ドクター「何も分からん」 作:オリジニウム爆弾
「最近は民謡の踊りとかもよく聴くんだよね」
「……そう、ドクターは歌と踊りの話が好きなのね」
食堂で濁心スカジと相席をしているドクターが無言のまま食事に耐えきれず、色々話を振るがどうにも反応が薄い。
(おかしい。ダンシングの方のスカジなら食い付くと思ったんだけどな)
何かの勘違いなのか、ドクターは潜在4まで解放していて信頼度も200%の濁心スカジのことをダンシングスカジと勘違いしたまま、踊り好きの陽気だけど口数の少ない人だと勘違いしている。
(宴会の歌じゃないのかな……普段から配置する時に宴会の歌を聞けって言ってるのに……)
こういう時に察してツッコミを入れるアーミヤが居ない場合は一生勘違いしたままなのだが、その肝心の彼女が今制御中枢に配置されていて、訂正する人間が居ない。
(意外とヒップホップとか激しい方が好きなのかな……ダンシングじゃない時から半径2メートル内に近づくなって言ってたし……)
そんなことはない。
マップ上のモーションがちょっと左右に動きもするし、スキルが発動した瞬間に甲高い音もなるが、決してライブの幕が開けている訳ではない。
(ソラも似たようなスキル持ってるし今度聞いてみようかな……)
あっちは本物の売れっ子アイドルである。
確かに鼓舞も持っているがあまりにも関係がない。
性能も運用方法も把握しているし、相性の良いオペレーターとの組み合わせも覚えているのにも関わらず、スカジ本人のことは何一つ分かっていない。
本気でスカジの趣味の踊りについて、ドクターが考えていると軽く数時間ほど時間が建っていた。
「目を開けたままうたた寝をしているのか、ドクター?」
「あっ、マドロック。あれ? スカジは?」
「見ていないが……用事でもあったのか?」
少し前に食事を終えて食堂を去ったことすら把握していないほどに集中していたことに自分のことながらにドクターは驚いていた。
「そうだ。マドロックに聞いておきたいことがあったんだった」
この時点でドクターが変な勘違いをしていることをマドロックは予知していた。
彼女自身も昇進2で素顔を見せるまで、目と角が二本あり、背中から砲台が生えていてホバーで移動する《真のフル装備》があると思われていた経験がある。
「スカジの踊りって何か特殊な波でも出してるのかな……?」
曰く、医療でも回復出来ないマドロックが回復出来る濁心スカジの踊り。もといスカジダンシングには特殊な効能があるのではないかと。
確かに、運用上近くに配置されることはあっても、お互いに話し合う中ではない。
そして、致命的な勘違いをしていることは間違いではないと、マドロックは把握した。
「ドクター、彼女はダンシングスカジではなく、濁心スカジだ」
「えっ、そうなの!?」