空想の錬金術師   作:篠原えれの

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 この三日間は、墓参りに行ったり、少佐と組手したり、エドから血液貰ったりして暇を潰した。あと輸血パックで保存したりした。さすがにそんなに貰えなかったけど。あんまり血液とろうとしたら当然だけどエド怒るからね。貧血で死ぬわって怒られるのね。まぁそりゃそうで、無理のない範囲で隙あらば血液を貰ったりしてます。だってそうしないと死ぬんだよ。エドに話してないけど今の僕ってあくまで分身で、まだ残機ない状態だからね。

 僕もやることなかったけど、本体の方がどうやらラストと共謀することに成功したらしく、原作通り第一分館の処分に成功した模様。お父様にもバレてない辺り、どうやら気配を隠すことに成功しているみたいだ。まぁ、容量的にはラストの方がでかいもんね。それを支配できるミミちゃんほんとにすごいわ。身を隠すならなんちゃらって奴だね。いやぁ、相変わらず僕って暗躍するの好きだねぇ。

 今日がその、機械鎧修理の最終日だ。

 

 「ほんとにこの神経を繋ぐ瞬間だけどうにかなんねぇ?毎回ほんとに痛いんだけど?」

 「泣き言言わないの、はい動かしてみて」

 

 ウィンリィに言われるまま、エドは右手の手のひらから動かしていく。本当に痛かったのかすっかり涙目だ。

 

 「くそ~~……。女になったから余計に痛く感じるんだよな。賢者の石が手に入ったらほんとなにもかも全部元に戻ったりしねぇかな」

 「あら、まだ男に戻りたいの?マスタング大佐と結婚するのに?機械鎧だってかっこいいし、無理して全部元に戻らなくてもいいんじゃないかしら」

 「う゛、それ言われると何も言いかえせねぇ」

 

 エドの機械鎧も無事に接続が終わる。痛みに悶えるエドと、100%善意でそう言い放つウィンリィが追い打ちをかける。結婚すると決めたからもあるが、ウィンリィは機械鎧オタクなので今のエドを全肯定するオタクになってしまってる。元に戻ったら、今度こそこの家に居る理由もなくなってしまう。それはそれで、寂しくなるだろう。

 

 「ま、まずは俺よりもアルと兄貴を元に戻すことからだな。それは一理あると思う」

 「ミシェル君の吸血への執念は相変わらずだもんね」

 「あれからウィンリィもどっか体調悪くなったとかねぇ?」

 「あのときはさすがにやばかったけど、あれから何年たったと思ってるのよ。大丈夫よ。それよりも、機械鎧の調子はどう?」

 「そっか。うん、いい感じだぜ」

 「あんたの事だから、どうせ日頃の手入れサボると思ってね。今回使ってる鋼はクロームの比率を高くして、錆にくくしてみたの。そのかわり強度が下がったからあんまり無茶は……って、聞きなさいよあんたは!!!」

 「まぁ直ってうれしかったんでしょ。アル直せるし。言っとくね」

 「まったくもう」

 

 爆速でエドがウィンリィの忠告を聞かないでアルの方を直しに行く。まぁ、ネジの閉め忘れはそのままの方が第五研究所の時、必要以上にエドが怪我しなくていいし放置でいいかなと。ラストになって僕エドを問い詰めなきゃいけないんだよね。匙加減もできるかも。この時まではギリギリエンヴィーも仲間だよ。

 ヒューズ中佐に関してはマジで気付いたこと事態忘れて貰う予定だから。この国の異変に関して勘づかないように再度洗脳することもできる訳で、僕の洗脳で今後のあらゆる異変に関して絶対勘づかないマンになった上に気付いたこと事態忘れて貰ったら殺す必要ないでしょ?って言ったらラストは納得してくれたし、ヒューズ中佐に関してエンヴィーが勘づいたなって思ったらエンヴィーも洗脳で忘れて貰うこともできるわけで。ロス少尉がヒューズ中佐殺害の容疑者にもされないわけで、いいことばっかりなんですよ。色々賢者の石を手に入れたことできることが増えたわけです。エンヴィーに勘づかれても詰まなくなったんですよ。洗脳を使えば残機減るとはいえほぼ制限無しで使えるようになったので。敵の目の前で寝落ちするより絶対いい。賢者の石の中の人達もこの世界のために力を使うって言ったら納得してくれたみたいで、今じゃすっかり僕達の味方です。あとミミが一人一人対話して叶えてあげられる願いを叶えていってるのが大きいかもです。その上で少しでもあのクソゴミ屑に仕返しできるなら悔いがないのだそうな。

