ダンガンロンパ ロストワード 作:りょうぴー(創作論破書き)
復活の絶望学園
暗い、暗い、闇の中。
底の見えない常闇に、僕はどこまで堕ちてゆくのだろう。
何も見えない暗闇の中、僕が感じるのは…
恐怖でもなく、困惑でもない。
虚無。
何も感じない、何者でもない、虚無の空間。
そして…その虚無の空間は突然終わりを告げた。
「ん…んん…」
僕が目を覚ますと、見知らぬ壁と天井が。
見たこともない教室、見たこともない窓、見たこともない机と椅子。
知らない教室の風景が、僕に戸惑いをもたらす。
「ここは…どこなんだ?」
状況を呑み込めないまま、僕は周りの景色を見渡す。
「何で僕は…こんな所にいるんだ?」
目の前の黒板には…何やら文字が描かれていた。
『絶望』
「ゼツ…ボウ…」
はっきりと日本語で書かれている、分かりやすく大きく書かれている文字。その言葉の意味も大体分かっている。しかし、その言葉の本当の意味をまだ僕は理解できなかった。
そして、黒板の隅には小さなメモ書きが。
『オマエラ、目を覚ましたらホールへ集合!ホールの場所は教室から出て右の階段を降りてから左へ行って、道なりに歩いたところにあるからね。遅れるとおしおきだよ!うぷぷ…』
「子供の落書きのようだけど…誰のいたずらなんだ?そもそも、どうして僕はここに来たんだろう…」
そして、この教室を出た先に…
僕の…嗣宮新の世界が、無限と思える虚無に終わりを告げた。
目の前には同じような教室が並ぶ。さっき僕がいた場所も教室だったから、ここは学校だということは間違いないみたいだ。
嗣宮「それにしても…ここはどこなんだろう。」
僕は教室を出て数歩ほど歩く。
すると、隣の教室からガラガラと扉の開く音がする。
「あっ。」
目の前には茶髪で水色の瞳の可愛らしい女の子が。白いドレスに紫のリボン…なんというか…フランス人形を思い起こさせるようなどこかステレオタイプながら美しげなファッションとぱっちりと開いた目や色白で滑らかそうな肌をしていて可愛らしい顔立ちが上手くマッチしている感じがする。
「あの…は、初めまして!」
嗣宮「え!?あ、は、初めまして!!」
「え、ええっと…ここがどこだか分かりますか?」
嗣宮「えっ!?あ、い、いや…僕も分からないけど…」
「そ、そうですか…すみません。私、実はよく分からないままここに連れてこられて…」
嗣宮「あの…もしかして君もそうなの?」
「君も…ということは、あなたもここに連れてこられたんですか!?」
嗣宮「うん、そうだけど…」
「変ですよね、目が覚めたら教室に閉じ込められてて、起きるまでそこで気を失って眠っていたなんて…」
嗣宮「た、確かにそうだよね。僕もよく分からないんだけど…」
嗣宮「そ、そうだ!まだ自己紹介してなかったよね?僕の名前は、嗣宮 新。周りからは『超高校級の幸運』だって言われてた…ような気がするけど、これと言って特に特徴のない高校生だよ。」
櫻坂「よろしくお願いしますね、嗣宮さん。私は櫻坂 香子です。『超高校級の舞台女優』って呼ばれてるんですよ。」
嗣宮「櫻坂…あっ!」
確か注目の高校生女優で話題になってたよな。3歳の頃から色々な舞台に出てきて、最近ではテレビ進出も積極的になってたような…この前の恋愛ドラマなんかでもメインヒロインに抜擢されたし、ニュース番組でもコメンテーターに呼ばれてたり、歌唱力もあって映画の主題歌もやってたり…
嗣宮「あの櫻坂香子か!テレビでしか見たこと無かったから実際に会えるなんて思わなかったよ。嬉しいなぁ…」
櫻坂「まぁ!それは光栄です!今度、芝居の事で良ければ一緒に話しましょうね。っと、それより…あなたもここに連れてこられたんですよね。良かったら、私と一緒にホールの方まで行きませんか?」
嗣宮「ホール?…あぁ!あのメモに書いてた…」
例のあの汚い字のメモのことか。あのメモを櫻坂さんも受け取ったのかな?
