ダンガンロンパ ロストワード   作:りょうぴー(創作論破書き)

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そして勇者は絶望と呼ばれた おしおき編

モノクマ「はい、大正解です!車木鉄矢くんを殺害したクロは…超高校級の小説家、相沢優馬くんなのでしたー!!」

 

モノクマの陽気な声が裁判場に響く。相沢くんはそれを黙って耳で受け止めていた。

 

相沢「……」

 

星野「相沢、お前が…車木を殺したのか!?」

 

相沢「何度も同じことを言わせないでくださいよ。自分が殺したって言ってんじゃないですか?」

 

星野「んなこたぁ分かってんだよ!!お前と車木との間に何があったのかは分かんねーし、聞かなくちゃなんねーんだよ!!」

 

新城「お前が捲し立てるだけじゃそいつも話せないだろ、直情的な行動しかできないのか?さてと…おい相沢。お前はきちんと説明できるんだろうな?モノクマがお前を処刑する前に2つほど聞いておきたいことがある。まず、オレが動機ビデオを奪う前に既に中身を見ていたか、そして次に、お前が見た動機ビデオはお前自身のものだったのか…だ。」

 

犬木「はぁ…?あ、相沢んとこに配られたビデオが…」

 

海道「相沢くん自身のもの…?」

 

新城「あくまでもオレの推測だが、相沢が犯行に及んだ理由を考えると相沢自身が自分の動機ビデオを見てここから出たかった、そしてそのついでに自分の過去と憎む相手を思い出したから車木を殺人のターゲットに選んだ…と考えるのが辻褄が合うだろうな。」

 

豪徳寺「確かに、考えられる可能性としてはそれしかないだろうね…」

 

木崎「でも、そんなことってあるのかな?だって、私たちが配られた動機ビデオは、みんなバラバラに配られた状態だったんだよね?」

 

嗣宮「きっと、あの2人だけ元々自分の動機ビデオが配られてたんだと思うよ。」

 

星野「んな偶然あんのか!?」

 

新城「そのまさかということが起きたから今回の殺人が起きたんだよ。」

 

麦畑「それで、優馬お兄ちゃまの動機って…一体なんなのです?それがどうして鉄矢お兄ちゃまを殺すことに繋がるのです?」

 

坂田「説明してくれへんと、ウチも納得できひん。話してくれへんか?」

 

相沢「良いでしょう。と言っても、実際説明するより動機ビデオを見てもらった方が早いでしょうな…」

 

モノクマ「そう言うと思って、相沢くんの動機ビデオを持ち出させてもらいました!」

 

新城「はっ、仕事が早いじゃあないか。」

 

そう言うとモノクマは動機ビデオを再生する。

 

モノクマ「えー、画面の前のオマエラ、お待たせしました、お待たせしすぎたかもしれません。1万年と2000年ぶりに復活した『動機ビデオ』の時間でーす!今回紹介する人物は…相沢優馬くん!彼の動機とは一体何なのでしょうか?」

 

モノクマ「「ぼく勇」シリーズなどの様々なジャンルの小説で人気を博す相沢優馬くん!13歳で小説家デビューを果たし、その独特な文体と表現力によってファンの心をキャッチし続けています!」

 

モノクマ「今や彼の新作を心待ちにするファンは多く存在し、常に多くのファンを生み出してきている超絶大人気作家の相沢くん!しかし、彼には悲しい過去があったのです…」

 

モノクマ「彼には実は、幼少期に何者かによって尊敬していた父親を殺害され、更に運悪く父と共に居合わせた母親と弟も巻き添えになって殺されていたという過去があったのです!!」

 

モノクマ「彼を殺した人物が何者なのか…「キラーダンカー」という通り名の殺し屋によって殺された以外、何も分かっていなかったのです。そして彼は決意しました。家族を殺した殺人鬼の正体を暴き、必ず家族の仇を討ってやろうと…」

 

モノクマ「かくして相沢くんは自らの夢のためにペンを手に取り、そして別の手には復讐のために剣を取り、ふたつの武器を扱いながら血みどろの夢物語を描くことになったのです!!」

 

