ダンガンロンパ ロストワード   作:りょうぴー(創作論破書き)

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〜超高校級のゲーマーの研究教室〜

新城「……」

新城「…麦畑、海道。」

新城「オレが今さら謝ったところでお前らが生き返る訳でもないし…お前らにとってオレは謝っても許されないことをしたってことくらい自覚している。」

新城「だけど、これだけは言わせてくれ…『本当にごめん』。」

新城「それと、今からオレがやることは、多分お前らとしちゃ許されないことだろうな。それももちろん自覚しているよ。」

新城「…もうひとつ、ついでに置き土産っていう迷惑をかけることになるが…それについては返す言葉もない。」

新城「せっかく海道が更生の言葉をかけてくれたのに…オレはそれをふいにすることになるな。けどオレはこんなやり方しか知らないから、こうすることしか出来ないんだ、悪く思うなよ。」

新城「オレにとってのケジメの付け方は、自分の命で責任を取るっていうやり方しか知らないんだ。」

新城「だが、叶うならばあの世でお前らに会えたら…オレは謝りに行くよ。」

新城「もっとも…オレはお前ら含めて多くの人を巻き込んで殺してきたんだ。地獄行きは確定だからお前らみたいに天国で会える訳でもないが…な。」

新城「…もしこの計画が失敗したら…いや、成功しようがオレは確実に命を落とすだろう。オレはどうなっても構わないが、美冬を一人遺すのは忍びないな…」

新城「嗣宮、星野、映雪、木崎、豪徳寺、犬木…」

新城「もしお前らが計画を止められたら…お前らに妹のことを託してやる。」

新城「オレ自身は憎い仇だろうが、アイツはオレにとっちゃたった一人の可愛い妹なんだ…アイツに罪は何一つない。」

新城「お前らには迷惑を掛けたが、せめてアイツのことは助けてやってくれたらな…なんて。」

新城「こればかりはヤツらが憎い奴の妹を助けるような馬鹿でお人好しであることを、オレがひたすら祈るしかないようだな…」

新城「さぁ、ここからは罪に浸る可哀想ごっこを続ける自分も、妹思いのごく普通のお兄ちゃんも封印だ。憎くて卑劣な悪党として…1人の『超高校級のゲーマー』としての新城柊弥の出番が幕を開ける。」

新城「いや…この舞台にフィナーレを迎えさせてやる…!!」





海道くんと麦畑さんが犠牲になったあの事件が幕を閉じてからというものの…

僕たちはいつものようにトレーニングをしていた。

星野「1、2、3、4、5、6、7、8…」

嗣宮「はぁ、はぁ、はぁ…」

映雪「ふっ、ほっ…」

豪徳寺「ぜぇ、ぜぇ、はぁ…」

映雪さんもトレーニングに加わってから、ますます僕らは体が鍛えられるような感覚がしてきた。

豪徳寺「じ、準備運動だと…先程言ったばかりだよな…?」

星野「おいおい、もうバテてんのか?だらしねーな。」

映雪「あなたの強靭な肉体はどうやって作られてるのかしら…私もあなた位タフになれれば良いと思うのだけど…」

嗣宮「え、映雪さんが…?」

映雪「…何か言いたげね。」

犬木「よう、星野。トレーニングやってんのか?」

星野「その声…犬木か。そんなとこだな。」

犬木「やっぱそうか。なぁ、アタシも一緒にトレーニングしていいか?」

星野「おう。歓迎するぜ!」

豪徳寺「犬木さん…まさか君も参加するとはな。」

映雪「あなたも体の鈍りを気にしているのかしら?」

犬木「まぁ、それもそうなんだけどよ…それ以上に心も一緒に鍛えてーんだよ。」

映雪「心を…?」

犬木「アタシは強くなるっていう目標を建てたんだ。今まで嗣宮の推理や星野のリーダーシップが頑張ってみんなを導いてんのにアタシがなんも出来ねーのが少し悔しいんだよ。」

星野「んなこたねぇって。オレは相棒と比べりゃ声がでけー明け透けなヤツだぜ?」

嗣宮(いや、大学へ飛び級進学してて宇宙飛行士訓練生ってだけでも僕なんかより全然すごいと思うんだけど…)

映雪「けれど、2つ前の学級裁判で私と嗣宮くんの代わりに推理してくれたのはあなたでしょ?」

星野「まぁそれはそうなんだけどよ。」

犬木「とにかく、目標を立てて行動するのは体と心を鍛えるための近道だって団長も言ってたんだよ。だから今更だけど、アタシもアンタくらい強くなるって目標を立てて行動することにしたんだ!」

星野「そっか。じゃあオレも協力すっぜ!」

豪徳寺「はは…ますます賑やかになりそうだな…」

皮肉なことだけど、海道くんと麦畑さんは結果的に命をもって僕らの団結力を固めてくれたんだ。僕も彼らの遺志をついで、厄災に負けないような存在にならなくちゃな…

犬木「お?なんだあの数字…」

嗣宮「え!?何か見つけたの!?」

犬木「自慢じゃねーけどアタシはタカより目が利くんだよ。あっちに5桁の数字が書いてあるだろ?」

映雪「それなら私たちがトレーニングに参加する前から星野くんが見つけてたわよ。」

犬木「んだよ、アタシが初めて見つけたんじゃねーんだな…」

豪徳寺「あの数字か…あれはいつの間に増えたのかね?」

映雪「確か前は11と37だったわよね。」

犬木「へー、んで今回はなんなんだ?」

星野「えーと…今回は…真ん中に0か?」

嗣宮「…11037、か。」

映雪「この数字は、何を意味しているのかしら…」


Chapter.5
99%の絶望、1%の希望 (非)日常編


Chapter.5 99%の絶望、1%の希望 (非)日常編 

木崎「豪徳寺くん、前に回収したひみつデータ、後で解析出来るか試して欲しいんだけど…」

 

豪徳寺「無論だ。あの時は例のあの騒ぎと学級裁判で有耶無耶になってしまったが、今度は解析に着手できるはずだ。」

 

嗣宮「助かるよ。何にせよ1回朝食を食べてから作業に移ろう。僕も手伝うよ。」

 

犬木「だな。まずメシにしよーぜ。ハラが減ってりゃイクサは出来ねーって言うだろ?」

 

星野「そういや昨日の夜から何も食ってねーな…裁判のことで頭いっぱいだったからな…」

 

いつものように食堂へ向かうと、既に木崎さんが食事をとっていた。

 

星野「よっ、オレらも飯食いに来たんだ。いいか?」

 

木崎「おはよう、星野くん、みんな。冷蔵庫に用意してあるよ。」

 

犬木「へへへ、メシだメシだ〜!」

 

