空想の錬金術師   作:篠原えれの

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 完全に寝落ちする前に、やっておかなければいけないことがある。

 ニーナとアレキサンダーの保護だ。

 

 このままタッカー邸にニーナ達が居ては危険すぎる。スカーに殺される上、またショウ・タッカーがニーナ達を合成しようとするかもしれない。

 

 ニーナ達にはしばらく眠ってもらう。

 大佐を言いくるめて東方司令部で保護してもらう。

 

 それで、ショウ・タッカーがスカーによって予定通り死亡したら、ようやくヒューズ中佐の出番だ。ヒューズ中佐に彼女を保護してもらうのだ。

 娘のエリシアちゃんと同い年ぐらいだろうし、ほっとけないだろう。ヒューズ中佐には申し訳ないが本来訪れるべき死から絶対に助ける予定の一人なので、これぐらいはやってもらいたい。

 

 それから違和感がない程度に、ニーナには申し訳ないがヒューズ中佐がお父さんだと思うように洗脳を施しといた。これでヒューズ中佐も他人事ではなくるだろう。自分を父と慕う娘を見てほっとけないだろう。ついでにグレイシアさんも母と思うように設定を組み込んでおいた。ニーナの亡くなったお母さんはニーナに似てたらしいね。ほんとタッカー一家かわいそうだよなぁ。一人の狂った人間が居たせいで消滅しちゃうんだもの。

 

 無理やり感はあるが、親を失ったニーナのためである。ニーナはこの先、ヒューズ一家を拒絶すれば孤児院で生きることになる。それでもいいのだろうが、その場合アレキサンダーはよくて里親保護、悪くて安楽死だろう。小さな子供では犬を育てるだけの経済力はないが、ヒューズ一家ならそれも可能だ。誰かしろ嫌がられたら良い感じに洗脳するしかない。

 

 助けると決めたら僕はなんでもするのだ。例え全世界を敵に回そうが僕は1を絶対に助けるタイプだから、本当に目的の達成のためになんでもする。前世でもそうだったからさ僕。一時期全世界から無茶苦茶嫌われてたよ。最終的に前世じゃランファンみたいに王家の第一側近まで上り詰めたけど、あれは完全に不本意だったかな……だって助けないと僕死んじゃうような状態だったんだ。相手もだけど。今世もそうならないことを祈るしかない。あ、もうなってるか。今世でもエドを護り切らないとエドが死んだら僕一週間後には死んじゃうもんね、マジで。

 

 なんやかんや、事は僕が想定したシナリオ通りになった。

 

 ⬛︎

 

  あれから眠ったままのニーナとアレキサンダーは父親が飲ませた薬による後遺症とのことで診断がつき、僕が説得しなくても父親が裁判で中央に連れて行かれるまで東方司令部にある医務室で保護されることになった。そこから先はやはりニーナ達は孤児院で保護されるようだ。人間はともかく犬まで眠ったままなんて珍しいこともあるもんだと騒がれた。アレキサンダーに関して、安楽死すべきかと相談されたが僕は父親が中央に連行されるまで少しまってほしいとお願いした。

 

 そして、訃報が入った。

 

 「タッカーが死んだ?!ニーナは……」

 

 リザからショウ・タッカーの訃報を知らされ、エドワードは困惑を隠せれなかった。

 

 「ニーナちゃんは大丈夫。偶然だったけど、うちで保護しててよかったわね。まだ眠ったままでお父さんの死は知らせられてないけど」

 「よかった……」

 「これが吉とでるか凶とでるか、こればっかりはニーナちゃんにしか分からないことだけど」

 「そうですね……」

 

 ニーナの無事を聞き、エドワードは安堵するが、あんな父親でも、ショウ・タッカーはニーナにとって父なのだ。ニーナの今後を考え、過去の自分たちと重ねたエドワードは酷く落ち込んだ。

 

 「ニーナの孤児院行きはやっぱり変えられないんですか」

 「そうね。家系を調べてみたけれど、親族がいなくて。引き取り手がいないの、彼女」

 「アレキサンダーは……」

 「このままだと安楽死でしょうね。里親も見つからないみたいだし」

 「アレキサンダーだけでも俺達で保護……!」

 「気持ちは分かるけどエドワード君達は旅もするから飼えないでしょう。犬も一緒に連れて旅をするなら別にいいけど。東方司令部はダメよ。ずっと同じ人間が居るわけじゃないから。私も犬を飼っているから気持ちは分かるけど、うちの子はアレキサンダーより小さいから、喧嘩したら怪我するのはうちの子だしで、中々難しいのよね」

 「それでもいい!一緒にアレキサンダーと旅する!」

 「兄さん、旅をする度にアレキサンダーの下敷きになるよ。」

 「うっ、それでも……なんとか……安楽死なんてあんまりだ」

 

 アレキサンダーが死ぬかもしれない。エドワードはそれがとても嫌だった。ミシェルもこうなることは予想していたので、なるべくニーナ達が同時に生き残るプランを練っていたのだ。一緒に旅をしても良いがそれはそれでアレキサンダーにとって危険が多すぎる。なるべく戦いから離れた場所で暮らしてもらうのが一番だろう。

 ミシェルは思った。はやくヒューズ中佐来てくれと。

 

 ■

 

 実話エドワード達が話している間、医務室で進展があった。

 

 「ひどいありさまだったな」

 「そうですな」

 「少佐、俺ぁちょっとばかりあっちの様子が気になるから先行っててほしい」

 「分かりましたであります」

 

 ヒューズがアームストロングにそう伝える。ヒューズはマスタングから聞いてしまったのだ。今回被害にあったタッカー氏の幼い娘が、まだ眠ったまま東方司令部で保護されてることを。

 

 「このまま何もなかったら彼女は孤児院行きだそうだ」

 「そうか……」

 

 聞けば自分の娘とかわりない年齢らしい。自分の娘は3歳であるが、話を聞けば彼女は6歳ぐらいだとか。しかし家に引きこもり気味で学校等にもあまり通ってなかったのだという。

 気になる。ヒューズは非常に彼女のことが気になった。他人事ではないような気がしたからだ。

 

 彼女の様子を見た時、異変が起きた。

 

 「おとうさん……?」

 

 ニーナが目覚めた。

 

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