血塗りの監獄 -Bloody School-   作:蟲之字

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24話目「鮮血の追憶 1-E」

 E組の全滅…これは俺たちにとって大きな知らせだ。生存者は4人。今はアキがE組の中の様子をいろいろ見て本当に全滅しているのか、それとこっちに見せる用の資料を作っているため10分待たされているところだ。けど、俺と未由は本を読む。

 「…ねぇ、本田君、白々さん。なんでこんな状況でも本読めるの?」

 高橋は不思議そうにこっちに聞いてきた。

 「今は待つことしかできないからですよ。」

 未由がイラつきながらそう言い返した。高橋は一言ゴメンと言って未由から離れた。多分未由も待つことしかできないことにいらついているようだ。俺もそうだ。集中できなくて内容が頭に入ってこない。けど、実際は待つことしかできない。…なんか時間がもったいないからアキの放送が入るまでこの後のことを予想してみるか。

 (まず、黒幕どもは殺し合いが目的だからこの階、つまり1年生同士での殺し合いか上の階の人と殺し合うのか…まず、一年同士なら、殺し合いになるかどうか…そして、仮に各階一人になってもこの広い学校で3人で殺し合いするなら広すぎて殺し合いになりづらい。だから人数を確保できる方法で進むはずだ。なら、このまま進むはずだ…)

 俺の推測だとこのままゲームは進むはず、となりまた本を読む。少しは内容が入って気たけど、やはり集中して本を読むことができない。それから、約束の10分を超え、30分後に放送が入ってきた。

 『ピーンポーンパーンポーン…疲れた。え~、E組のみんなは死んでいたよ~。それでE組の中の写真とちょっとした映像を用意したよ。それで、君たちは申し訳ないけど後1日2日この階で待ってもらうことになりそう…』

 アキは疲れ切った声で放送してきた。放送が遅れたのは何かやっていたからだろう。

 「それで、なんで俺たちは待たされないといけないんだ?」

 そう、E組が全滅していたのは分かった。けどこの階で待つ意味が分からない。

 『それはね…簡単に言うとシステムエラーと言っておこうかな。E組の教室の鍵を開けるシステムがエラー起こして、それを開けないとこの階のシャッターも上がらないんだよね~。それで、ボクが用意した映像と画像は外のロッカーにUSB入れておくからパソコンで見てね~』

 そして放送が切れた。いつもはうざいアキの声に覇気がないから本当に疲れているんだろう。そして、アキが疲れるということは相当のことなんだろう。

 「なら、早速USB取ってきてみるか。教室の中の写真をどうせ俺と未由のクラスと同じで死体の山だろ。」

 俺は自分で言って寒気がした。大丈夫かな…

 「高橋さんは見ないほうが良いのでは?」

 未由は高橋の方に心配そうにいう。俺もそれは思った。たぶん俺以上に死体の耐性はないだろう。

 「いや、僕は、見る…!見ないといけない気がするんだ…」

 どうやら、高橋は見る気だ。なら、俺もがんばってみるべきだな。なにより、自分がどれだけ耐性があるか知るいい機会だ。

 「じゃあ、持ってくる」

 俺はすぐに図書館の外にあるロッカーを開ける。中にはガスボンベとアルコールの入ったボトル。その中に一つのUSBメモリーが入っていた。丁寧に「アキちゃん☆」とシールでデコってある。そしてすぐに図書館に戻りパソコンに読み込ませる。フォルダー名も「アキちゃん特製フォルダー♡」と書いてあった。内容はバリバリのグロテスクでR18の画像のくせに…

 「二人とも準備はいいか…」

 USBを持ってきたのは俺だから必然的に俺がパソコンを操作する。

 「私は大丈夫ですよ。それより磨さんこそ大丈夫なんですか?」

 未由は少しニヤつきながらそう返してきた。E組の鍵をチェックするときのことがあるからだろう。けどそこはニヤつかないで聞いてくれよ。

 「わからない。けど、見ないと始まらないだろ。高橋、お前は大丈夫か?」

 俺以上に今は高橋だ。こいつ俺達と違って死体の山を見るのは初めてだ。

 「僕は…大丈夫だよ…」

 明らかに息が荒いし汗もたくさん出ているのに大丈夫って言った。

 「…そうだな。少しネットで動画でも見るか?」

 高橋、と俺の気分を落ち着かせるために別の動画を見ることを推奨してみた。今の高橋は多分止めても首を縦には振らないだろう。でも、動画ならこっちで勝手にできるから少しは落ち着くまでの時間稼ぎになるだろう。