 僕達のことがバレても1対1なら対処できるんですよ。さすがにお父様にバレたときは逃げるのが大変だと思うんですけどね。残機がむっちゃ減ると思います。ラースはともかくプライドとお父様は油断できないんですよねほんとに。時の運に委ねます。グラトニーは匂いでバレるかなと思ったけど全然大丈夫そうでした。ラストが存在してるだけで許された感が強い。

 ヒューズ中佐にしろ、エンヴィーにしろ、生かすか殺すかは僕達の腕の見せ所だねぇとはラストに警告済みだ。僕自身への戒めも兼ねて。ヒューズ中佐にはニーナの保護やら色々頼んであるので生きて貰いたいのだ。例え僕の洗脳のせいで無能になるとしても、国家錬金術師でもないのに中佐まで昇進できたらすごいじゃん。ね。散々ヒューズ中佐は生かしたいって言ってるのにラストとエンヴィーが手を出した場合やイレギュラーが起きた場合はまた別途で対処します。

 

 ■

 

 エドがアルの破片を集めている。

 

 「アル、おまたせー!鎧の破片これで全部か?」

 「うん。イーストシティの憲兵さん達が丁寧に拾ってくれた」

 「すぐ直るのか?」

 

 少佐が原作通り、エドにアルの鎧のことを尋ねる。直したがってたもんね。気になるよね。

 

 「うん。ちょっとコツがいるけどね。背中の内側に印があるだろ」

 「うむ」

 「これがアルの魂と鎧との仲立ちになってるんだ。この印を崩さないように手足を直さなきゃならない」

 「血文字のようだな」

 「血文字だよ、俺の血」

 「血……」

 

 慣れたようにエドは説明するが、少佐は繊細なので血文字ってだけで固まってしまったようだ。

 

 「それにしても危なかったな――――」

 「もう少し深く氷柱があたってたらやばかったね」

 

 そう、この世界ではイシュヴァール人に化けたアイザックがアルの鎧を壊したので、原作よりも少し壊れ方がえぐいことになってたりする。血文字だけはキレイに傷付けないで攻撃してくれたようだが。部品はちゃんと残っていた。なら、直る。直せる。

 

 錬成音が鳴り響き。アルの鎧は一瞬で元に戻った。

 

「よーし、さっそく組手するか。兄貴も混ざれよ」

「まったく、元気だねぇほんと。いいよ!」

「組手とは」

「動作確認ね。アルも俺も直ったばっかりでろくに動いてなかったし。俺なんて女になってからろくに動いてなかったから訛って仕方ないよ。んーまぁ、師匠がやってた動き真似すりゃなんとかなるよ」

「あの人の動き結構異次元だからね。まぁ、無茶だけはしないでね。無理しないこと」

「言われなくても大丈夫だおらぁ」

「うわっ?!エド、どこにそんな力あるの?!」

「兄貴にだけは遠慮なく勝てるな」

「僕には負けるけどね」

 

 よっこらせっと容赦なく僕はエドに背負い投げをかまされる。痛いのなんの。そのあとすぐエドも容赦なくアルに投げられてた。この中で一番アルが容赦ないかもしれない。確かに僕、色々体術とか剣術とか能力任せなとこ多いから兄弟の中では一番下手な自覚はあるけどさぁ。組手だから姿を消したり、気絶させたり洗脳とかできない訳で、毎回こういう訓練では本当に手が出なかったりする。

 

 「エドワード兄さんはともかく、ミシェル兄さんは基本がなってないんだって。いくら気絶させたり姿を隠すのが得意でも、無謀な動き方するとこ多いよ。師匠に、会った時にどやされる奴だと思う」

 「ぐうの音もありません」

 「ほほう、楽しそうでありますな!ならば我輩も協力しよう!」

 「少佐はオーバーキルだからいいですってほんと!僕達二人はともかくエドは遠慮してね死んじゃうから!!」

 「もちろん把握しておりますともあんまり派手にやるとマスタング大佐にどやされますからな!!」

 「って、絶対それ遠慮するけど遠慮しねー動きの奴じゃんかギャー!!」

 

 こうして、僕達兄弟は結託してなんとかして少佐をやっつける組手が始まったわけであるが結果としてアルが善戦しただけで体格差がありすぎる僕とエドはぼっこぼこに振り回されていた。

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