血塗りの監獄 -Bloody School-   作:蟲之字

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21話目「無意識」

 俺と未由は図書館に戻った。図書館には先生の襲撃で負傷していた高橋が眠っていた。傷は意外に浅かったようで命に別状はないって未由が言ってたな。けど、しばらくは起きないだろう。

 「暦さん。取りあえずご飯はどうするんですか?」

 そうそう、一応飯食べるために調理室行こうとしたのに襲われて食べてないんだよな。戦闘自体は30分ぐらいしか行ってないけど体も精神も疲れているから正直寝たい。けどお腹も空いてる。

 「未由さん、何かパン持ってきてくれたりしない?俺さっきので疲れた。」

 「私が素直に一人で行くと思いますか?」

 うわー、知ってたよ。未由さんがそんなことしてくれないと知ってたよ。でもこうもすがすがしいのもどうかと思うよ。しかもスゲーさわやかスマイル。

 「でも、あと一人なんですよね?なら、調理室で食べても大丈夫じゃないですか?」

 確かにそれは一理ある。残りの一人が襲い掛かってきてもあの先生より強い可能性は低い。二人いれば対処はできる。だが、あくまで先生だったらだ。生徒の場合、後ろから銃で撃たれて気づく前に死んでいました。なんてこともあり得る。出来れぱ乾パンが置いてある教室のほうに言った方がリスクも低い。けど、一番危ないのは動きが取れない状況になることだ。正直、今、自分の教室に入るとどうなるか自分でもわからない。それだけは避けたい。

 「確か、俺、未由、高橋で、B、C、D組が確定している。そして、あの先生は恐らくA組。だから自然と残りはE組ということがわかる。なら、E組のドアが開いているかどうかで中にいるか外にいるかわかるんじゃないか。」

 これは結局は逃げだ。自分の教室に行かない口実。だが、実際は誰もいないことがわかれば安全ということには変わらない。しいて言うならば、既に外に出ているときは警戒が必要ということと、図書館に入られないようにすることだ。

 「そうですね。じゃ、先にE組を調べた後にご飯ということですね。でも、一応A組を調べたほうが良いんじゃないですか?」

 「いや、もしE組に鍵がかかってたら4つ教室が開いているということだから調べる必要はない。もしE組が開いていたら調べればいい。」

 「それもそうですね。」

 そういうことで、俺と未由は渡り廊下の方のドアに椅子を3個ほど置き、E組のほうに向かう。だが、俺は内心少し怖かった。始めはただ確認するだけだった。けど、もし開いていたらもう一人の敵。なにより、死体の山。高橋を追うときも少し思っていたが、予想外にがきれいだったためすぐにその恐怖心はなくなった。しかし、今回はドアが開いている場合、直視。今、自分でもどの程度なら耐えられるか分からない。自分のクラスの時は以上に慣れていた。けど、今はきっとその時よりはるかに弱い。嘔吐ならともかく、気絶や発狂なんてしたら話にならない。だから、いくら覚悟を決めていても、どうなるかわからない。

 「あれれ?暦さんビビってるんですか?」

 「未由…!」

 未由に話しかけられ思考がとまる。未由は今までとは何も変わらない明るいテンションだ。これから死体の山を見るかもしれないし、ましてやさっきみたいな死闘があるかもしれないのに。

 「未由、わかってるのか。この中は…」

 「知ってますよ。そんなの。私はとっくに準備できてます。」

 未由はもう準備できているようだ。だが、その眼には今までに見たことのない鋭い光を感じられた。例えるなら、獲物を待つ獣だ。

 「未由…お前は怖いと思わないのか?」

 「何に対してですか?死体を見るのはもう何も感じませんよ。というか、自分の組の出お腹いっぱいですよ。」

 それを聞いて俺は言葉に表しずらい感情がでてきた。無理やりあらわすなら、悲しみ。自分と同い年の女の子も、こんな殺し合いの中だとこうも変わってしまうのか。

 「しかし、なんだか殺し合いが始まってから暦さん、変わりましたね。なんというか、弱くなったというか、無駄にやさしくなったり。」

 「俺が変わった?そう思うのか?」

 「はい。以前の暦さんは他人には目もくれず、ゴミでも見るような眼でした。今の暦さんは、なんて言えばいいんでしょうね…少し、他人のことを見るようになったというか、失礼な言い方をすれば人間味を帯びてしまった。というべきですかね。」