モノクマ「そうそう、冒頭にでてきた彼のファンはなんか大変なことになったっぽい感じになってますが…それは卒業の後答えることにします!お楽しみに〜!」

 

嗣宮「…あ、相沢くんの家族が…車木くんに殺された!?」

 

相沢くんのファンが殺されたのも気がかりだけど、それ以上に相沢くんの家族を殺した犯人が車木くんであることに僕らは驚いた。

 

音無「ほ、本当なんですか…?」

 

坂田「モノクマのねつ造とかじゃあらへんよな?」

 

モノクマ「失敬な!このビデオはノンフィクションだよ?ちゃんと事実を基に作られているんだからね!」

 

嗣宮(ノンフィクションだって…?もし、それが本当なら…外の世界は…)

 

モノクマ「それより、相沢くんに聞きたいこと聞かなくていいの?ボクが飽きたらすぐおしおきに移行するからね。」

 

木崎「そ、そうだね…ねぇ相沢くん、車木くんが君の家族を殺したっていうのは、間違いないの?」

 

相沢「ええ。自分はあの時星野氏と海道氏がサウナから上がった後で車木氏に問い詰めたのです。自分の家族のことや、小説家を殺してないかと…」

 

音無「そ…それで…車木さんは…」

 

相沢「ええ、認めてましたよ…」

 

麦畑「それで…なんていってたのです?」

 

相沢「彼は…ちゃんと答えてくれましたよ。」

 

〜〜

 

相沢「車木氏…答えて下され。」

 

車木「…はは、まさかお前も自分の動機ビデオを見てたなんてな…」

 

相沢「で…では…やはり君が自分の父と母…そして弟を…」

 

車木「…やましい気持ちがないなんてこたぁねぇし、下手に言い訳するつもりはねぇよ。お前みたいに俺が手をかけた奴の遺族に恨まれるのは、俺の仕事上当たり前のことだかんな。」

 

相沢「……」

 

車木「そうか…それでお前が復讐しに来たんだな。」

 

車木「…どうした、殺さないのか?」

 

相沢「………ええ。言われずとも殺しますよ…!!」

 

車木「…そうか。まぁ、因果応報…だな。」

 

車木「復讐のためにお前に殺されるなら、まだマシな最期を迎えられるかもな…なんとか、生き延びてくれよ…相沢優馬。」

 

ドゴッ

 

〜〜

 

相沢「それからは皆さんのご想像の通りです。自分は車木氏を気絶させた後サウナと水風呂に繰り返し漬けることでショックを引き起こさせて殺したのです…」

 

映雪「車木くんは死ぬ間際まで体の外気の辛さにジワジワと苦しめられたのだから、相当苦痛を味わったでしょうね…」

 

光明寺「いやでも、殴られて意識を奪われてたっぽいから、知らぬ間に死んでた〜なんてことになって、てっくんの幽霊も驚いてるんじゃないかな?」

 

映雪「光明寺さん、不謹慎よ。」

 

光明寺「あ…ごめん…」

 

星野「けど車木はお前に殺されないように抵抗してなかったんだよな?お前の言葉からすると車木はどんな殺され方をされても文句は言わない…みてーな感じじゃねーか?」

 

相沢「はい。あの時の車木氏は自分が殺されることを受け入れているかのようでした…」

 

星野「だよな?お前の口ぶりだとキラーダンカーが車木ってのはアイツ自身認めてたみたいだけど…」

 

相沢「あの時自分は、車木氏が動機ビデオを見終えたタイミングで話したんでしょうな…自分が家族のことを話す前の時から自分一人で思い詰めているのでしたよ。」

 

海道「彼はきっと…人から恨みを買われる仕事をしていたからこそ自分がろくな死に方をしないって受け入れていたんだろうね…」

 

木崎「私は…相沢くんと車木くんの気持ち…分からなくはないかな…」

 

坂田「確かにウチもそう思うわ。お互い背負うもんが背負うもんやし、車木も相沢も責めきれへんな…」

 

星野「くそっ…!!やりきれねーよ…お前が殺しを止めるのも、車木の抱え込んでる罪も…こんなコロシアイがなきゃオレもなんとかして、一緒に背負えたかもしれねーのに…!!」

