前のロッカーにあるものが使えるはず・・・)
「・・・さぁて、もう考え事は終わったかな?」
「な!なんで!」
俺は驚きのあまり声が出てしまった。なぜこいつは俺が色々考えていることを・・・まさか、俺が出した結論すらも読まれているのか・・・!
「驚くことは無い。無意味にナイフを向けてきたところから大体察していたよ。あれはただの時間稼ぎ。あわよくば転ばせて逃げるか殺しにかかるかの二択。それでぇ、何か分かったかな?「田中先生の生徒」君?」
あからさまに田中先生について強調してきている。恐らくまた相手のペースに乗せられる。けど、分かっていても田中先生のことを聞くとなぜか反射的に反応してしまう。
「さすがだぜ。人殺しの汚名を持ている田中先生はさぞかし色々な殺し方を教えてくれたんだろうねぇ~」
その言葉で俺の中の何かが完全に止まった。それじゃあ、まるで田中先生が人殺し、自分の生徒を殺したような扱い。
「やめろ・・・よ・・・」
ダメだ・・・どうしても田中先生のことを聞くと止まる。いや、これは予想以上だ。力が入らない。立つのも無理だ・・・
「ふん、なんだ、意外にあっけなく朽ちたか。じじぃのことを少し悪く言ってこんなになるなんて。存外つまらないものだな。だからけつの青いガキはつまらねぇ。まぁ、少し予定は早くなるが、サヨナラのようだな~!」
相手は刀を振り上げた。これは、もう完全に殺される。動こうとしても力が入らない。打開する方法が見当たらない。もう諦めるしかないのか。いや、寧ろ殺されることが分かって頭が空になって冷静になってきた。そして、自然に。本当に意識せずにとある考えが浮かんできた。
(何で俺は田中先生のことで毎回動きを止めているんだ。何でただ田中先生の悪口言われたぐらいで殺されかけているんだ。まず、なんで俺が田中先生のことを考える必要があるんだ。今回だって田中先生の悪口で逆上して危険な目に遭っているし。もう、この世にいない人物について考えるなんて不要ではないか。【自分が殺したくせに】。思い出せ。自分が出てきた理由を。他者を蹴落としてまで生きる理由を・・・)
「死ねぇーーー!」
刀が振り下ろされた。振り上げられたときは全然力が入らなかったのに今は入る。刀を振り下ろされるのをまたギリギリで避ける。似たような展開だと、この後床に刀が刺さって抜けなくなるはず。この隙にドアの前のロッカーまでいければまだ勝算がある。
「クソ!このガキィ!俺をはめたな!」
刀は一回目より深く刺さっているようだ。しかも、あの口ぶりからするとナイフももう無いようだ。思ったとおり隙が出来、一気にロッカーに向かい目的のものを手に入れる。
「ふん!その中の箒とかで俺が止まると思うなよ!」
すぐにまた刀を抜きこちらに突進してきた。相手からするとドアまで追い込むというこだわりはもう達成されているようなものだ。だが、相手はまだもう一つのロッカー、黒幕が追加したロッカーの中身を知らないようだ。そう、俺が取ったのは追加されたロッカーに入っているボトルに入っている消毒用アルコールにバーナー。突陳してきた相手の顔にアルコールを噴きかける。
「ぐわ!な・・・なんだ・・・これ」
流石に屈強の肉体があっても顔になにか液体を噴きかけると動きが止まる。
「なんだ。知らなかったのか。まぁ、あんたが知る必要は無いけどな」
「ンだとこのくそガキィ!」
相手は目を充血させながら睨みつけてきた。だが、近づかせはしない。空中にアルコールを噴きその後バーナーを一瞬だけ点火する。そうすることでアルコールが燃え一瞬派手に燃え上がる。それで相手は一気に距離をとる。その隙に俺はまたバーナーを点火しナイフを熱する。
「くそ!たかが炎で勝ったつもりでいるんじゃねぇぞ!!」
もはや狂った勢いでこちらに突進してきた。だが、一つ違和感を感じる。そう、相手の動きが遅く見える。相手の動きは多分変わらないはずなのに。だが、今はその理由を考えるのはあとだ。相手は怒り狂っているから攻撃が単調になっている。俺は無防備になっている横腹に熱したナイフを突き刺す。
「---!ぐわわぁ!」
相手は刺されたところを手で押さえ一気に距離をとり始める。だが、俺は攻撃の手を緩めない。一気にナイフを刺すように攻撃を繰り返す。もはや相手は刺されたことによってパニックになっていて避けることが精一杯のようだ。しかも自分の凶器の刀を落としていることも気付かないほどにだ。もはやさっきまで考えていた「臆病」というのは意味が無い。そもそも、相手だけでなく人間はもともと全員が臆病なのだ。顔に液体をかけるれば一瞬ひるむし、炎に対して反射的に引く。言うなれば野生の本能。そして相手はパニックになっていても、恐怖の対象である熱したナイフ、「
「嘘だろ・・・待って、待ってくれぇ!タンマ!タンマ!」
相手は転んで情けなく手を前で交差しながら叫んだ。
「・・・んなのしるか。テメェが言ったじゃない。『極限状態の殺し合い』、てな」