櫻坂「ホールに行けばここから出る方法か他の人にも会えるかもしれません。」
嗣宮「そうかもね。一回行ってみようか。」
本当なら出口を早く探したい所だけど…ここが学校らしい所だってこと以外何も分かってない以上、場所が分かっている所へ行くしかない。それに、他にも僕たちと同じような状況に陥っている人もいるかもしれない。
僕は櫻坂さんと一緒に階段を降り、一緒にホールへ向かうことにした。
1階へ降りてホールに到着する。僕は扉の取っ手を引いて中へ入る。
「あ、あれ?アンタらも似たような感じでここに来たってーのか?」
「自分の他にもこんな風にいつの間に連れてこられてホールに集まれって言われた人がいるのですねぇ…」
「16人揃ってよく分からねーままこんな変な廃墟みてーなとこに来るか?訳わかんねーっつーの。」
目の前には僕らと同じように、何も覚えてないまま連れてこられた高校生達がいた。
「ま…まあとりあえず、一旦落ち着いて自己紹介でもしようか。」
「自己紹介?んな呑気なことやってる場合かよ!」
「確かにそうだけど、僕たちは互いのことを知らないままだ。ここは互いに自分が何者かを話して信用を得ることが必要だと思うんだが、君もそう思わないかい?」
「それもそうね。今まで会ってきた皆の状況を把握するにはいい機会だと思うわ。」
「賛成なのです!」
「オレもそれでいいぜ。怪しくねー奴と怪しい奴は勘で分かるが、お前らは全員怪しくねーみてーだかんな。」
こうして僕達は互いに自己紹介を始めることにするのだった。
海兵帽を被った大柄な青年が、僕の前に立って話しかける。
「君たち、ちょっといいかな?」
嗣宮「わっ!」
櫻坂「きゃっ!」
「あぁごめん。驚かせちゃったかな?僕、体が大きいから初対面の人を大体驚かせちゃうんだよね。」
嗣宮「う、ううん。気にしないで。あ、僕は嗣宮新。よろしく。」
海道「嗣宮新くんか。僕は
海道 瑞樹…確か四国の瀬戸内海で新種のエビを見つけて、その論文を提出したことで注目を集めた人だっけな…
海道「といっても、僕の才能がこの状況をどうにかできるって訳じゃないけど…とにかく、体力にはある程度自信があるんだ。君たちの役に立てるように頑張るよ。」
櫻坂「そんな!とても心強いです!あ、私は櫻坂香子です。よろしくお願いしますね!」
海道「ありがとう櫻坂さん。そういう言葉が励みになるよ。これからよろしくね。」
体格も大きくて力持ちって感じな見た目の割に随分穏やかで真面目な人なんだな…海道くん…なんだか親しみやすそうで、結構話しやすいな…
次に僕らは、隣の眼鏡をかけたメモを取っている少年に話しかける。
櫻坂「あのー、すみません。少しいいですか?」
「むむっ、そこのお二人さん?自分に何か用ですかな?」
嗣宮「あぁ、うん。ちょっと自己紹介しようと思って。僕は嗣宮新。」
櫻坂「櫻坂香子です。」
相沢「嗣宮氏に櫻坂氏ですか…心得ましたぞ。自分は『超高校級の小説家』相沢優馬と申します。よろしくお願い致しますぞ。」
櫻坂「相沢優馬…もしかして、「勇者道シリーズ」の作者さんですか!?」
嗣宮「ゆ、勇者道シリーズ?」