星野「今日は肉か?魚か?野菜か?オレは何でもウェルカムだぜ!」

 

映雪「犬木さん…あなたは麦畑さんと海道くんが死んだというのに、明るくいられるのね…」

 

犬木「あ?そりゃそーだろ。いつまでもメソメソしてっと海道と麦畑に迷惑かけちまうからな。」

 

犬木「こんなに人が減っちまって、寂しくないなんてこたぁねーけど、立ち止まってばっかじゃ居られねーぜ!」

 

星野「犬木…そうだな。オレらは海道から託された身だ。それに、麦畑からも厄災にならないように願われてる身でもある!」

 

映雪「…そうね。もっともだわ。」

 

豪徳寺「死んだ仲間の思いを乗り捨てず、引きずる事が僕らの原動力になっている…ということなのだよ。」

 

木崎「…強いんだね、みんな。」

 

嗣宮「木崎さんも、強い人だよ。人の死に涙を流すことが出来る、聡明な人だって思うんだ。」

 

木崎「そんな、私は大した人間じゃないよ…私はただ…」

 

豪徳寺「ふっ、謙遜せずとも良いじゃないか。君の優しさは君にとって立派な誇れるもののひとつなのだからな!」

 

木崎「こ、困るよ…でも、ちょっと嬉しいかも…」

 

いつものように談笑を交わす。

 

そんな中、彼はいつものようにやってきた。

 

新城「…」

 

例のあの本を持ってきて。

 

星野「…新城。」

 

新城「何だ。オレに朝食を摂る権利が無いとでも言いたいのか?」

 

犬木「別にそうじゃねーけどよ…その手に持ってる本、アレだよな?」

 

新城「トゥモローアカデミー殺人事件の三部だ…それを読んでみろ。実に面白い事実が書いてあるんだよ。」

 

木崎「そ、そうなの…?私たちにも見せてもらえるかな。」

 

新城「言われなくてもお前らに見せるつもりだ。存分に見るといいさ…」

 

それだけ言うと新城くんは本を僕らの近くに置いて手にカスタードパイを取り食堂を去っていった。

 

豪徳寺「ふむ、忙しないものだな…」

 

映雪「…さっきの新城くんの様子、変じゃなかった?」

 

嗣宮「確かに…新城くんにしてはいつもより素っ気なかったような…」

 

豪徳寺「意味深な発言も残してはいなかったな。どうも彼らしくないような…」

 

星野「マジでアイツが何考えてるのか、オレらにゃ分かんねーな。」

 

犬木「なぁ、それより見てみようぜ。アタシもここに書かれてることは気になるしよ。」

 

犬木さんに急かされて星野くんは新しいページをめくる。

トゥモローアカデミー殺人事件…厄災が巻き起こしてきた暗躍の証明になる物語。

いよいよこの物語も佳境に突入するのか…新しいページにはどんな展開が待ち受けているって言うんだ…!?

 

明日守学園 超高校級の厄災事件 報告書

 

著:希望機関総督、第1支部長 セイジ・コールブランド

 

星野「やっぱ…トゥモローアカデミーは明日守学園のことなんだな…」

 

豪徳寺「…あれは現実に起きたことなんだと…今更ながら改めて現実に起きたことだと実感させられるよ…」

 

星野「だな…けど希望機関って一体なんなんだろうな…」

 

嗣宮「分からないけど…多分、厄災に立ち向かう人々のことじゃないかな?」

 

木崎「セイジ…」

 

嗣宮「…どうしたの、木崎さん?」

 

木崎「…あっ!ごめん、なんでもない。どこかで聞いたことがある名前だなーって思って…」

 

映雪「聞いたことある…?確かに、このセイジという人の苗字は見覚えがあるわね。」

 

犬木「見覚えのあるって…あー、あの学園長のことか?」

 

豪徳寺「確かにこのセイジという人は希望機関の総督であると同時に元学園長のエミリオの関係者なのだろう。おそらくは息子なのだろうな。」

 

星野「そりゃこれから読めば分かるだろ、それじゃ読んでくぜ…」

 

学園長の息子さんが残した報告書…これは僕らに何を意味するんだろうか。新城くんは面白いと言っていたみたいだけど…一体、どんな事実が書かれているんだ…?

 

 

 

私の名はセイジ・コールブランド。希望機関のリーダーにして元・超高校級の生物学者だ。

 

豪徳寺「元・超高校級の生物学者…!?彼は明日守学園の卒業生だとでも言うのか…?」

 

大学の准教授にして明日守学園学園長でもあった我が父エミリオが超高校級の厄災、水無月藍良の襲撃に遭い命を落としたという報せを聞き、当時ひとりの学者として活動していた私は父の理不尽な死と厄災の驚異に激しく憤り、妹の静止も聞かず余儀なく父の仇討ちに走ることになった。

 

父が水無月から奪還したという、死の間際に遺したこの手記を回収し、私は父の無念を晴らすために今回の事件の全貌を書き留め、この手がかりを基に打倒厄災を掲げることを決意した。

 

父の仇討ちと厄災の排除を掲げた我々はその日から世界各地に共に厄災打倒を志す同士を募り、『希望機関』という厄災に覆われた世界の救世主となるべきもの達同士による徒党を組み、戦力は僅かながらでも厄災たる水無月一派の討滅に尽力し、厄災に囚われた明日守学園の生徒や大勢の世界の人間を救うことを決意した。

 

映雪「希望機関は厄災と戦い続けていたのね…」

 

豪徳寺「過去の記録とはいえあの厄災と呼ばれる思想に立ち向かうレジスタンスはいたのだな…世界もまだ捨てたものでは無いようだ。」

 

嗣宮「…でも、この後希望機関はどうなったんだろう…」

 

犬木「今アタシたちがコロシアイに巻き込まれてるってことは…」

 

木崎「……覚悟しなくちゃいけないかも。」

 

星野「縁起でもねーこと言うなよ。とにかく読み進めんぞ。」

 

厄災化した生徒の襲撃は留まることを知らず、私たちをジワリジワリと苦しめ続ける。未だに身も心も厄災に染まっていない生徒はごくわずか、彼らのことは何としても死守しなくてはならない。現在保護されている生徒には、希望機関の仲間の身内も存在する。家族を厄災に染めないためにも、我々が彼ら生徒を守り抜かねばならない。

 

嗣宮「ま、守られるべき生徒って…!!」

 

星野「これって、オレたちの事だよな…!?」

 

木崎「希望機関の皆さんは厄災の間の手からみんなを守ろうとしてた。それは紛れもない事実だね。」

 

犬木「でもアタシたちは今こうしてコロシアイに巻き込まれてるんだぜ!?それはどう説明されんだよ!?」

 