 

相沢「うぅ…」

 

みんなが相沢くんと車木くんに同情を向ける。僕も、相沢くんの憎悪や車木くんの葛藤はなんとなく理解できなくは無い。もし、僕たちがもっと早くからその事を知っていればこんな惨劇は防げたんだろうか…

 

しかしそんな中、やはり彼だけが相沢くんを冷たい目で睨みつけていた。

 

新城「チッ…可哀想ごっこか?虫唾が走る。」

 

嗣宮「…えっ?」

 

犬木「新城テメェ…!!」

 

映雪「新城くん、今のは言い方というものがあるんじゃないかしら。」

 

新城「言い方、か…オレは事実を述べただけだ。そいつは可哀想な人間なんかじゃない。可哀想だとチヤホヤされている自分に酔っているだけの人殺しのクズである事実に変わりは無い。」

 

新城くんの鋭い目が相沢くんを突き刺す。

 

相沢「なっ…!?」

 

新城「車木がお前に殺されることを覚悟していた、という部分については認めてやる。オレはその事を車木本人の口から聞いてるからな。」

 

嗣宮「えっ、どういうこと…!?」

 

新城「実は豪徳寺と会う前にオレはあいつにあの時の仕返しを食らったんだ。そしてあいつに動機ビデオを1度奪い返されてな…」

 

豪徳寺「君は…あの時車木くんとも会ってたのかい!?ならなぜその事を言わなかった!!」

 

新城「殺人事件とは無関係だったからな。どうでも良かったから言わなかっただけだ。」

 

麦畑「ど、どうでもよくないのです!!ちゃんと情報共有はするのです!!」

 

新城「じゃあ次からはなるべくオレが知ってる全ての情報を提供するようにするよ。で、話を戻そう。」

 

〜〜

 

新城「がはっ…!!痛ってぇ…」

 

車木「新城…今のは効いたか?」

 

新城「はは…驚いたな…お前のパンチ力がそこまでとはオレも予想してなかったよ…さてと、どうする?オレを殺すかそれとも動機ビデオを奪い返すか?」

 

車木「元からビデオを返してもらうのが目的だ。それに今すぐテメェをここで殺したらオレが処刑されちまうからな。オレにはお前を殺した事実を隠す余裕はそんなにない。」

 

新城「そうか…なら早く手にとれ、オレの手元にお前のビデオは残ってるぞ。」

 

車木「なるほど…じゃあ早速見せてもらおうか。」

 

新城「……」

 

車木「…なんだと…!?」

 

新城「ほう、その反応…どうやらお前にとって面白い動機が発掘されたみたいだな。」

 

車木「面白い、か。オレが情けを完全に捨てられたクズなら、そう思えたんだろうな…」

 

〜〜

 

新城「車木が自分が殺し屋だったという事実や殺そうとする動機、自分の存在に葛藤していたことについては嘘偽りはない。車木自身は本気で自分が殺されることを覚悟していただろうな。だが、アイツはオレにもうひとつ言い残してきたんだよ。」

 

〜〜

 

新城「へぇ…いや、驚いたな。まさかお前が裏社会伝説の殺し屋だったなんてな…」

 

車木「嫌な記憶を思い出しちまった…」

 

新城「訂正するよ。どうやらお前が見た動機ってのは、相当胸糞悪くなるような代物らしいな。」

 

車木「チッ…あぁ、その通りだ。」

 

新城「安心しろ。オレも気分が変わった。車木の正体や動機のことは誰にも言わないでおいてやるよ。だが…もしお前のことをなにかの弾みで知ってしまったやつがいれば…お前はそいつに殺されるだろうな?そこまではオレも保証出来ないぞ?」

 

車木「ハッ、バカ言ってろ…オレは殺したヤツの遺族から何度も恨み言吐かれたり殺されかけたりしてるんだぜ?それこそどこの家の誰だったか覚えきれないくらいだ。この中にオレが殺した奴の遺族が紛れてるなんて分かりっこねぇよ…」

 

