空想の錬金術師   作:篠原えれの

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5.ミシェル・エルリックの「大罪」

 

 

 周りがまだ騒がしい。東方司令部かなここ。あれからどれぐらい時間がたったんだろう。

 

 この世界に来て、今回僕は初めて死んだ。

 スカー戦で元々1回ぐらいは死ぬ予定ではあったから、上出来と言えば上出来なんだけど、タイミングが少しまずかったかもしれない。

 エドがわりと自棄になっているタイミングで飛び出したから、絶対あれはあれでアルと喧嘩になってると思うんだよね。

 あの時原作と違って僕の幻覚のせいで大佐達がまだ到着していなかったし、あのまま放置すると最悪エドが死ぬ可能性があった。

 だから僕が肉壁になること事態は全然不服でもなんでもないし、そういう話はぶっちゃけ弟達にもしたことはある。

 

 僕は半分ぐらい不死身だから、いざとなったら頼ってもいいとは。

 

 その後こってり半日ぐらい無茶苦茶アルフォンスに怒られたけど。

 エドが死んだらどの道にしろ僕は死ぬんだし(他者を殺しながらの吸血ではどうしても限界があるため)、僕がエドの肉壁になる分には全然合理的じゃんとすら思うんだけど、命大事にしろって言われて中々大っぴらに死ねなくなったんだよね。

 

 一応そういうコンビネーションもアルに内緒でエドと作ったことあるんだよ。すぐばれて怒られたけどさ。

 

 そう思いながら、目を覚ます。

 

 「……ここ、司令部?」

 「目覚ましたか。意外と起きるの速かったな。……兄貴、わるいけど大佐達に俺らのこと大体喋ってしまったから。」

 「あの場でやってたこと全部喋っちゃった感じ?別にいいよ。遅かれ早かれ、説明しなきゃとは思ってたから。」

 「兄貴、それからさ、ずっと寝てたから気付いてるのか分からねぇけど、その、容姿……」

 

 エドが申し訳なさそうに僕の容姿のことを話す。あ、疲れ果てて容姿そのままにしちゃったのか僕。今からでも幻覚使って金髪赤目にしておこう。エルフ耳はやっぱり目立つよ。やらかしたかな僕。拘束されてないあたり大丈夫そうだけど。

 

 「……大丈夫。僕は全然平気だけど、大佐達はどんな反応してたの?」

 「どんな反応って……そりゃ驚いてた。お前のこと俺が説明してなきゃ完全にバケモノ扱いしてたぞ。もうしてるだろうけど。いだっ」

 

 エドが僕に喋っているのをいいことに、背後から来た大佐が拳でエドを叩く。

 

 「何を小声で喋ってるのかと思えば、起きたか。空想の。いつもの金髪赤目の容姿をしてるということは、だいぶ調子もよくなったみたいだな。」

 

 ミシェルは悟った。大佐があまりにも全て知ってますという表情をしているので大佐と視線を合わすのをやめた。引き気味になりながら話す。

 

 「おかげさまで……全開です……」

 「事情は大体鋼のから聞いている。よほどの事情が無い限り基本はその姿でいなさい。それが本来の君の容姿に近いのであろう?なら、その方が良い。この国で青髪赤目とエルフ耳は目立つからな。……先ほどまでスカーとザクと名乗る男について話していてね。イシュヴァールの民について空想のはどこまで把握してるかね」

 「東部の内乱と、イシュヴァール殲滅戦の話でしたら把握してます。あの二人は完全にそれの生き残りで、復讐心しかないって感じでしたよ。戦闘の際にそう感じました」

 「そうか。アイザックの件も済んでないというのにな。次から次に問題事が増えて大変だが、我々の方針は変わらない。」

 「対象の処分ですね。分かりました」

 「そういうことだ。よろしく頼む」

 

 目覚めてすぐだというのに、物分かりの良過ぎる兄に相変わらず弟達はドン引きしていた。ミシェルはミシェルで、ザックの痕跡が完全に消えてることに満足すらしていた。その辺は相変わらずである。

 

 「兄貴、やっぱり物分かり良過ぎるって」

 「そう?まぁ、でも次も戦って生き残れるかって言われると微妙なところあるけどね。1回死んじゃったし、僕に残機がもう少しあるといいんだけどね。僕のこれは一度死んじゃうと次に吸血するまでは基本的にみんなと一緒で被弾すると死んじゃうことには変わりないんだし、半分だけ不死身っていうのも不便な話だね。……あ」

 

 猛烈な怒気のオーラを感じた時には遅かった。

 そういう話が嫌いなアルフォンスも当然近くに居るのである。

 

 「残機がどうのこうの言わないって前に僕むっちゃ怒ったよね。」

 「ごめん。」

 

 こういう時、僕とエドはいつも一致団結するのだが、アルが決まって怒るので、いつも僕は彼に負けてるのが現状だ。言ってることはアルの方が正論だったりするし。素の喧嘩でも何の能力も使わなかったらアルの方が強い。幻覚使ったらさすがに僕が勝つけど、兄弟喧嘩でそういうのはやらないよさすがに。あの喧嘩の強さはどこで培ってきたんだろうねほんと。

 

