空想の錬金術師   作:篠原えれの

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 マスタング大佐引率のもと、エルリック兄弟は3人揃ってタッカー邸に訪れることができた。

 

「ぎゃぁぁぁ」

 

 エドワードは原作通り犬(アレキサンダー)の下敷きになった。ミシェルはエドワードと似たような背丈であるにも関わらず存在感が薄いので犠牲にならずに済んだのだった。

 

 「こら、だめだよアレキサンダー。……わあ!お客様いっぱいだねお父さん!」

 「ニーナ、だめだよ。犬はつないでおかなくちゃ。……申し訳ないね。妻に逃げられでから家もこのありさまでして……」

 

 タッカー邸は原作通り部屋中が汚れていて汚かった。

 

 「(なんとかしてこの家綺麗にできない?無機物と有機物別けるのは得意だけど)」

 

 「(兄貴今絶対この人の家綺麗にするとか考えてそう)」

 

 「(タッカーさんが良いよって言ったら別に綺麗にできるんじゃない?)」

 

 「(とりあえず兄貴が暴走するのを止めるのは俺らの役目な)」

 

 「(うん)」

 

 ミシェルが考えていることは普通のことであれば弟達も理解できた。弟達は目線だけでミシェルをどうするか打ち合わせしていた。その様子を見てタッカー氏もさすがに困った様子であった。

 

 「だ、大丈夫かい?すまないね、ほんとうに汚れていて……」

 

 「大丈夫です。忙しいところ時間をいただいて本当にありがとうございます」

 

 「それならいいんだけど……。あらためて初めまして。まさかあの有名なエルリック兄弟に、それも全員ともお会いできるとは思いませんでした。綴命の錬金術師ショウ・タッカーです」

 

 「よろしくお願いします」

 

 「そこの高身長の彼は?」

 

 タッカー氏はザックを見て不思議そうにする。

 ミシェルは説明する。

 

 「僕の付き人です。名前はザック・テイラーと言います。恥ずかしながら僕は睡眠障害持ちでして、その前兆がわりと決まって皆のいないところで倒れるでして、皆を困らせてしまうので雇いました。彼すごいんですよ。僕が、倒れる前兆が分かるみたいで」

 

 「ザック・テイラーです。いやいや、そんなことないですよ。意地と気合でついて行ってるだけです(洗脳のことは話すなの一点張りだしな)」

 

 「(まさかの根性論だった)」

 

 弟達はザックの言葉に驚いていた。大佐は呆れながら僕の紹介を聞いていた。タッカー氏はあまり違和感を感じないみたいだ。

 

 「そうなのかい。苦労が絶えないんだね。そういうことなら別にいいですよ」

 

 「助かります。急に一人増えて申し訳ない。彼らは生体の錬成に興味があってね。ぜひタッカー氏の研究を拝見したいと」

 

 大佐が三人をそれぞれ紹介する。

 

 「ええかまいまんよ。でもね、人の手の内を見たいと言うなら君達の手の内も明かして貰わないとね。三人のうち、二人は国家錬金術師なのだろう?不公平だとは思わないかね。それが錬金術師だと私は思うのだけど。……なぜ生体の錬成に興味を?」

 

 「あ、いや彼等は……」

 

 「大佐、タッカーさんの言う事も最もだ。」

 

 エドワードは服を一枚脱いで、右腕の機械鎧を見せる。

 

 「……それで、鋼の錬金術師と言われているのか」

 

 「エドだけじゃ不公平でしょ。僕のはこれです。よく僕を見ていてくださいね、タッカーさん」

 

 機械鎧を見せたエドに続いて、ミシェルも錬金術を見せた。空想の錬金術師と言われる所以になった錬金術を披露する。

 

 「……姿が消えた。これが噂に呼ぶ、認識妨害の錬金術か。驚いたよ、完全に姿を消してしまえるんだね。影もない。ミシェル君は今どこに?」

 

 「目の前にいますよ」

 

 「どうやって姿を消したんだい?錬成陣も無しで」

 

 タッカーの質問に答えつつ、ミシェルは錬金術を解除し、姿を現す。

 