ほとんどの学生が水無月藍良の手に落ち、厄災と化した現状だが、彼女の厄災増殖について分かったことがある。彼女1人には洗脳を広める能力はないようで、超常現象を引き起こしたり化学兵器やオーバーテクノロジーを操る機械を作る技術や制圧力を有していても人心掌握術までは長けていないらしい。どうやら水無月には協力な支援相手がいるようだ。

 

1人は水無月の「最愛の相手」たる少年、『超高校級の厄災』古木進。彼は水無月の恋人で、水無月が厄災に目覚めてからというもののずっと彼女と共に学園を厄災で支配すべく暗躍していた。大量洗脳は彼の能力で、何かしらの媒体を利用して厄災を広めたとされているようだ。

 

豪徳寺「水無月藍良には恋人がいたのか…」

 

犬木「ゲンキョーの癖に一丁前にリア充なんだな。」

 

映雪「リア充がどうのこうのは、今は関係ないでしょう。」

 

もう1人は正体不明の人物。肩書き不明で水無月一派でも水無月藍良と古木進の前にしか姿を表さないようだ。

 

嗣宮「古木進と…正体不明の協力者!?」

 

星野「誰だかわかんねーけど、そいつも水無月と同じ超高校級の厄災ってことに違いはなさそうだな…」

 

木崎「そう…だね…」

 

犬木「気になるぜ…古木も正体不明の奴もよ…」

 

豪徳寺「3人が超高校級の厄災の主犯格か…彼らがこのゲームに僕らを巻き込んだんだな。」

 

嗣宮「でも、なんで僕らが選ばれたんだろう…」

 

映雪「どうやら…その理由も次のページで判明するようね。」

 

豪徳寺「な、なんだと!?」

 

星野「次のページにオレらがこのコロシアイに巻き込まれた理由が…あっ!!」

 

嗣宮「こ、これは…!!」

 

次の瞬間、僕らの目に飛び込んできた記述は、僕らにとって衝撃的なものだった。

 

 

 

自体は最悪の展開を迎えてしまった。我々が保護していた学園の生徒が、見えざる内通者…

 

 

 

 

 

いや、我が妹、ジュリアによって厄災の手に渡ってしまった。

 

豪徳寺「な、内通者とは…セイジの妹だったのか!?」

 

映雪「希望機関からすれば灯台もと暗し…自分の家族が厄災に堕ちたとは予想すらつかなかったでしょうね…」

 

ジュリアから彼らを厄災に引き渡した理由を問い詰めた所、案外素直に答えが返ってきた。「かつて失われた死のゲームを再び甦らせる」…そしてそのゲームを見せしめに使い、厄災に怯える人々の心を恐怖と絶望と厄災で満たす…ということらしい。

 

水無月は享楽的な人物だ。彼女の目論む失われたゲームの開催の目的も厄災を広めるための手段に過ぎない。我々の明日を守る希望たる彼らをみすみす死なせる羽目になるとは、我々の力不足が嘆かわしいばかりだ…!!

 

犬木「あ…アタシらは見せもんのためにコロシアイをさせられてたってのかよ!!?」

 

嗣宮「それじゃあ、今までコロシアイ学園生活で死んだ人たちは…」

 

豪徳寺「水無月藍良達、厄災にとっての見世物になっていたというわけだな。」

 

映雪「人の命をサーカス団のピエロだと思っているだなんて…許せないわ。」

 

星野「あぁ…みんな、アイツのために犠牲になったんだよな…マジで許せねぇよ…絶対にアイツに一泡吹かせてやる、水無月藍良…!」

 

木崎「……」

 

謎の死のゲームを止めようと我々も動かんとしたが、厄災に染められた学園の生徒達の暴動は止まらない。連日の戦いに戦力を削がれ、消耗しきった我々の虚を突くかの如く、我々希望機関に深刻な爪痕を残してゆく。

 

厄災の力は希望機関だけで抑えきれないほどに膨れ上がっている。物資の数も敵の戦力も全て厄災側が圧倒的に勝る。このままでは我々に勝ち目がないことは火を見るより明らかだ。

 

星野「…次のページで最後みてーだな。」

 

嗣宮「…急に書いたのかな。最後の方だけ字が少し乱れてる…」

 

ついに水無月藍良達が、我々希望機関と明日守学園への侵攻を開始した。

水無月、古木、ジュリアはどうやら明日守学園を死のゲームの舞台にするとの事らしい。

 

我々はこれを最後のチャンスだと睨み、最後の反撃を仕掛けることにした。

しかし、それもあえなく失敗に終わった。やはり消耗しきった我々の戦力では、厄災に何一つ対抗すら出来ないということらしい。

 

結果として我々は生き残った残りメンバーで逃走し、明日守学園を放棄しなければならないという苦渋の決断を迫られることになった。つくづく我々の不甲斐なさと能のなさが悔やまれるばかりだ…

 

以上が全ての報告だ。この手記を水無月が手に取った所で取るに足らないものと判断して破り捨てるか手に取ることすら放棄するかは私にも分からないが、もしこの手記が運良く奴らに見つからなければ…厄災に染まらずにいた者に頼みたいことがある。

 

星野「た…頼みたいこと…?」

 

この学園には『学園内で結果的に使われることは無かった厄災用の兵器の材料』が残されている。

 

死のゲームの舞台となり血で染まるであろうこの学園を破壊して欲しい。

 

厄災に気づかれる前に、頼む。

 

これを見たら、どうか…

 

嗣宮「…文はここで終わってるみたいだね。」

 

星野「いや、ちょっと待て!!爆薬とか悪性データって…んな物騒なもんこの学園にあんだよ!!」

 

豪徳寺「だ、だがこの学園に爆薬のある部屋なんてあるのか…?…あ、いや…確かに武器や毒薬のある部屋ならあるにはあったな…」

 

犬木「そういや新城って、アタシ達にこの本を見せたあと直ぐにこの部屋を出てったよな…」

 

映雪「…確かにそうね。ということは…」

 

木崎「し、新城くんはもうそれをかぎつけて…」

 

映雪「既にこの学園の破壊を計画しているんじゃないかしら…」

 

木崎「だ、だとしたら私たちごと死んじゃうよ!!」

 

嗣宮「そ、そんな事って…」

 

犬木「し、死にたかねーよ!!アイツ、アタシらも殺すつもりで動いてやがんのかよ!!くそぉーーーーっ!!!!」

 

豪徳寺「ひ、ひいぃぃぃ!!!終わりだ、もう終わりだぁ!!!」

 

新城「何が終わりなんだ?」

 

星野「し、新城…!!」

 

豪徳寺「うわぁぁぁぁぁ!!!し、新城くん…!!!」

 