相沢「自分の代表作ですぞ。趣味で書いてたネット小説がいつの間にか1000万部を超える大ヒット作になりましてね…気づけば超高校級だなんて持て囃されるようになってましたよ!グフフフフ…!」
嗣宮「凄いね…ところで、相沢くんは何で小説を書き始めたの?」
相沢「自分、もともと小説家志望じゃなくて漫画家やりたかったんですよ。しかし画力が壊滅的になく、泣く泣く漫画家を諦める他無くて…まぁ、設定とかは考えるのは得意でしたし!画力なんか無くてもラノベ作家や小説家にさえなれればそれで構いませんでしたがね!」
櫻坂「そ、そうなんですね…」
不気味な笑い方だな…正直なところ付き合いづらそうかもな。けど、悪い人じゃないってのは、彼の口の上手さからはある程度伝わってくるな。僕からも積極的に話しかけてみよう。
次は少しうすよごれたグレーのシャツと茶色いハーフパンツというかなり質素な服装の女性に話しかけてみる。
「なんだよオメー、アタシに何か用か?」
その人は獣のような鋭い目付きで僕を睨みつける。
嗣宮「あ、いや!その…えっと…」
櫻坂「あ、あの、私たちはあなたと話そうと思って…」
「ん?そうか?わりぃわりぃ、つい癖で睨みつけちまった。アタシは犬木 律花。超高校級の猛獣使いって言われてんだ、よろしくな!」
嗣宮「犬木 律花…あ!もしかして犬木サーカス団でクマと一緒に曲芸してた人?テレビでしか見たことないけど、君がそうなんだね。」
犬木「あぁ!もともとアタシは今の団長の養子になるまで森の中で暮らしてたんだ。だから動物の考えてる事は分かるし話すことも出来るんだぜ!」
櫻坂「わぁ、凄いですね!ところで、クマの他にはどんな種類の動物さんと曲芸したんですか?」
犬木「うんにゃ、覚えてねぇけどヘビとかサルとかライオンとか…大体10匹くれーかな?まぁ息が合わなくて喧嘩したこともあるけどよ、今じゃ大事なアタシの家族にもなってんだ!」
嗣宮「け、喧嘩!?猛獣達と?」
犬木「お?どうしたよ、驚いてんのか?」
嗣宮「あ、いや…その…」
いや、驚いたというか…なんというか、かなり破天荒な人なんだな、犬木さんは…
櫻坂「でも、あんなに怖い動物さん達を手懐けるなんて、犬木さんって凄いです!!」
犬木「よせやい、照れるって…アタシは別にそんな凄かねーよ。」
櫻坂さんは彼女に興味津々だ。なかなか凄い人だな、犬木さんは…
今度はピンク色のツインテールの派手な服を着た女の子に僕は話しかけてみる。
嗣宮「あのー…君も超高校級の生徒なのかな?」
「せや!体はダイヤモンドで出来ている、血潮はプラチナ、心はチタン、これがホンマの超高級の生徒…ってアホか!ウチは超高校級の生徒や!高級品とちゃうわ!」
櫻坂「!!?」
「どやった?今の挨拶なかなかおもろかったやろ?というわけでどーもー!ウチは坂田英美里言います、名前だけでも覚えとってくださいねー。」
嗣宮「う、うん…よろしく、坂田さん…」
な、なんかなんとも言えない微妙なギャグを繰り出してきたぞ…
櫻坂「芸人さん!?凄い!!!生で見られるなんて初めてです!!!」
櫻坂さんは櫻坂さんで何故か乗ってきてるし…目を輝かせて、もしかして芸人のネタはあんまり見たことがないのかな?