車木「それに、オレはまだ償いを果たしてないんだ。遺族連中やオレが守るべき奴らのためにも、まだ素直に殺されてやるわけにはいかねぇな。」

 

新城「償いか…ただの綺麗事だな。」

 

車木「んなこたぁ分かってんだよ。けど…何もやらないよりはマシだろ。自己満足だろーが偽善だろーが、何を言われようとオレ自身の償いは、自分でちゃんと果たす。もちろん、ここで殺されるってならそれもまた運命…そうなりゃキッパリ死んでやるさ。オレが命を捧げることで、誰かを救ってやったり誰かの命を繋げることが出来るならな…」

 

新城「だが、仮にお前が犯人に殺されたとして、その犯人が他のシロに当てられれば、お前が繋ごうとした命は無駄になるんだぞ?道連れが1人以上増えるのは確実だ。」

 

車木「それもそうだな…だが、全員が道連れになるんけじゃないだろ?だったら犠牲になるヤツはオレと犯人の2人だけでいい。本当はこの場にいる誰も死ななけりゃいいんだがそいつは断念するとして、やっぱ犠牲は少ない方がいいからな!ま、オレが犠牲を減らしたい、誰かを助けてやりたいって思いがそういう奴に伝わりゃいいんだけど。」

 

新城「その目を見りゃ嘘は言ってないようだな…けど言葉が伴ってないな。死にたいのか死にたくないのか、どっちつかずなやつだ…出まかせじゃないだろうな?」

 

車木「へっ、言ってろ。何にせよ表社会じゃ死んでる身だ。今更永く生きようが早く死のうが関係ねー。どっちにしろ、最後までオレはオレを曲げねぇからな。」

 

新城「なるほどな…大した理想の持ち主だな、車木鉄矢…だがそういうオメデタイ理想論を語る人間は嫌いじゃない。」

 

新城「ま、そこは素直に応援するさ。せいぜい苦しみながら生き延びるんだな、キラーダンカーさんよ。」

 

〜〜

 

相沢「車木氏が…そのようなことを…!?」

 

嗣宮「命を捧げて誰かを救う…それが車木くんの償い…!」

 

映雪「殺し屋という仕事をしてきた、そして多くの人の命を奪わざるをえなかった…彼は後ろめたい気持ちがあったからこそ償いの道を選んだのね…」

 

坂田「なぁ、車木の言うてた事は分かったけど、それが何で相沢のことが同情出来ないクズってことになるんか?」

 

新城「正直オレはあの時車木のことを見くびってたよ…だが奴と話しているうちに、車木は過去に自分のしてきた事に悩みながら自分なりにケジメを付けようとしていた…生きようが死のうがいずれは誰かを救うために、自分の出来ることを果たそうとしていた奴だった…もっとも、その志を行動に移す前に死んでしまったが…車木は超高校級の称号に相応しい志を持っていた。」

 

犬木「じゃあ…相沢はどうなんだよ?」

 

新城「はっ、それに比べて相沢はどうだ?一時の復讐心に身を駆られて車木の真意すら理解せず、話もまともに取り合おうともせずに単に仇だったからという短絡的な考え方で殺害に至った…結局のところそいつは、大義名分だけは立派で内面は復讐をしている自分に酔いしれていただけの哀れな小物でしかないんだよ!」

 

相沢「!!」

 

星野「けど、今までの話からして車木だって相沢に殺される前に全てを話そうとはしなかった感じだっただろ?仮に話したとしてそれは相沢から見りゃ車木の言い訳にしか聞こえねーだろうから車木はわざと黙ってたんじゃねーか!」

 

木崎「確かに、その点を考えるとやっぱり相沢くんを責めることは出来ないんじゃ…」

 

新城「もちろん、立場上車木は弁解出来なかった、相沢の殺意が衝動的だったという不可抗力的な側面があったのも事実だ。そして相沢が復讐心を心の支えにしていたのも間違いは無い。事実あいつが車木を殺した時には相当な達成感を得ただろうな。だが今はどうだ?復讐を終えたところで相沢は何か生きる希望はあるのか?」

 

相沢「そ、それは…」

 

光明寺「ゆうまくん?」

 

相沢「……」

 