 「そうですね。先にR15の少しグロいの見れば大丈夫ですよ」

 未由が横からそう言ってきた。あれ?俺そういうことじゃなくてリラックスできそうな音楽とかを流したかったんだけど。と、思っていたらすでにマウスを奪い、動画サイトに行き、なにかのゲームの動画を再生し始めた。その動画は戦争系のゲームだった。あ、これ書籍になったやつか。内容は…結構グロかったはず…

 30分後、プレイの場面をカットしてある程度のストーリーだけの動画を見た。内容は書籍で知っていたがゲームの映像はリアリティが高く正直スプラッター映画とは比にならないと俺は思った。未由はなぜか満足そうな顔をしていた。そして高橋は、

 「このゲームこういうストーリーなんだ…ちょっとほしいかも…」

 大丈夫そう。というか見たゲーム欲しいのかよ…

 「高橋さん。このゲームの映像を見れるなら大丈夫ですよ!」

 うん。たぶん大丈夫だ。麻酔がないからって麻酔なしで腹を開いて、患者がいきなり起きて暴れて血をまき散らしたり、眼球を取られて空洞になっているとこに銃口を入れてかき回されたりするのをハイクオリティの映像で見れたなら大丈夫だ。あれは少し鳥肌が立った。

 「そう…かな。うん、頑張ってみる」

 高橋は動画見る前と後だとかなり顔の色が違う。今なら大丈夫そうだ。

 「なら、まず画像から見るぞ」

 俺はマウスを操作してアキのファイルを開く。その中にさらに二つファイルがあり「がぞうだよっ☆」と「ど・う・が♡」と二つのフォルダーがあったから画像の方を開く。その中には4枚の写真があり、E組の今の様子と思われる写真だ。四隅で分けて撮ってあるようだ。写真に映っているのは死体が所々にあって、血の池ができている。特別えぐい殺し方をしていないからか、俺のクラスとあまり大差はないな。なら、未由もそうだろう。正直、さっきのゲームの方がまだグロい。ただ、机とかが色々荒れている形跡もあるのが不思議に思った。そして俺は横目で高橋を見る。

 「大丈夫だよ本田君。動画の方に行ってみよう」

 「そうだな。じゃあ行くぞ」

 マウスを動かして動画のファイルを開く。動画の時間は約20分。そして、再生ボタンを押す。動画が再生されE組の様子が現れた。

 

 E組は屍の山が出来上がっていた。その中で動きがある二つの影、宮内昌義、正利。

 「なぁアニキ。これでよかったのかな。俺たち出れるよな」

 「トシ、大丈夫だって。いずれ開くさ」

 トシと呼ばれたのが正利、アニキと呼ばれたのが昌義だ。見た目だけでは絶対見分けがつかないほど似ている。

 「もう三日たったのに助けは結局来ない。ドアも開かない」

 「そうだな。飯も尽きたし、飲み物もない。どうすることもできないな」

 二人は互いの背中に寄りかかりながら濡れていない所に座っている。二人は、三日前にクラスメイトを殺し、それから教室にある食べ物を分けながら食べていたが底についた状態だ。

 「「なにもすることないな。暇だな。どうしようか」」

 二人の声は重なった。いつもは当たり前のように二人のセリフは重なる。だが、二人ともこの空間とストレスが溜まっていたせいで、これを口火に急変する。

 「なにが暇だよ!アニキがいずれ助けが来るっていうから待っているのに来ないじゃないか!!」

 「はぁ!!ふざけんなよ!先に殺そうって言ったのトシだろ!殺す必要ないって言っても聞かなかったくせに!!」

 「アニキだって殺したじゃないか!しかもやる気満々で!自分だけ逃げるなよ!!」

 「逃げてなんてないです~!!お前こそ俺以上に飯食ってんじゃん!そのせいでもうないんだろ!!」

 「そんなの今関係ないだろ!!」

 「関係大ありだ!テメェも逃げたいだけだろ!!」

 「逃げてんのはアニキだろ!!」

 「あぁん!!ふざけるなよ!!」

 「テメェの方がふざけてるんだろうがぁ!!アニキだからっていつも偉そうにしやがって!!」

 「お前こそ後から生まれたのに同じ顔になってムカつくんだよ!!」

 「今…なんて言ったぁ!!」

 「あぁ何回でも行ってやるよ!後から生まれた存在なのに同じ顔!同じ声!同じ同じ同じ!!ムカつくんだよ!!自分と同じ存在がもう一個あってよぉ!!俺は一人で十分だ!!」