 「喧嘩中すまねぇけどよ、やっぱアルフォンス君の鎧はエドワード君じゃないと直せねぇのか?」

 

 「えっと……これ知ってるんだっけ。アルの鎧と魂の定着方法知ってるのはエドだけだから。僕がやるのはちょっとリスクが高いかな」

 

 「直してやりたいけど俺この腕だしな……。兄貴が分からないのも無理ねぇよ。俺が兄貴の認識妨害の錬金術をできないのと一緒だ」

 

 「なるほどなぁ」

 

 「因みにだけど、僕はアルをこの状態から完全な人にすることもできるけどね、僕の幻覚って、完璧すぎて元の状態がどんな風になってるか分からないっていう欠点があるんだよね。鎧がどれぐらい破損してるか一気に分からなくなるから、もし移動してる最中少しでも錬成陣が破損したら一発アウトだし、」

 「そんな怖いこと喋らなくていいから!僕人になりたいとか一言もしゃべってないし!このままでいい!」

 「ごめん……」

 「俺も今のは兄貴が悪いと思うぞ……」

 「ごほん。すまんな、野暮なこと聞いて。エルリック兄弟はこれからどうするんだ?腕直さなきゃだろ?」

 「……そうなんだよな……。」

 「とりあえず、決まってるよね。ウィンリィのとこだね」

 「機械鎧のことで怒られたら庇ってくれな……」

 「それは知らない。ごめんって、ほんとそれに関しては専門外なんだがから」

 「兄貴のろくでなし!……うちの整備師のところ、行くしかないよなぁ」

 

 「苦手なのか」とかとヒューズ中佐に耳打ちされたので「うん」と頷いとく。僕は全然平気だけど。機械鎧壊すのはもう運命なんだから仕方ない。話進まないし、エドには申し訳ないけど犠牲になってもらう。言うてエドがウィンリィ好きなのは知ってるし、最近はよく分からないけど。なんか大佐とエド妙に仲いいというか。ホモか。二人ともどっちかと言えばバイの方なんだろうけど。まぁ別に僕としてはどっちに転んでもこの小説にボーイズラブのタグが付くだけだし、どっちでもいいや感はある。

 

 前世の僕もバイだったからね!結構がっつりどっちでも美味しく貰えるタイプだけど、ホモだったら僕は結構攻めの方かもしれない。受けでも大丈夫だけど、僕わりと相手を可愛がりたいタイプだからさ~~。

 

 前世では、僕は正直言えばNLを狙ってたんだけど、NTRされてフられちゃったから、NTRしたそいつをNTRしたら僕王様の第一側近になったんだよね。おかしいなぁ。僕ね、命の恩人にくっっそ片思いしてたんだけど、命の恩人をNTRしたそいつ超悪人の癖に一国の王様候補でさ。蓋開けたらNTRしたクソガキが第一王子とかマジでほんとにさぁ。しかもそいつ生きたがりなの。何回も死にかけてるのに僕巻き込んで「俺が死んだらお前も死ぬ、僕が死んだらお前も死ぬ」っていう呪いかけやがってさぁ。あいつ僕が人工精霊で中々死なないことをいいことにあんな呪いかけたんだよ。あいつ死んじゃったら僕の存在が丸ごと消える呪いとかマジでありえん。今となっては誰よりも大切な恋人だけど、前世の愚痴をやりだしたらきりがないのでこの辺にしとおこう。

 

 さて、何故こんな話をしたのかというと理由がある。

 僕がこの世界で生き残ることができるようになった天使の力、それにまつわる話だ。

 僕の天使の性質はミカエルになる。

 ミカエルは自分の力を分け与えて眷属にする際に、5つの属性に別けて部下にする。「赤の雨」「黄の雨」「緑の雨」「紫の雨」「青の雨」ってそれぞれ属性があるのね。僕は「黄の雨」に属するんだけど、「黄の雨」のテーマが厄介でさ。

 

 「黄の雨」はそれぞれ、大天使ミカエルの「大罪」を司ってるのね。

 

 「傲慢」、「憤怒」、「強欲」、「暴食」、「色欲」、「嫉妬」、「憤怒」、「怠惰」ってさ。この世界と一緒なの。違うのは弱肉強食具合いがやばいってぐらい。この世界の大罪は仲悪くても同じ親から生まれた兄弟って感じだしさ。その非じゃないってというか。仲が良い大罪同士は死ぬほど仲いいけど、仲が悪いともう大変、殺し合い。なんなら自分が次の大罪になるって大罪を喰う奴も居るしで。僕の知る限りだと暴食が一番の被害者かな。かわいそうに。さすがにミカエルよりも強い存在がミカエルの暴食になりたがるとか暴食もミカエルも思わないよ。僕も思わなかったけど。そんな良い地位じゃないよこれ。むしろどちらかというと全世界から疎まれる存在だよ。

 

 さて、そんな弱肉強食って感じの世界の大罪だったけど、僕が司ってたのは色欲だ。だからだね、僕けっこうむっつりな自覚はあるよ。その手の話がこれから増えると思う。ごめんね。

 

 だってさ、次の話ってマルコーと色欲(ラスト)が邂逅する話じゃん。同じ色欲を司る者として、会って起きたさはあるよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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