音無「あ、あのう…何で…話さないんですか?」

 

豪徳寺「君には小説を読んでくれているファンがいるだろう!彼らのことは生きがいにはならないのか?」

 

相沢「ファン…?あぁ…あ、そうか…ファン…でも…ぼく…本当に…ファン…大事だった…かな…」

 

海道「相沢くん!しっかりしてよ!!」

 

嗣宮「ねぇ相沢くん!!相沢くんは…本当に復讐だけが生きがいだったの…!?超高校級の小説家じゃなかったの!?」

 

相沢「しょう…せつ?」

 

麦畑「そうなのです!!優馬お兄ちゃまは読者がたっくさんいる人気の小説家なのですよ!!」

 

相沢「でも…ぼく…小説なんか…それより…あいつは…これから…でも…」

 

モノクマ「そうだね、相沢クンにこれからはないもんね。」

 

豪徳寺「まさか…処刑か!」

 

モノクマ「もちろんだよ!忘れたわけじゃないよね、うぷぷぷぷ…」

 

相沢「そっか…ぼく…車木くんの気持ち…踏みにじっちゃったんだ…」

 

星野「くっ…相沢ぁ…!!」

 

豪徳寺「相沢くん…くそっ、本当にやりきれないよ…!!」

 

木崎「なんで…なんでこうなっちゃうの…!?」

 

嗣宮「…くぅぅっ…!!」

 

新城「……………」

 

相沢「じゃあ…ぼく…なんで…なんのために……」

 

精神が完全に崩れ去った相沢くんを見て、僕は拳を握りしめる。

 

相沢くんが本当は空虚な人間だったことを…車木くんの思いを虚無へと作り替えてしまったことを…空虚な人間が行き着く先は…生きていても死んでも絶望が待ち受けているということを、僕らは思い知らされたのだった。

 

悔しい思いを胸に抱え、僕らはこれから着実に死へと進みゆく相沢くんを黙って見つめる他なかった…

 

モノクマ「えーそれでは…超高校級の小説家、相沢優馬くんのためにスペシャルなおしおきを用意させて頂いただきましたよー!!」

 

相沢「ぼく…ぼくは…」

 

モノクマ「では、張り切って行きましょう!おしおきターイム!!」

 

相沢「ぼくはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」

 

相沢くんの悲痛な叫びが、裁判場にこだました。

 

GAME OVER

アイザワくんがクロにきまりました。

おしおきをかいしします。

 

相沢くんはヨロイを着せられながら、空虚な表情で不気味な古城の内部を歩いていた。

彼の目の前には巨大なドラゴンが佇む。ドラゴンは2つに首がわかれており、凶悪そうな眼差しで相沢くんを見下ろしている。

 

相沢くんは腰の武器…巨大な刃を取り付けたペンを模した槍を装備していた。彼は目の前のドラゴンに恐れを感じなかったのか、何も言わずに近づき龍に斬りかかろうとしていた。

 

超高校級の小説家 相沢優馬処刑執行

AIZAWA FANTASY

 

ドラゴンも相沢くんの殺気に勘づいたのか、その巨大な鋭い爪が相沢くんを襲う。相沢くんはそれを避けようともしなかったのか、ドラゴンの強烈な一撃をモロに食らった。

彼の鎧の胸部はコナゴナに砕け散り、胸には爪痕と血痕が残されていた。

 

胸を抉られかけたというのに痛みに悶絶すらせず、生気を失った表情でまだドラゴンに立ち向かい続ける相沢くん。ドラゴンの方も相沢くんを弄ぶかのように相手し、彼をいたぶり続ける。

 

ドラゴンが片方の首で相沢くんを叩きつけてはすかさず相沢くんもペンを腕や腹に突き立ててダメージを与え、もう片方の首で噛み付いては相沢くんもドラゴンの舌にペンを突き立てる。しかし、その力の差は明らかであり、ドラゴンの強烈なパワーによって相沢くんは一方的に蹂躙され、城の床は相沢くんの血で滲み、相沢くんも肩や腹から血を流して満身創痍の状態に陥る。

 

相沢くんは最後の悪あがきと言わんばかりに全力でペンをドラゴンの心臓目掛けて投げつける!

