ドクター「何も分からん」   作:オリジニウム爆弾

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第5話

「遅かれ早かれ、ドクターは私の選択を理解してくれる……私を許してください」

 

 沈痛な面持ちでアーミヤが端末を操作して、ドクターをコートごと引き摺って作戦区域へ向かうヘリに搭乗する。

 直前までドクターは抵抗していたが、絞め落とされて意識のないまま運びこまれた。

 

「っは……!? どうしてまたここに!?」

「ドクター、終わってない仕事がたくさんありますから、まだ休んじゃだめですよ」

「違うじゃん!? 今回のイベントのEXがようやく終わったから定時で上がろうとしてたじゃん!?」

 

 イベントのEXステージが解禁され、攻略もなんだかんだで終わったはずなのに、ドクターは再びイベントマップまで駆り出されていた。

 いつもであればEXステージの攻略が終われば、気が向いた時に強襲作戦をやるだけだったのだが、今回は訳が違う。

 

『今回はEXの強襲も全部やって勲章も全部取るって言ったのはドクターだしねぇ』

「我々としては至極どうでも良いことなのだが、どうせその内危機契約でも似たようなことを言い出すのだろう? 今の内にならしておく置く必要があると判断したまでだが?」

 

 通信機越しにクロージャと対リーダー用の戦力として参加するケルシーに今回の強制残業の理由の説明を受ける。

 確かにドクターもその宣言に覚えはあるが、ここまで本気で挑む羽目になることなど一切予想はしていなかった。

 

「本気にしないでよ!? 意気込みってだけで本当にやる訳ないじゃん!」

「……私も止めはしたのですが、まぁ……正直少し前に初挑戦した危機契約の時にシーンさんを勢いで入職させた上で潜在を最大まで解放した辺り、絶対後で他の素材が足りないって騒ぐのは目に見えてて、実際にそうでしたし……」

 

 デイリーの契約を疲れただのなんだの理由を付けて、最初の三日くらいまでしか最大まで回収していなかったので、勿論契約賞金が足りずシーンの印以外はロクに交換出来ていなかった。

 結局その後にあの素材が足りなかっただとか、勢いでモジュール装備までやったものの、シーンを作戦に登用することはほぼ無かったりと、流石のアーミヤでもドクターのことを庇えなかった。

 

「緩く行こうよ! ロドスは和気藹々とした感染者も非感染者も隔たり無く過ごすための製薬会社じゃないの?」

「……ドクター。通算100連勤を余裕で超えるあたしの前でそれ、言える?」

 

 ヘリの隅で、酷く疲れ切った表情のテンニンカがびっくりするくらい低い声で亡霊のように囁いたせいでドクターは黙って強襲作戦を全て終わらせざるを得なくなった。

 

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