俺はナイフを振り上げる。勿論、相手は俺より烈刃を見ているのは確認し、思い切り見ていた。なら、ナイフはそのまま振り下ろさず放物線を描くように前に投げる。相手はそのままナイフを目で追っている。これを恐らく今までの攻防の中でも一番大きい隙、左側に持っていた銃をベルトから出し相手に向ける。俺が銃を向けているときに相手はナイフが投げられたのを認識して急いでこちらを向きなおす。だが、目の前には銃。
「やだ!撃つな!撃たないでくださいお願いします!!」
充血した目からボロボロ涙を流しながら、しかもさっきまで格下と思っていた相手に対して敬語で命乞い。マンガやラノベとかで見たことはいくらがあったが。なるほど、醜いな。
「・・・」
俺はただ無言でトリガーを引いた。廊下中に銃声が轟いた。ただ頭を狙い撃つなら楽だ。だが、俺たちはコイツほどの情報は持ってない。ただ殺すよりかは情報を引き出しておきたい。だから撃つ瞬間、狙いを相手から大きくそらした。俺の本当の狙いは「大きな音」。それも銃声なら相手は打たれたと錯覚し、気絶すると思ったからだ。もし、気絶しなかった場合はそれこそ頭を打ち抜くしかなかった。とりあえず、思惑通り気絶して俺は一気に力が抜ける。
「暦さん!」
俺が廊下に座り込んだら図書館から未由が飛んで来た。ところどころ制服に高橋の血がついている。
「高橋はどうだ?」
「とりあえずの止血は出来ました。意外に見た目ほど出血は少ないので命に別状は無いと思います。」
「そうか、よかった。」
俺は安堵のため息を吐いていると未由は近くの刀を拾って倒れてる先生をつんつん突いている。
「それで、これ死んでるんですか?」
「いや、気絶してるだけだ。こいつの知ってること全部吐かせる予定だ。だからどっかに縛り付けておかないと。」
ひとまず、先生を縛り付けるため俺たちは図書館に戻り、運ぶ用の台車とガムテープ(強力)を持って先生を台車に乗せ、図書館と反対側の特別棟にある「社会準備室」という大きな地図しか置いてない薄暗い部屋に向かう。その間先生が起きるのではないかとはらはらしていたがそんな事は無かった。準備室に鍵はかかってなく、スムーズにことが運んでいく。俺はそのことを少し恐く感じたが残りは一人、今は未由もいるから襲われても数で勝てる。準備室の中は本当に地図だけ、後は机とイスが一組ぐらいしかなく、どれも埃を被っている。
「うわー、埃凄いですね~。まぁ、アレにはお似合いですか♪」
未由の毒舌を聞きながら先生を何とか椅子に座らせてガムテープでぐるぐる巻きに、指一本も動かせないように巻く。不要だと思うが、顔も口以外を除いてガムテを張っていく。未由がね。
「とりあえず、こんな感じですかね?」
未由は顔に張ってあるガムテに落書きしながら聞いてきた。
「そうだな。まぁ、半日に一回ぐらいきて情報を聞くか。とりあえず、図書館に戻るか。」
今迄で一番疲れた。戻ったらまた寝そうだ。俺が運ぶ為に使った台車の取っ手を掴み押そうとした。だが、俺が取っ手を掴む前に既に未由が台車の上に正座で乗っていた。
「・・・押さねーからな」
「え~」
俺は未由を無視して図書館に帰ろうとしたら足を掴まれた。しかも、めっちゃ笑顔。
「まぁまぁ」
「なにが『まぁまぁ』だ!たく、しょうがねーな」
結局俺は未由の乗った台車を押すことになった。あれ、そういえば、ご飯、食べてなくね?
お久しぶりの20話目です。19話目投稿から一ヶ月以上経ってしまって申し訳ないです。色々、本当に色々あったのです。楽しいことはなく、苦しいことばかりでした。
とりあえず、20話目というきりが良い話数なので今までで一番多い話数になっております。恐らく今後もたまに今回みたいに多い文字数になると思います。以前みたいに短いほうがいいのかわからないですが、今回みたいに私自身が本気を出した回は今後こうなります。
この回は19話目書いているときから「よっしゃ!この回はめっちゃ書くぞ」と思ったので本当にながいです。1万文字近くあります。まぁ、そのぶん読み難くなっているかもしれないですがねw
内容のほうは先生と暦君の一騎打ちの戦いという感じで書きました。廊下という狭い空間で、どちらも攻めと護りを交互にという感じで展開しています。
暦君は本での知識は色々ありますが実戦はてんで素人であったり高校一年生というまだ若干未熟さを残したりと個人的にはそこらへんを出せたかなとは思っています。暦君が田中先生に対する気持ちは少しくどいかもしれませんがねw
それと、活動報告のほうにも書きましたが、11、12話目のほうを少し手直しをしました。よかったら何処を手直したかを見てみてください
あと、8月10日でブラスクが一周年を迎えます!以上です
まぁ、更新は相変わらずだし最近精神的に欝だったりしてモチベーション下がってきてしまっていますが、そんな私と作品を今後もよろしくお願いします!!
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