 

そしてドラゴンの方もトドメと言わんばかりに、片方の首から火炎のブレスを、もう片方の首から吹雪のブレスを、相沢くんに向けて力強く吐き出した!!

 

グシャッ

 

グシャグシャッ

 

何かが壊れる音が古城に響く。

 

鎧が炎と氷の二重奏によって砕け散り、相沢くんの姿も血と炎と氷で滲みボロボロになっていた。相沢くんは立ち尽くしたまま表情を変えることなく死んでいた。

ドラゴンの方もペンを心臓に突き立てられ、二度と動かなくなっていた…

 

こうして勇者になり損ねた愚者、相沢優馬の冒険はここで幕を下ろすことになったのだった…

 

モノクマ「おお勇者よ…死んでしまうとは情けない…」

 

音無「いやぁぁぁぁぁ!!!相沢さぁぁぁぁぁん!!!」

 

光明寺「あ、相変わらず残酷だぁ…」

 

神父姿のモノクマが相沢くんを棺桶に入れて祈りを捧げている。

 

2度目の処刑が終わった…

相沢くんは死の間際までどんなことを思っていたのだろうか…

生気を感じられないような様子で、何を思いながら処刑に望んだのだろうか…

 

やるせない思いが僕の胸の中に残っていた。

 

モノクマ「本当はこの前みたいにエクストリーム!って思い切り叫びたかったけど、今回は空気を読んで厳かにさせていただきましたぞ!うぷぷ……」

 

麦畑「うぅっ…優馬お兄ちゃままで…」

 

木崎「もう嫌だよ…こんなの…」

 

星野「くっそ…がぁっ…!!」

 

モノクマ「ほらほら、オマエラ辛気臭いムードはよそでやりなよ!こちとら本の修繕で忙しいの!後は部屋で思う存分泣けばいいから、今日はもう学級裁判は店じまいだよ!!」

 

モノクマはそう言うと涙を拭っている僕たちを強引に追い出した。

 

僕もここにいたらまた処刑のことを…殺される直前の相沢くんを思い出してしまうかもしれないと思い、今日のところはもう部屋で休むことにした。

 

光明寺「ひなちゃん大丈夫〜?涙で顔グズグズだよ?」

 

麦畑「ひぐっ…ぐすっ…平気…なのです…」

 

坂田「あかんやん…辛かったらウチ傍におろか?」

 

音無「あ…あの…わ、私も…いいですか?」

 

豪徳寺「しかし、今回の事件…どうにも後味が悪いな…」

 

映雪「ええ…人の過去が絡んでいるのだから余計にね…」

 

犬木「なーんか、スカッとしねーよな…アタシ、なんだかまだ腹がムカムカするぞ…」

 

海道「とにかく、今日はもう休もう。今は少しでも気持ちを楽にしなくちゃ。考えれば考えるほど余計気が重たくなるからね…」

 

星野「だな。今のモヤモヤは今解決しなくちゃなんねー。オレらが今できることはただ1つ、寝て気分スッキリさせるとすっか!」

 

新城「…お前にしては賢明な判断だな。」

 

星野「はぁ!?なんだよそれ!!」

 

新城「なんだ、珍しく褒めてやったつもりだが?」

 

海道「落ち着いて!2人とも、喧嘩はダメだよ!」

 

新城「はいはい、悪かったな。じゃあオレも戻らせてもらうか。」

 

星野「チッ…なんだよあいつ…まぁいいか。おーい、相棒!木崎!早く寝ようぜー!!」

 

嗣宮「うん、今行く!」

 

他のみんなが寄宿舎に戻る頃、僕と木崎さんは重い足取りで寄宿舎へ帰って行った。返事は威勢は良かったが、肝心の体が伴っていなかったんだ。

 

木崎「…あのさ、嗣宮くん。」

 

嗣宮「木崎さん…?」

 

木崎「…もし、相沢くんがもっと冷静になれて…車木くんの話を聞いていたら…」

 

嗣宮「…それでも、相沢くんは迷わず復讐を選んでたんじゃないかな…?」

 

