「エドは私の娘じゃないね、娘のような息子のような関係だけどさ。というか孫だね」
「申し開きはあるかね、等聞かれたらそう答えるのが通りと思ったまでです。」
「血を流しながら言われても説得力ないけどね。まったく、あんたらいつからそういう関係だったんだい」
ピナコがそう聞くと今度こそエドが羞恥心で死ぬという表情をしていたので、またエドが大佐をスパナで殴るという暴挙に出ないうちに話題を変える必要性がありそうだった。僕が話すよりも先にウィンリィがフォローしてくれていた。
「またあとで教えてね~。こんなに大勢だと話せないわよね」
「あとでな。それも人に言いふらすなよ」
「ほんとにその辺りは変わらずなんだね、てっきり私に脈ありかと思ってたのに」
「うっ……」
そう思ってたらウィンリィがまた別の地雷を踏んで行ったので涙を流すエドに、僕はどう接したらいいのか分からなかった。それを見てピナコが察してくれたので、話題を元に戻してくれた。
「錬金術の事故で女性になってしまったっていうのは聞いたが、どんな錬金術を使ったらそうなってしまったんだい。それぐらいは私らに話しても平気だろう?エド」
「……んー……そうだなぁ。普通の錬金術でなっちまったんだよ、別に資格なんて持ってなくても誰でもできるような錬金術でさ。こう、いきなり暴発するように失敗してさ。んで気付いたら女性になって、元に戻れねーからさ。悩んでたら大佐から告白されたっていうか、そんな流れ。」
実際はもっと話せない内容なのだが、表向き話す内容は作ってあるのでエドはそれを話していく。信憑性はともかく、女性になってしまったのは事実なのでそれをどうのこうの他人が言える資格はないだろうというのが作戦だ。
「それなら元に戻る可能性もありそうだけどね。ある日突然元に戻ったらどうするんだい」
「それは、それで考えるよ。そういう話もしたし、そしたらそれでもいいとかいいだすもので……。色々試したけど元に戻る気配ないから、多分大丈夫」
「それでヨシとしてる辺り、やっぱりあんたら、仲良いんだねぇ。普通はもっと嘆くよ」
「十分泣いたし落ち込んだから大丈夫。(……正直未練はたらたらだけどさぁ!ウィンリィからあんな風に言われるのつらいんだけど?!)」
「いじっぱりだねぇ。ホーエンハイムは知らないだろ、あんたらのこと。どうせ言っても伝え無さそうだから、私から勝手に伝えとくよ」
「へいへい。それに関してゴネてもばっちゃんは勝手に言うだろ、俺の事。……あいつに会う方法なんて知らねぇし、探そうとも思わねぇから、勝手にしてくれ」
相変わらずエドはホーエンハイム(父親)に対して辛辣である。幼い子供置いて自分の妻の葬式にすら帰ってこなかったような人だから仕方ないんだけどさ。僕達孤児みたいな扱いだったもんね。ほんとピナコばっちゃんには救われてばっかりだ。
「そういやマスタング大佐は、この子達の親のことは聞いてるのかい。私達の関係も」
「一通りは。一番最初に聞きましたね。そういう意味でも親近感があったのかもしれません。私も、孤児ですから。私を育ててくれた義理の母親なら居ますがね」
「そういうことかい。そちらの方にもまた挨拶に行かなきゃだねぇ、エド」
「(実話ちょくちょく会ってるとは言えない)おう」
■
機械鎧の方は原作よりもやることが増えて(付け根の方の微調整とかもあった。胸とか痛かったらしい)、大変そうであったが原作通り三日でおわったからすごいよね。
大佐はやっぱり三日も滞在するのは仕事が溜まって大変ということで、一通りピナコばっちゃんやウィンリィと会話した後、リザさんと一緒に東方司令部の方に帰って行った。少佐は引き続き僕達の護衛で。天気も良いみたいだし、多分二人だけでも大丈夫だろう。見張りが居てよかったね、多分あの人リザさんが居なかったらずっとこっちに居たと思うよ。
「しかし、大変だねぇ。ホークアイさんとどう折り合いつけたんだいエド。あの感じだと脈ありだっただろう。三角関係って奴なってたんじゃないのかい」
「……そりゃなってたけど、大佐わりとその辺はきっちり別けられてるよ。リザさんも俺と話すときは普通だし、というか大佐に接するよりも優しいと思うぜ(わりと最初からじゃなかったけか。初めて会った時からあいつ……。リザさんも嫉妬とかそういうの、ないんだよな。なんか決まって兄貴に吸血されたあととかそういうのが酷かったけど、もしかしてそういう効果あるのか?いや、まさかなぁ)」
「そうなのかい。普通、あの関係なら拗れるもんだよ。まったく、運がよかったねぇあんた」
「わかってるよ。ほんと、俺が女にさえならなきゃなぁ。」
「未練たらしいだね。男のままなら大佐フッてたって奴かい」
「俺は女性の方が好きなの!男から愛されるのはその、恥ずかしいというか、俺にもプライドっていうのがあってな!」
「はい、はい。そんな赤面して言っても説得力ないよエド。まぁよかったじゃないか。責任とってもらって。あの感じだと、事故以外にも責任を取らなきゃいけないようなことをしたんだろ。問い詰めはしないけどね。はっは、大事にするんだよ」
「うっせぇ!!!頼むからこれ以上聞くんじゃねー!!」
バレてる。さすがピナコばっちゃんだ。経験値が違う。エドが今度こそ憤死する勢いで家から出て行ったが慣れてない足だったので秒ですっころぶ姿が目撃された。
「あぁ、兄さんが……」
「やっぱり、ピナコばっちゃんにはバレるねぇ」
「なに、あんたらは詳細全部知ってる感じかい」
「大佐とエドの名誉のために僕達だけの秘密って決めたもんねー」
「そうだねぇ」
「大体その言い分だけで何したとか分かるんだよ。まったく」
「ピナコばっちゃんもなんなら大佐殴ってもよかったかもしれないね」
「私しゃそこまで大人げなくないね。まったく。とりあえずあの男がロリコンだってのはよくわかったよ」
その言葉に僕とアルは笑いを堪えきれず爆笑したが、ウィンリィが何の話をしているのか全く分かってなかったのでウィンリィが話に入ってくる前にその話は解散となった。
「うちの可愛い孫に余計なことは言わないんだよ。いいねあんた達!」
「それはそうだね」
「うん」
「ちょっと、何の話してるのよ!気になるじゃない!」
「まぁ、それが分かる年齢になったらだね。エドがいよいよ家に帰ってこれなくなるからやめときな」
「ええ~~?!」
そうして慌ただしい一日目が終了した。