 …確かに失礼だな。俺はれっきとした人間だ。

 「それは、非常事態で俺ぐらいしか引っ張て行く人間がいないから…」

 「それも、都合のいい言い訳ですね。暦さんはいつからそんなつまらない人間になったんです?そんな常識を振りかざすような人ではないはずでしたよ。」

未由はその言葉とともに俺をにらんだ。その眼はさっきと変わらない獣の眼。さらに、殺気に似たようなものを多少帯びているのを分かる。

 「未由、今一瞬俺を殺そうか考えた?」

 「いえいえ、私が暦さんのこと殺すわけないじゃないですか!私は暦さんだけは殺したくありません!!」

 未由は驚きながら顔の前で両腕は振って否定した。しかもだけのところを強調して。どうやら無意識で殺気を出していたようだ。それか俺の勘違いか。それにしても、以前の俺か…

 (いつも一人で、集団行動するときはいつも後ろでついていくだけ。グループワークの時も一言も話さず他の人だよりにしたり。殺し合いの時も殺すことを一番に考えていた。しかし、教室を出た今はどうだ、田中先生の話題で心を乱したり、死体の山を見ることにおびえたり。それを考えると俺は変わったというのもしっくりくる。そう、生き残る理由は本のため。そのために俺は他人を殺してきた。さっきの戦いでも他人より自分ということを身に染みてわかった。)

 「ハァ。なんかバカらしくなってきたな…さっさと確認してメシ食って本読むか」

 「あれ、なんか結構あっさり以前の暦さんに戻った?」

 「さぁ、以前の俺とかもうわかんねぇよ。けど、少し考えてみてバカみたいに弱くなったなって自分でも思っただけだ。自分のクラス全員殺したやつが今更他人が殺した死体見るのが怖くなるとかアホらしい。」

 「そうですよね!さっさとご飯食べましょう!」

 「おまえ…さっきの殺意はご飯早く食べたいからイラついてただけかよ…」

 「?何か言いました?」

 「なんでもない」

 ということでE組のドアに手をかけた。正直、さっきまでは怖かった。けど、今もそうかもしれないし、吹っ切れているかもしれないという、自分でもわからない状況だ。ただ、今は考えることより本が読みたかった。だから、さっさと終わらせるためにドアにかけている手に少しずつ力を入れる。しかし、ドアはすぐに何かに引っかかり開くことはなかった。感覚的に椅子や机で塞いでいるのではなく鍵がかかっている感じだ。

 「…どうやら、まだ中にいるんだな」

 「そうですか。なら次はご飯ですよね!」

 「はいはい。行きますよ~」

 E組はまだ教室の中、つまり殺し合いの最中。なら、今だけはまだ安心のようだ。ただ、出てきたらすぐに図書館に来る可能性は高いはずだ。その時に注意すれば大丈夫なはずだ。

 「暦さん!私今日はお魚食べたいです!確か冷蔵庫の中に生魚結構あったのでさばいてください♪」

 「よしわかった。パックのスモークサーモンだな」

 「えー!違いますよ!」

 「あー。すまんすまん。市販のサケフレークだったな」

 「それも違います!」

 そんなさっきの殺伐とした会話から180°変わった食事の話をしていたら調理室についた。冷蔵庫の中には未由が言った通り生魚が何種類かいた。逆に、スモークサーモンはあったがシャケフレークはなかった。何にするか迷っていたらいきなり一番手前にいたサバが動き始めた。まだ死んでいないようだ。

 『やっほー!アキちゃんだよ!お兄さん。それに目を付けるとはお目が高いねぇ~。今日はとれたてのサバがおすすめだよ!以上!』

 いきなりアキが入ってすぐに引っ込んだ。なるほど。サバの鮮度は一気に下がるからこれにするか。

 「あれ、未由米炊いてある?」

 「え、私が炊くはずないじゃないですか」

 「ゴメン、聞いた俺がバカだったわ」

 なら和食は厳しいか?今から炊くにしても早くても30分。一人で全部用意するのは難しいな。

 「未由。早く食べたいなら手伝ってくれ」

 「あ、遅くてもいいですよ♪」

 うわムカつく。なら…

 「あれれ?未由さん魚さばくぐらいはできるよね?」

 「…で、できますよそれぐらい!」

 「ほんとかな?できないから俺に押し付けてるんじゃないのか~?」

 「ち、違うもん!」

 「あ。じゃあ見せて」

 「わかりました!私だってできること見せてあげますよ!」

 計画通り…!よし、その隙に…そうだなサバはトマト煮で、あとパスタかな。俺は冷蔵庫の中を探る。よし、トマトはあった。それに玉ねぎとかいろいろあるからなに入れるか迷うな。