木崎「けど…もちろん、人を殺すことは悪いって分かってるけど…それでも、あの二人がちゃんと分かり合えたら…こんなことにはならなかったって思って…」

 

嗣宮「…そう、だね。僕も…そう思うよ。」

 

木崎さんと僕は俯きながら、寄宿舎への道のりを歩いていった。空はいつの間にか深く暗くなっていた。

 

〜寄宿舎 side 星野〜

 

星野「…」

 

星野「…どうすりゃいいんだろうな。」

 

星野(車木は自分の過去に苦しんで、それでも最後まで自分の志を胸にしながら死んでいった。)

 

星野(相沢は自分の目的をやり遂げた後、自分には何が残されているのからそんなことを考えずに自分から破滅の道を歩んで死んでいった。)

 

星野(オレにはアイツらの苦悩が分かんねー…分かってやりてーが、結局アイツらのみぞ知ることだよな…)

 

星野「…オレもまだまだだよな。結局は…」

 

星野「でも、オレは誰かの恨みを受け止めることになったら、オレは迷わず受け止めてやりてー。けど、薄情かもしれねーがオレは誰かのために命を捧げるマネも無理だ…」

 

星野「…だったらオレは、仲間の恨みを受け止めた上で、生き残る道を探していくしかねーな…!」

 

星野「…聞いてるか?これがオレなりの答えだぜ、相沢、車木…!」

 

〜〜

 

豪徳寺「少しいいかな、嗣宮くん。」

 

一足先に戻っていった木崎さんと別れてから僕も寄宿舎に戻り、自分の部屋で休もうとしたら豪徳寺くんに呼び止められた。

 

嗣宮「あ、豪徳寺くん…」

 

豪徳寺「裁判中に話しそびれた新城くんとのゲームについてだが…実はゲームをしていた時、彼の素性が分かってしまったのだよ。」

 

嗣宮「新城くんの素性…!?」

 

豪徳寺「あぁ…だが、これを君に話しておくべきか…今悩んでいるところだが、聞きたいとは思わないか?」

 

嗣宮「そりゃ聞いてみたいけど…聞いたら新城くんがどうなるか…」

 

新城「オレは別に喋られても構わない。今ここで自分の才能をバラされてもオレにはなんの問題もないからな。」

 

嗣宮「そうなの?じゃあえっと…君、自分の超高校級の才能って、一体…」

 

新城「そうだな…オレは『超高校級の''ゲーマー''』と呼ばれている…と言っておく。」

 

新城くんはそれだけ言うと寄宿舎の自分の個室へとこもっていった。

 

嗣宮「超高校級の''ゲーマー''…豪徳寺くんはこれを聞いていたんだよね。」

 

豪徳寺「ああ…だがまさか彼がその正体だとは思わなかったよ。彼も殺された車木くん以上に伝説を残していたからな…」

 

嗣宮「そんなに凄い人なの…?」

 

豪徳寺「いや、凄いなんてものじゃない…超高校級のゲーマー…新城柊弥は名前こそ表に出さなかったけれどクリア不可能と言われたゲームの謎を解いたり政府が闇に葬ったゲームソフトの存在を言い当てたり…数々の彼に関する都市伝説が出回っていたレベルだったからね…嗣宮くんも、彼と関わる際には気をつけた方がいい。」

 

豪徳寺くんはそれだけ言うと寄宿舎の自分の個室へ戻っていった。

 

超高校級のゲーマー…新城柊弥…か。

 

新城くんは何を目的に、このコロシアイを生き残ろうとしているのだろうか…




Chapter.2 そして勇者は絶望と呼ばれた END

残り生存者数 12名

黒幕は誰だと思いますか?

  • 嗣宮新
  • 櫻坂香子
  • 海道瑞樹
  • 犬木律花
  • 相沢優馬
  • 坂田英美里
  • 浜垣純也
  • 映雪雪菜
  • 車木鉄矢
  • 光明寺朱里
  • 豪徳寺大夢
  • 音無仁梨
  • 星野由宇樹
  • 麦畑・ティファニー・妃乃
  • 新城柊弥
  • 木崎友梨奈
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