【完結】某海の超一流コックにドハマりした顔とスタイルの良いお兄ちゃんが歌姫先輩と硝子先輩に「絶対に逃がさないから」と死ぬほど追われてる件。 作:SUN'S
私の旦那はバカだ。
乙骨くんと里香ちゃんの自己紹介で好感度を上げようとした結果、三人とも警戒してしまっている上に上層部には里香ちゃんをマジで祓うべきかと危険視しているおじいちゃんもいる始末だ。
まあ、こうなったのは悟くんのせいだから。と、私は中立派を気取っている。だが、そうしないと現代最強の男のお嫁さんは務まらないという一種のプレッシャーを感じている。
「燦、組み手しようぜ!」
そう言って私の考え事を遮るのは禪院真希という呪力の見えない呪術師の女の子だ。………とはいえ、それは過去の話だ。
禪院真希。彼女は私の弟子?のようなものであり、炎代家の委任法(術式を一部だけ貸し与える)によってお父様の邪王炎殺拳を受け継いでいる。
お父様の憎悪や悪意、この世を焼き尽くす怒りの炎を受け止める『器』を真希は持っているのだ。ふとお兄ちゃんが「あのクソハゲの術式をレディに委任する?俺の炎を受け取ってくれええぇぇ!!」と騒いでいたのを思い出した。
「アイツら私抜きで任務に行きやがったんだ。五条も『僕の奥さんと組み手しててね!』としか言わねえし。まあ、乙骨に掛かりきりにならねえと上はうるさいしなあ…」
うんうん。ほんとそれだよね。私は真希と一緒に校庭に行く道すがら彼女の愚痴を聞いて、思わず同意してしまった。
いや、同意しかできないけれども。
「じゃあ、行くぜ!」
えぇ、どうぞ。と、言う前に真希は私の懐に潜り込み、炎を纏った拳を放ってくる。中国拳法………たしか翻子拳だったかな?を彼女は会得している。ほんとに努力は凄いものだ。なんで、禪院家は未だに彼女の邪魔をするのだろうかと本気で悩んでしまう。
お兄ちゃんの女の子を甘やかすクセに妙に厳しかったりする過保護よって現地まで連れていかれた真希は数百という拳法を学び、そのすべてを完璧に融合している。
「おっと」
「ハッ、ようやく口を開いたな!!」
パシッと真希の拳を受け止めるときに思わず、口を開いてしまった。いや、ずっと喋っているけど。私の声はあまり聞こえやすいものではないらしい。それはそれでショックだったりする。
「火箭操術"炎上網"」
「邪王炎殺煉獄焦っ!」
無数の拳打を絡めとる炎の網。私のイメージより網目の大きさは気になるけど。真希のパンチを防ぐのには、ちょうど良いくらいかな?
そんなことを思っていると真希の拳が炎を突き破ってきた。ウ~ン、やっぱりお兄ちゃんとお父様の術式だから強いなあ…。
〈禪院真希〉
三級呪術師。
東京呪術高専の女子生徒。炎代家前当主せによって相伝の術式を貸し与えられている。自分の父親と同じ炎熱系統の術式は嫌がっていたが、炎代兄妹のおかげで普通に使っている。ちなみに禪院家に委任法のやり方は教えていない。
〈委任法〉
呪い、呪詛。
生得術式を他者に貸し与える呪い。
本来、生得術式を貸す事の出来ない。しかし、他人の身体に呪印として生得術式を外付けで刻み付ける事を可能とするのが「委任法」である。デメリットは五割以下しか術式を使えず、術式との相性も必要とすること。