空想の錬金術師   作:篠原えれの

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 この5日間は本当に急展開だった。原作だと存在すらしなかった時間だけども内容がとにかく濃かった。

 大佐と合流して早々に結婚指輪を渡されて大号泣エドと終始デレデレしたエドが見られたのはよかったが。やっぱりこの二人とんでもなく仲は良い。ヒューズ中佐とか色んな人に祝ってもらって、籍も入れて結婚できたのはよかったねぇ。さすがに式はまだだけど。もう少し治安が落ち着いたらやる方向みたいだ。

 

 さすがに大総統に報告するときは無茶苦茶緊張した様子の二人だったが不気味なぐらい大総統は歓迎ムードだった。

 あの大総統が二人の結婚に関してそこまでとやかく言わなかったのも不思議だが、よく考えたら本体が先回りして結婚やエドの性別に関してとやかく言わない気にもならないように大総統に洗脳していたのを僕は思い出した。本体、優秀すぎない……?

 

 本体、今それどころじゃないぐらいホムンクルスの洗脳で忙しいみたいだけど、この数日でやっと僕にも賢者の石のエネルギーを貰う人権を貰えました。10回ぐらいなら死んでも大丈夫らしい。さすがに多すぎない?と思ったが保険とのこと。僕の立ち位置、わりと危険なポジションらしい。全然平気だけどなぁ。

 

 よく話を聞けば、残機1個でも色々分かる人(※お父様とかプライドとかシン組とかなんなら他のホムンクルスもある程度は分かってしまうらしい。あの中ではラースが一番鈍感らしい。(※その代わりプライドとか密告者が沢山居るので気をつけろとのこと)この間会ってバレなかったのはそういう理由だそうだ)にはバレやすいみたいなので、どうせなら10個ぐらいもっとけとのこと。エンヴィーと違って痛覚遮断の手段を僕達もってるし、死ぬこと事態は全く怖くないのだがそういう理由ならありがたく貰っておこう。エドの肉壁ぐらいにはなれるね!

 

 シン組はエルフだからって誤魔化せるけど、お父様に会った瞬間僕とラストの関係がバレる可能性高いらしい。うん、気を付けよう本当に。

 

 そんな状態ではあるが、ミミがグラトニーやエンヴィーを食べたがらない。処分も容易にできるらしいけど、賢者の石の残機が少なくなってきてからでもいいと放置気味らしい。美食家で気分屋だなぁほんと。すぐに二人を殺さないのも、ラストと一体化してラストに同情しているところもあるのだろう。ミミの考えてることなんて分からないから、もちろんミミには言わないし問い詰めないけどね。得体が知れないのは僕達も一緒だというのは十分理解しているから。

 

 次のターゲットはエンヴィーだが、第五研究所までは生きて欲しいのと、それが終わったらどうするか処分も考えるとのこと。もしエンヴィーを処分するならグラトニーも早々に処分しなくてはならなくなるので時間との闘いだ。

 

 ■

 

 さて、今日はこのあと完成したシェスカの複写を受け取りに行く必要があるのだが、その前に大佐が東方司令部に戻るとのことで送り出しだ。まぁ、どうせエドが怪我するので二週間や三週間もしたらすっとんでくるのだが。結婚もして名前も変わったが、「大佐と一緒に住むのはアルや兄貴を元に戻してから!」と言って聞かないので大佐を含む僕達はそれを容認した。容認こそしたけど、ごめんね。アルはともかく、僕は結構後戻りできないところまで、死ぬこと前提で動き回ってるから元に戻るつもりはさらさらないよ。二人が結婚して早々兄弟喧嘩なんて嫌なので僕はエドに賛同するフリに徹した。

 

 大佐も、エドと一緒に暮らさないところに関して、それを分かって付き合っていたところがあったので全然問題ないそうだ。できれば元の体に戻ってから結婚したかったらしいが、最近何かと物騒でこの間のスカー戦でエドが死にかけたのを機に、はやいうちに結婚することを決めたそうだ。なにかと大佐の保護下にあった方が安全だしね。気持ちは分かる。男のままならそこまで気にもしない関係(結婚ももちろん考えてなかった)だったらしいが、自分のせいでエドを女性にした罪悪感が酷かったみたいなので責任がとれてよかったそうだ。エドに話すと怒るのでエドが居ないところで話した内容だが、大佐は僕らの実父(ホーエンハイム)にも色々話したそうであった。それに関しては仕方ないので、会ったらでいいと思うよと伝えといた。結婚の話はどうせ公開されないにしても噂で広まるんだし。

 

 大佐を見送って、シェスカ邸にて。

 

 「結婚おめでとうございます!ごめんなさい、何もお祝いできなくて。かなりの量だったもので写すのに5日もかかってしまいました。ティム・マルコー氏の研究書の複写です」

 

 実物を見るとそれは本当にすごい量の書類だった。

 

 「すごいのは分かってたけど、改めて実物見ると圧巻だね」

 「いや~~それほどでも。ありがとうございます」

 

 まるでシェスカの実力を知ってたかのように話す兄に、弟達は呆れつつも確かにすごいのでびっくりしていた。

 

