~~~注意~~~
文ストの夢小説です。
一人称視点(私)
太宰さん以外出てきません。
初小説です
オチのつけ方わかりませんでした。
「ねぇ治」
そう呼びかける。からっと晴れていた秋の夜長。
「どした?」
ソファで横に座っている顔だけは整ったクズ男が答える。
「私たちってどういう関係?」
テレビの中で主人公が不安そうに新幹線に乗る。
治とは不思議な仲だ。
最初に治と会ったのはたしか2年前、洒落たバーだった。酔ってあんまり覚えてないけど、私がダル絡み
して、連絡先を交換したらしい。一生の不覚だ。当時の私はお酒が(合法的に)飲めるようになってから
半年。酒の席での最初にして最大の失敗が、この男との連絡先交換だったという訳だ。翌朝、知らないア
イコンがLINEにあり
「昨日かなり酔ってたけど、大丈夫?」
というメッセージが来ていた。二日酔いの頭痛の中、記憶の箱を開け散らかす。全く覚えていない。
「どちら様でございますか?」
と入力しかけて、消す。向こうがタメ語ならばこっちもそうでいいじゃないか。
「誰ですか?」
と送った。2秒で既読がついて返事が来た。
「私だよ。昨日酔った君がダル絡みした相手!太宰治♪」
プラス謎な決めポーズをしたそこそこのイケメンの自撮り。いや、悔しいがかなりのイケメンの自撮
り。ってそこじゃない。
「すみません。昨晩は迷惑をかけたようですね。わざわざありがとうございます」
もちろん、何かしてもらった覚えはないが。
「そういえば君って今週の土日空いてるって言ってたよね?」
知らん、と返しかけて堪える。
「そうですね」
「じゃあさ、一緒に遊びに行かない?土曜の10:00に横浜駅集合で」
「ごめんなさい彼氏いるので」
「あれ?昨日は『先週フラれた~もう立ち直れない~男が信用できない~』って泣いてたよね^^」
クズが。
「そうですね」
「君、冷たすぎない?」
「別に」
「もしかして、私のような絶世のイケメンに興味ないの…?」
三点リーダーのあとにクエスチョンマークを付けるのが腹立たしい。
「ないですね」
「昨日家まで送り届けてあげたんだけど、感謝は?」
「それはありますけど」
だからこそ無下にブロックできなくて困っているのだ。
「じゃあお礼がてら会ってくれないかな?」
「嫌です」
「人探しに協力してもらいたくて」
「ご自分でどうぞ」
「つれないなぁ」
「イケメンにはクズしかいないんで」
「それは偏見」
「そうですか」
「とりあえず、土曜の10:00に横浜駅ね!昼ご飯は焼肉おごるから」
「いくらまでなら奢ってくれますか?」
「そこは食いつくんだねwいくらでも奢るよ?」
「覚悟しときやがれ金曜日の昼から何も食わんわ」
こうして、私からする実質はじめての治との対面があったのだ。
律儀な私は、待ち合わせの5分前に間に合うように横浜駅に到着した。既に治はいた。
「よく来てくれたね」
と手を広げているがガン無視
「おなかが減って死にそうです。いますぐ食いましょう」
「もちろん」
にっこり笑顔でほほ笑むと、彼は(たぶん事前に調べてくれていたのだろう)最寄りの焼肉屋へ連れて行ってくれた。
其の後、私は治どころか店員にひかれるほど肉を食べた。彼のひきつった顔をみたのは、後にも先にもこれ一回きりだ。
「それで、今日来てもらった本当の目的なんだけれど」
私たちは、カラオケの個室にいた。理由はわからない。私がマイクを握る隣で、治はいきなり言った。
「そういえば人探しとか言ってたね」
「うん、私と心中してくれる人を探してる」
私はその言葉の意味を飲み込むまでに少しの時間を要した。
「自殺願望ってこと?」
「そう!できれば美人を希望してる♪」
「ごめん無理。そんな人いないだろ」
「だから作る」
「は?」
治の眼は真剣そのものだ。
「私は、麗しい君と美しく命を散らせたい」
少し、気圧された。その真剣さに。
少し、うろたえた。その意味不明さに。
少し、困惑した。麗しいと言われたことに。
そして最後に、少し、いや、かなり引いた。
「ごめん、それも無理」
私の顔は完全にひきつっていたと思う。
「大丈夫、私が必ず、君を堕としてみせるよ」
あの出来事から2年がたった。
あれ以来、心中に誘われたことはない。
じゃあ友だち? なんか違う
じゃあ恋人? 絶対に違う
じゃあ知り合い? そこまで関係薄くない
じゃあ何?
「という訳で本人に聞こうと思ったの」
「なんだそんなことか」
治は少し笑う。
テレビでは主人公が席を間違えてるかも、と焦っている。
「セフレじゃない?」
「なんか違う気がする」
「たしかに。セフレと友達の間みたいな感じだよね」
「あー、そんな感じ」
私たちはテレビに向き直り、テレビの続きを見る。
主人公は、「やっぱりここ自分の席じゃん」と小声で安心したように言った。
終