転生してから二十数年が経った。
転生したのは剣と魔法の世界みたいなところで、偉い親のところに転生した。最初はすごく混乱したね。いきなり知らない人が見下ろしていたし、オギャーしか言えないんだもん。まあ、でも数年もすれば親を親と認識できるようになったし常識も分かってきた。
何か偉いと思っていた親は名門軍人の家系らしく小さい頃から術式の訓練とかをやらされていた。いやー、子供の頃からやらせる訓練の量ではないと思うけど、何とかやりきりましたとも。誉められるのは嬉しかったし、やる気もありましたからね。
後、何かよくわからないけど、家によって使える固有術式とかいう代物もある。ちなみに内の家系は見た相手の足元にイソギンチャクみたいな紐状のものを発生させ、動けなくする術式らしい。結構えげつない。だって強い相手でも軽く一時間は拘束できるんだよ?術式とかで遠隔攻撃したら一方的に倒せるってヤバイ。
まあ、流石に固有術式は負担がすごいみたいで一回使っただけでもかなりダメージが来る。私の術式の場合、片目にすごい負担がかかる。使い過ぎると失明するらしい。やべえ。
まあ、そんな感じで魔術の訓練したり、勉強したり、軍に入ったりしてたんだけど、色々あって今はニートです。いやー、恥ずかしいね。
二つ年の離れた妹がいるんだけど、その妹に負けているところしかない。いやーまじで恥ずかしいね。姉としての威厳が全くない。シャナも内心頼りない姉と思っているんじゃないかと思うけど、そういったところを臆面にも出さないから分からない。そろそろ神罰隊副隊長になってもおかしくないだろう。まじで実績がすごいから、軍を率いたり多くの研究を統括したり軍の会議にも呼ばれているしね。何より
そんなことを考えながら病室の外の風景を私は眺めるのだった。
私、シャナトリス・トゥーエルフにほ二つ年の離れた姉がいる。
まじでどうやってあんな人間がができるのか知れるなら知りたいぐらい姉は優秀である。色々すごい話がありすぎて何から語ればいいか悩むぐらいである。
例えば三歳の頃から術式の存在を理解していた節があったらしい。早すぎじゃろ。早くても魔術の六歳ぐらいじゃろ。術式の理解そんな早くてもできない。魔術は聖素と呼ばれるものを捻り出して魔術の陣を描いて発動させるのじゃが、聖素を捻り出す作業が三歳の後半でできていると言ったのは両親の弁じゃが、あの二人は冗談はあまり言わん。多分真実なのだろう。本人は覚えてないと言っとるが、反応からしておそらく覚えているじゃろう。姉よ、あなた本当に人間か?
しかも、術式だけではなく剣術も小さい頃からやっていたためかこの国の中でもトップクラスの実力者へとなっている。もちろん、術式に関してはトップスリーぐらいには入っとる。しかも学生時代の成績に至ってはトップじゃったから文武両道とかいうしかない。しかも誉めらられても、いえ私はまだまだ未熟です、より精進しなければ、とかいう真面目で謙虚とかいう非の打ち所が無さすぎるのに別に人間関係の構築も苦手じゃないとかいう、むしろどこに弱点あるのか教えてくれと言いたくなるぐらいには完璧だ。本人曰く質問で繋いでいるので会話はそこまで得意じゃない、らしいがどこまで本当なのやら。まあ、そんな姉だからワシも慢心せずここまでやってこられた訳じゃから文句も言えんがな。
しかも、天才に結構ありがちな直感的なタイプではなく、理論的な説明もできるタイプの天才だから教育者として有能という上に立つ者として最適だとさえ思う。
実績もすごい。軍人養成学校でもトップを維持し、軍に入ってからも功績をどんどん積み上げていった。軍の指揮、訓練、その他諸々きちんとこなし、王にも重臣と認められている。本人曰く私は真面目にやってきただけで、私より評価されるべき存在はいっぱいいると思うが、なんてほざいていたが強くて頭もよくて名門出身で忠実で真面目にこなす人材とか目を付けられるに決まっとるじゃろう。まあ、臨機応変さが重要視される場面は確かに苦手かも知れんが適材適所と言うだろうに。
それに加えて何か新しい学問とかも作り出しておるしな、確か心理学とか言ったか?人の心理を実験により解明しその特徴を数値で表そうという学問だったはずだ。モチベーションの保ち方、訓練の効率化、報告などを分かりやすくするための理論など実用性が高いものを数値で示されたので実験的に軍でも使われ始めている。
後、薬学にも力を入れていた時期もあったの。何か体に負担がかかる代わりに超人的な力が手に入る薬とか、筋肉を効率的に増やす飲み物とかを作っておった。ほぼ全部国に献上しておったがの。姉、まじでヤバイわい。
……そんな姉だが最強ではない。今は入院しておる。目を失明し、体も自由には動かせない。
そんなことになったのはあの出来事のせいだ、四凶災の襲来。あの悪夢のような出来事のせいだ。
四凶災。それはまさに災厄である。最強と呼ばれていた帝国の軍隊を退けた、金も栄誉も望まずただ人を殺す四人組の男。おそらく倒せるものは現在いないともされている統治者にとっては最も厄介と呼ばれる存在。何せ行動原理が不明、強くてどこにでも現れる。どう対処しろというのか。四凶災の恐怖から逃れるためか信仰する者もいる始末。もちろんワシらも対策は練っている。とはいえ軍事力の増強なんて簡単にできることではないから、地道にやっていた。姉が軍に入ったことで大分戦力が増強されたがの、薬とか心理学のお陰とか色々によって。そんな中であの事件じゃった。ワシらの国軍神国ルーヴェルアルガンの分都市が何者かに襲われた。伝令係すらも死んでいたのか情報がほとんど伝わらないという異常事態であった。そんな中調査に向かったのが姉であった。優秀なものでないと調査すらできない可能性があったので捕縛から戦闘まで多彩にできる姉が選ばれたのだ。そして姉は調査に向かった。その結果がこれだ。姉は固有術式を許容以上に使い、片目を失明、体もぼろぼろで一時間以上の激しい運動はできなくなってしまった。
……なんでこんなことになってしまったのか。相手が四凶災でなければこんなことにはならなかったはずなのに。覚えておけよ、四凶災。いつか必ずこの借りは返してやるからの!
……まあ、それはそれとしてもうおそらく姉上は軍にも戻らないだろうし、どうしたものかの。
一番あり得そうなのは軍人養成学校での学園長に着任させることかの。一番これが丸く収まるじゃろう。だって姉は、四凶災と戦ってまともに生きている数少ない存在だ。普通に周りからしたら英雄である。
何もなければ学園長として着任して一生を過ごす、なんて道になるだろう。
……四凶災襲撃から三年が経ったある日のことである。
……姉の部屋に謎の男が現れた。突然部屋の中が光ったと思ったらその男がいたというのが姉の弁である。それだけならその男を捕まえればいいだけなのだが何故か姉はその男を従者として雇い出した。そやつの名前はサガラクロヒコ、短い黒髪の異世界から来たという怪しい奴である。
……なんでこうなったのじゃ!?
勢いで書いたので続きはありません。気が向けば書くかもしれません。