坂田「ホンマか?なんか照れるなぁ。ウチ人と会ってこんなに喜ばれるの初めてやわぁ…ウチも1万年と2000年ぶりに人とおうて…ってそんなに待っとらんわ!誰がアクエリオンやねん!」
若干エセ関西弁っぽい喋り方…本当は関東出身なのかな?まぁ、明るいノリで親しみやすいし、良い子だっていうのは間違いなさそうだよな…雰囲気的に。
坂田「えっと、ほんで自分ら名前なんて言うん?」
嗣宮「嗣宮新だよ。」
櫻坂「櫻坂香子です。」
坂田「嗣宮に櫻坂な。ええ苗字と名前もろとるやないか〜、ウチの苗字はな、実はあの『アホの坂田』と同じやねん。あ、アホの坂田言うても歌い手の方ちゃうで?アホの坂田っていうのは偉大なる坂田利夫センセで…」
嗣宮「ま、また後で聞くよ…他にも自己紹介してない人もいるし…」
坂田「なんや自分つれへんな…ま、ええわ。また今度色々芸人トークしよな。ほなこれからよろしゅう頼んます!」
思ってた以上に結構グイグイくるタイプだな…この人、話してると疲れそうだ。
突然、ピピッと録音ボタンが鳴る。動画を撮っていたのは、サングラスをかけたチャラそうな雰囲気の人だった。
櫻坂「きゃっ!!」
「おっ、撮れてる撮れてる!悪いね。ちょうど今の状況を動画で撮っときたくてさ。君たちの出演シーンも良ければ入れてあげるよ?」
嗣宮「い、いや…別に…僕はいいかな…」
「え、そう?しゃあないな…んじゃあカットするか…とりあえずまぁ自己紹介だけしとくか。」
浜垣「おいーす!どうもー、浜垣純也でーす!」
櫻坂「は、浜垣さん…よろしくです。」
浜垣「そうそう。俺、ハマジュンって名前で動画配信してんの。良かったらチャンネル登録よろしくな!」
嗣宮「あ、うん…はい。今度とりあえず見てみるよ。」
浜垣「あれ、もしかして俺の事知らない?反応薄いなぁ…これでも超高校級の動画配信者で通ってるんだぜ?俺の動画、どれも面白いから一回見てみ?」
櫻坂「うん、時間があれば…」
妙にテンション高い人だな…付き合いづらそうだ。あれが俗に言う嫌なタイプの陽キャの人間かな?けど、本人は賑やかそうな所が好きだし、騒がしい空間にいれば楽しく過ごせるんだろうな…
次に僕たちが見かけたのは、ジャージを羽織ったユニフォームの少年だ。浅黒い肌にスポーツバッグ、いかにもスポーツマン的な雰囲気の出ている人だった。
嗣宮「あの…ちょっといいかな?」
「ん?おう、構わねぇよ。」
嗣宮「僕の名前は嗣宮新。君の名前を聞いても良い?」
「あぁ、わーったよ。いいか、良く聞けよ?オレの名前は車木 鉄矢、『超高校級のバスケットボール選手』だ。よーく覚えとくんだな!」
櫻坂「車木くんですね?私は櫻坂香子です。これからよろしくお願いしますね。」
車木「おう、よろしくな!しっかし、オレたち何に巻き込まれたんだろうな?」
嗣宮「えっ?巻き込まれた?」
車木「なんつーか、なんかの陰謀とか誘拐計画に巻き込まれたとしか思えねーだろ?誰もいねー教室といいホールといい、学校みてーな所に拉致監禁なんてどこの誰が何のために考えたんだろうな?」
櫻坂「確かにそうですね…」
車木「まぁ今考えたところで分かりゃしねーだろうがよ。とりあえず今の状況を飲み込んでおくとするか!」
楽観的なのか懐疑的なのかよく分からないな…口調は乱暴でぶっきらぼうだから近寄りにくいけど、話してみるとそこまで悪い人じゃなさそうだ。
また別に集まっている人たちの中の1人、銀髪のロングヘアーの少女を僕らは見かける。ひとりで孤立して佇んでいるみたいだけど…
嗣宮「えっと…ごめん、ちょっと話してもいいかな?」
「…構わないわ。」
櫻坂「ありがとうございます。私は櫻坂香子と申します。あなたの名前は?」
「『超高校級のフィギュアスケーター』、映雪雪菜よ。一応…宜しく頼むわね。」
嗣宮「映雪雪菜って…今度の冬季オリンピック代表候補に選ばれた人だよね!」