新城くんはいつもの仏頂面で僕らを見ていた。が、彼には爆弾の用意どころか手には開封済みのキャンディの袋を手に持ってるだけだった。

 

木崎「学園を壊そうとしてるんじゃ…無かったの?」

 

新城「何の話だ。オレはお前らに話があるから戻ってきただけだ。1回外に出たのは気晴らしに散歩するためだ。」

 

犬木「な、なんだよ…ビックリしたぜ…」

 

星野「で、話ってなんだよ…」

 

新城「いや…ここでお前らに聞いておくことがあってだな。なに、そう難しい話じゃない。たった一つのオレの質問に答えて貰えればいいだけだ。」

 

嗣宮「…質問?」

 

新城「ああ。とその前に前提の話をひとつ…オレは麦畑と海道の死に直面して、『人のために命を掛けられる人間』、『自分の心の弱さと罪を受け入れられる懐の深い人間』…この2人の人種からオレは偉大な心の持ち主がこの世にいたものだと深く感銘を受けたな。」

 

犬木「んだよ、テキトーなこと言いやがって…」

 

豪徳寺「君の出まかせじゃないだろうな?」

 

新城「嘘じゃない。オレ自身、本当に海道の心の広さと優しさ、麦畑のちっぽけながら偉大な勇気に心を打たれたんだ。だからオレも、オレなりの形であの2人を見習ってひとつ何かしようかと考えてだな…」

 

星野「それってなんだよ。とにかく本題に入れって。」

 

新城「分かってる。むしろ今からが本題だ。」

 

木崎「今からが本題って…どういうことなの?」

 

新城「オレは海道のような広い心を持って自分の弱さと罪を受け入れて、麦畑のようなちっぽけながら偉大な勇気を持った行動を取りたいんだ。なんて言ったら…お前らは信じてくれるか?」

 

映雪「…どういうつもり?」

 

新城「言葉の通りだ。お前らはオレの罪を受け入れる宣言と勇気を持った行動をとる宣言、このふたつを信じてくれるか?という単純な質問だ。」

 

嗣宮「新城くん…君は何を言ってるんだ?いきなりなんでそんな話を…」

 

新城「…まぁ、オレの言ってることは普通に信じて貰えないだろうな。それくらいは分かっていたさ…」

 

嗣宮「いや、別に信じないとは言ってないけど…」

 

犬木「自覚はあんだな…」

 

豪徳寺「普段の君の行いに原因があると分かっているならなぜ今まで改めなかったんだ…」

 

新城「まぁそんな事、今更掘り返した所でオレの弁明にしかならないから野暮だろう。じゃあ代表して星野に聞こう。星野はオレが今言ったことを信じるか?」

 

木崎「…どうして星野くんに聞くの?」

 

新城「オレに講釈を垂れるほどの動きを見せたんだ。お前ならオレの言うことに対して何か言葉をくれると思ってだな。で、お前はどう思うんだ?星野。」

 

星野「……」

 

星野「…分かった。新城、オレはお前を信じるよ。」

 

嗣宮「星野くん!?」

 

映雪「…その目、本気のようね。」

 

新城「…!信じてくれるのか…?」

 

星野「あぁ。お前が本当に心を打たれたかとかはまだ怪しいってのは否定できねーがよ…それでも、新城が行動を起こすまではオレは判断できねーと思ってる。それに…麦畑や海道の思いがアイツに伝わったってんなら、アイツらも少しは浮かばれるかもしんねーだろ…?」

 

新城「…そうか。まったく…星野、お前のお人好しには呆れるぜ。」

 

星野「んだよ、まぁお前がどんな形で行動を起こすかは知らねーけど…オレもお前を信じたいからな。だからオレもお前を信じさせてくれよ。」

 

新城「…フッ…とんだバカに巡り会ったもんだが…お前みたいなバカは嫌いじゃないな。」

 

新城「…ありがとう。それから…」

 

星野「お、どうした?」

 

新城「…すまないな。」

 

新城くんが小声で呟いたと同時に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

閃光と轟音と共に、凄まじい揺れが巻き起こり…

 

僕らの視界はそこで途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星野「う……くっ……!!」

 

一体、何が起きたんだ…?

 

オレはいつの間に気絶させられて…体を壁側に投げ出されたんだ…?

 

いや…それより……今のって…爆弾…だよな…?

 

新城のヤツが仕掛けたのか…!?

 

星野「相棒、みんな、大丈夫か…!?」

 

オレは未だに気絶してるみんなを見渡す。幸い息はあるようだけど、爆風で叩きつけられたせいで前後不覚みてーだ。

 

嗣宮「……っ…!うっ…体が…まだ痛む…」

 

映雪「くぅっ……頭がまだフラフラするわね…」

 

犬木「危ねぇ…打ちどころが悪かったら死んでたかもしんねーな…背中で済んで良かったぜ…」

 

豪徳寺「くそっ…!!痛たたた…爆風で吹っ飛ばされた衝撃で思うように立てないな…」

 

木崎「うぅ…視界が…歪んでる…」

 

新城「……ふっ…」

 

新城「くっ…ふふふふふふ…ふはははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!」

 

星野「くそっ…!!おい新城、お前どういうつもりだよ!!!」

 

新城「何のつもりかって…?ふふ…決まってるだろ…」

 

新城「厄災の情報は十分知れた、このゲームも十分楽しめた。だがこんな不条理に塗れたゲームにはもう飽き飽きだ。だから…このゲームに終止符を打つんだよ。」

 

犬木「し、終止符…!?」

 

新城「今の爆弾はあくまでもほんの一部だ。オレは既にこの学園中に爆弾をしかけてある。さっきのは爆弾が湿気ってないかをチェックするためのデモンストレーションに過ぎない。」

 

映雪「爆弾…やはりあなたは、あの爆弾のありかを既に知っていたのね。」

 

新城「あぁ。それも超高校級のゲーマーの研究教室にたんまりとあったからな。隠し場所があからさまだなぁと思っていたらやはりそうだった。あそこは元々超高校級の厄災に対抗するために希望機関が残した武器庫と言うべき所なのかもな。」

 

犬木「希望機関のあのメッセージを読んだって事は…やっぱりこの学園を破壊するつもりなんだろ!!」

 

新城「破壊?芸がないな。」

 

嗣宮「破壊だけじゃないのか…!?」

 

新城「物理的に破壊するだけじゃ記録を基に再構築してまた作られるだけだ。だからオレは内部のデータごと抹消して二度とこの学園が作られることがないようにこの学園に纏わる全てを消すんだ…極めて単純なネーミングだが、『学園消滅プログラム』とでも言うべきかな?」

 

木崎「学園消滅プログラム…!!」

 

