ドクター「何も分からん」   作:オリジニウム爆弾

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第1話

 何も分からん。

 スヤスヤと眠っていたところを叩き起こされ、そのまま記憶喪失の状態であれよあれよと、ロドスのドクターとして敵対勢力をどうにかしながら、鉱石病感染者を保護する流れになってしまったのだが、その結果が何も分からん。

 

「なぁアーミヤ……今更で聞けないことが、二、三あるんだけど良いかな?」

「今日の公開求人での上級資格証の確定タグ。とかですか?

 確か今日は……

 支援 先鋒タイプ 治療

 前衛タイプ 火力──」

「それも分からないけど……もっと根本的というか、情勢的なというか……」

 

 ちなみに、今のタグの組み合わせもドクターはよく分かっていない。

 大体アーミヤに良い感じに求人を処理して貰っている。

 

「……とてつもなく、嫌な予感がするのですが、一応どうぞ」

「レユニオンって何……?」

 

 物凄く申し訳なさそうにドクターが口を開く。

 二人が会話をしていた食堂が一瞬で静寂に包まれる。今まで幾度となく死線を超えてきたドクターが、戦っていた敵のことを理解していないのだ。

 

「何となく、何となーく、悪い集団なのか? とふんわりとした認識だったんだけど、アーミヤに聞こうと思ってたらいつの間にかここまで……」

「そんな曖昧な状態でミーシャさんと殴り合いをしていたんですか!?」

 

 レユニオンと初めて相対した時にドクターがアーミヤの説明も聞かずに襲われていた一般市民を助けに走り出した時はヒヤヒヤした。

 コールドスリープから目が覚めたばかりなのに、動き回るのも相当危ないのだが、このドクターはアグレッシブが過ぎる。

 何も分からないからこそ、理不尽に他人が傷つくのは嫌だと感じた途端に身体が動いたというのは昔のドクターに比べれば良いのかもしれないがそれとこれとは別の問題だ。

 ちなみに、ミーシャはロドスに保護されて安全に暮らしている。取っ組み合いで死ぬほど柔ではなかったらしい。

 

「とりあえず分かっていないことをリストアップして貰っても良いですか?」

 

 アーミヤがそう言うと、ドクターはA2サイズ位の紙をどこからか取り出して、すらすらと文字を書き始めた。

 それを見て思ってた以上にドクターは何も分かっていなさそうでアーミヤは思わず指で眉間を揉む。

 

「今思い付くのはこんな感じかな」

「……かなり多いですね」

 

 レユニオンやサルカズは勿論、様々なことが分からない。

 普段からアーミヤは考えすぎだの、気楽に行けだのとドクターは発言していて、能天気ではあるものの実際それに救われているところはあったが、それが状況に着いていけていない故の思考停止によるものだったというのは予想外だった。

 

「ドクター……これからは分からないことは、その場で聞いてもらって良いですからね?」

「速戦即決って……コト!?」

「……とりあえず今はそういうことでいいです」

 

 アーミヤの悩みごとが一つだけ増えた。

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