血塗りの監獄 -Bloody School-   作:蟲之字

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22話目「黒き私怨、白き悦楽」

 俺と未由が図書館に戻った。高橋は俺が予想して通りまだ寝ていた。高橋のために用意した食事は調理室で保存して起きたらすぐに温めて出せるようにしてある。ついでにあの先生も気絶したままだろう。まぁ、起きてても正直高橋が起きてから質問するから関係ないか。そうだ、質問紙に行く前にこっちもそれなりの情報が必要か。最低限名簿ぐらいは用意しておかないとでたらめな情報を言う可能性があるからな。

 

 そして暦は図書館の貸し出しの時に使うパソコンを使いE組の名簿を印刷した。その後はただ、ひたすらに本を読む。それから、高橋が起きたのは6時間後であった。暦は起きたことに気づきすぐに調理室に行き食事を用意した。未由は、体調を聞いたり包帯を変えたり着替えを持ってきたりしている。その後暦の用意した食事をゆっくり食べ、一息ついた。

 

 高橋は思いのほかダメージはなく食事もゆっくりだが全部食べた。その時苦しそうな顔もしなかったから吐く心配もないはずだ。

 「高橋も起きたことだし、ちょっと先生に挨拶にでも行きますか」

 「え…!及川先生どうしたの?」

 あぁ、そういえば高橋は寝ていたから知らないのか。後、及川っていうんだあの先生。

 「先生は暦さんがいたぶった後に拘束しているんですよ。指一本動かせないぐらいきつくね♪」

 「間違ってないが半分違うぞ。気絶させただけだ」

 「そ、そうなんだ・・・」

 高橋は傷口にそっと手を添えている。その傷をつけた張本人に会うんだ。怖いだろうな。

 「大丈夫ですよ高橋さん。何かあったら磨さんが何とかしてくれますよ。何より相手は動けないんですから♪」

 未由にしては珍しく優しい言葉をかけている。けど、俺は知っている。言葉の最後の方少し笑っていた。その笑顔は何か悪いことを思いついた顔だ。

 「…とりあえず行くぞ。さっさと済ませて本読みたい。」

 「は~い♪」「わかった」

 俺達三人は先生を拘束している社会準備室に向かう。向かう廊下の途中で、未由は一瞬姿を消していた。いや、実際は俺と高橋より少し距離を取って後ろにいた。少し不自然に息が切れていて手をすぐに後ろに隠した。何か隠したのはバレバレだ。何かまでは分からない。けど、悪いことを企んでいることだけは分かっているから、いや、わかっていてもどうせ止めることはできないな。高橋は不思議なそうな顔で未由じゃなく俺の方を見た。俺は知らないという感じの顔をして高橋に伝え高橋は愛想笑いした。そして、社会準備室の前についた。だが、俺だけが話し二人は廊下で静かにしているように指示する。先生は顔も口元以外ぐるぐるにガムテープを巻かれているから視力はない。だから俺一人だけと認識させるためだ。なぜそうするかというと話を円滑に進ませるためだ。正直こいつは人の心を弄ぶことは長けているから複数人いると話が脱線しやすい。こいつに時間を割くのがもったいない。そして、俺は社会準備室の扉を開ける。扉は一応閉めないで開けっ放しにしておく。未由と高橋にも話が聞こえるようにするためだ。そして目的の相手は…どうやら目は覚めているようだ。口で荒々しく呼吸しているのが離れたところでもわかる。刺されたところに痛みを和らげるためだろう。

 「おう、来たかガキども…」

 複数形…多分まだ何人いるかわからないからだと思うが一瞬で見破られたのかと思った。

 「ガキども?ここにいるのは俺だけだぜ」

 「…その声は本田ぁ!!先生にこんなことしてただで済むと思っているのか!!」

 「知らないな。なんせ、こっちの気まぐれであんたは一生このままだからな。」

 「フン!どうせ俺が餓死するの狙っているんだろ。けどあいにく、餓死する前にこんな拘束は解くことはできるぞ。」

 それはただの強がりだ。拘束を解けるといって俺の動揺でも誘っているのだろう。だが、こいつがこの状態になってから俺の中のシナリオは進んでいる。その通りに進められればそれでいい。