 「それが僕の錬金術の醍醐味です。因みにですが、弟のエドワードも錬成陣を使わないで錬金術を使えますよ。末っ子のアルフォンスはできませんがそれでも優秀な錬金術師です。僕達三人で幼いころから錬金術の修行を行いましたので、僕のこれ以外は二人とも同じぐらいの力量はあると思いますよ。こんなこと言うと怒られちゃうんですけどね、実際はそうだと思います。僕も二人が使える錬金術はほぼ全て行えますので。『認識妨害の錬金術』この錬金術は僕だけの知識なので、同じように実行するのが大変難しいんですよね。以前同じように聞かれて、弟にも『認識妨害の錬金術』を伝授しようとしましたが中々できないのが現状です。具体的なことは話せませんが、僕の錬金術は主に人を錯覚させることが大前提でして。そうですね、条件としては相手の視界に姿を見せること、相手に触ることでこの錬金術は発動可能になります。これは軍に公開している情報なので、タッカーさんも知っていて大丈夫な情報ですよ。」

 

 「本当にそこに居た……。貴重なものを見せて頂いてありがとうございます。なるほど、エドワード君も錬成陣無しで錬金術を行えるんだね。ところでその鋼の義手はどうやってなってしまったんだい?色々聞いてすまいないね」

 

 「いいですよ。全く、俺が認識妨害の錬金術を使えないとか言うなよな。(絶賛練習中だってーの。原理は、分かるんだ。あとは、どうやって他人にそうだと思わせるかがこの錬金術の鍵だな。俺嘘つくの苦手だから分かんないんだよ。多分兄貴は、人の脳みその中を見る天才なんだ)」

 

 「(なんかエド怖いこと考えてない?)」

 

 「俺と兄貴は昔、母さんを生き返らせようとしたんだ」

 

 「失敗してしまったけどね。僕たち、人体錬成をしようとしたんです。母さんは生き返らないし、エドは右腕と左足を持ってかれて、僕も睡眠障害を負いました。具体的には状況問わず突然倒れて眠ってしまう過眠症の部類なんですけどね。これには本当参ってますが僕への罰だと思うようにしてます。今日ここに来た理由は人体錬成を行った際に持ってかれた部分を取り戻すためのヒントを探しに来まして。人体錬成と生体錬成、似てますよね」

 

 「(こうして聞くと兄貴って全然持ってかれてないんだが、実際は俺よりも兄貴の方が重症だよな。過眠症に、真理に容姿とられて、その上生きてくために吸血もしなくちゃいけないもんな。よく過眠症だけで誤魔化せてるよ)」

 

 ※過眠症は具体的に言えば洗脳によるものだが弟達や大佐は洗脳の存在を知らないし知らせる予定はない。容姿を盗られているのと前世の容姿と能力を与えられたせいで吸血しないと死んでしまうのは本当である。

 

 「そうか母親を……辛かったね」

 

 「この件に関して、二人とも東部のあの内乱でそうなってしまったと上に報告してある。人体錬成のことについては他言無用でお願いしたい」

 

 「ああ、いいですよ。軍としてもこれほどの逸材を手放すのは得ではないでしょうから。ところで、普通に聞かれていたザックさんはこれらの話を知ってるので?」

 

 「助手ですので一通りは(ミシェルのことなら多分誰よりも詳しい自信がある。大佐や鋼のより!)」

 

 「さすがだな……信頼のおける部下の存在はでかいだろう。大事にした方がいいよ。では……役に立てるか分かりませんが私の研究室を見てもらいましょう。」

 

 研究室を見せて貰ったミシェル達は合成獣の多さに圧巻する。

 

 「(さすがに多いな……)」

 

 「いやおはずかしい。港では合成獣の権威なんて言われているけど実際のところそんなに上手くはいってないんだ。こっちが資料室」

 

 「すげ――!」

 

 本の数々に圧巻する。これはエドワードが好きそうだ。

 大佐は仕事で戻るそうだ。帰りは車が無いので夕方迎えに来てくれるらしい。

 ありがたい。

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