新城「そういえば豪徳寺、お前に返すものがあったな。ほら、受け取れよ。」

 

新城はそう言うとSDカードのようなものを豪徳寺に投げ返す。

 

新城「お前に共有されていたひみつデータをコピーさせて貰って、そのデータの配列をいじってウイルスプログラムを作らせてもらった。」

 

豪徳寺「君、いつの間に僕の手元から盗んでいたのか!!」

 

新城「別に盗むなとは言ってなかっただろ?とはいえお前から勝手に拝借したのは悪かったな。だが安心しろ。オレはコピーしただけでデータ本体は特にいじってない。」

 

豪徳寺「そういう問題じゃあないだろう…!!」

 

新城「ま、何にせよこれでもう厄災にもコロシアイにも怯えずに済むだろ。お前らにとっては願ったり叶ったりじゃないか。」

 

嗣宮「そ、それ以前に僕らまで死んじゃうじゃないか…!!」

 

新城「変な話だな。オレは確かに学園中に爆弾を仕掛けたとは言ったが、爆弾を仕掛けてない所がないとは言ってないぞ。例えば庭とかな…要は外に逃げればいい話だろ?」

 

嗣宮「そんなの…君が勝手に言ってるだけじゃないか…!!」

 

星野「…なぁ新城…お前がオレたちに話してた…海道や麦畑に感銘を受けたってのは…あれは…嘘だったのかよ!?」

 

新城「…あぁ、その事か。安心しろ、オレはもちろん嘘をついてない。」

 

豪徳寺「…どういう…ことだ?」

 

新城「確かにオレはあの二人の心意気に感銘を受けたが、やり方は変えずオレなりのやり方で貫かせてもらうという、たったそれだけの話だ。生憎オレは歪んでいてね…こういう歪んだちゃちな方法でしか自分を表現出来ないんだよ。」

 

新城「麦畑のようなちっぽけな勇気で大胆な行動を起こし、最後は海道がしたように自分の罪をどんな形でも受け入れるつもりだ。無論、オレなりのやり方でな…!」

 

星野「やっぱり…そういうことかよ…お前は変わったって一瞬思ってたオレがバカみてーじゃねーかよ…けど、根っこは変わってねーからもはや逆に安心感すら覚えるぜ…」

 

映雪「星野くん…感心してる場合じゃ無いでしょう…!」

 

新城「さぁ、どうする?オレを止めるか、それともオレの忠告に従って逃げるか…もし逃げたらお前らは助かるかもしれないぞ?」

 

新城はオレ達に2つの選択肢を用意してきた。どちらもオレらが死ぬか生きるかすら分からないお先真っ暗な確証もない暗闇への一方通行だ。

 

くそっ…!!オレたちはどうする…どうなる…!?どちらを選んでも死ぬとは限らないが生き残れるとも限らない…!ここまで選びようのない2択、どう選べばいいんだよ…!!

 

新城「タイムリミットは日付が変わるまでだ。お前らが気絶した時間は4時間ほど…あと6時間といったところかな…それまでに避難するか爆弾を止めるか、好きな方を選ばせてやる。せいぜい死なないように生き残るんだな…」

 

星野「ま、待て…!!ぐっ…くそっ…!!まだうまく立てねぇ…」

 

モノクマ「ありゃりゃ…何やらとんでもないことになっちゃいましたねー…」

 

入れ違いになろうとした瞬間、どこからともなくモノクマが現れる。

 

モノクマ「ちょっとちょっと…何してくれてるのさ!新城クン!」

 

新城「…おいおい、いちいちオレに説明させるなよ…見なくてもわかるだろ?オレが何をする気かは…」

 

新城「それにたかが学校を爆発させただけだろ?何もそうカッカすることないじゃないか。」

 

星野「た、たかが…だと?」

 

モノクマ「随分言いきってくれるんだね…オマエが何を企んでるかは、ボクだってお見通しなんだよ?この学校を破壊してコロシアイを滅茶苦茶にするつもりなんだろうけど…もしオマエがルールをあまりにも逸脱しすぎたことをすれば即刻おしおきになるんだよ。分かってるの?」

 

新城「それはそうだろうな…それくらいはオレも理解してるよ。だが学校の破壊は校則に書いてない、それに現段階で爆発に巻き込まれて死んだ奴もいない…そもそもオレは殺意を抱いたから爆発を仕掛けた訳でもなく、3人以上を殺す意思もないし、よほど運が悪い奴がいない限り限り爆発に巻き込んで殺すつもりもない…オレは全員が集まったタイミングで爆発させて、誰一人として死なないように爆風の位置や規模の計算は済ませてあるんだ。」

 

新城「モノクマがいくら喚いたところでオレは罰を受ける対象には残念ながらならないんだよな。これがな…」

 

モノクマ「うぐっ!?屁理屈とはいえ痛いところを突くねぇ…オマエの計算スキルがどれほどのものかを考えるとバカには出来ないし、それに流石にこうまで言われたら、ボクが何を言おうが無駄な反論みたいだね。」

 

犬木「な、なんだよ…じゃあコイツは現時点で校則違反を犯してないから罰せられないってことかよ…」

 

新城「どうやらそうみたいだな。モノクマの寛大な判断に感謝するよ。」

 

豪徳寺「さ、最悪だ…悪夢だよ…!」

 

モノクマ「ま、間違っても校則を破りさえしなければ学園を破壊しようが彼はクロになり得ないんですわ!ちゅーことでボクは外野からじっくり観戦させてもらうね。ほいじゃ、後はよろしくね、うぷぷ…」

 

モノクマは何やら面白くなってきたと言わんばかりにほくそ笑み、その場を去っていった。

 

新城「…モノクマがどこまでオレの計画に気づいた上で見逃しているか…あの様子だと破壊以外の目的には気づいていないようだったな。ま、何にせよモノクマの妨害の懸念が無くなったわけだ。オレは引き続き計画を実行させてもらうぞ。あとは逃げるなりオレを止めに行くなり好きにすればいいさ。」

 

嗣宮「に、逃げても…いいって…どういうことなんだ!?」

 

新城「鈍い奴らだな。オレはもとよりお前らを生かす道も考えているだけのことだ。助かりたいならこの学園から外の庭の方へ逃げればいい。あちらの方が爆弾は少ないからな。」

 

映雪「つまり今私たちが学園から逃走すれば、敷地にしかけた爆弾に引っかかるかもしれないけど助かる確率の方が高くなる…」

 

新城「そういう事だ。さぁ、お前らはどうする?答えを楽しみに待たせてもらうぞ。」

 

そう言うと新城も爆風とそれに倒れるオレたちを背に去っていった。

 

