ドクター「何も分からん」   作:オリジニウム爆弾

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第8話

「よし、キメラで良い感じにやっといて!」

「そんなお腹空いてない時に夕飯を何が良いか聞かれた時の返しみたいな!」

 

 作戦行動中に敵のバリア持ちのボスがアーミヤのスキル範囲に入った瞬間にドクターが指示を飛ばす。

 キメラの効果時間が終わるとアーミヤは一度撤退するほどに疲弊するのだが、このスキルでボスを叩いているということは大詰めになっているため、あまり問題はない。

 

「あと二、三回攻撃したら一度退きます!」

「うーん……あと、三分くらい残れない?」

「そんな学生バイトみたいな!」

 

 ケルシーのMon3terのメルトダウンと合わせて、もう少しで倒しきれそうというタイミングでアーミヤのスキル効果時間が終わろうとしていた。

 ボスの攻撃は重装オペレーターと医療オペレーターの回復で受け切れていて何も問題はない。

 

「ここで火力下がると自動指揮の時に長いかなって」

「そんな理由で!? 良いじゃないですか。どうせ中級異鉄集めの周回でこのステージ周回しないですよね?」

 

 そう言われれば、そうとしかドクターは返す言葉を持たない。

 しかし、ここでドクターは一つだけ夢見たシチュエーションがあった。

 

「限界を超えて力発揮するのってシチュエーション的に滅茶苦茶燃えると思う!」

「燃えるのはドクターの部屋じゃないでしょうか? あ、落ちます」

 

 アーミヤがツッコミながらスキル効果時間が切れてその場で倒れる。

 ドクターはそれを見て彼女が完全に倒れる前に肩を掴んでから背中に背負う。

 一部のパワーの化身のようなオペレーターに比べれば非力だが、作戦中に一般エネミーであれば二人は拳で解決出来るドクターはあまり重量を感じていなかった。

 

「あ、ケルシー先生の脊髄のスキル貯まり直してるじゃん。あと二アールの再配置も稼げてるし……あ、もう敵来ないとこに配置されててサボってるテンニンカ戻せば高速再配置の人置けるし……」

 

 端末を通して戦場を把握し直したドクターがオペレーターの配置を見直し、スキルのリキャストを確認すると、火力の一点集中で、バリアを剥がした上で体力を削り切り、ボスを撃破した。

 

「ドクター……もしかして」

「忘れてないから! ムリ叔父さんとかタイプライターとかデストレッツァ二回目とか全然っっ! 忘れてないから!」

「ドクター……」

 

 絶対に忘れていた。

 確定ダメージを出せるロドスのリーダー格二人でボス倒せそうなの所にロマンを見出だしていたとはいえ、それに固執して他のスキル回しを忘れていたことは明らかである。

 

「いや、ほら……あの、ほら、久しぶりに術の方のアーミヤ使ってみたいなー……って」

「私が言うまで確定ダメージのこと忘れてましたよね?」

「……はい」

「ドクター……!」

 

 こんな事で、この先大丈夫なのだろうか?

 アーミヤはドクターに背負われながら頭を抱えた。その能天気さというか緩さは確かに彼女の支えになっていることもあるが、もう少ししっかりしてほしいと思う日だった。

 

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