映雪「ええ。といっても、自慢するような話ではないわ。」
櫻坂「いえ!そんなことはないです!だって、オリンピック選手なんて憧れちゃいます!」
映雪「…憧れや尊敬は、私が受け取りたくない言葉。」
嗣宮「…?」
映雪「…ごめんなさい。少し喋りすぎたみたい。一度一人にさせて貰えないかしら?」
櫻坂「…?は、はい。なんか…すみません…」
映雪「心配しないで。ここにいる間はあなた達とは仲良くするよう心掛けるから。それじゃあ、今後ともよろしくね。」
なんだろう…何か重い事情を抱えてそうな人だなぁ…他人を寄せつけないクールな雰囲気の持ち主だけど…人と積極的に関わるのが苦手なタイプなのかな?余計な詮索はしない方が良さそうだよなぁ…
1人になりたいと距離を取った映雪さんの次に僕らが目についたのは、気だるげで眠たげなフードを被った女の子だった。
話しかけようとしたら向こうが僕らに気づいたのか、その女の子がのんびりと近づいてきた。
「うい〜、何か用〜?」
櫻坂「あの…少しお話宜しいですか?」
「あなたは…嗣宮新くん、櫻坂香子ちゃんだね〜?そしてこの後、名前を当てられて驚く…までは分かってるよ〜」
嗣宮「えぇっ!?」
櫻坂「ど、どうして私たちの名前を?」
朱里「にゅふふ〜、あかりは『超高校級の予言者』だからね〜。というわけで、光明寺朱里だよ〜、よろしくね〜。」
櫻坂「よ、予言者…光明寺さん、すごい能力を持ってるんですね…」
光明寺「いやぁ、大したもんじゃないよ。あかりとあかりの知り合いの少し先のことしか分からないし。あかりが予言で言い当てたあの事件も、知り合いが巻き込まれそうになったから予言できたってだけだからね〜。」
嗣宮「いや、そうだとしても十分凄い能力だと思うよ…?」
光明寺さん…ミステリアスな人だな。流石は超高校級の予言者だ。正直、今まで会ってきた生徒の中でも特にインパクトあるぞ…!
そういえば、インパクトあると言えば、目立つ色のスーツに気取った風に振る舞う人がいるな…あの人も超高校級の才能の持ち主なのかな…?
「おや、君たちはいったい?」
嗣宮「あっ、初めまして。嗣宮新です。」
櫻坂「私は櫻坂香子です。よろしくお願いします。あの、あなたの名前は?」
「ふん…君たち庶民と顔を合わせるのは珍しい機会だ。ここは是非とも挨拶させて頂こう。僕の名は豪徳寺大夢。『超高校級の社長』だ。」
嗣宮「豪徳寺大夢!?キミが!?」
豪徳寺「そうだ。豪徳寺エンタープライズのことは名前だけでも聞いたことがあるだろう?僕は病で床に伏した父の跡を継ぎ社長に就任したのだよ。」
豪徳寺エンタープライズ…日本の機械産業の新しい中心とも言われている大会社だよな。今の社長が僕らと変わらない学生だなんて、ちょっと驚きだな…
櫻坂「それにしても…なんというか、豪徳寺さんって私が今とっさに思っている以上にプライド高いおぼっちゃまキャラがハマってますね…あ、すみません!失礼な言い方をしてしまって…」
豪徳寺「ふっ、実にストレートな物言いだね。だが僕が社長になるまでは庶民的に言うボンボン生活とは程遠い道のりがあったものなのさ…あくまで今の僕はその道のりを過ぎていった成れの果てでしかないんだよ。」
櫻坂「え?それってどういう…」
豪徳寺「…おっと、つい喋りすぎたようだね。とにかく、これも何かの縁ということでよろしく頼むよ。」
何か悟ったような物言いだな…ただ金と権力を持ってる訳じゃないのか?豪徳寺くん、なかなか掴みどころのない人だな…
次に、ヘッドホンを首にかけて音符のバッヂのついたリュックサックを背負っている女の子に声をかける。ショートヘアは心做しかボサボサしてて少し暗いだけじゃなくて不健康にも思える顔つきだった。
嗣宮「あの、いいかな?」
「ひぅ…!」