星野「…どうする?このまま学園に残って新城を倒すか、新城の言う通りに助かるかもしれない方へ逃げるか…お前らならどっちを選ぶ?」

 

豪徳寺「助かることを考えるとしたら…迷わず僕は逃げるよ。彼の言いなりになるのは尺だが、より確実に助かる可能性を僕は選ぶさ!!」

 

星野「…だな。命あっての物種だ。オレもそれに賛成だぜ。」

 

映雪「私もよ。彼が武器を多く所持している以上正面から立ち向かうべきでは無いと思うもの。」

 

豪徳寺「やはり君もそう思うか。では逃げることに…」

 

木崎「……待って、ダメ!」

 

映雪「…木崎さん?」

 

木崎「逃げちゃダメだよ。新城くんは助かる可能性を用意してるとは言ったけど、それが新城くんの狙いだと思う。」

 

豪徳寺「君はこの後に及んで新城くんが嘘をついているとでも言いたいのかい?」

 

木崎「そうじゃないけど…ここで新城くんの計画から逃げることが彼の思惑通りだとしたら…」

 

犬木「それこそ気に食わねーな。せめてあのクソヤローに一泡吹かせてやらねーと気がすまねーよ。」

 

星野「お、おい犬木!?お前、向こうの挑発に乗る気かよ!!」

 

嗣宮「…でも、木崎さんの言うことにも一理あるかも。確かに犬木さんは熱くなりすぎだけど…」

 

嗣宮「ここで新城くんに怯えて逃げるよりさ、新城くんの計画を止めて彼の暴走を止めた方がいいと思うんだ。」

 

映雪「…今更、説得だけで彼が踏みとどまるというの?彼は今もこうして学園内でテロを起こしているのよ。」

 

木崎「それはそうなんだけど…こんなふうに自分たちの命を犠牲にしたり学園そのものを壊したりすることなんかしなくても、このコロシアイに立ち向かう方法はきっとあるはずだから…」

 

嗣宮「はは…そっか…やっぱり木崎さんは優しい人だよ。」

 

木崎「そんなんじゃないよ。私はただ…これ以上争いあったり傷つけあったりするのが見たくないから…それが例え友達の遺志をつぐためでもね…」

 

星野「そうかよ…はぁー…しょうがねーな。負けたよ。ならオレも行く。」

 

豪徳寺「し、正気かい!?」

 

星野「ったく、木崎はオレよりぜんぜんお人好しじゃねーかよ。まぁ、ここから逃げたところで確実に助かるわけでもねーし…とはいえ木崎がアイツのことも分かりあって一緒に手を取り合おうとしてるんだ。オレは極力人の意見を無下にしないタイプだからな。アイツの言うことを適当に聞き流す訳にもいかねーだろ。」

 

豪徳寺「やれやれ…君の純粋さも彼女のお人好しといい勝負だよ…だが、君たちがやるとなれば僕も協力しないわけにはいかないだろう。」

 

映雪「木崎さんの優しさが新城くんに届くかは分からないわよ。対応次第では新城くんが本気で私たちごと殺しにかかるかもしれないことを考えておきましょう。」

 

木崎「もちろん…覚悟の上だよ。」

 

映雪「決心は固いようね。それなら、私も協力させてもらうわ。」

 

木崎「豪徳寺くん、映雪さん…それから…星野くんも…ありがとう。」

 

星野「そんじゃ、改めて新城の計画を阻止するために、オレたちが協力しあってアイツを止めに行くぜ!!!」

 

嗣宮「う、うん!そうだね!」

 

一度は新城の計画で追い込まれる羽目になったオレたち。けど、木崎の説得もあってかいつの間にか結束力が強まり、いつしかオレたちは再び立ち上がる気力を取り戻していた。

 

まだオレたちは終わったわけじゃない。あいつの暴走ひとつでオレたちの全てを終わらせる訳にはいかないんだ。

 

全力で、オレたちは新城を止めるぞ!!!

 

星野「つっても…爆弾を止める方法もオレらは知らねーけどな…」

 

犬木「そういやそっか…それ以前の問題か…」

 

豪徳寺「まったく、締まらないな…」

 

その時、オレ達の電子生徒手帳に連絡が入る。

 

シンジョウ『もしお前らが爆弾を止めたいと思うのなら解除方法…を教える訳にはいかないからヒントなら教えてやるよ。解除のヒントは、共通する5ケタの数字だ。せいぜい足掻くといいさ。』

 

木崎「ヒントだけとはいえ、すんなり教えてくれるんだ…」

 

映雪「どうやら彼にはお見通しのようね…」

 

嗣宮「5ケタの数字…もしかして、あれがヒントになるんじゃないかな…」

 

木崎「ああ、庭にあったあの番号の事だよね!」

 

星野「そうだな!木崎、お前よく覚えてたじゃねーか…」

 

星野「って、あれ?木崎はトレーニングに参加してなかったのに知ってたのか?あの番号のこと。」

 

木崎「あ、えっと…それは、その…」

 

木崎「ほ、星野くん達とは別に私も夜の散歩であの番号を見つけてたの!」

 

嗣宮「そ、そうだったんだ。新城くんも5ケタの数字って指名してるくらいだから彼も知ってるんだろうね、あの番号のことを…」

 

豪徳寺「まぁ、木崎さんも新城くんもこんなことを知っていたか否かでわざわざ嘘をつくとも思えないから、君たちもなにかの折で星野くんが見つけた番号を知っていてもおかしくは無いか…」

 

映雪「新城くんも知ってたこととはいえ、私たちと行動してない間もちゃんとあなたも手がかりを把握してくれていたのね。話がスムーズに進むからある程度は助かるわ。」

 

木崎「1人で行動してたこと、黙っててごめんね。」

 

嗣宮「別にいいよ。1人で行動してたなんて、みんなそういう時もあったし。」

 

星野「ま、オレらが今更それを咎める理由もねーよ。それより急ごうぜ、いつ爆発するかも分からねーからな。」

 

豪徳寺「どうやらそのようだな…それならバングルを解除した時のように2人ずつに分かれて行動しよう。では、犬木さんは僕と来たまえ。」

 

犬木「んだよ豪徳寺、アタシに気でもあんのか?へへへ…しょーがねーな。」

 

豪徳寺「勘違いするな、君から目を離すと危なっかしいことをするかもしれないからだ…」

 

犬木「ちぇー、冗談の通じねーヤツだな。そんなアタシって信用ねーのか?」

 

嗣宮「あはは…」

 

映雪「ボサボサしていないで行くわよ、嗣宮くん。」

 

嗣宮「あ、う、うん!待ってよ!」

 

星野「はは…こんな時でもやっぱアイツらはブレねーよな。頼もしくて助かるぜ。そんじゃ、オレらもさっさと行くぞ。」

 

