空想の錬金術師   作:篠原えれの

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 私はいま、何を言われた。

 私はいま、何をしている?

 私はなぜ、この男を受け入れた?

 私はなぜ、この男に賢者の石を差し出した?

 正気に戻れ。支配権を取り戻せ。一度死んだ今ならば、取り返せる。

 

 「ざんね~~ん!ミシェル君単体ならそれもできたと思うわよぉ。でもね、あなたは敗北したの。私は、大天使ミカエルの眷属が一人。黄の雨(イエローレイン)、色欲を司る者。そうね、ミミと名乗りましょうか。名無しだと不便するから。この容姿も、ミシェル君が女性だった時のものを借りてるのよ。色欲の依り代として、ミシェル君はなにもかもが完璧なのよ。素敵でしょう?それにしても、本当にお会いできて光栄だわ。私、あなたのファンなの!数ある大罪を司る版権キャラクターの一人として、かなり好きな部類に入るわ!♡」

 

 さっきから五月蠅い(うるさい)この女は、何を喋っている?

 版権キャラクターの一人?

 大天使ミカエルの眷属?

 色欲を司る者?

 

 「そこだよね、版権キャラクターにしても、創作キャラクターにしても、自分たちが架空の世界の登場人物だって理解する者達の少なさにミミはいっつも頭を悩ませるの。ミシェル君はその点、物分かりが良くて助かるわ。所詮、この世界も1つの物語にすぎないってね!大好きだけど!うっとり愛でたくなるぐらいには!そういうミミも架空の存在の一人。2次元の存在にすぎないってことは、十分理解してるけどぉ。あの大天使ミカエル様ですら、世界の中心にたってないの。それでいいじゃない!みんな、生きてることに変わりはないんだから!だからね。マルコーの処理はやっといてあげるから、ミミはこれらから、あなたにこの世界で生き残るための術を教えてあげる♡」

 

 わけが、わからなかった。

 

 ■

 

 ラストは知った。この世界の行く末を。

 そして。これを身内に話すことを当然ながら禁じられた。

 玉砕覚悟でお父様にこの御霊を捧げても良いと思った。

 あの忌々しい存在を巻き添えに死ねるなら本望だとも。

 巻き添えにできなくても、この情報をお父様に託すことができるなら、本望だとも。

 

 「あらぁ、元に戻るの?♡グリード君みたいに?いいわよぉ♡貴方の中にある賢者の石のストック、大体確保できちゃったから♡別に戻られても困りはしないわ♡そうしようとした瞬間、全て忘れて貰うから♡賢者の石のエネルギーを手に入れた私は今、全盛期と変わりない力を得たわ♡私は別にもう、貴方を頼らなくても大丈夫だし、貴方一人だけを切り離すことができるから♡人格嘔吐ってやつみたいに!♡あれ、えっちだよね。私、大好きなんだよね。私が人格嘔吐される側になるのは勘弁だけどぉ♡あのお父様とかいう真理のゴミカス、貴方という人格ごときあのクソゴミ屑が欲しがると思えないけど♡命というストックにしかあの人、興味無さそうだものね♡私もそうだけど♡その点、私なら貴方をもっと有効活用してあげられるわ!♡あのクソゴミ屑とちがって、私は貴方を認めてあげるし、なるべく生かしてあげるし、死ななくていい方法もさがしてあげるわ!♡それから……あなたが興味ありそうなのってこれとか興味ない?♡生殖機能とか欲しいんじゃないかしら!♡私の力を使えばそれぐらいはできるわよ?♡どうかしら?♡」

 

 ラストは、とても悩んだが最後の一言によって敗北した。どうしようもなく屈辱的であったが背に腹は代えられないものがそこにはあった。

 生殖機能。ホムンクルスになくて、人間にはある機能の1つだ。

 それが得られる。色欲を司るラストにとって、それは喉から手が出るほどほしいものの1つであった。

 

 「私の傘下に入ってくれるというのならば、悪いようにしないわ。よろしくね。大先輩様♡」

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