ドクター「何も分からん」 作:オリジニウム爆弾
「ケールケルケルケル!」
前略、高熱の時に見る夢にも出てこないであろうケルシーの偽物が現れた。
流石のドクターも困惑している。
「クロージャ……謝るなら今──」
「違う違う! 違う! 流石にこんなの知らないって!」
この手のトンチキイベントになるとクロージャを疑うようになってしまったが、どうやら食い気味に否定している辺り本当に知らないのだろう。
「Mon3tr、私に続けケル」
首の根本辺りからミニサイズのMon3trらしき何かを取り出したが、一先ず害は無さそうなため放置することにした。
もっとも、二人ともこんなのとは関わりたくないだけだが。
「語尾が雑とかいうレベルじゃない」
「絶対本人が言わない語尾じゃん」
ソーシャルゲームのWEB漫画のハジケキャラのような存在を目の当たりにした二人は渋面を作る。
ケルシー本人はつい先日、ロドスを一時的に離れてしまったため、確認の取りようがない。
そもそも彼女に話したところで、休息を取るように十行くらいの説教を貰うだけなため、あまり効果的ではない。
「アーミヤ……は知らないだろうなあ」
「あの子こそ一番やらないでしょ。普段からドクターに振り回されてるし……今回の件だって『ドクター。遊んだらちゃんと片付けてくださいね……』とか言いそうじゃん」
よくエンジニアの面々に奇天烈な発想を提供して、それによる成果物で遊んでいるドクターにアーミヤも慣れてしまい、よっぽどのことが無ければ特に何も言わなくなってしまった。
それどころかたまに彼女も、その空気に毒されてきている節もある。
「アレじゃないか……あの、最近来た、アレ、コピーの人の」
「あー、ミュルジスね。ライン生命の人ね」
「そう、ミュルおば」
実年齢は定かではないが、ミュルジスに対してそんな呼称を使うのはドクターだけである。
ちなみにウィスラッシュのことはウィスおばと呼んでいる。これは半分くらいはブレミシャインのせいなのだが、それはまた別の話。
「水のアーツでコピーを作れるにしてもあんなん作らないでしょ」
「だよなぁ、じゃあ一体誰が……」
ケルケルと鳴き声が聞こえなくなり、ふと偽ケルシーの居た場所を見ると、そこには何も存在していなかったかのように、偽ケルシーの姿はなかった。
「……消えた」
「え、なんだったのアレ」
二人の見た幻覚だったのか、それともケルシー本人がストレス発散のためのイカれた言動だったのか、恐らく前者なのだが、どちらにしろ恐怖体験だった。
「「うーん。疲れてるな」」
理性ZEROの時は素直に睡眠を取ろう。