木崎「……」

 

星野「おい木崎、どうしたんだ?そんなにボーッとして…もしかして、緊張して体が動かねーのか?」

 

木崎「…ねぇ、星野くん…」

 

星野「…?」

 

木崎「今更なんだけど…もし…もし私のせいでみんなが巻き込まれたらって…ふと考えちゃって…」

 

木崎「…ごめんね?私が言い出したことなのに…もし爆弾を止めようとして私たち全員が爆発で死んじゃったらって余計に考えちゃって…それで…」

 

星野「へへ、何だそんなことかよ…別にオレらはお前を恨みゃしねーよ。言い出しっぺはお前だけど爆弾を止めるって最終的に決めたのはオレたち自身だからな。」

 

木崎「星野くん…」

 

星野「それに、例え爆発で死んだとしても、おしおきで惨たらしく死ぬよかマシだ。もちろん、オレたちは死なねーけどな。」

 

星野「まぁ何にせよ、これ以上木崎が気に病む必要はねーってこった!お前はお前なりに正しい選択をした、新城はアイツのやり方でこのコロシアイを終わらせることを決めた、たったそれだけの話だ。お前が胸を無理に痛める必要なんかどこにもねーんだよ!」

 

木崎「こんな私を…励まして…くれるの?」

 

星野「まぁな。木崎はすぐ卑屈に考えるんだからな…でも心配すんな。オレもついてるからよ!」

 

木崎「…本当にありがとう。えへへ…私、人に頼ってばっかりだね…」

 

星野「そんなの人間誰でも人に頼らなきゃやれないことだってあるからな。頼ってばっかなのはお前だけじゃねーよ。さ、これ以上は気にしたってしょうがないぜ。とにかく今は目の前のことに集中しなくちゃな!」

 

木崎「そうだね…急ごう!私たちは5階の爆弾から解除しに行こう。」

 

木崎の迷いもこれで吹っ切れただろ…

アイツは人に対して優しくなりすぎるところがある、

だから今もオレらを新城を止めることに巻き込んだのを気に病んでるんだ。

 

けど、それがなんだ!!オレらだって覚悟の上で今こうやって戦いに臨んでるんだ。少しの思い悩みくらい背負ってやるよ!!

 

【倉庫】

 

嗣宮「ば、爆弾がこんなに…」

 

映雪「見渡しただけでもおそらく5個以上は仕掛けられてありそうね…」

 

嗣宮「とにかく、爆弾一つ一つに適切な5ケタの数字を打てばいいんだ…」

 

映雪「確か番号は…11037、だったわよね?」

 

嗣宮「11037…よし、打ち込んだぞ!!」

 

ブブーッ!!

 

嗣宮「…!!」

 

シーン…

 

映雪「外れたのに爆発しない…?」

 

嗣宮「…!!映雪さん、新城くんからだ!」

 

シンジョウ『信管が抜けてるフェイクの爆弾もいくつかある。仮に入力を間違えたとしてもそれがフェイクの爆弾ならブザーが鳴るだけで何も起こらない…』

 

嗣宮「…だって。」

 

映雪「…完全に弄んでるわね。とはいえこれが本物じゃなくて良かったわ。」

 

嗣宮「でも、11037がパスワードじゃないのか…1回、星野くん達にも共有しよう。」

 

【超高校級のゲーマーの研究教室】

 

星野「はぁ…!?パスワードは11037じゃない…!?」

 

木崎「そ、そんな…!!私たちが思い当たる5ケタの数字って、これだけだよね…?」

 

星野「と、とりあえず入力順を変えたらどうだ?11037のどれかで120通り試せば行けるかもしんねーだろ!」

 

木崎「120通り!?それだけでも多いんだよ!?」

 

【超高校級の動画配信者の研究教室】

 

豪徳寺「クソッ、全てのパソコンが彼に乗っ取られている…!新城くんめ…やはりここは対策済か。」

 

犬木「じゃあ地道に爆弾を解除してくしかねーみてーだな。番号は11037でいいんだよな?」

 

豪徳寺「いや、その番号は先程嗣宮くんが入力したところ間違えたようだ…」

 

犬木「はぁ!?じゃ、じゃあ嗣宮と映雪は爆弾の餌食に…」

 

豪徳寺「いや、彼は運良く信管を抜いた偽物の爆弾を引き当てたことで爆死は免れたようだ。無論、映雪さんもまだ生きている。」

 

犬木「助かったってことか…こんな時に限って運いいな、嗣宮は…」

 

【超高校級のゲーマーの研究教室】

 

星野「鍵は11037じゃねぇのかよ!?」

 

木崎「じゃ、じゃあ爆弾は止められないの…?それに、嗣宮くん達は…」

 

星野「大丈夫だ。相棒達は信管のない爆弾を引き当ててたらしいからな。間違えたとしても爆発はしないからひと安心だぜ。」

 

星野(…待てよ。よくよく考えたら、あの5ケタの数字はオレが最初に見た時は7だけだったよな…)

 

星野(んで、学級裁判が終わる度に3、二つの1、0って感じで増えていったんだっけ…)

 

星野(それを並び替えるとすると…7、3、11、0になる…)

 

星野「だったら…73110じゃないか?」

 

木崎「73110…?」

 

星野「オレが最初に見つけた文字とそこから追加されてった文字の順番だ。それならいけるんじゃねーか?」

 

木崎「なるほど…!じゃあ嗣宮くん達に教えてあげよう!」

 

【倉庫】

 

ホシノ『73110で試して見てくれ!それで無理だったらまた報告してくれ。』

 

嗣宮「73110…」

 

映雪「それって、星野くんが見つけた番号の追加順…ということかしら。」

 

嗣宮「なるほど…とりあえず試してみよう。」

 

『73110』

 

ビーッ

 

嗣宮「この反応は…」

 

シンジョウ『正解だ。星野が見つけた番号順に基づいている。それが共通する5ケタの正体だ。』

 

嗣宮「よし!」

 

映雪「どうやら彼の読みは当たったようね。」

 

嗣宮「うん。僕よりずっと早くあの文字を見つけてたから…星野くんの機転が無かったら切り抜けられてなかったよ。」

 

【超高校級の動画配信者の研究教室】

 

豪徳寺「正しい番号は73110…!星野くんが正解を導き出したようだ!」

 

犬木「マジか!!んじゃあアタシも…73110!」

 

ビーッ

 

犬木「へへ、正解みてーだな。んじゃこの調子で次々と解除していくか!」

 

豪徳寺「ま、待ちたまえ!!いくら解除したものとはいえ、むやみに放り投げるものではない!!」

 

【超高校級のゲーマーの研究教室】

 