嗣宮「あっ、ご、ゴメン!驚かせるつもりはなかったんだ。」
櫻坂「私たち、あなたとお話をしたいと思ってて…」
「お…お話…?」
嗣宮「う、うん…そうだよ。僕は嗣宮新、こっちは櫻坂香子さん。良かったら君のことも教えて欲しいなって。」
「あ…はい……音無…仁梨です…」
音無「えと…『超高校級の作曲家』…って、言われて…ます……」
櫻坂「『超高校級の作曲家』かぁ…でも、音無さんの名前、どこかで聞きましたっけ?」
音無「あの…私…ネットで、ニーナって名前で…曲…作ってます…」
嗣宮「ニーナ…ネット?あっ!ボーカルロイドPの!?」
音無「そ、そうでしゅ…!あっ、噛んじゃった…うぅ…緊張したぁ…!」
櫻坂「あの…大丈夫ですか?」
音無「は、はひぃ…ごめんなさい、迷惑かけて…」
ニーナさんって結構臆病で人見知りなんだな…今も結構話す時に緊張してたみたいだし、僕も彼女と話す時はもっと会話をはずませられる様に努力しよう。
さっきから一心不乱に布地を編んでいる人がいる。小さい服だけど…何を作ってるんだろう?見た感じ幼げで目が青くて、綺麗な金髪で綺麗な見た目だけど…
櫻坂「すみません、ちょっと良いですか?」
「はいなのです。どうかしたのですか?」
櫻坂「あなたに自己紹介しようと思って。私は櫻坂香子って言います。」
嗣宮「あっ、僕は嗣宮新です。」
「新お兄ちゃまに香子お姉ちゃまですか。ひなは、麦畑・ティファニー・妃乃なのです。よろしくお願いしますです。」
麦畑「ひなは『超高校級の工芸士』なのですよ。どんな小物もあっという間、お人形さんのお洋服も丸い湯のみもあっという間、材料さえあれば色んなものが作れちゃうのです。」
麦畑さんはカバンから1つの湯呑みを取り出した。
櫻坂「わぁ…麦畑さんは手先が器用なんですね!」
工芸士かぁ…あんまり馴染みは無いけど、麦畑さんは色々なものを手作りしているんだ…
嗣宮「麦畑さんは工芸品作りに情熱を注いでいるんだね。それって何がきっかけなの?」
麦畑「パパとママがお人形さんのお店をやってたから、ひなもパパとママの真似っ子でいろんなお人形さんやお洋服を作ってたのです。そしたら、いつの間にか色んなものが作れるようになっていたです。」
そこまでに何があったか分からないけど…とにかく凄い技術力だってのは何となく想像できるよ…人形作りだけでも凄いけど、そこから更に派生していろいろなものを作っちゃうんだもんな…
他に挨拶していない人は…向こうに3人いるみたいだな。
「お?お前らもここに連れてこられた奴らだよな?」
濃い青色の髪をした宇宙を思わせる意匠を施された服を着た人が話しかけてきた。
櫻坂「はい。そうですけど…」
「やっぱそうか。しっかしここにオレらを集めて何するつもりだよ…脱出ゲームでも開こうってのか?」
嗣宮「分からないけど…そもそも、ここに来たまでを僕らは覚えてないよね?」
「それもそうだな…あ〜めんどくせぇ!とにかく後で考えるか!それよりまだオレが誰なのか、お前らに話してなかったな。」
星野「オレの名は星野由宇樹、誰もがアッと驚くくらいの『超高校級の宇宙飛行士』だ!オレはそこいらの奴らとは一味も二味も違うぜ!!よろしくな!」
嗣宮「ど、どうも…嗣宮新です。」
櫻坂「私は櫻坂香子です。よろしくお願いしますね。ところで、星野さんは宇宙飛行士って言ってましたけど、どういうことなんですか?」
星野「オレはこう見えて飛び級してんだ。アメリカの大学を卒業した後にこっちにスカウトされてんだぜ!外国語もいくつか話せんだ。」
櫻坂「飛び級卒業!?そ、それは本当に天才じゃないですか…!?」
嗣宮「すごい経歴だね…適正年齢になったら宇宙に行けるんじゃないかな?」
星野「へへっ!そういうこった!だがオレはいつか誰よりも早く最年少で宇宙飛行士デビューキメてーから今以上に努力してんだ。よろしくな!」
