ドクター「何も分からん」 作:オリジニウム爆弾
「……うーん」
ドクターが薄暗い倉庫の中で一人、純正源石のストックを眺めていた。
その数百七十五個。ゆっくり、一つずつ丁寧に数える。
「……百七十五……ふぅ、今日はここまで」
その日の休憩時間を倉庫で過ごしたドクターはるんふん気分で仕事に戻って行った。
翌日。
「いらっしゃいドクター。今日は土壇場で必要になったオペレーターを昇進するための育成パックでも買いに来た?」
「いや、コーデを少し……」
クロージャの経営する購買部に顔を出したドクターは神妙な面持ちをマスクの下に隠し、つい先日販売が開始されたコーデを品定めしていた。
「この前は二着買ってたけど、何か買い忘れた? もう全部買っちゃわない?」
「流石に全部は……持ってないオペレーターとかのもあるし」
「それは今更じゃない?」
ドクターが初めて購入したコーデはコラボだから復刻しないかもしれないというクロージャの卑劣な限定商法に屈して、その時はロドスにオペレーターとして入職していなかったスズランのコーデだったりするため、本当に今更である。
「……今日はここまで」
「あ、何も買ってかないのね。冷やかしじゃん」
「毎日フレンドポイントの買ってるじゃん」
軽口を叩きながら最近赤そうな声のロボットのために在庫の底が尽きた求人票を購入した。
どうせそれもすぐ無くなるのだろうが。
さらに翌日。
「ドクター。買うなら早くしてくださいね。今月ももう今日しかないんですから」
「経費申請の云々はあるかもだけど……うーん……」
今月は他の月よりも日数が少ないため、諸々の都合で早めに経理に申請したいのだが、ドクターが購買部に行くと言い出して仕方なくアーミヤも着いてきた。
「また来た……というか今日はアーミヤちゃん侍らせてコーデ選び? 良いご身分なことで……」
立場的な理由もあってドクターがアーミヤと行動を共にしていることも多いが、それ以上にドクターを一人にすると何をしでかすか分からないという理由もかなりの割合を占めている。
「またコーデ見てるけど、何に悩んでるの? サクッと買っちゃってよ。次の販売タイミングで引っ張り出してくるのそこそこ面倒なんだよ?」
「……いやー、でも、サイラッハを起用することあんまりないし……この前の指定じゃなきゃ基本的にテンニンカ起用するし……」
うんうん唸りながら悩むドクターを見てクロージャがふとここ最近のドクターの行動を振り返って気になったことがあった。
「そういえば、一昨日は純正源石数えて、昨日はコーデ見に来て、今日また来たけど何か企んでる?」
「ポリネシアンコーデ購入」
「早よ買え!」
結局、くだらないことを数日掛けてしていたドクターがクロージャとアーミヤにバレて正座させられながら、しっかりコーデを購入させられるのだった。