空想の錬金術師   作:篠原えれの

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ショウ・タッカー編


 

 「さて、鋼のが帰ってきたことだしこの間話していた続きでもするか」

 

 人払いをしたマスタングは僕達4人で話したいことがあるようだ。

 

 「続きってなんだよ?」

 

 「リオールの件がダメであったのだろう?賢者の石も偽物であったとか。空想のがイーストシティで調べごとをしたいと言ってたではないか。鋼のが帰ってくるまで駄目だとかどうのこうの喧嘩してうるさかったのでな。調べておいた。一人居たぞ、人体錬成に詳しそうな錬金術師が。行きたくないなら別にいいが」

 

 「それ僕が一番行きたくて仕方がなかったやつ……」

 

 「ぜってえ兄貴一人だけで行くとかゆるさねぇからな」

 

 「いたい」

 

 ミシェルが行きたいアピールするとエドが抜け駆け許さんと言わんばかりにミシェルの頬をつねってきた。地味に痛そうである。

 

 「鋼のが過保護になる理由もこの1週間で分かったような気がするよ。ほんとうにザック君にはよく助けてもらってね……」

 

 「だろ?!兄貴の報連相のできなさ半端ないから!ってかザックさんマジか……居なくなった兄貴をすぐ探せられるのか……」

 

 マスタングの言葉にエドワードは天を仰がずにはいられない。ザックを助手にしたがる兄の気持ちが少し分かったからだ。実際は全く違う目的であるのだが。

 

 「仕事中はそうでもなかったけどね。あれは移動するときだけだな。注意しようとしたときにもう居なくなってるのはさすがにやめたまえ」

 

 「……すみません、ほんとうに」

 

 「兄貴の団体行動のできなさはすげぇからな……」

 

 「この間のアイザックの時もそうだったよね」

 

 「おう……そしたら案の定爆睡決め込むから余計な……」

 

 この手の話になるとクレームの嵐になるのでミシェルは謝罪に呈するしかなくなる。やりたいことやるには一人が一番楽という気持ちを堪えながら。洗脳に頼って寝込んでしまうのだから仕方ない。

 

 アイザックを助手にした理由として、洗脳を1から10まで終わらせてあるので最早ザックという別人ではあるが、エルリック兄弟より色々と融通が利くのが利点だ。元国家錬金術師として錬金術の知識もある。体力もあり、補佐役としては100点満点であった。

 

 アイザックは、スカー戦が終われば離脱してもらう予定なのでまた弟達を含む大佐達にも忘れてもらう予定はあるが。どこかしらザックとして再開することがあれば思い出してもらう予定だし、ミシェルは自分が生きている限りは大丈夫と色々慢心していた。

 

 アイザック本人の意思なんてそこにはないのだ。アイザック・マクドゥーガルは生きているが、あの時点でもう死んだも同然なのだろう。ここには、全てを否定するアイザックは存在しない。全てを肯定するアイザックだけが生き残っている。

 

 「本当に色々迷惑かけてごめん。」

 

 「んまあ、そうやって生きてくれるんなら別にどうでもいいけどよ。俺ら以外に迷惑かけるのは本当にやめろ。今回は大佐達のところだったからまだ謝るだけで済んでるけど、他所行ったとき下手したら殺されるぞ」

 

 「……肝に銘じます」

 

 さすがにブリッグスとかでそんな野蛮なことしないから。慣れて来たらしそうだけど。

 

 「話の続きをしてもいいかね?」

 

 「あ、よろしくお願いします大佐。聞きたいです」

 

 「はぁ……まったく。私が紹介したいのはこの人物だ。綴命の錬金術師、ショウ・タッカー。合成獣錬成の研究者が市内に住んでいてな。2年前人語を使う合成獣の錬成に成功して国家錬金術師の資格をとった人物だ。」

 

 「人語を使うって……人の言葉を喋るの?合成獣が?」

 

 「そのようだね。私は当時の担当じゃないから実物を見てはいないのだが、人の言う事を理解しそして喋ったそうだよ。ただ一言、「死にたい」と」

 

 マスタングの説明に弟達二人は驚きを隠せないようだ。

 

 「空想のはそこまで驚かないようだな」

 

 「驚いてますよ。それで、えっとその合成獣はどうなったんですか?」

 

 「エサも食べずに死んだそうだ。会ってみる価値はあると思うが、どうかね?」

 

 「ぜひ!行きたいです!」

 

 「(兄貴があんまり驚かないのはいつものことだけど行きたがってるのも珍しいな。リオールの時も普通に行けなくて残念がってたしな。まったく、何考えてるんだが)」

 

 「ザック君も一緒に行くんだろう?彼なら大丈夫だろう。鋼のも負担が減るんじゃないか」

 

 「そんなに。まぁ、俺はどっちでもいいですよ……」

 

 「よかった。ありがとうエド、助かるよ」

 

 ミシェルもザックの便利さを大変理解していたので、一番拒絶反応が凄そうなエドワードから許可を貰ったのでガッツポーズした。大佐の信頼を得たのはでかいだろう。洗脳を終えたアイザック君優秀すぎるのでは?ミシェルはこの一週間の努力が報われた気がして喜びを嚙みしめた。

 

 その後エドに「ザックさんてでも俺らの秘密知らないよな?大丈夫なのか?」と聞かれ、素直にミシェルは「ザックさんに人体錬成のこと話しちゃった」と説明した。

 案の定そのことで喧嘩になったがうまいこと宥めて落ちつかせることに成功した。洗脳を使わなくても仲直りできたので大優勝である。原作でも、あって初対面のタッカー氏にもエドは人体錬成のことを話している。それぐらいなら別にいいのだろう。

 

 ザック君僕の助手だし、知ってる設定のが便利だよね。

 中身アイザックだけど、こっちのアイザックはアニメと違って多分アルの中身が空洞だって気付いてないし(気付くぐらい攻撃してたら多分アルは鎧姿に戻っているため)エドの体が一部機械鎧だってのは気付いただろうけど人体錬成まではさすがにわかっていない様子なので洗脳した際に拒絶されない設定で1から10叩き込んだ結果優男が爆誕した。

 

 「ザックさんて吸血のことも知ってんの?」

 

 「さすがにそれは外部漏れが怖いから説明してない」

 

 「そうか……まあさすがに、大佐にも話してないもんな」

 

 まあ知ってるんですけどね!アイザック君には申し訳ないけどほんと生きた感情のある傀儡って感じ。僕が考えた設定なんでも受け入れてくれるよ。スカー戦まで大佐達には申し訳ないけど我慢して貰う予定です。

 

 ニーナ、助けられたらいいけどその後すぐ修羅場だから難しいかもしれない。がんばる。

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