 「そんなのテメェが先にそうなっただけだろうが!!俺と同じようになってなっていきやがってよ!!キモイんだよ!!」

 だが、正利のセリフが言い終わったら一瞬静かになった。その瞬間二人の笑い声が響いてきた。

 「「なんだ!こんな時も同じ考えなんだな。気持ち悪い。だから殺す!!『『俺』』は一人で十分だ!!!」」

 ここで一気に空気が変わった。さっきまでの騒がしい怒りの空間から静寂の殺意の空間になった。二人は互いに距離を取りナイフを構えた。そして、15、6年という生涯を一緒にいた兄弟の息の良さからか、何も合図がないのに同時に踏み込んで斬り合いが始まった。互いに互いの考えを見るだけで分かる二人はナイフ同士の金属音を響かせながら一進一退の戦闘を繰り広げた。時に攻め、時に守る。互いを知り尽くしていてもこんな戦闘はできないだろう。もはや予測と勘。そして無意識の信頼。これは宮内兄弟にとって初めての本音と本音、本心と本心、魂と魂の会話だ。ほとんどの攻撃が防がれているのはそれらがあるからだろう。だが、数分間斬り合って有効打を与えないまま二人は息を整えるためにまた距離を取る。所々切り傷は出来ているが大きいものはない。そして、互いの呼吸が整ったらまた斬り合い(かいわ)が始まる。さっきよりも勢いは逆に増し、金属音が嵐のように鳴り響く。時に教室にある机や椅子を使い妨害したり攻撃を防いだり、落ちているものを投げたりと、先ほどではそんなことがなかったが、宮内兄弟がこの少ない時間で1対1の殺し合いに適応したというべきか。しかし、この兄弟にとって同じ状況で考えが全く違うということは初めてのことだろう。昌義が机や椅子を使いはじめ、正利が広い空間を生かして撹乱し、教室に落ちている小道具などを使い始める。これが、二人の間で生まれた初めての違い、自分で考え、動く。宮内兄弟はこの空間でそれぞれ違った『我』というものを得たと言っても過言ではない。だが、それもこの空間で終わってしまう。昌義が正利の方に椅子を投げ、一気に前進する。それは正利の頭に当たり額から血を流すが、正利は手に持っていた文房具、それも鋏やカッターなどの刃物を顔に向けて投げた。カッターは刃が出ていないし、鋏は閉じたままで。昌義はそれらを腕で防いだ。だが、正利はその隙をついて一気に距離を詰めてナイフを突き出す。昌義もそれに気が付き自分のナイフを前に構え迎え撃つ。そして、二人のナイフは互いに体を突き刺した。しかも、それは互いの心臓、いや、正利のナイフは的確に心臓をついているが、昌義のナイフは心臓より右に少し離れている。そのため、致命傷にならなかった。心臓を刺された昌義はそのまますぐに倒れてしまった。

「ハァ…ハァ…やった…俺は…やっと一人の俺になったんだ…アニキなんていない…唯一無二の存在になったんだ…!!」

 正利はナイフが刺さったままだが叫んだ。だが、倒れたはずの昌義が正利に刺さっているナイフをつかんだ。

 「…てめぇだけ…生かすかよ…」

 刺さっているナイフを更に深く刺し、自分の体重を使い一気に斬り下ろす。その一太刀で正利の内臓をずたずたに切り裂いた。そして、二人は倒れた。仲睦まじい双子の兄弟も、結局は人間。恨み、妬みを兄弟に対して持っていた。互いに致死量の出血をしていた。最後に二人は黙り込んだまま、動くこともなく死んでいった。そして、運命というものはどこまでも気まぐれで、皮肉で、残酷。二人は同時に命の灯火が消えたのだ。

 




24話目です
世間ではシルバーウィークらしいですけど私は普通に休みですwww

今回は気まぐれで書いていたらできたので早めに投稿しました
金曜日にも投稿している予定です
前回の前書きにも書きましたが、少々理由があって早めに投稿しているのです
理由はおいおい説明します

今回は「鮮血の追憶」ということで、E組の様子をダイジェスト?で書きました

細かく設定しているのが、宮内兄弟がクラスメイトを殺したのは3日目の夜
それで、兄弟の殺し合いがあったのが夜の8時という感じです
今回は、「どんなに仲の良い人間でも、結局は、相方に対して不の感情を持っている」というコンセプトで書きました

戦闘シーンに出た「無意識の信頼」は「相手が次こう動く」という予想を裏付けという感じでとらえてもらえれば幸いです

今回のあとがきは以上です。ネタがないです

今後も私と私の作品をよろしくお願いします!
もし面白いと思ってくださったなら感想やお気に入り登録などお願いします♪
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