「ニーナ・タッカーを養子に迎える~~!?正気かヒューズ」
「いやまぁ、こんなに懐かれてしまったら仕方ないというか、この子ほっとけない。一度この子を連れて中央に戻ってグレイシアにも話す。ニーナを俺の家族に紹介する。」
「グレイシアさん?おとうさんの家族?」
「俺の奥さんだ、ニーナちゃんにも俺の娘を紹介したくてな。かわいいぞ~~。友達になってくれ。多分ニーナちゃんの方がお姉ちゃんだ!」
このやりとりは実話何回か繰り返している。マスタングはずっとこの会話を聞いてげんなりしている。
「お母さん、実家から帰ってきたんだ!ニーナも一緒におままごと遊んでくれる妹が欲しかった。妹にも会えるのうれしい!お父さん、ずっと研究室に籠って遊んでくれなかった。寂しかった」
「そっか。……ごめんな。でも、もう大丈夫だ」
「査定も終わったの?」
「あ~~査定な、お父さん落ちたんだ。国家錬金術師じゃなくなったんだよ。かわりに軍人さんとして働くようになったから、大丈夫だぞ」
「そうなんだ。大丈夫だよ。お父さん、いつも頑張ってたの見てたから!ニーナ、いつでもお父さんと会えるのうれしい!」
「……おいおい、ヒューズ……」
「仕方ねぇだろ。訂正してもずっと俺のこと父親だって、査定がどうのこうの言いまくるんだから。こんな状態のニーナを置いてけねぇよ。どんどん思い込みも酷くなってるしな。ずっと父親が研究室に籠りっぱなしで、寂しかったんだろうよ」
その光景をミシェル達も見ていた。正直洗脳が完成されすぎてミシェルもドン引きしている。やりすぎた感が否めないのだ。
この状態のニーナをほっとくとか良心が死ぬだろう。ヒューズ中佐の気持ちがよく理解できた。だからこそそう設定したのだが。うまくいきすぎている。後が怖いなと思う。ミシェルはニーナのような前例を知っている。その上、無茶苦茶恨まれた過去もある。責任は取ろうと心に誓った。
ついでにニーナの洗脳はグレイシアのことも母親だと思うように設定してあるので、グレイシアのことは実家から帰ってきた母だと思うようになるし。エリシアもその際できた子供だと思えば違和感はないだろう。エリシアのことも実の妹のように思うよう再度洗脳を施しといた。実際はニーナの母親の実家なんて存在しないのだけど、怖いね。嘘から出た誠が再現されている。
国家錬金術師がどうのこうの、査定がどうのこうのは、エリシアちゃんやグレイシアの前では言わないように再度洗脳しとこう。ヒューズの家族の前では、ヒューズのことは父と慕うが、それ以上のことを押し付けないようにするのだ。でないと一家が崩壊しかねない。ニーナにとってヒューズとはの設定を考えないと。ヒューズ中佐と二人きりの時だけ、ヒューズはニーナにとってのショウ・タッカーになる。家族一緒の時だけようやく、ヒューズはヒューズとして過ごせるのだ。
これはある意味「呪い」であるが、洗脳の矛盾が発生しないためにも仕方がないことだったりする。ニーナが大人になって、自立する年齢にもなれば洗脳も解けるように設定してある。
その日の僕はニーナのことで大混乱している現場を他所に、洗脳疲れで完全に眠ってしまっていた。アレキサンダーも無事に起きられたので、そのままアレキサンダーはヒューズ一家さえよければ、拒否権なんてないようなものではあるが、ヒューズ一家に引き取られる流れになるみたいだ。