 「何重にも重ねてガムテープを巻いているんだ。筋肉を動かすこと自体できないはずだ。そもそも、俺は餓死なんてまず考えていない。」

 「餓死を考えてない?じゃあ何のためのこの拘束だ。」

 「そんなの、取引のためだ」

 「取引だぁ?一丁前に偉そうな口しやがって…!」

 「そっちこそ口には気を付けるんだな。さっき言った通り、こっちの気まぐれで一生このまま。あんたはそれでいいのか?今の立場はこちらの方が上だ」

 「チッ!で、取引の内容は?」

 先生は意外にもすぐに取引についての内容を聞いてきた。ここまで来るのにまたなんか嫌味を言われるかと思っていただけに少し驚いた。

 「あんたが知っているE組の情報だ。それも一番生き残りそうなやつの情報をできる限り詳しく。」

 「ほう、やっぱり『その程度』のことか。それで、情報を提供した対価は何だ?」

 「情報に対する対価はまず、その拘束を解くこと。それと簡単な不可侵条約だ。」

 「あん?不可侵条約?」

 「そうだ。俺と残りの二人とアンタで簡単にこの階に領土を設ける。俺たちは図書館、それと自分のクラス。それ以外がアンタのだ。」

 「ほうほう、それだけか?」

 相手はこの条件に食いついている。こいつにとって完全に格下の俺にいろいろ言われてムカついているはず。なら、この不可侵条約のところを自分に有利にしたいはずだ。だが、そんなのは読めている。良いだろう。お前にとっておいしい条件を付けてやるよ。

 「図書館と俺達のクラス以外。つまりあんたは自身のクラスに特別教室全部。さらに廊下も自分の領土ということだ。そこは自由にできる。」

 「ほほう。なかなかいいじゃないか」

 「そこで納得しないでもらおうか。不可侵条約の内容をまだ言ってないぞ」

 「そうだったな。で、その子供の約束レベルの不可侵条約とはなんだ」

 子供の約束レベル。こいつ、はなからこれを守る気はないようだ。だがさすがにここで問い詰めると時間の無駄だ。

 「内容は、相手の領土内での攻撃の禁止。逆に相手が自分の領土に入って場合は相手を殺すなり拘束するなり何をしても良い。ちなみに、ここはあんたの領土ってことは言っておく」

 なぜ最後に敵に塩を送るようなことを言ったか。それはより良い情報を引き出すことためだ。流石にここまでいい条件を与えたんだ。相手からすれば『その程度の情報』ぐらい話してくれるだろう。

 「ならその不可侵条約乗ってやるよ。」

 「ただ、先に情報を話すのが条件だ。これだけは譲れない」

 「は?…お前バカか!そんなの言われるまでもない。こっちは自由なるために乗ってるのに先に解けとかバカみたいなこと言うとでも思ったか!これだから甘ちゃんは!」

 これはまた意外だ。こういう時、主導権を握ったかのように「先に解け」とかいうと思った。いや、相手は拘束解けた後すぐに殺せることを考えると意外でもなんでもないか。俺の方がバカだったな。

 「それじゃあ、本題に入ろうか。お前もさっさと本が読みたいだろう本田ぁ」

 「…そうだな。アンタもきつくて苦しいもんな」

 互いに皮肉をぶつけ合いやっと本題に入る。

 「一つ言っておくが、流石にこっちも多少の情報はある。でたらめを言っても分かるからな」

 「あっそ。で、E組の連中で一番生き残りそうなやつか。そんなのやっぱり『林真刈矢(はやしまかりや)』しかいないかな」

 「林真、刈矢…」

 「どーせおまえのことだ、名前だけ言われても知らんだろ。林真は、言うなればアニメや漫画に出てくるような何でもできる超人てやつだ。容姿端麗で文武両道の神童。ただ、性格は破天荒で出てきたら確実に全員を殺す勢いだろうな」

 …めんどくさいのがまだ教室から出ていないというのは結構厄介だな。しかも、図書館の隣のクラス。戻ったらすぐにいろいろ対策するか。

 「けど、林真は運がいいのか悪いのか、一週間の自宅謹慎受けたばっかで学校にはいないはずだ。」

 「…ならそのほかに候補はいるのか。教室にいないやつはゲームには参加していないってことだろ」

 「そうだなぁ、ほかに候補があるとしたら…二人だな」

 「二人?」

 「あぁ、『宮内昌義(みやうちまさよし)正利(まさとし)』の双子だな。アイツらも漫画とかみたいに遺脱していて、クローン人間みたいに全く同じで意思の疎通もただ見ただけで分かるとかなんとか。アイツらもお前みたいに自分たちの世界が一番だから平気でクラスの奴殺すだろ。しかも二人だから早いはずだ」

 「いや、もし二人で殺したにしても出れるのは一人。互いに殺し合わないといけないはずじゃぁ」

 「あぁそうだ。だから、片方が誰かの殺されて逆上。または逆に自殺の線もあるし、相討ちの可能性もあるし、無理やり二人で出てくるかもしれない。そこまでは俺にもわからない。そして後の候補は読めない」