 「……本当にやった……。僕達シェスカさんが研究書の複写ができるかどうか半身半疑だったのに」

 「世の中にはすげー人がいるもんだなぁアル……」

 「こんなに量があったんじゃ、これもって逃亡は無理だったんだねマルコーさん」

 「これ、本当にマルコーさんの?」

 「はい!まちがいなく。ティム・マルコー著の料理研究書。「今日の献立1000種」ですっ!!」

 「は?」

 

 そうなるよねぇ。おっと、いけない。あまりにもここから先の展開を知り過ぎてまた調子に乗って知ったかをするところだった。反応に困るんだよね。それで正解なんだよって言いたくなる。エド達と同じように驚けたらなぁ。初見の反応って大事だよね。ほんとに。なので、僕はだんまりを決め込む。

 

 「砂糖大さじ1に水少々を加え……本当に今日の献立1000種だわ……」

 「君!これのどこが重要書類なんだね!!」

 

 軍曹が呆れながらシェスカに問い詰める。

 

 「重……!?そんな!私は読んだまま覚えたまま写しただけですよ!?」

 「という事は、同姓同名の人が書いた全く別の物!?お二方これは無駄足だったのでは?」

 

 僕がこの研究書に興味がなかったのはブロッシュ軍曹も十分理解していたので、研究書に熱心なエドとアルに尋ねる。

 

 「これ本当にマルコーさんの書いたもの一字一句まちがい無いんだな?」

 「はいっ!まちがいありません」

 「あんた、すげーよ。ありがとうな。よし!アル、これもって中央図書館だ」

 「うん。あそこなら辞書が揃ってるしね。」

 「兄貴はどうするよ。俺らこれから研究書の解読に励むけど」

 「やることないんだよね。うーん。研究書、興味ないとは言ったけど手伝えるよ。手伝った方がいい?」 

 「それはやだ」

 

 だねぇ。散々それを見るか見ないかで喧嘩したあとにそれを手伝うてのは確かに虫が良すぎるよね。

 

 「だよね。じゃあ僕は僕で図書館で調べ物するよ。なんか他に資料が見つかるかもしれないし」

 「おう。そうしとけ。なんなら邪魔だから図書館と違うところであーだこーだしてていいぜ」

 「護衛も兼ねてるからそれはだめ」

 「ちいっ。またそれか。わかったよ。しゃーねぇなあ」

 

 マルコーの研究資料が関わるとどうも僕とエドは喧嘩してしまうらしい。僕はもうここまで来ると折れるしかなくなるんだが、否定され続けたエドは嫌だろう。それでも、エドも僕が心配だからと言ってる気持ちはわかるみたいなので、一緒にいることは許してくれたみたいだった。ごめんよ否定ばっかりして。

 

「おっと、お礼お礼。ロス少尉!これ俺の登録コードと署名と身分証明の銀時計!書類上は俺の名前ってマスタングだから書くの間違えそうになったわ。大総統府の国家錬金術師機関に行って、俺の年間研究費からそこに書いてある金額引き出してシェスカに渡してあげて」

 「はぁ……」

 「という訳でこの研究資料は俺とアルのもん!兄貴もこの資料見たかったらシェスカさんに代金支払えよな。それで許したる。」

 「はいはい。言われなくても渡すから。ロス少尉、僕からもシェスカさんに。色々詫び代も入ってるから気にしないでね」

 

 僕もエドと同じように金額を書いていく。なんならエドよりも少し多めにシェスカに渡しといた。わりと僕らって研究費をぼんぼん使うタイプの錬金術師じゃないから使う時に使わないと研究費用下げられちゃうんだよね。

 

 「えっ、お二人から。貰いすぎですよ」

 「いいから。気にしないでね。」

 「シェスカ本当にありがとな!じゃ!」

 

 上機嫌で図書館に向かっていくエドに、僕もそれについていく。わりと資料が多いので手伝わないと大変そうだ。

 

 「ふぅん……研究費用から……」

 「キャ――?!なんですかこの金額!!エドワードさんも大概ですがミシェルさん!?見ないと言った人が渡す金額じゃないですよ!?」

 「こんなお金ポンと出すなんてなんなのあの子達!!」

 

 ■

 

 「ゲ、兄貴俺よりも高い金額絶対支払っただろ。まあアレでも安いぐらいだって思ってたから別にいいけどよ。俺の面子が潰れるじゃんか!」

 「僕のは純粋に迷惑料込みだね。僕達仲はいいけど喧嘩しかしないじゃん」

 「そうだけどよ……。はあ。そうなったら兄貴も手伝えよな。研究書の解読は俺より兄貴のが得意じゃん。くやしいけど」

 「はは、研究書の解読で思い出したけどマスタング大佐の研究手帳はおもしろかったね。女性の名前が暗号って」

 「それ言うなよな。一回それで喧嘩してるんだから。結婚する前は別に男だったし気にもならなかったけど……今となってはマジで浮気してたら泣く」

 「多分あの人スキャンダルは多いけど一途なタイプだとは思うからそれは大丈夫じゃないかな」

 「あー。それはわかるかもしんねえ。信じるしかないよなあ」

 

 ミシェル達はそうして研究資料の解読に励んだのだった。

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