 「ダンッ!ゴト…」

 いきなり未由の方から大きな音がしたから振り返る。大胆にサバの首を切っただけだった。その後腹に包丁を入れ内臓を一気に取り出した。

 「できましたよ!」

 すごくやり切った感を感じる顔でこっちを見てきた。あ、これ以上はもうやってくれそうにないな。せめて三枚おろしにはしてほしかったな~。

 「あー、えらいねー。ありがとなー」

 「なんかが逆にムカつくんですけど。で、いつできるんですか10分?5分?」

 「えーと、20分ぐらい?」

 「うえぇぇ…わかりましたよ待ちますよ!おいしいご飯のために!」

 未由はおとなしく席に座った。俺はトマトと玉ねぎ、それにナスとひよこ豆を下ごしらえして、未由が内臓を出したサバを改めて三枚におろし、大きな骨を取り、軽く塩をまぶす。塩をまぶしたら、下準備した野菜を鍋に入れ、ナツメグ、ブーケガルニ、岩塩(なんかあった)などををいれ火をつける。その間に別の鍋でパスタを茹でる準備、さらに、高橋用の食事も準備する。高橋のは下準備の中にあったひよこ豆を何種類かのハーブと一緒に粗くペースト状にし、食パンの上にのせて焼く。もちろん、これ食後に作る予定だ。今はそんな時間ない。パスタを茹でる用のお湯が沸騰したから塩を一つ網入れて茹でる。さらに、煮物のほうもサバを入れ煮込む。そして灰汁を取りながら煮物を見たり吹きこぼれないようにパスタを見たりして10分経った。二つともいい感じになったから皿を取り出しよそう。

 「なんか予想外のもの出来ましたね」

 「何が出てくると予想してたんだ?」

 「いえ、普通に塩焼きか味噌煮あたりを予想していました」

 「誰かさんが手伝ってくれないからな」

 「酷い人もいたもんですね」

 未由、オマエのことだよ。それから二人とも食べ終わり未由にだめもとで片付けを頼んだが結局俺が全部やることになった。洗物をしているあいだにも高橋の食事を準備をしたりして大変だった。食べ終わってから10分ぐらいで洗い物、高橋の食事、それと俺の紅茶の用意が終わり図書館に戻ることにする。

 「そういえば暦さん。あの豚先生なんで殺さないで拘束したんですか?ロッカーのアルコールとバーナー使えば殺せるんじゃないですか?」

 「んなもん理由があるからに決まってるんだろ。そもそもそれだけで殺すのは難しいぞ。せいぜい服が燃えてその熱で皮膚が焼ける程度で終わり。まぁ、拘束の理由もおいおい説明するよ。今はさっさと戻って本読むぞ」

 「それもそうですね」

 俺と未由は図書館に戻るために廊下を歩く。




少し遅れてしまいましたが21話目です。

前回には2週間以内に出すといいましたが・・・まとめるのに時間かかってしまいました
結果として22話目も同時に書いている状態だったので22話目はできれば、本当に出来れば早めに投稿したいです

それと、前書きのほうも勝手ながらこの回からなしにさせていただきます
理由のほうは私の低能力のせいですね・・・もし前書きやって欲しいという人がいたら言ってくだされば復活させる予定です

ブラスクは8月10日に一周年を向かえて「蟲之字の茶番劇」という短編出しました
なぜか一日でUA150行きました・・・
みんなそっちよりブラスク本編読んでくれぇぇぇぇぇーーーーー!!!!!

おっと失礼。それで茶番劇のほうにも書きましたが一応ここでももう一度言っておきたいことは言っておきます。

まず、この作品で『○○みたいな展開やってください!』とか『○〇なキャラ出してください』とかは一切受け付けていません。というか言われてもできません。
ある程度ですけどもう頭の中とはいえキャラとシナリオは出来ているので無理やり組み込むようなことはやりたくないのです
それと、これは私のおせっかいというか悪い癖というか。まぁ、感想についてです。感想をもらうのは素直に嬉しいのですが、『この展開だったらな・・・』という感想は控えて欲しいです。少なくとも私はそう思います。書き手である人が今後の展開を考えての展開なのでそれは言われたくないとおもいます。こういう感想を書いて人がいつも感想くれる人だったのでどう返せばいいか迷ってしまい直接言えなかったんですが、見知らぬ人だったら怒っていました。
感想書く側の人も少し書き手のほうのことも考えてもらいたいです。まぁ、ちょっとした注意ですので今後気をつけてねって感じです

それで、これも茶番劇のほうに言ったことで、まぁ、何か質問とかあったら活動報告で募集しているので良かったらどうぞ。9月10日まで募集しています

ということで、こんな私と作品を今後もよろしくお願いします
面白いと思ったらお気に入り登録や感想よろしくお願いします
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