ナナコは可愛いですね   作:ゾエア

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ナナミはかわいいですね

 

 

「はい。これでおっけい。次はどちら様ー!」

 

菜々子は怪我人に対して反転術式を行使した。すぐに肉を埋めて傷口が塞がっていく。手際よく処置を行い、次の怪我人の元へ走っている。

呪詛師夏油傑も面倒なことをしてくれた。東京と京都に呪霊を放つ百鬼夜行。そのため、反転術式による他者の治癒が可能な菜々子は京都に駆り出されていた。東京からの出向勢もいるが、若干アウェイ気味であった。東京には硝子がいるため、京都に菜々子が派遣されるのも仕方がないことだった。

 

 

「んもー。秤は多分トラブってんでしょー。絶対ココと合わないし。」

 

菜々子は妙によそよそしい雰囲気を感じ取っていた。東京からの人材。それも反転術式のアウトプット可能な貴重なものは目立つ。金髪を団子にしてまとめている女子であるのも一因だった。白衣などといった上等なものも着ずに、補助監督と共に負傷者を対応している。

 

 

「お疲れ様です菜々子さん。お陰様で前線を保てました。既に現場は終了しています。後は指示を仰ぎましょう。」

 

金髪を七三に分け、特徴的な眼鏡をかけたシャツ姿の男はそう声掛けた。東京からの出向組である七海である。慌ただしく動いている菜々子を思ってのことだった。七海は袖をまくり、包帯を巻いた鉈のような呪具の確認をしている。

 

「七海さん。お疲れ様です!秤知りません?音楽とか鳴ってました?」

 

「何やら揉めている様子でした。今は話しかけるべきではないかと。」

 

「あらまー。もうやっちゃったか。殴ったりしてないかなぁ。」

 

 

菜々子は秤の人柄を知っている。熱を求めるアウトローのような強面だが、その胸中には善心があることを。どうせここの連中と反りが合わなかったんだろう。ノってる時なら尚更手が出そうだ。

 

 

「あなたは十分仕事をしましたよ。彼も自分で責任は取れるでしょう。」

 

「だと良いんですけどね。とりあえずこっちは一息つきました。」

 

 

 

未使用の器具と使用済みを分け、丁寧にチェックしていく。反転術式で傷は癒えるが、呪いに当てられた場合は毒を抜かなければならない。そのための呪物や薬品も確認をしていく。

 

訪れた怪我人の応急処置と反転術式による治癒は終わり、器具を片付けながら菜々子は言葉を零す。

 

 

「あと──変な仮面の人とか見てませんか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

菜々子がすっかり高専の顔馴染みになった頃、遂に一年生として入学扱いになる日。菜々子は黒髪のつんつん頭と出くわした。

 

 

「おー。君が噂の伏黒くんか。よろしくねー!」

 

「…伏黒恵だ。よろしくたのむ。」

 

菜々子の先制攻撃だった。横から覗き込むように近づいていく。身に纏う雰囲気と意識の動き。少し警戒されていることは理解出来た。

菜々子の勢いに気圧され、少し固くなった伏黒を見て、すかさず追撃が迫る。

 

「五条先生から聞いてるよー。色々大変だったんだね。」

 

「…あの人どこまで言ったんだ?」

 

五条先生から同級生とは仲良くするようにと言われていた伏黒は、その教師への信頼性からか、不安そうに問いかける。少し汗をかいた。

 

「お姉ちゃん大好きって言ってたよ。めっちゃシスコンって。」「──あんの人は!!違う!信憑性はないだろ!!」

 

 

一瞬で沸騰したつんつん頭を見て、菜々子はその()()()からか見抜いてしまった。揺らめく意識の力場。魂の状態は──

 

──深い悲しみと心配の心。意識の内に常に置かれてる。呪術師の覚悟として深いところに。

 

 

「お姉ちゃん。大事にしてるんだね。凄いじゃん。それってとても素晴らしいことだと思うよ。」

 

「……」

 

さっきまで明るく語っていた女子が急にトーンを下げたことを伏黒は気づいた。決して巫山戯たり、からかったりしている訳ではなく、本心からそう言っていることも。

 

──どうやら悪いヤツじゃない。これならやっていけそうだ。

結論づけた伏黒は改めて顔を向けた。

 

「いやぁ。人は見かけに寄らないもんだね!」

 

そして顔を背けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「素晴らしい。自らを差し出すことによる出力制限解除。やはり呪いと精神的な絆は深い関係にあるようです。」

 

 

全身黒づくめで、縦にラインの入った仮面を被った男はそう述べている。しかし彼の視線の先には何もなかった。彼の()()には何か見えているようだったが。

 

 

「あの時帳に穴を開けていただけたのも助かりました。二重の結界は都合が悪い。」

 

 

「パパ。それってどうゆう意味ー?」

 

そこに女の子が歩いてくる。前髪は特徴的な捻れを見せ、白い髪に緑のインナーカラーを施している。つり上がった赤い目は快活な印象を与え、物々しい緑の装備を和らげる。

 

 

「愛ですよ明華(めいな)。愛が呪いを強くするのです。」

 

「へー。そっかー。」

 

明華と呼ばれた彼女にはよく分かっていないようだが、パパが喜んでいることは分かった。自分への関心を奪うものに対して少し嫉妬の色も見せる。すかさず視線を遮り、声を発した。

 

 

「でもあたしの方が凄いよ! どんな呪霊もイチコロなんだから!」

 

呪力を纏って力こぶを見せる。スムーズな呪力操作と握られた拳の破壊力は確かな実力を見せていた。

 

 

「なんと頼もしい。あなたは特別ですものね。」

 

「えへへ。あたしが助けてあげるから!」

 

東雲は彼女に向き直って嬉しそうに声をあげた。仮面で顔は見えないが、彼の心情に嘘はなかった。明華はパパに褒められて上機嫌である。幸せな姿があった。

 

 

「共に参りましょう。あなたとなら越えられない夜などないはずです。」「うん!」

 

 

 









アニメ版の資料を確認した所、菜々子は茶髪でしたが、漫画では釘崎との描き分けと色使いで違う気がしました。この作品では菜々子は金髪でいきます。すみません。
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