星野「よし、アイツらも順調に解除できてるみてーだな。めんどくせーけど、6人で全部の爆弾を解除すればアイツの計画を阻止するのも余裕で間に合うだろ。」

 

木崎「良かった…なんとかなりそうだね!」

 

星野「だな!けど油断すんじゃねーぞ。余裕があるからって気を緩めっと絶対しくじるからな。」

 

木崎「そ、それもそうだね…よーし、最後まで緊張しない、ちゃんとやり遂げる…よし、頑張るぞ…!私はこの部屋の手前側の爆弾を処理するから、星野くんは部屋の奥をお願い。」

 

星野「よし、そんじゃ任せとけ。頑張って作業するとしますか!ってか、この部屋爆弾の数が多いな…一つ一つスピード処理するにしても本物の爆弾がうっかり爆発しねーようにしなきゃな。」

 

木崎は早速教室の入口近くの通気口の中を調べ、爆弾を探し始める。オレも部屋の奥にある爆弾を探し当てることにした。

 

一通り、オレは5階の研究教室の数ある限りの全ての爆弾を解除した。

 

あと残り2時間…全然余裕で間に合うな…はは、アイツら、上手いことやってくれてるみたいで助かるぜ…!

 

星野「おし、後は4階だけだな…それにしても、新城の奴は一体どこに隠れてやがる…」

 

豪徳寺「はぁ…はぁ…はぁ…た、大変だ!!」

 

星野「豪徳寺、どうかしたか?」

 

豪徳寺「新城くんが僕の研究教室を乗っ取っているんだ!!」

 

木崎「ほ、本当なの!?」

 

犬木「間違いねーよ。アイツが4階へ駆け上がってく音をアタシは聞いてんだ!」

 

豪徳寺「爆弾の管理も僕らの様子も全てパソコン一つで行えるはずだ。」

 

星野「たしかにあの部屋は内鍵みてーだしシステム管理もバーコードとパソコンさえあれば出来るからな。」

 

豪徳寺「浜垣くんのパソコンを介して新城くんのパソコンにアクセスして妨害を試みたが…やはり例のバーコードがない以上ダメだったよ。」

 

木崎「それは…しょうがないよね…」

 

嗣宮「はぁ…はぁ…来たよ!」

 

犬木「おせーぞ嗣宮、映雪!」

 

映雪「豪徳寺くんの研究教室に新城くんが潜んでいるのね…」

 

木崎「うん…だけど、鍵がかかってるよ。」

 

犬木「鍵がかかってるならぶち壊しゃいいだろ!!」

 

豪徳寺「鍵を破壊か…まぁこの研究教室はモノクマが用意したものだから僕には特に思い入れはないな。止むを得まい。」

 

嗣宮「鍵を壊すのか…一応、麦畑さんの研究教室にドライバーがあったからそれで鍵を外せないかな?」

 

犬木「マジか!でもなんで持ってたんだ?」

 

映雪「爆弾を取り外す時、ドライバーを使わなくちゃ蓋を開かない所にも爆弾があったの。それで今後も使うと思って拝借させてもらったわ。」

 

星野「でかした相棒、映雪!そんじゃ外すぜ…!」

 

オレは手早く相棒からドライバーを借りると、鍵のネジを外して、鍵の部分を強引に取り外した。

 

星野「おい、新城!出てこ…うっ!!」

 

ドアを開けると同時に、オレたちの目の前に白い煙が襲いかかる。

 

豪徳寺「ななななんだねこれは!!?」

 

嗣宮「ど、毒ガス!?」

 

犬木「マジかよ!!クッソ…新城、んなトラップしかけてやがったのか…」

 

木崎「ま、窓!とにかく窓を開けて換気しないと!!」

 

映雪「くっ!!窓を開けて…えいっ!!」

 

オレたちは煙が収まるのを待って口を服の袖で抑えて吸わないように気をつけながら一時避難した。

 

しばらく経って煙が収まると、部屋の中は多少の異臭が残る程度までに収まり、毒煙も自然と外に出ていった。

 

星野「…これでようやく入れるな…」

 

映雪「大丈夫星野くん、吸ってない?」

 

星野「あぁ。ガス漏洩時訓練の成果かな、吸わずに回避出来たぜ。」

 

豪徳寺「だが、未だに部屋には毒ガスが残っているな…」

 

木崎「それなら部屋の入口の所に換気扇があったよね。」

 

モノクマ「えー、はい!ボクの出番ですね!」

 

犬木「やっぱ来たか!」

 

モノクマ「火災事故でもないのに煙が上がるなんて妙だと思わない?まぁそんなことはおいといて、とりあえず今換気扇を回し始めたので、しばらくお待ちくださいね!」

 

それだけ伝えるとモノクマはまた去っていった。

 

嗣宮「火は上がってないのに煙か…」

 

星野「何はともあれ…これで入れるはずだな。」

 

嗣宮「新城くん…もしかして毒ガスに巻き込まれて死んでいないよね?」

 

豪徳寺「まさか、彼も自分で毒ガスにやられるような間抜けではないだろう。防毒マスクを着けて涼しい顔で佇んでいるだろうさ…」

 

映雪「余計やお喋りはしないの。とにかく、入りましょう。」

 

木崎「…そうだね。行こう!」

 

オレたちは未だに残る異臭と毒ガスの残りを吸わないように慎重に踏み入った。

 

星野「…!!」

 

そしてオレたちは…衝撃的な絶望を垣間見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オレたちは…夢でも見ているのか…!?

 

 

 

 

 

いや…これが夢だとしたら、そうとうたちの悪い悪夢だよな…

 

 

 

 

 

オレたちは新城の計画を止めるために必死になって動いていたはずだよな…!?

 

 

 

 

 

もし、オレたちのしている事が狙い通りなら…

 

 

 

 

 

どうして…どうしてだ………!!!!

 

 

 

 

 

「このゲームに終止符を打つ」なんて息巻いてたアイツが…

 

 

 

 

 

あの、『超高校級のゲーマー』新城柊弥が…

 

 

 

 

 

あんな絶望に苦しんだ表情を抱えたまま…

 

 

 

 

 

『死んでる』んだよ…!!




Chapter.5 99%の絶望、1%の希望 非日常編 

黒幕は誰だと思いますか?

  • 嗣宮新
  • 櫻坂香子
  • 海道瑞樹
  • 犬木律花
  • 相沢優馬
  • 坂田英美里
  • 浜垣純也
  • 映雪雪菜
  • 車木鉄矢
  • 光明寺朱里
  • 豪徳寺大夢
  • 音無仁梨
  • 星野由宇樹
  • 麦畑・ティファニー・妃乃
  • 新城柊弥
  • 木崎友梨奈
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