櫻坂「は、はい!よろしくお願いしますね、星野さん!」
星野「おう。これからよろしく頼むぜ、櫻坂!ところで…お前、嗣宮新って言ってたっけな。」
嗣宮「う、うん。」
星野「なんか分かんねーけど、お前は正直ヒョロヒョロに見えるけど鍛えりゃオレの良い相棒になれそうだな。これからなんかあったらビシバシ鍛えとくから、嗣宮はいつオレの相棒に選ばれてもいいように覚悟しとけよ?」
星野くん…経歴の割には天才ぶらないしあけすけな感じだけど明るくていい人そうだな。結構強引なところはあるし、そこは反応に困るけど…頼りがいがあってなんだか安心できそうだな。
1人で考え事をしているあの人…誰なんだろう。排他的で冷たい目線をしてるよな…
「…」
嗣宮「あの…ちょっといいかな?」
「…好きにしろ。」
櫻坂「あなたもここに連れてこられた人ですよね?」
「…そうだが?」
嗣宮「君の名前を聞いてなかったから、聞こうと思って。あ、僕は嗣宮新。よろしくね」
櫻坂「櫻坂香子です。あの、あなたのお名前は?」
「…新城柊弥だ。」
新城「…これで言ったぞ。そろそろどこかへ行け。」
嗣宮「えっ!?でも、君の才能とか…」
新城「言っておくが、オレはお前らとなれ合うつもりは無い。分かったらさっさと失せろ。」
櫻坂「は、はい…すみません…」
なんだよ…無愛想で感じの悪い人だな…それにしても、自分で自分の才能を明かさないなんて…何か事情でもあるのか?何にせよ近寄りたくない人だな…
最後に、白衣を着た緑色のポニーテールの女の子に声をかけてみることにした。
櫻坂「あの…お話してもよろしいですか?」
「うん。大丈夫だよ。」
櫻坂「良かった。あ、私は櫻坂香子です。」
嗣宮「僕は嗣宮新。君は?」
木崎「えっと…私は木崎 友梨奈って言います。『超高校級の植物学者』って周りからは言われているんだ。」
嗣宮「えっ、木崎友梨奈って…あの絶滅危惧種の植物の交配に成功したっていう、あの!?」
木崎「うん。まぁだからなんだって言われたら別にそれ以上のことは何も無いけど…」
櫻坂「いえ、十分に凄いと思います!あの件って植物学会の常識を変えたってニュースでも取り上げられてましたよね?」
木崎「まぁね。でも私としては別にそれを鼻にかけるつもりはないよ?『超高校級』って言われてるのも周りが持ち上げてるだけだから。私はそこまで凄いことをした自覚が分からないんだよね…」
木崎「それより私はあなた達がどんな植物に興味があるのか聞いてみたいな。良かったら好きな花の事とかいっぱい話そう?」
櫻坂「はい!いっぱいお話しましょうね!」
結構謙虚そうだけど、優しい感じの人だな…穏やかな性格だから、親しみやすいかもしれない。
自己紹介を終えて、さっそく新城くんが口火を切った。
新城「さて、雑談もこれくらいにして、そろそろ本題に入るとするか。」
嗣宮「あっ、そういえば…どうして僕達はこんな学校に閉じ込められたんだろう。」
木崎「この場所のこともよく分からないし…あっ、一応校章みたいなものはさっき色んな所で見かけたよ。」
櫻坂「
豪徳寺「携帯などの通信機器はどうやら犯人に全て奪われたようだな。そして外にはあまりにも高すぎる壁がそびえ立っている。僕たちを脱出させまいと目論んでいるのだろう。」
車木「つーか、そろそろ誰かしら説明してくれてもいんじゃねーか?オレたちをこんな所へ集めて閉じ込めて、何させるつもりだっつーの!」
ガヤガヤと周りが騒いでいたその時、''それ''は突然聞こえた。
ラジオのノイズのような不快な雑音。
星野「うぉっ!?な、なんだよ…?」
そして、大仰とも言える様などよめきの演出。
「レディース、エーンド、ジェントルメーン!!ウェルカムトゥ明日守学園ー!!」
そんな大声とともに、''それ''の正体が…僕らの前に姿を現した。