 おそらく本当に候補はないようだ。正直もう一人二人知りたいところだが、もうないなら無理に聞かないでさっさと図書館に戻るか。

 「おい、情報を吐いたんだ。拘束を解くんだよなぁ」

 明らかに殺す気満々の殺気を出しながら先生は聞いてきた。

 「そうですね♪じゃあガムテ切りますね♪」

 ドアの近くに待機していた未由がいきなり準備室の中に入ってきた。手には、図書館前のロッカーに入っていたバーナー。それにおそらくロッカーに入れといた先生のナイフ。

 「未由!下がっていろって…」

 「なんだ!白々木もいるのか!聞いてないぞ!」

 だが、未由は俺と先生を無視して机の上にあったポケットティッシュを先生の口に全部詰める。その後間髪入れずガムテで口をふさぐ。これだと先生は口を動かすこともままならない状態になった。

 「じゃぁガムテ切りますね~♪」

 その後持ってきたバーナーでナイフを熱している。俺が先生にやった戦法だ。バーナーの炎を見ている未由は実に楽しそうだ。そして、熱したナイフをゆっくり先生の腹に向けていき、刺していく。その際、先生は相当大きな叫び声をあげた。けど、未由はお構いなしのようだ。

 「ふふふ♪何回刺したら気絶しますかね♪」

 先生は拘束されてナイフを何回も刺される。例えるならリアル黒ひげ危機一髪。ただし、飛ぶのは魂。というのがなぜか脳裏に思い浮かんだ。けどすぐに忘れよう。先生は4か所目を刺されているときにはすでに声が出ていない、というか気絶している。未由もそれに気づいてナイフを刺すのをやめた。なぜかすごく哀れな気分になった。でも、とりあえずガムテをもう二重ぐらい巻いておくか。先生の刺された部分は少し焦げ臭いにおいとともに焼けているから止血の必要はない。ガムテを巻き終わり準備室を出ようとする。

 「それにしても、この情報って必要だったんですか?私的にはあってもなくても関係ないと思うんですけど。」

 未由はナイフを冷ましながら俺に聞いてきた。

 「確かに、必要性は薄いな。ただ、俺の私怨のためだな。…未由のせいで予定が少し狂ったが」

 「珍しく磨さんが黒い…だが、それが良い…」

 「なにが『それが良い』だよ!まぁ、流石にこいつにはそれ相応の死に方してくれないとこっちの怒りは収まらないからな…」

 俺がこいつに対する怒り。それは俺自身を弄んだこともそうだが、なにより田中先生のことだ。殺した張本人の俺が言うのもあれだが許せない。

 「ま、私はあれがどんな風に死ぬか楽しみですね♪」

 まぁ、未由もリアル黒ひげ危機一髪をやってご満悦のようだし図書館に戻ることに。そして、ドアの近くには体育座りをして耳をふさいでいる高橋がいた。

 「…僕は何も聞いてないし何も知らないよ…」

 あ、はい。

 

 




22話目です

21話目と並行で書いていたのであまり時間は開いていないと思います。たぶん!

この回の大まかな話は私がブラスクを投稿する前から考えていた展開なので達成感半端ないです!

サブタイトルは、片方は暦君です。黒なのは、まぁ、ネタバレになるので言いません
もう片方は未由ちゃんです。なぜ白なのかというと…無邪気にというか純粋にというか…先生を刺している場面のところですねw本音は黒と相対的な色だから入れたかっただけですw

それと、20話目のあとがきで偽りの世界もすぐ出す。とかいいましたが
『あれは嘘だ』

すいませんマジすいません
最近ほんの少しですけど二次創作もやっていたりして時間があまりないのです
他の時間はすでにアニメとゲームでねぇですwww

それと、近々学校が始まるのでまた投稿遅くなります
出来る限り月1ペースで投稿したいとは思っています


それと、少々くどいかもしれませんが、この回と21話目の最後は感想をいただいた『この展開だったらなぁ…』の答えでもあります

暦君が言った通り、アルコールでファイヤーしても服は燃えても皮膚を少し焦がし程度で殺すことはできません。服が着火しても慌てずに脱げば火傷一つ尽きません。さらに、人間の体は60%は水分でできているのでバーナーぐらいの火では死ぬまで燃やし尽くしことは難しいです。それに、アルコールなしで、皮膚を直接バーナーで燃やしてもほかに所に燃え移ることはないと思います。(これらはあくまで知識不足の私の憶測でしかありませんが…)
なにより…
 「下衆には下衆い死に方してくれないとなぁ」(ニッコリ)

正直、この感想貰って少し鬱というか病んだというか…やはりズバッと「へた!」とか「ゴミ以下!」といわれるより対処が難しいです…素直な感想だったのがなおさら…
こういうのを書いている時点で色々な人に嫌われているかもしれませんが、私はメンタルが弱い人間なのでもう少し感想を考えてくださると幸いです
次の話からはもうこのことには触れません
23話目は今月中にあげる予定です。予定です(震え声)

今後も私と私の作品をよろしくお願いします!
もし面白いと思ってくださったなら感想やお気に入り登録などお願いします♪

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