教壇から現れたのは、体を半分ずつ白黒に染めた動くクマのぬいぐるみ。片方は愛らしいマスコット、もう片方は不気味に笑う悪魔のような風貌をしていた。
「いや〜今回は今までと違ってテンポよく行きたかったから、新入生をちゃっちゃと集めていつものアレに入ろうと思ってたんだよね。オマエラ、初めまして!ようこそ我が明日守学園へ!歓迎するよ、うぷぷぷぷ…」
浜垣「ぬ、ぬいぐるみが喋った!?」
犬木「気持ちわりーな!ぬいぐるみはぬいぐるみらしく部屋に飾られとけってんだ!」
「いやいや、ぬいぐるみじゃないよ!」
モノクマ「ボクはモノクマ!オマエラが今日から通うことになる明日守学園の学園長なのだ!」
学園長?モノクマ?目の前のそいつの言ってる事の意味が飲み込めなかった。
車木「んなことより聞かせろ!オレたちを監禁してどうするつもりだ!!」
映雪「そうね。あなたの目的はなんなの?学園長さん。このような出られない場所に閉じ込めて、やはり監禁なのかしら?」
モノクマ「監禁?違うよ!ボクはオマエラの誰かがやるべき事をちゃんとこなせたら、無事に外へ出すつもりだからさ。」
坂田「何や?やるべき事て…」
モノクマ「良く聞いてくれました!それはね…『コロシアイ』だよ。」
嗣宮「こ…コロシアイ…だって!?」
ルールは簡単。
この明日守学園の中で殺人が起きたら、その中で殺人を犯した『クロ』をオマエラの中で見つけ出すんだ。クロだと思った生徒に投票して、その答えが正解ならクロだけがおしおきされて、間違いならクロ以外の全員がおしおきされるんだよ。
ちなみに、おしおき=死ぬって事だから、間違ったクロを選ばないように注意してね!
海道「し、死ぬ!?」
麦畑「怖いのです、死ぬのは嫌なのです!」
豪徳寺「冗談じゃないぞ!何故こんなことをせねばならないんだ!!」
新城「…」
モノクマ「あぁ、そうそう。この手の話にありがちな「オレはこんなことなんかしねーぞ!!何がコロシアイだバカバカしい!!」なんてバカなことを考える奴は、今この場で殺しちゃうからね。」
そう言うとモノクマはホール内から突然ビーム砲台をどこからか起動してきた。
星野「ま…マジかよ!?なんでこんな兵器が学校にあんだ!!」
相沢「あんなので打たれたら死にますぞ!!」
音無「ひぃぃ……」
光明寺「あ、あかり顔負けの予知能力…!?」
モノクマ「うぷぷ…こういうギャーギャー喚いてテンポを削ぐ奴がボクは大っ嫌いなんだよね。反抗期のオマエラのしつけにはこういう実力で黙らせるのが一番なんだ。」
モノクマ「まぁ長くなっちゃったけど、殺し方は問いません!お好きな殺し方で殺し、学級裁判を生き抜き、オマエラは外の世界へ脱出できるのか!?この先生き残れるか、楽しみにしてるよ。うぷぷ…」
そいつが引っ込んだ後、僕らの中では沈黙が漂っていた。
木崎「殺し合うしか…ないの?」
櫻坂「嫌…やだよぉ…」
新城「…フン。」
星野「く…くっそぉ…!」
嗣宮「………」
殺し合うしか、ないのか。
この地獄のような世界で、
地獄のような殺し合いを、
僕たちは、やらなければならないのか。
無限にも思える虚無は突如終わりを告げた。
けどそれは、終わりなんかじゃない。むしろ、それは新たなる絶望の始まりだったんだ。
僕らを迎えるのは絶望の螺旋。
騙し合い、殺し合う、そんな残酷な戦いが火蓋を切った。
絶望と恐怖に塗れた血みどろの狂った舞台が今、幕を開けるのだった…
プロローグ 「復活の絶望学園」 END
残り生存者数 16人
本作品での推しキャラは誰ですか?
-
嗣宮新
-
櫻坂香子
-
海道瑞樹
-
犬木律花
-
相沢優馬
-
坂田英美里
-
浜垣純也
-
映雪雪菜
-
車木鉄矢
-
光明寺朱里
-
豪徳寺大夢
-
音無仁梨
-
星野由宇樹
-
麦畑・ティファニー・妃乃
-
新城柊弥
-
木崎友梨奈